【就活基礎講座 #1】選ばれるESの書き方~自己PR編~

就職コンサルタントの福島直樹です。この連載では、就活に対して苦手意識を持つ学生に向けて、就活の基礎をわかりやすく解説していきます。

第1回~第3回でお話しするの「ES」について。3回にわけて「自己PR」「ガクチカ」「志望動機」の効果的な書き方をお伝えします。まずは「自己PR」の書き方について解説していきましょう。

最近ではESの書類選考にAIを使用する企業が増えてきました。今回ご紹介するESの書き方は、AIにふるい落とされない書き方でもあります。ぜひ参考にしてみてください。
 

本記事の執筆者
福島 直樹(ふくしま・なおき)

就職コンサルタントとして就職・採用にかかわる執筆、講演活動を行う。また、企業の採用コンサルティングでは、戦略立案、選考実施なども担当。『就職ジャーナル』、『DODA』、東京商工会議所ウェブサイト、NHK、フジテレビ、FM東京、J-WAVE等の番組、CF出演。主な著作は『学歴フィルター』(小学館新書)など28冊。就活漫画『銀のアンカー』(集英社)では監修を担当。年間160回を超える講演を行う。
 

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「就活で大変だったこと」1位は「ESの作成」

皆さんはESを書くのは得意ですか?

「非常に面倒です。好きではありません」
「特に手書きのものは時間がかかって大変です」

就活生に質問するとこんな感想が返ってきます。実は先輩たちもESの作成に苦労していたのです。

キャリタス就活2019学生モニター調査結果」(18年10月)によれば、「就活で大変だったこと」の1位が「エントリーシート」(文系57.3%、理系57.7%)となっています(ちなみに2位は「自己分析」、3位は「金銭のやりくり」)。

私は皆さんには、先輩たちのようにESで苦労してほしくありません。そこで、できるだけ合理的に、苦労せずにESを書くポイントを説明しましょう。
 

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ESの評価基準と「自己PR」で何を判断しているのか?

まず、ESの選考基準を考える前に採用の前提となる部分から説明します。下の表を見てください。
 
 企業が存在する理由   利益追求と社会貢献
 採用活動の目的  主体的(HOW)に顧客の課題を解決(WHAT)してくれる人を採用したい 
 ESの評価基準  主体的に顧客の課題を解決をするイメージが湧くかどうか

企業の採用活動は、「利益追及と社会貢献を両立させるために、主体的に課題解決をしてくれる人を採用したい」という思いから成り立っています。

必然的にESの評価基準は、主体的に顧客の課題を解決してくれるイメージが湧くかどうかということになるのです。

自己PRについても「主体的に課題を解決してくれるイメージが湧くかどうか」を見ていますが、1つ注意すべき点があります。
就活では内定欲しさに「優等生」を演じ、自分の「良い面のみをアピール」する学生が非常に多いです。

つまり、日常の素の状態を見せてくれる学生は非常に少ないため、「学生のありのままの、本当の姿を知りたい」という面接官の意識が強くなるのです。これは非常に重要なポイントです。

就活生が面接で自己PRなどを丸暗記し朗読すると面接官は困った顔をしますが、それはまさに優等生を演じたことへの拒否反応なのです。
 

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自己PRは流れを意識して書こう

では自己PRはどのように書いたらよいのでしょうか? 次の1~3に沿って、流れを意識して書くようにしましょう。
 

1. アピールポイント(結論)から書く

ここでは「主体的に顧客の課題を解決してくれる」イメージ、つまり「仕事で活躍する」イメージが湧くことが前提となります。よって次のような仕事に直結しないものは書かないようにしましょう。

<アピールポイントNG例>
・私は友人が多いです
・初対面の人と会話できます
・多趣味です
・自動車運転免許を持っています
・昆虫に詳しいです
・他人に親切です
・コミュニケーション能力があります

「コミュニケーション能力」は仕事に直結しますが、面接で会話をすればその有無が簡単にわかるので、もっと別のことをアピールすべきです。

例えば次のようなリストの中からアピールポイントを選んでみてはいかがでしょうか? ありきたりでなく、それなりに記憶に残りやすいものをピックアップしてみました。
 
<オススメのアピールポイント>
・責任のある仕事を任されることが多い
・困難な課題に挑戦することを好む
・仮説を立てて問題に取り組む
・価値観の違う人と信頼関係を作る
・自分に厳しい
・短時間でポイントをつかむことが得意
・自ら行動することで仲間に影響力を与える
・客観的な視点から状況を把握する
・事前に最悪の事態を想定して動く
・目標を持って動く
・人に喜んでもらうことが私の喜び

2. 1を証明するエピソードを入れる

面接官としては、より高いレベルで顧客の課題を解決してほしいと考えています。よってESで紹介するエピソードには、困難を乗り越えたことや、頑張ったこと、工夫したことがわかる話を選びましょう。この後紹介する事例を参考にしてください。

3. まとめ

このまとめに頭を悩ます学生が多いのですが、実はまとめ自体にはさほど意味がありません。省略してもいいくらいなので1と2がしっかり書けるように準備してください。

以上を踏まえて作成された説得力のある自己PRの例を紹介します。参考にしてみてください。

<説得力のある自己PR例> 
私の強みは「逆境を成長痛と考える」ことです。勉学に力を入れましたが、授業では多数の課題、レポート、実験があり多忙でした。私はこれを乗り越えることで成長したいと考え、効率よくレポートを書く工夫をしました。①実験中にレポートの「手順」「結果」をほぼまとめ、休み時間に書く。②往復の通学時間で「考察」の内容を考え、追加で調べる箇所を決める。それでも追いつかないほど多忙なときは、寝る間を惜しんで勉強しました。この結果「高いレベルを追求しながら、多数のことを同時に進められる」ようになりました。仕事でもこの考え方を活かしていきたいです。
 

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エピソードがない人の書き方と事例

「私は頑張った経験がありません。だから自己PRが書けません」

こんな就活生に会ったことがあります。確かに、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を書くためには体験談が必要です。
しかし自己PRではそのような内容は求められていません。立派な体験談でなくとも、日常生活における小さなエピソードで大丈夫です。次の例を見てください。

<日常生活から気づきを得た自己PR>
他人に配慮できることが私の強みです。よく行くラーメン屋さんで麺や具の量が増えていることに気づきました。店長に聞くと「あなたはいつも気を遣ってくれる。混んできたら席を移動したり、すぐに食べ終わるようにする。だからお礼に増量しました」と言ってくれて、感動しました。私はこのように日常的に他人に配慮することを心がけています。自分のこの強みを仕事でもお客様に対して活かしていきます。 

前に「優等生を演じる学生が多いことから、ありのままの状態を面接官は知りたい」と述べましたが、実はこのように日常生活での気付きから生まれた自己PRは、面接官からの評価が高いのです。

「行動力があります。飲食店のアルバイトでは〜」
「課題解決能力が高いです。学生団体の活動では〜」

といった自己PRの「ありがちなパターン」に面接官は飽きており、こういった自己PRに新鮮さとリアリティを感じるのです。学生時代の経験に自信のない人は、ぜひ日常をヒントにした書き方に挑戦してみてください。
 
今回は自己PRの書き方のポイントを紹介しました。ぜひこれを参考にESに取り組んでみてください。次回はガクチカの効果的な書き方について説明します。

 

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