公務員は高額って本当?気になる退職金制度と計算方法

このページのまとめ

  • 公務員の退職金は、俸給法と勤続年数、退職理由で算出される
  • 地方公務員の退職金の平均額は、定年退職の場合で2260万円、自己都合退職の場合で150万円
  • 国家公務員の退職金の平均額は、定年退職の場合で2180万円、自己都合退職の場合で350万円
  • 退職理由と勤続年数によって決まる「支給率」と、職責ポイントと同義の「調整額」によって退職手当の額が変わる
  • 休職や月給の減額、早期退職はそれぞれ計算方法が異なるので注意しよう

公務員は高額って本当?気になる退職金制度と計算方法の画像

企業や所属団体を退職するときに支給される退職金。
退職金は民間企業だけでなく公務員に対しても支給されていますが、制度に違いはあるのでしょうか。
今回は、公務員の退職金制度について知りたい方に向けた内容。
国家公務員と地方公務員で差はあるのか、平均支給額はいくらか、どのような点が金額に加味されるのかなどをまとめたほか、計算方法も記載しているので参考にしてください。

 

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公務員の退職金の仕組み

安定というイメージが強い公務員ですが、どのような職種が該当するのでしょうか。

そもそも公務員とは、名前のとおり「利益ではなく公共のために働く」人を指しています。
しかし、一口に「公務員」と言っても、中央省庁や裁判所などの国家機関に勤める国家公務員と、県庁や市役所などの自治体に勤める地方公務員に分けることができます。
さらに、大臣や国会議員、裁判官などの特別職や各省庁で事務を行う一般職、役所の窓口業務を行う行政職、警察官や消防士などの公安職、教師といった教育職など、幅広い職種があるのも特徴。

そのため、「公務員の退職金」は職種や勤務地、勤続年数によって差が出るものの、基本的には基本給と勤続年数、退職理由、調整額によって退職金の支給額が決まります。
人によって支給額が異なりますが、基準となる「俸給表」というものが存在し、それに沿って金額を決定するのが基本。

俸給表は国会で決められた公務員の給与額一覧表のようなもので、想定される給与が記載されています。
職種によって細かく設定されており、役職とともに「級」が上がることで俸給月給(民間企業で言う基本給)も上がる仕組み。
俸給表から算出した基本給をベースに、勤続年数や退職理由、調整額を足したものが「公務員の退職金」です。

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地方公務員の退職金平均支給額

地方公務員の退職金平均支給額の画像

ここでは、県や市区町村に勤務する地方公務員の退職金について解説します。

定年退職時の平均支給額

全地方公共団体の、勤続25年以上で定年退職した場合の退職金の平均金額。

・一般職…2228万9000円
・教育職…2356万5000円
・警察官…2269万3000円

・全職員の平均…2262万円

自己都合退職時の平均支給額

全地方公共団体の、自己都合で退職した場合の退職金の平均金額。

・一般職…260万2000円
・教育職…69万8000円 
・警察官…313万9000円

・全職員の平均…150万3000円

退職金を支給された全職員の平均支給額

1104万5000円

以上のように、職種によって大きな差はないものの、自己都合ではなく定年退職のほうが勤続年数や役職が加味されて高額になることが分かります。

参照元:総務省 - 平成29年4月1日地方公務員給与実態調査結果 

 

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国家公務員の退職金平均支給額

次に、国家機関に勤める国家公務員の退職金について解説。
いずれも、該当者の多いボリュームゾーンを抜粋しています。

定年退職時の平均支給額

全て常勤の国家公務員、平均勤続年数は35年7ヶ月。

・勤続年数25~29年…1714万4000円
・勤続年数30~34年…2077万6000円
・勤続年数35~39年…2405万1000円
・勤続年数40年以上…2345万8000円

