コンサルティング業界の現況・今後について

このページのまとめ

  • コンサルタント業界の値付けは、コンサルタントの時間単価×かかる時間の合計金額で算出されることが多い
  • コンサルティングの市場はテーマの広がりに応じ急拡大してきており、今後も成長する
  • BtoC領域のデジタル人材不足により、広告代理店がコンサル事業に乗り出すことが多くなってきた

コンサルティング業界は企業の課題解決のお手伝いを行うことを生業としています。以前は、課題解決の種類(戦略、業務プロセス、人事、IT、M&A等)や母体(外資系、日系、シンクタンク系)などによって区分けされ、分業体制を取っているのが基本でしたが、経営課題の難化と各テーマの密接化につれ、その境界線はなくなりつつあります。 デジタルテクノロジーの進化の波を激しく受け、デジタル系の会社の買収、提携、新設などの動きがあり、業界地図が変化しつつあります。

本記事の執筆者

松本利明(まつもと・としあき)

人事・戦略コンサルタント。PwC、Mercer、Accentureのプリンシパルを経て現職。24年以上、国内外のコンサルティング業界を渡り歩き、その実情に詳しい。近著『いつでも転職できるを武器にする(KADOKAWA)』。

 

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業態の種類

業態は主に次の2つに分かれます。

戦略系

企業の経営課題を発見し、その解決のためのプランを立て、そのプラン遂行の役割を担う業態です。また企業の事業戦略、組織設計、業務改革などに対し、クライアントの意思決定と組織への落とし込みのサポートを行います。

例…マッキンゼー、ボストンコンサルティング

総合

製造業、金融、通信官公庁など業界ごとに分かれて、戦略・業務・IT・組織人事・財務など、バリューチェーンに関わる全てのテーマについて領域を限定せずコンサルティングを行う業態です。

例…アクセンチュア、デロイトトーマツコンサルティング

そのほかの業態

また他にも、バリューチェーン別やテーマに特化した区分もあります。
人事系、M&Aアドバイザリー、事業再生などがその代表です。最近は戦略系コンサルタントが人事系に入るなど、その境目はボーダレス化しつつあります。

上記のテーマ別の区分とあわせ、外資系と日系(独立系・シンクタンク系)に業態は分かれます。
外資系企業や日系の大企業はグローバル全体の方針に沿って展開する必要があるため、グローバルにネットワークを持つ外資系コンサルティング会社を活用することが多く、日系は国内でのきめ細かい対応を強みとする傾向があります。


 

 

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収益の仕組み

収益の仕組みは、取り組むテーマに応じたコンサルタントの時間単価×かかる時間の合計金額で請け負う形がメインです。各コンサルティング会社により、コンサルタントの職位(アナリスト、マネジャー、パートナーなど)に応じた1時間辺りの仕事の質と量と金額が決まっています。よって、プロジェクトを受注する際は、仕事を細かく具体的に切り分け、積み上げる形となります。戦略など、経営に近いテーマを扱うコンサルティング会社の方がコンサルタントの時間単価が高くなります。ただし、仕事量はより現場に近い方が多くなるため、単価が安くとも大量のコンサルタントを派遣し続けることで収益を安定期的に稼ぐ「高級派遣業」化している企業もあります。現場に張り付くだけでなく業務の全てを請け負う等がその典型です。

また時間単価以外に、コンサルティングの報酬の一部を成功報酬(株式上場やM&Aに成功したらいくらもらうなど)のスタイルをとるケースや、業務の効率化等、成果が数字で確実に表せるテーマの場合、完全出来高払いの契約を行うコンサルティング会社もでてきています。

参考:EnterpriseZine

 

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コンサルティング業界の今後

コンサルティングの市場はテーマの広がりに応じ急拡大してきており、今後まだまだ成長する予測がたてられています。デジタルテクノロジーの進化の波に対してクライアントの投資がますます増える一方、人材の採用・確保の難易度は上がっています。働き方改革などの影響もあり、クライアント側は人材の確保が厳しくなった分、外部に即戦力を求め、業務を委託することが多くなってきています。

