証券会社の仕事内容は?具体的な業務とビジネスモデルを解説

このページのまとめ

  • 証券会社とは、有価証券の売買などを行う金融機関のこと
  • 証券会社の仕事内容は、営業やリサーチが主流
  • 証券会社では、自社資金で有価証券を売買するのも仕事内容に含まれる
  • ネット証券の拡大により、証券会社の利用が拡大傾向にある

証券会社の仕事内容は?具体的な業務とビジネスモデルを解説のイメージ

証券会社の仕事内容について、いまいちよく分からない就活生もいるでしょう。
証券会社とは、簡単に説明すると金融商品の取引窓口を担う会社のこと。金融業界に分類されるため、銀行と合わせて志望する例も多いようです。このコラムでは、証券会社のビジネスモデルや具体的に行っている業務について説明。金融業界を志望するなら知っておきたい内容です。

 

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証券会社とは

証券会社とは、株式などの有価証券の売買や引受業務を行う金融機関のこと。具体的には株式取引の仲介や、自社資金で得た金融商品で利益を出すための取引などを実施しています。

証券会社の概要

証券会社は、現金ではなく株式や債券といった金融商品の取引を事業としています。会社や投資家を相手に株式売買を行ったり、自社資金で金融商品を購入し、利益が出るように売ったりするのが主な事業内容。近年ではWeb上で取引が行える「ネット証券」も台頭し、身近な存在になりつつあるでしょう。

金融業界とは

金融業界とは、その名のとおり金融に関わる業務を行う業界・組織のこと。「資金を融通する」ことを事業としており、銀行や保険会社も金融機関に該当します。

証券会社のビジネスモデル

証券会社は、株式取引の仲介で発生する手数料を主な収益として成り立っています。そのほか、前述したように自社資金で得た株式売買で発生した利益も大切な収益です。

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証券会社が行っている業務

証券会社では、株式売買の仲介役であるブローカー業務を中心に、自社資金で金融商品の売買を行って利益を得るディーラー業務、資金調達支援のアンダーライティング業務などを行っています。

ブローカー

株式を「買いたい」または「売りたい」という注文を受け、それを証券取引所に伝えて売買を成立させる業務のこと。株式を買ったり売ったりするときの仲介役的な役割で、取引成立の手数料を利益としています。

ディーラー

ディーラー業務では、証券会社自体が自社の資金を使って、為替や株式、債券などを売買します。自社の資金を使うというリスクを負う反面、売買により大きな利益を得ることも可能な「ハイリスクハイリターン」な業務。ときには数億~数十億円の取引を行うこともあるようです。

アンダーライティング

企業が新たに株式や債券を発行したり売り出したりする際、一旦、証券会社が全部または一部を買い取る場合があります。
証券会社では、これを「引き受け」といい、その後投資家に販売することを「売り出し」と表現。この一連の流れをアンダーライティング業務といいます。
引受人となっている以上、売れ残りがあれば証券会社が買い取ることになるいっぽう、販売代行手数料は高額です。

セリング

セリングは「引き受け」をせず、「募集」という名目で企業の新規株式や債券を募り、投資家へ売り出す業務です。アンダーライティングとの大きな違いは、株や債権が売れ残っても証券会社が買い取る必要はない点。リスクが少ないぶん、手数料はアンダーライティングに比べて安価なようです。

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証券会社の代表的な3つの部門

証券会社を代表する部門として「リテール部門」「投資銀行部門」「リサーチ部門」の3つが挙げられます。

1.リテール部門

個人投資家を主とした個人向けの営業部門。売買手数料を始めとする各種手数料を得るのが目的です。
手数料を得るためには口座開設だけでなくコンスタントに株式取引を行う必要があるため、取引に対する提案やサポートも実施します。また、顧客の資産を増やすアドバイスを行い、長期的な取引になるように考慮するのも重要。自社サービスをうまく用いて長期顧客を増やすのが、リテール部門の仕事です。

