「自己分析のやり方がわからない」と悩む人へ

就活が始まる時期になると「自己分析をしなければ」と焦る学生さんが増えるのを毎年見かけます。そもそも、なぜ就活のために自己分析が必要になるのでしょうか? ここでは、自己分析に悩む学生に向けて、そもそも自己分析はなぜ必要なのか、そして何をどのようにすれば自己分析ができるのかを解説していきます。

本記事の執筆者

酒井 一樹(さかい・かずき)
慶應義塾大学在学中、世界初の就活SNS「Dachinco!」の代表に就任。国内最大の就活SNSへと成長させた後に大学を卒業し、エグゼクティブサーチを行う人材ベンチャーに入社。役員・事業責任者などの幹部人材の採用支援に携わる。2009年に株式会社エイリストを設立し「自分の頭で考え、行動する人材を増やす事」を命題として、就職情報サイト「就活SWOT( https://swot.jp )」を開設。
 

自己分析のやり方について相談したい

 

自己分析はなぜするのか

自己分析をする目的は、大きく分けて2つあります。

1つは「自分が本当に就きたい会社・仕事を“選ぶ”ため」。もう1つは「自分が企業に“選ばれる”ため」

この2つです。「選社軸を考えるための自己分析」と「自己PRなどを考えるための自己分析」と言い換えても良いかもしれません。

言われてみれば当たり前のことのように思われるかもしれませんが、「自己分析」と言われたときに、この2つの違いを意識して自己分析が出来ている方は残念ながら少ないのではないでしょうか。

漠然と自分の強みや弱みだけを考えているだけの方、自分の「好きなもの」や「やりたいこと」ばかり分析している方も、どちらも自己分析としては不十分です。両方の視点を持って自己分析できているかどうか、よく注意していただければと思います。

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自己分析が書けない人の特徴

「自己分析がうまくできない」という方にいくつかパターンがあります。

そもそも「何を書いていいかわからない」という方も多くいらっしゃるようです。そういう方に共通しているのは、「自分はそんなにすごい経験をしてきていない…」と考えてしまっているということです。

逆に、「自己分析できているつもりで、実はできていない」という方もたくさんいらっしゃいます。このパターンで多いのは、「私はこんな活動をしてきました」と自信を持って列挙するものの実は「ただの活動紹介」になってしまっているということです。

いずれのパターンも、根本の問題は同じです。

企業から「活動そのものの内容やスケールの大きさが求められている」と誤解しているのです。本質的に評価されることが何か理解できておらず、自分の経験を深掘りできていないということです。

まず、就活において「何かの代表・部長の経験」や「海外留学」や「起業や、企業でのインターン経験」などは必須事項ではないということを認識してください。

もちろんハイスペックな学生の中には、そういった経験をPRして内定を勝ち取っているケースもあります。しかしそれは結果論であり、大半のケースでは「中身」を評価されたうえでの内定です。

逆に言えば、サークル活動やアルバイトなどありふれた内容であったとしても「中身」を語れる経験であれば、評価されるのです。PRする内容がサークルの1メンバーとしての話であっても普通のアルバイトの話であっても良いのです。

その中で自分なりの役割を持って「こんなことを考えて行動し、こんな貢献をした」「活動する中でこんなことにやりがいを感じた」ということが話せていれば問題ありません。

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何をどのように分析すべきか?



自己分析のコツの1つは、「複数のエピソードで一貫しているところは何か」を分析するということです。

例えば「自分の強み」を分析したら、「過去」を振り返ってみて「その強みを活かした経験」や「その強みを身に付けた原体験」を考えてみましょう。そのうえで「未来」に視点を移し、「その強みをどのように活かせるか/活かしたいか」を考えましょう。

「強みを活かした経験」が複数列挙できると、「この学生は本当にそういう強みがある」という説得力が増します。面接で深く突っ込まれたときに差が出るのはこういう部分です。その説得力が、「強みを活かしてこんなことをしたいんです」という志望動機にも説得力を持たせてくれることになるのです。

「強み」を例に解説しましたが、「弱み」などについても同じです。

「なぜそれが苦手なのか」「具体的にどういう場面でその弱みが問題になるのか」などをしっかり自己認識できていると「その弱みに該当しない場面であればこの学生は活躍できる」というプラスの評価にもつながります。

就活の自己PRに限ったことではありませんが、良いことばかり列挙されると「何か隠れたデメリットがあるんじゃないの?」…と思ってしまうことって、ありませんか?