クライアント側は、少ない人数で、過去経験したことのないスピードをもって変革を成し遂げるため、一度任せて信頼したコンサルティング会社に、関連したテーマのプロジェクトまで依頼することが増えました。テーマ別に会社を変えてコンサルティングを外注するよりも、既に自社に理解のあるコンサルティング会社に仕事を任せた方が、キャッチアップや情報共有にかかる無駄がなくなるからです。ゆえに、依頼した会社が得意としないテーマについては、そのテーマを得意とするコンサルティング会社の卒業生を雇い入れ、新しい知見を組織に広めることで、仕事の幅も人数も拡げています。具体的には言えませんが、私も某外資系大手の戦略系ファーム数社の組織・人事領域のアドバイザーとしてプロジェクトに関わる頻度が高まってきています。

大企業が外部のコンサルタントの活用の仕方について知見をつけたことも、この現象に拍車をかけています。
 

 

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コンサルティング業界の打ち手

デジタルテクノロジーの進化の波はチャンスである反面、脅威にもなります。
大手のコンサルティング会社は各社、デジタルテクノロジーの会社を買収、新設しています。しかし、そもそもデジタル領域に詳しい人材が戦略系において圧倒的に不足している上、従来コンサルタントが得意としているBtoBの領域とデジタルテクノロジー会社が強みとするBtoC領域では、求められる人材要件も大きく異なっています。ゆえに、ユーザー視点でゼロから1を生み出すデザイン思考が強い会社とのコラボを強めた結果、逆に広告代理店がコンサルティング事業に乗り出してくる事態になってきました。これからはデジタル領域への参入や広告代理店との競争に加え、よりBtoCの視点から、その他の業界も取り込んだビジネスモデルを描くことができるかが、コンサルティング会社の生命線になっていくでしょう。

 

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コンサルティング業界の魅力

コンサルティング業界の魅力の魅力は大きく3つあります。

1つは、20代のときから、普通ではお会いすることが難しい、大企業やスタートアップ企業の経営者・キーマンと直接お会いし、一緒に仕事ができることです。その結果、彼らと同じ視点で物事を見て、判断できるようになります。

2つ目は若くして活躍できることです。一般的な事業会社では、30代から40代で選抜されたリーダークラスにならないとアサインしてもらえない経営やビジネスの課題に、コンサルティング業界では20代から関われることができます。そのため、スキルアップが加速するはずです。

3つ目は、得られる人脈です。プロジェクトで関わったクライアント先や先輩・後輩コンサルタントだけではありません。コンサルティング会社を卒業(退職)した先輩はいろいろな業界へ移り、大活躍しています。そのネットワークまで全て手に入ります。優良なコンサルティング会社にはアルムナイ(卒業生ネットワーク)が充実しています。東大や慶應卒でなくても同等か、それ以上のネットワークが手に入るのです。ビジネスや人の紹介だけでなく、子育て、趣味を含め、広く繋がることができるので、ビジネスはもとより、プライベート面も充実します。

 

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コンサルティング業界を目指す学生へのアドバイス

若くして経営視点や問題解決能力、リーダーシップを身に着けられることは、コンサルティング業界の最大の魅力です。守秘義務があり口外はできませんが、世の中で起きている最先端のテーマに触れられることは刺激的で、他の職業では中々経験できないことになります。
またコンサルティング会社では、最も早く、大きく成長できるやり方で仕事を教わることができるのも魅力です。優秀な上司、先輩、仲間ばかりで「仕事ができない上司・先輩がほぼいない」ことも無駄な職場ストレスの軽減につながります。

狭き門ですが、ご自身の成長と合わせ、その後のキャリアチェンジにも有利です。しかしその際、注意点が一つあります。コンサルティング業界は、裾野の広がりにあわせ、卒業生や働く人数も大幅に増えているため、数年で退職したらキャリア上、あまりプラスに働きません。最低でもマネジャー以上を目指しましょう。キャリアや働き方の選択の幅が大きく広がります。

 

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