2.投資銀行(インベストメント・バンキング)部門

個人以外の国や企業に対して金融コンサルティングを行う部門。資金調達の支援やM&Aサポートが主な業務です。

資金調達の支援

資金が多かったり実績がなかったりして銀行から出資を断られた企業などに対し、証券会社が債権や株式を買い取り。資金が欲しい会社は証券会社から買取額を受けられ、証券会社は買い取った債権や株式を売ることで利益を得ます。

M&Aのサポート

M&Aとは、企業間で合併や買収を行うことです。しかし、企業のみの判断で合併や買収を決定するのは難しいため、証券会社がアドバイザーとして手助け。アドバイスや仲介といったサポートを行い、手数料を得る業務です。

3.リサーチ部門

株式や市場の予測といったリサーチ・情報収集を行う部門。情報を集めることで取引成功率が高まり、成功率が高まれば信頼を得て取引回数も増えるので、結果的に多くの手数料を得ることができます。
金融や経済に関するリサーチは株式市場の活性化を目的としており、株式に関するリサーチは自社の営業に活用。高騰が予測される株式の提案で顧客の取引を増やすのが目的です。

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証券会社の具体的な職種

証券会社を代表する職種は営業職やアナリストでしょう。証券会社ならではの職種についてまとめました。

営業

証券会社の代表職種といえるのが営業。リテール部門で解説したとおり、個人向け営業は「リテール」、法人向け営業は「ホールセール」と呼ばれるのが一般的です。

具体的な仕事の流れ

顧客に株式売買に関してのヒアリングを行い、どんな金融商品に興味があるのか、どんな資産運用を行いたいかなどを把握。顧客の意見をもとにプランを立ててプレゼンし、了承を得たら契約を行います。
顧客との契約が終わったのち、証券取引所でも手続きを行って、売買成立の証となる有価証券を顧客に手渡したら金融商品の売買は完了。
売買が完了したあとも、定期的にフォローをして資金運用のサポートを行います。

アナリスト

リサーチ部門に所属する職種で、経済動向や金融商品の分析・リサーチを行うのが仕事。アナリストが分析した株価予測は営業職も活用します。また、アナリストがまとめた「アナリストリポート」は社外にも公開されるため、影響力が大きい職種といえるでしょう。

事務

一般企業と同じく、伝票整理やファイリング、データ入力などを行うのが仕事。電話や来客の対応、窓口業務を行うこともあるため、事務とはいえ証券や金融の知識は求められる傾向です。営業事務として営業職のサポートを担う例もあるようです。

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証券会社の動向

冒頭で述べたように、近年はネット証券が拡大しており、証券会社が身近な存在になりつつあります。証券会社の動向をまとめました。

NISAの影響

NISAとは、個人投資家を対象とした少額投資非課税制度。2014年にスタートした当初は年間100万円が上限だったものの、2016年には上限が120万円に引き上げられました。非課税の対象となるのが「証券会社を通じて受け取る配当金・分配金」とされているため、対象期間となる2023年まで、利用者は増加が見込まれます。

新規株式公開の増加

2010年代になると、IPO(新規株式公開:証券取引所に上場すること)の件数は拡大傾向。新たに買付が出来る株式が増えれば、証券会社にとってもビジネスチャンスが増えると予測できます。

ラップ口座の拡大

ラップ口座とは、投資だけでなく管理までを証券会社などに一任する口座のこと。開設すれば持ち主の顧客は保有するだけで、口座元となる金融機関が管理を行うため、安定した収益が見込める商品として注目されています。口座開設の限度額が引き下がったことから、利用者は増加するでしょう。

ビジネスモデルの転換

店舗運営が主だった証券会社ですが、人件費や運営コストを削減したネット証券が台頭してきたように、ビジネスモデルも転換期にきています。
たとえば、柱となる収益の転換。証券会社のメイン収益といえる「株式売買手数料」は、市場に影響を受けやすいのが特徴。近年では預かり資産総額に対して手数料を設定したり、投資信託の管理や販売額に応じた手数料を設けたりするなど、景気や市場に左右されにくいビジネスモデルが目立ちます。

 

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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