【守破離で勝ち取る内定術 #3】親の時代の常識は通用しない現代の就活

最近、就活をするにあたり「口出し」する親が増えていると言います。皆さんの中にも、自分が受ける企業や内定先についてマイナスな意見を言われるなど、親から就活について口出しされた方がいらっしゃるかもしれません。

今回は就活生がそんな親とどう向き合うとよいか、という話をしたいと思います。

 

本記事の執筆者

酒井 一樹(さかい・かずき)

慶應義塾大学在学中、世界初の就活SNS「Dachinco!」の代表に就任。国内最大の就活SNSへと成長させた後に大学を卒業し、エグゼクティブサーチを行う人材ベンチャーに入社。役員・事業責任者などの幹部人材の採用支援に携わる。2009年に株式会社エイリストを設立し「自分の頭で考え、行動する人材を増やすこと」を命題として、就職情報サイト「就活SWOT( https://swot.jp )」を開設。

 

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内定先を選ぶのも親の確認が必要?

親と一番トラブルになりやすいのは、内定先を選ぶときです。

あなた自身と親世代とでは、良いと思う企業の基準が違うことが多く、「その企業は受けなくて良い」「その企業の内定は辞退しなさい」「こちらの内定を承諾した方が良い」など「アドバイス」を受けることが多いようです。大半のケースは、本人が強く希望していればそれを否定されることはありません。

しかし、アドバイスどころではなく強く反対されるケースもあります。
企業側は、就活生本人が入社したいのに親の賛成が得られず内定承諾に至らないことを「親ブロック」と呼んでいます。
(ちなみに転職活動では奥さんから反対を受ける「嫁ブロック」もあります)

また、バブル期など今よりも就職活動がラクだった時期に就職された方は、ほとんど苦労することなく就活を終えたケースもあります。今のように、自己分析してエントリーシートで自己PRを書く…というような一連のプロセスもなかった時代です。

いずれにせよ、「今の就活について何も知らないのに口出ししないでほしい」と思われる方もいらっしゃると思います。
 

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親世代と今の就活は全くの別物

皆さんの親御さんが今何歳かわかりませんが、大体30年前ごろに就活をしていたと想定しましょう。
30年前というと、大体1990年頃になります。Windows95が登場して一般的にパソコンが使われるようになったのが1995年ですので、1990年というとワープロしかなかったような時代です。

「マイナビ」の前身となるインターネットでの就職情報提供サービス「Career Space」が開設されたのが1995年、「リクナビ」の前身となるウェブ求人サイト「Recruit Book on the Net」が開設されたのが1996年です。 それまでの就活に「ナビサイト」はなく、企業へのエントリーや資料請求はすべて紙媒体で行われていました。

ハガキで資料請求したりエントリーしていたというと、驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今のようにたくさんの企業にエントリーするのも困難でしたので、1人あたりのエントリー数も少なかったようです。今の時代からは想像できませんね。

入社したあとも、20代のうちから活躍できるという企業は少数派でした。年功序列になっているのが当たり前であり、20代は下積みを経験し、年次によって徐々に昇進していく方が大半です。「転職」という選択肢も一般的ではありませんでした。

もちろん今でも年功序列を維持している企業はありますが、20代のうちから裁量を持って仕事をしている方も増えましたし、定年まで同じ企業に勤めても相応の見返りがあるとは言い切れなくなってきました。転職も珍しいものではなくなってきています。
 

 

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終身雇用はもうアテにならない

日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長が2019年4月19日、「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っている」と発言したことがニュースになっています。

みんな薄々分かっていたことですが、実際に経団連のトップが言うと改めて現実を認識していかなければいけません。

皆さんの親御さんの年代では、定年まで勤め上げるスタンスで入社企業を探していた方が大半だと思います。しかし今の時代、産業の寿命は短くなってきており、今から皆さんが就職して定年になる40年先までその事業が続いているとは限りません。
その企業の業績が悪くなるだけであれば同業他社への転職という可能性もありますが、産業自体が先細ってしまうと社会からその仕事自体がなくなってしまう可能性もあります。

1つの会社で働き続けるにせよ、転職するにせよ、多かれ少なかれキャリアチェンジを視野に動いていかなければなりません。

多くの場合、親世代のアドバイスというのは「自分の成功体験に基づいた先入観」もしくは「自分の失敗体験に基づいた先入観」いずれかを多かれ少なかれ含んでいます。親からのアドバイスに限ったものではありませんが、盲目的に受け入れたり拒絶したりせず「なぜ、そういう意見になったのか」という部分を考えるべきでしょう。悲観的な意見のなかには参考になることが多いかもしれません。
 

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親に聞くべきこと、聞くべきではないこと

親の世代から見た「仕事」についての話を聞くことに、意味がないとは言い切れません。

実際に皆さんが就職したあと、親と同じ年代の方が上司になったり、仕事で接点を持つ機会もあるかもしれません。

その世代の「社会人」が自分たち若い世代を見たときにどう感じているのか知ることは、参考になる情報源の1つ だと言えるでしょう。

就活の面接では「5年後、10年後にどんな社会人になっていたいですか」というような質問もよく聞かれます。
そういったとき、実際にその歳で働いた経験、その年代の部下を見ていて感じた「ナマの声」は面接で話す内容を組み立てるうえで参考になるでしょう。

ただし、親の話だけでなく若手社会人の話も聞いて比較するように心がけましょう。ベテランから見た若手と、若手から見たベテランではそれぞれのフィルターがかかっているはずです。片方の話だけを聞いていると、偏った認識を持ってしまうかもしれません。
 

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最終的には自分で進路を決める

当たり前の話ですが、進路とは最終的には自分で決めるものです。
親の意見を参考にすることはあったとしても、最終的に親が決めるものではありません。

「そんなこと言われなくてもわかっている」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし就活で精神的に余裕がなくなると、自分の判断や考え方に自信が持てなくなってしまうこともあるでしょう。そういったとき、親に強く反対されるとその意見に流されてしまうという方もいらっしゃいます。

もし親に反対されることがあれば、「なぜ反対されるのか」をまずしっかり把握しましょう。
「その企業を不安定だと考えて反対している」のであれば、その企業に入っても大丈夫な理由を話せるようにしておきましょう。あるいは、その企業に入ることで自分のキャリアにどんなプラスがあるのかを話せるようにしてください。

内定先の社会的な評価や、転勤の可能性などを考慮して反対されることもあるかもしれません。さまざまなケースがあるのでこれという正解があるわけではありませんが、どんなケースでも重要なのは「自分にとって譲れない条件」を決めておいたほうが良いということです。

もちろん、話し合った結果、親の意見に納得がいくようであればその選択をするのも良いでしょう。ただしあくまでも「自分の意見が変わった」結果の選択であるべきです。
「親が〜と言うので●●を選びます」ではなく、あくまでも自分自身がその考えに至ることができたかどうかが重要です。逆に、自分の考えとして昇華できたのであれば、「親が言うので…」と言い訳する必要もありません。
 

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