28卒の就職活動に関する実態調査【後編】

このページのまとめ

  • 28卒の85.0%が生成AI活用、用途は志望動機の添削
  • 28卒の6割がハルシネーションを経験、約7割が悪影響を経験
  • 28卒の約8割が専門性重視、職種志望は企画・営業職に集中

近年目覚ましい生成AIの急速な普及トレンドの影響は、就職市場にも広がっています。学生の就職活動の効率化や企業の採用最適化など、生成AIは様々な就活シーンで活用され始めており、就活のあり方も変容しつつあります。 キャリアチケット就職では、2028年卒業予定の大学生を対象に、就職活動の実態調査を実施しました。本記事では、生成AIが就活生のキャリア観や職種選びに与える影響について、調査結果をもとに詳しくご紹介します。

28卒の就職活動に関する実態調査【前編】」では、就活の早期化やサマーインターンへの参加意向に関する調査結果について紹介しています。こちらの記事も参考にしてください。

目 次

28卒の85.0%が就活で生成AIを活用|主な用途は文章の最適化

キャリアチケット就職の調査で、28卒の学生に就職活動における生成AIの活用状況を聞いたところ、「特に活用していない(15.0%)」を除く、全体の85.0%が「活用している」と回答しました。

この結果から、生成AIが情報収集や文章作成を効率化するツールとして、すでに就職活動の中で広く活用されていることが分かります。

具体的な活用方法は、以下の通りです。

・志望動機・自己PRの作成や添削(72.9%)
・企業研究(45.0%)
・模擬面接や想定質問の作成(25.0%)

生成AIは、就活に限らず日常的な情報収集や文章作成でも広く活用されるようになっています。85.0%という高い利用率の背景には、普段から使い慣れているツールを、そのまま就活にも応用している流れがあると考えられます。

利用用途を見ると活用方法にも一定の傾向が見られ、「志望動機・自己PRの添削(72.9%)」と「企業研究(45.0%)」の間には大きな差がありました。「志望動機・自己PRの添削」で特に利用されている背景としては、自分1人では完結しにくいタスクの効率化だと推察されます。

これまで就活では、先輩や家族、添削サービスに頼るのが一般的でしたが、生成AIなら時間を問わず何度でも添削や修正を依頼できます。就活の早期化が進むなか、限られた時間で学生生活と両立しながら効率よく進められる点は大きなメリットです。

さらに、誤字脱字や文章表現のミスなどは、人以上に正確にチェックできる場合があります。すでに作成した文章を文字数制限に合わせて調整するなど、下書き作成から仕上げまで、必要な場面に応じて柔軟に活用しやすい点も特徴です。

28卒の85.0%が就活で生成AIを活用|主な用途は文章の最適化のイメージ

志望動機や自己PRは、表現や言い回しを整えるなど、生成AIが比較的得意とする分野です。一方で、企業研究は最新情報や正確な事実関係を確認する必要があり、AIの出力をそのまま活用するには注意が求められます。

こうした利用用途の差からは、学生が一律に生成AIへ依存しているのではなく、目的に応じて活用方法を使い分けていることがうかがえます。

ファクトチェックを「毎回必ず行う」学生は半数未満

企業研究に生成AIを活用している学生を対象とした調査で、AIが出力した情報に対するファクトチェックについては、「毎回、必ず公式サイトやIR資料などで事実確認を行う」と回答した学生が46.0%にとどまる結果となりました。

半数以上が十分に事実確認を徹底できていない実態が明らかになると同時に、「ほとんど行わない(AIの回答をそのまま信頼している)(6.3%)」と回答した学生も、少数ながら一定数存在しています。

ファクトチェックを「毎回必ず行う」学生は半数未満のイメージ

生成AIは便利ですが、出力された情報の活用には注意が必要です。AIの回答には誤情報が含まれることがあり、十分な確認を行わずに利用すると、誤った情報であることに気づかないまま、企業選びや選考対策を進めてしまうリスクがあります。

生成AIを適切に活用していくためには、AIが出した情報をそのまま信じるのではなく、必ず一次情報で確認する姿勢が求められます。

例えば企業情報に関しては各企業の公式ホームページやIR情報など、信頼できる情報源と照らし合わせながら活用すると良いでしょう。また、就活に関する制度や選考スケジュールについては、厚生労働省や経団連などの公的機関・業界団体の情報を確認することが重要です。

前述の生成AIの活用状況の調査結果と合わせると、企業研究にAIを活用しながらも、ファクトチェックを十分に徹底できていない学生が一定数いると考えられるでしょう。

また、ファクトチェックについて「毎回必ず」「ほとんど行わない」という両極端よりも、「気になったときだけ確認する」といった中間的な関わり方をしている学生が半数近くを占めているのが実態に近いとも推察されます。

就活のAI利用でハルシネーション経験者は6割

生成AIが事実とは異なる情報を、もっともらしく出力する現象を「ハルシネーション」と呼びます・就職活動で生成AIを利用する中でこれを経験したことがあるか聞いたところ、6割が「ある(60.0%)」と回答しました。「わからない/確かめたことがない」という回答も17.0%にのぼっています。