・定年退職者の平均支給額…2181万3000円

自己都合退職時の平均支給額

全て常勤の国家公務員、平均勤続年数は9年6ヶ月。

・勤続年数5年未満…22万9000円
・勤続年数5~9年…86万9000円
・勤続年数10~14年…273万7000円
・勤続年数15~19年…528万4000円

・自己都合退職者の平均支給額…351万3000円

退職金を支給された全職員の平均支給額

1149万9000円

国家公務員も地方公務員と同様に、勤続年数や年齢が上がるにつれて支給される退職金の額も高くなっていることが分かります。

参照:内閣官房内閣人事局 - 退職手当の支給状況(平成27年度退職者) 

 

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退職金の計算方法

退職金の計算方法の画像

勤続年数や年齢、役職などによって差が出る退職金。
では、個々の金額はどのようにして計算されているのでしょうか。

公務員の退職金の計算方法は、「退職日の俸給月給×退職理由別・勤続年数別支給率+調整額」で算出することができます。
また、地方公務員の退職金は、地方自治法によって国家公務員の制度に準ずると定められているため、国家公務員・地方公務員によって算出方法が異なることはありません。

公務員の退職金を計算する上でポイントとなるのが、「支給率」と「調整額」。

支給率とは退職理由と勤続年数によって異なるもので、勤続年数が長ければ長いほど率が高くなります。
これは「国家公務員退職手当支給率早見表」に記載されており、例えば勤続年数25年で定年退職した場合は支給率は約33.2なのに対し、勤続年数35年以上で定年退職した場合は支給率は約47.8。
また、定年前に自己都合退職した場合は支給率が低い傾向にあります。

調整額とは、公務員退職手続法で定められた11の職員区分をもとに、職員区分に応じた月額とその職員区分で働いた月数(最大60月)をかけたもので、民間企業でいう「職責ポイント」にあたります。
例えば、対象となる職員が第6区分に相当していた場合は、調整月額は4万1700円。
60月分の調整月額を合計した額が調整額になるため、約250万円が調整額として退職金に加算されます。

例:勤続40年で定年退職した、職員区分6の一般職員の場合

俸給月給を40万円と仮定すると、40万円×47.8+250万円=1912万円+250万円=2162万円。

これが自己都合退職であれば支給率が約44.7に下がるので退職金は2038万円になり、職員区分が第3級であれば調整月額が5万4150円に上がるので退職金は2237万9000円となります。

また、特例として「定年前早期退職特例措置」や「給与を減俸されたことがある場合の特例措置」、「休職したことがある場合の特例措置」があり、詳細は以下のとおりです。

定年前早期退職特例措置

定年前15年以内かつ勤続年数20年以上の職員が対象です。
希望者が早期退職に応募して認定された場合と、殉職や傷病によって退職した場合は、定年前の残年数1年につき「退職日の俸給月給」が4%ほど上乗せされて支給。
また、国家公務員の場合は国家公務員退職手当法により、行政法人の役員や国会議員、国会議員秘書は対象外と定められています。

給与を減額されたことがある場合

採用から退職までの期間のうち、月給の減額改定以外の理由で月給を減額されたことがある場合は、「特定額前俸給月給×減額日前日までの勤続期間に応じた支給率×調整率+退職日俸給月給×(退職日までの勤続期間に応じた支給率-減額日前日までの勤続期間に応じた支給率)×調整率」という特別な計算方法が適用されます。

休職期間がある場合

休職期間の計算方法には2種類あり、休職理由によって異なります。

まず、傷病による休職や刑事休職、研究休職、懲戒処分としての停職期間、育児休業の場合は、全体の休職期間のうち半分が休職期間として扱われます。
つまり、休職期間全体の半分の期間に相当する調整額が差し引かれた分が、受け取れる退職手当です。

職員団体専従休職の期間や自己啓発等休業、配偶者同行休業の場合は、休んだ期間全体が休職期間として扱われます。
そのため、本来支払われるべき退職金の金額から、休職期間全体の調整額を差し引いた分が実際に支給される金額です。

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