「こういうデメリット(弱み)があるんですが、これに気をつければ問題ありません」という説明があると、逆に安心できることもあるでしょう。人事担当者から見た就活生も、それは同じことです。正しい自己認識で「自分の弱みはこうです」と言うことができればその弱みを許容できる企業にとっては「安心して採用できる」後押しとなります。

そのほかに分析しておきたい点としては、「こんなときに嬉しかった・悲しかった・悔しかった」というような自分の行動と感情が結びつく部分です。これらは、自分が就きたい仕事・就きたくない仕事を考える際には非常に重要な事柄になるでしょう。

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自己分析の取っ掛かり

自己分析が簡単にできる方法…などという都合の良いものはありませんが、取っ掛かりとしてオススメしたいのは下記の3ステップです。

[1] 就活サイトで提供されている適性診断ツールを使う
[2] 友人や先輩に自分の良いところや悪いところを聞いてみる(他己分析)
[3] 試しに応募できる企業のエントリーシートを実際に書いてみる


最近は就活サイトで提供される適性診断ツールのクオリティも上がっており、「自己分析のたたき台」として使う分には十分な内容になっています。これを元にある程度自分で分析し、そのうえで「他己分析」でヒントをもらうのが自己分析を進める近道となるでしょう。

「他己分析」は特にツールなどを使う必要はなく、メールでもLINEでも直接会ってでも良いので質問をしてみましょう。

・自分の強みや弱みは何だと思うか
・第一印象はどうだったか? 今はどう変わったか?
・改善してほしいことはあるか
・サークル/部活での自分はどんな役割か
・どんなことに向いていると思うか/向いていないと思うか

適性診断ツールで出てきた情報を見つつ、「適性診断でこんなふうに言われたんだけどどう思う?」と聞いてみるのもよいでしょう。質問する相手は、同級生ばかりではなく先輩…できれば社会人になった方も含めると色んな視点から回答が得られるでしょう。

予想通りの回答だったら、それはそれで「やっぱりそうなんだな」と自信を持ってその強みや弱みを言えるようになりますし、予想外の回答だったら「なぜそう認識されていたのだろう」と新たな発見が得られるはずです。

もちろん中には「誤解」された回答もあるかもしれませんが、なぜそのような認識をされたのか分析することも貴重な情報源となります。「友人には〜だと誤解されることもありますが、実は私は〜な人間です」と逆に自己PRに使ってしまうこともできるでしょう。

そういったヒントを得られたら、まずは実際にエントリーシートなど自己PRを書いてみるのが、オススメかつ一番手っ取り早い自己分析になります。

実際に書いてみたり、口に出してみたりすることで自己分析になることもあり、逆に頭の中で考えているだけでは先に進みません。

選考時期の早い企業があるなら、思い切って面接まで行って面接官からの質問を通じて自己分析するのもオススメです。

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完璧な自己分析が必要なわけではない



「自己分析はもう終わったので次は〜します」というようなことを仰る方もいますが、自己分析に「終わり」はありません。仮にそう言っている方がいたとしても分析できたつもりになっているだけで、100%完璧な自己分析ができているわけではありません。

また同時に、100%完璧な自己分析が就活に必要なわけではありません。就活し、就職し、仕事をしていればその都度自分の考え方や行動も変わっていきますし、新たな強み、新たな弱みも形成されていくものです。

だから、自己分析に「完璧」はなく「終わり」もないのです。「100%じゃなくても良い」と割り切れば少し気が楽になったりしないでしょうか? 自分のことがすべてわかっている人間なんて、どこにもいません。「(現時点で)わからない」という結論が出るならそれはそれで自己分析の1つです。決まりきったやり方があるわけでもなく、自分なりの方法で可能な範囲で自己分析していけばいいのです。

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