就活のAI利用でハルシネーション経験者は6割のイメージ

また、ハルシネーションを経験した学生を対象に、それによるネガティブな影響や失敗について聞いたところ、約3割は「特に実害はなかった(30.6%)」と回答した一方、残りの約7割は何らかのネガティブな影響が生じたと回答しました。

具体的な内容としては、以下のような回答が挙げられています。

・AIの回答を疑わなければならず、かえって調査の手間が増えた(36.1%)
・存在しない制度や実績を信じ込み、志望順位を誤って判断しそうになった(5.6%)

タイムロスに関する影響が中心である一方で、5.6%と少数であるものの、就職活動における意思決定そのものに影響を及ぼしかねないケースがあることも分かりました。

また、ハルシネーションそのものは決して珍しい現象ではなく、その影響の大きさに個人差があることも見て取れます。生成AIは便利なツールである一方で、出力された情報をそのまま受け入れるのではなく、内容を確認しながら活用する姿勢が重要です。

6割というハルシネーション経験率の高さを踏まえると、遭遇した際にどのように気づき、適切に対処できるかが、今後の生成AI活用において重要なポイントとなるでしょう。

生成AIの出力内容には疑問を持つように心がけ、根拠が不明な内容や初めて触れる情報が含まれている場合には、公式サイトや公的機関の情報を確認することをおすすめします。

特に、企業の実績や採用情報などは就活に直結するため、情報が正しいかどうかを必ず確認する必要があります。

就活のAI利用でハルシネーション経験者は6割のイメージ

約8割が専門性・現場知見を重視|職種志望は企画職・営業職に集中

AIの普及や業務の自動化が進む中、将来のキャリアを選ぶ上で、「専門性」や「現場知見」を身につけることをどの程度重視するか聞いたところ、「非常に重視する(22.9%)」「やや重視する(55.7%)」を合わせた約8割(78.6%)が「重視する」と回答しました。

専門性や現場知見が重視されている背景には、これらがAIには代替されにくい能力であるという認識が広がっていることが考えられます。

特定の分野における深い専門知識や、現場で積み重ねることでしか得られない知見は、AIが代替することは難しい領域です。

近年の就活生はAIを日常的に活用することが多いからこそ、AIの限界や弱みも肌感覚で理解しているともいえるでしょう。「AIにはできないことを自分の強みにしたい」という意識がキャリア観に反映されているとも読み取れます。

約8割が専門性・現場知見を重視|職種志望は企画職・営業職に集中のイメージ

また、志望または検討している職種については、以下のような結果となりました。

・創造・企画職(マーケティングや戦略立案を含む)(57.1%)
・営業・対人交渉職(40.7%)
・IT専門職(AIエンジニアやデータサイエンティストなど)(18.6%)

この結果を見ると、AI時代において代替されにくいとされる「創造性」や「人間関係の構築」「共感力」を必要とする職種に、学生の関心が集まっていることが分かります。

「専門性・現場知見を重視する」と回答した学生は約8割(78.6%)にのぼるものの、職種としてもっとも人気が高かったのは「創造・企画職(57.1%)」でした。

一般的に「専門性」という言葉からは、エンジニアやデータサイエンティストなどの技術職をイメージしやすいかもしれません。しかし、今回の調査結果では、AIエンジニアやデータサイエンティストを含む「IT専門職(18.6%)」よりも、企画やマーケティングといった創造領域への関心が高い結果となりました。

これらの結果から、就活生は「専門性」を「単なる技術的なスキル」だけでなく、企画力や対人スキルなど、「AIには代替しにくい人間ならではの能力」として捉えていることがうかがえます。AI時代における専門性の捉え方そのものが、少しずつ変化し始めていることを示す結果といえそうです。

約8割が専門性・現場知見を重視|職種志望は企画職・営業職に集中のイメージ

まとめ

今回の調査から、28卒の就職活動では、生成AIの活用がすでに一般的な手段になりつつあることが見えてきました。85.0%という高い活用率からも、生成AIが学生にとって特別なツールではなく、就職活動における身近な存在となっていることがわかります。

一方で、ファクトチェックを毎回必ず行う学生は半数には達しておらず、生成AI活用の課題も浮き彫りとなっています。生成AIの活用が当たり前になりつつある今、AIが出した情報をそのまま受け取るのではなく、内容を確認したうえで適切に判断する力が、これからますます重要性を増しています。

こうしたAI活用の広がりには、就活の早期化も関係していると推察されます。前編でお伝えしたとおり、インターンや企業イベントへの参加は26卒と比べて約1.5倍の速さで進んでいます。こうした中で、限られた時間でも納得のいく就活を進める手段として、生成AIを活用する学生が増えているのでしょう。

さらに28卒の特徴として、単に「AIを使う学生が増えた」だけではなく、「何のために、どの場面で活用するか」という使い方そのものが、より具体的になっている点も挙げられます。

本調査では、AIに代替されにくい専門性を意識してキャリアを選ぶ傾向が強まっていることも注目すべき点です。ここでいう専門性が技術職に限らず、創造性や対人スキルなど、人間ならではの能力まで含めた幅広いものとして捉えられていることも、大きな特徴です。

AIをどのように活用するかだけでなく、AIに代替されにくい力をどう身につけていくか。28卒の就職活動は、その両方を同時に考えながら進めていく、新たな局面を迎えています。

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