食品・飲料業界 の現状・今後の動向について

このページのまとめ

  • 「加工食品」と「日配食品」の分類基準は販売期限の長さ
  • メーカーが収益を得るためには、さまざまなコスト調整が重要
  • 生き残るためには、「少子高齢化」「安全性・健康」「国際化」への対応が必要
  • メーカーにとっての最大の脅威は、消費者への対応方法
  • 全国展開か地域密着型なのかも就職時の判断材料として有効
 

本記事の執筆者

渡貫 久(わたぬき・ひさし)

中小企業診断士として、経営全般の相談や中長期経営計画の策定支援を専門分野に経営支援を行う。特に、食料品小売業の経験が長いことから、食品系のマーケティング・販売促進・販路開拓・商品開発が得意分野。チェーンストア在職中には4年間、人事採用担当を経験。

 食品・飲料メーカーの特徴

食品・飲料メーカーを分類する場合、まずはスーパーマーケットの売場をイメージしてみると良いでしょう。生鮮食料品と雑貨を除けば、ほとんどが食品・飲料メーカーの商品。麺類や調味料、缶詰、菓子、パン、牛乳、ジュース、ビールなど、食品や飲料の種類は多様で、品揃えも幅広いのがお分かりいただけると思います。

その中でも、販売期限が比較的長いものを「加工食品」、パン、日配、豆腐など販売期限が比較的短いものを「日配食品」と分類する場合もあります。

加工食品

加工食品は常温で配送するものが中心。全国的に商品展開している大手メーカーが手がける傾向にありますが、調味料メーカーなどでは、地域に密着しているメーカーもあります。

日配食品

日配食品は冷蔵で配送するものが中心。中堅メーカーや小規模メーカーが手がけることが多いですが、大手パンメーカーなど全国展開しているメーカーもあります。

その他

その他、ソーセージなどの食肉加工品、海産物の加工品、野菜の加工品などの生鮮品を加工したメーカー、冷凍食品メーカーなどがあります。

 食品・飲料メーカーで利益が生まれる仕組み

食品・飲料メーカーは、基本的には原材料を仕入れ、それを自社で商品として加工し、卸売業、物流業者を通じてスーパーマーケットなどの小売業に供給することで収益を得ています。
「商品の販売先が卸売業者になる場合」と、「直接小売業に販売する場合」の2つがあり、 後者では中間業者が少なくなる分、収益が高くなることもあります。

また、「すべてを自社で製造する場合」、「一部を社外に外注する場合」、「加工原料を原料として仕入れる場合」があり、 一般的には自社で製造する割合が高いほど収益は多くなります。

その他、販売期限の長い商品と短い商品とではもともとの利益設定が異なる場合もあります。食品メーカーが収益を得るためには、商品の売上を上げることはもちろん、仕入コストや製造コスト、物流コストまで適正な状態でコントロールすることが重要です。

 飲食・飲料メーカーが解決すべき3つの課題

食品・飲料メーカーの現況に関するデータとして、食品製造業の製造品出荷額を見てみると、東日本大震災があった平成23年以降、全体的な出荷額はおおむね増加傾向となっています。
景気や価格の影響で多少の変化はあるものの、人の生活に直結した商品になることから、長いスパンで見れば安定している市場といえるでしょう。

出処:農林水産省 - 食品産業動態調査

比較的安定している食品市場ではありますが、これからは環境の変化が激しくなりますので、解決すべき課題も多くあります。代表的なものを3つ挙げるとすれば「少子高齢化への対応」「安全性や健康への対応」「国際化への対応」があります。

少子高齢化と安全性・健康への対応

人口が減少する日本で食品・飲料メーカーが生き残るためには、ライバルに勝つための戦略や海外に市場を求める必要がある でしょう。また、高齢者は若い人に比べて食べる量が少なく、食べるもの自体も違うので、それに即した対応が求められます。
また、消費者の食の安全性や健康への意識は年々高まっており、近年では見過ごせないレベルとなっています。

国際化への対応

国際化については、CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的・先進的な協定。関税を大幅に引き下げ、自由化を促すもの)が発効され、工業製品や農産品の関税が段階的に引き下げられる ことから、国際的なモノの流通がこれまで以上に盛んになるでしょう

食品・飲料メーカーにとっては、「原料が安く調達できる」「輸出し易くなる」などのチャンスが生まれますが、逆に「海外からの安い輸入品がライバルになる」という脅威も出てきます。

