このページのまとめ
- 電子部品産業は、通信や自動車、電力、医療、航空宇宙などのシーンで機器とシステムを支えている
- 電子部品メーカーのビジネスモデルはBtoBが基本
- 国内の主要メーカーの多くは、7割以上を海外売上が占めておりグローバル化が進んでいる
- 今後は自動車やロボット、医療関連、ウエアラブル機器などさまざまな分野に向けて技術開発の強化に努めていく
- 特に自動車関連は、EV化や自動運転技術により継続的な市場拡大が見込まれる
本記事の執筆者
霜田俊彦(しもだとしひこ)
電波新聞社、編集本部所属。大学卒業後、電波新聞社入社。地方支局での家電流通や地場企業の取材を担当。1998年より、東京本社編集本部で電子部品業界担当に。電子部品メーカーや電子部品商社、関連業界団体等の取材、記事執筆を手掛ける。電波新聞の他、電波新聞別冊として月2回(第1/第3木曜日)発行するタブロイド判の技術媒体『ハイテクノロジー』も担当。
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電子部品(メーカー)業界とは
電子部品メーカーとは、私たちが目にするテレビやスマホ、自動車などに使われている電子部品を作っている企業です。
電子部品の使用用途は幅広く、テレビやブルーレイディスクレコーダなどのAV機器、エアコンや冷蔵庫などの白モノ家電をはじめ、スマホ/タブレット端末などのモバイル機器、パソコン/コンピュータ機器、事務機器、製造装置/工作機械、通信・放送インフラ、計測器、自動車、医療機器、電力設備、航空宇宙関連などあらゆる製品に搭載され、電子部品産業は、これらの機器・システムを支える基盤産業として重要な役割を担っています。
電子部品の種類は、電子回路基板に使用される回路部品、電気的接続を担う接続部品をはじめ、変換部品、電源部品、高周波部品などに分類され、品目別では、コンデンサ、トランス、抵抗器、コネクタ、スイッチ、リレー、音響部品、小型モーターなど数多くの種類があります。
日本には多くの電子部品メーカーがあり、連結売上高が1兆円を超える大手から中堅・中小企業まで企業規模はさまざまですが、それぞれの企業が得意とする製品ジャンルやアプリケーション分野を持ち、強みを活かした事業を展開しています。
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電子部品(メーカー)のビジネスモデル
電子部品メーカーのビジネスモデルは、ユーザーであるセットメーカー(完成品メーカー)向けに製品を製造販売するBtoBが基本 であり、電子部品メーカー各社は、セットメーカーが要求する仕様に応じた電子部品の開発に日々取り組んでいます。
具体的には、業界ニーズである軽薄短小化や高品質化、省エネ化、多機能化、大容量高速伝送対応、耐熱性向上、高信頼性、長寿命、使いやすさ、安全性向上、低コスト化などに照準を合わせた電子部品の技術開発に力が注がれています。単品部品開発に加え、複数の部品を組み合わせたモジュール部品の開発を手掛ける企業も増加しています。
近年は、業界のグローバル化進展に合わせ、日本の電子部品メーカーのグローバル展開も一段と進んでいます。多くの主要電子部品メーカーは、売上高に占める海外売上高比率が7割を超え、企業によっては8割から9割に達するケースもみられています。
製造面でも、多くの企業が量産の主力を中国・東南アジアを中心とした海外生産に移行させており、国内工場では、次世代向けの高付加価値製品の製造などが実施されています。
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電子部品(メーカー)業界の現状
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、2018年の電子部品世界生産額(日系企業+海外企業)は、2兆9,345億ドルそのうちの12%が日本企業です。
出所:JEITA - 電子情報産業 世界生産性見通し(2018年12月)
特に電子部品の世界生産額に占める国別のシェア比は日本が最も高く、2018年は38%を見込んでいます。
電子部品業界では、2000年以降、携帯電話市場の拡大が電子部品需要の成長を牽引し、さらに2000年代後半以降は、スマホの高性能化と世界的な需要増大が業界の成長を牽引してきましたが、自動車の需要も伸びています。
ほかにも、工場の自動化による電子部品需要増やスマホ向け二次電池の用途拡大(ドローンなどに応用)など、スマホ以外の分野でも需要が増大しています。
そうしたなかで、日本の主要電子部品メーカーは、これまで成長を牽引してきたスマホ用部品に替わる新たな市場開拓を重視し、中長期の高い成長が期待される「自動車関連」を筆頭に、「産業機器・ロボット」「医療関連」「ウエアラブル機器」「IoT(モノのインターネット)関連」など、さまざまな分野に向けた営業・マーケティング活動や技術開発の強化に取り組んでいます。
これらの新規市場開拓や新規ビジネス創出を目的に、主要日系電子部品メーカーによる、海外企業買収などの動きも近年は活発化しています。
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電子部品(メーカー)業界の今後
電子部品市場は、今後も電子機器や自動車の高機能・高性能化や新興国市場も含めた普及拡大により、継続的な市場拡大が予想されています。
なかでも、「100年に一度の変化」の最中にあるとされる自動車は、EV化や自動運転技術の高度化により、電子部品需要を中長期で飛躍的に拡大していくことが見込まれています。
工場の自動化に伴う高性能なFA(ファクトリーオートメーション)機器や産業用ロボットの需要増大も、今後の電子部品需要の牽引役として期待されています。くわえて、IoT、5G(第5世代移動通信)、AI(人口知能)などの潮流が、あらゆる産業分野での技術革新を促進させ、高性能な電子部品を必要とする新たな用途を生み出していくことが期待されています。
世界の電子部品市場では、2000年代以降、台湾系や韓国系、中国系などのアジア系電子部品メーカーの台頭が進み、グローバルでの競争が激化していますが、依然として日本の電子部品業界は世界シェアの4割近くを占めています。
IT・エレクトロニクス技術の高度化が一段と進み、市場変化のスピードも一層早まる中で、今後も日本の電子部品業界は、市場で高い存在感を示し続けることが予想されます。
半導体商社業界については「半導体商社業界の現状・今後の動向について」も参考にしてください。
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本記事の監修者
淺田真奈(あさだまな)
大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。