 食品・飲料メーカーの脅威と対策の必要性

食品・飲料メーカーの最大の脅威は、消費者対応を間違えてしまうこと。
食品・飲料メーカーが製造する商品は、人の命に関わるものです。「食品事故」が起これば人命に被害が出てしまいますし、「産地偽装」や「異物混入」が発覚すれば信用は失墜します。実際、近年でも食品事故や異物混入などで消費者離れが起き、食品メーカーの売上に大きな影響が出ました。
食品・飲料メーカーは代わりとなる商品がたくさんあるため、信用を落とせば容易に他社商品に乗り換えられてしまいます。

もちろん、食品事故や産地偽装を起こさないように対策を講じることが重要ですが、事故や事件が発生した際に、どのように対応するかを事前に準備しておくことも大切です。
大手メーカーでも、事件後の対応を誤るとたいへんな事態になりかねません。状況の確認やお客様対応、商品回収、マスコミ対策など、対応は多岐にわたりますが、これら一連の対応をマニュアルとして整備し、実際に運用できるように準備しておく必要があります。

 食品・飲料メーカーの就職を検討する5つのポイント

業界の特徴や課題点、将来性などについて説明してきました。最後に、食品・飲食メーカーに就職を考えるとき、気をつけるべき5つのポイントをご紹介します。

全国展開か地域密着かで考える

就職する企業を検討するとき、まずは「全国展開している大手メーカー」にするか、「地域に密着した中堅メーカーや小規模メーカー」にするかを基準にするといいでしょう。

全国展開する大手メーカーは、国内だけでなく、海外を含めた出張や転勤があるなど、華やかで魅力的な要素も多いです。一方、地域に密着したメーカーは転勤が少ないので、地元で働きたい人には魅力的。経営基盤や待遇面がしっかりした会社も多くあります。規模の大小にとらわれず、しっかりと企業研究するのが重要です。

最低限の専門用語は押さえておく

最低限知っておきたいのが「賞味期限」と「消費期限」の違いです。あまり意識しなければ「どちらも一緒?」と思いがちですが、実は明確に違いがあります。
「消費期限」は商品の傷みが早いものに表示し、「賞味期限」については比較的商品が傷みにくく長い期間食べることができる商品に表示します。 どちらも定められた方法で保存しているのが前提になります。

加工食品は賞味期限を表示しているものが多いのに対し、日配食品や野菜以外の生鮮品、惣菜については消費期限を表示しているものが多くなります。当然、消費期限を表示している商品の方が温度管理や日付管理に注意が必要になります。業界では知っていて当然の用語なので、知っておいて損はないでしょう。

消費者行動や業界の動向に目を向ける

食に関する消費行動の変化は、企業に大きなインパクトを与えます。食品・飲料メーカーのジャンルを選ぶときに、消費行動の変化は重要な要素になるでしょう。

消費行動の変化を調べるには、「家計調査年報」を参考にしましょう。 家計調査年報は、全国約9千世帯の方々を対象として、家計の収入・支出、貯蓄・負債などを調査したデータであり、世帯ごとに購入した品目別の金額などを知ることができます。

たとえば、平成12年から平成30年までの間に、パンを買う金額が増えたのか減ったのか、乳製品を買う金額が増えたのか減ったのか、生鮮魚介を買う金額が増えたのか減ったのか、などを知ることができます。
就職先として検討している分野への支出が増加しているか、減少しているかを調べると企業研究を行ううえで参考になるでしょう。

また、スーパーマーケットの業界団体が公表している「統計・データでみるスーパーマーケット」に記載されているデータもおすすめです。 食品・飲料メーカーが製造する商品の多くはスーパーマーケットで販売されるので、見えることがたくさんあります。たとえば、商品カテゴリー別の品揃えの増減や、地元産の食品コーナーを設置している店舗の割合など、さまざまな視点で記載されているデータは業界全体を知る手がかりになるはずです。

課題に対応しているかを調査する

食品・飲料メーカー業界全体としては、食品製造業の製造品出荷額の推移を見ても分かるとおり、増加傾向となっています。しかし、「少子高齢化への対応」「安全性や健康への対応」「国際化への対応」といった課題に対する対策は必要です。就職活動を行ううえでは、企業が「これらの課題にしっかりと対応できているか」という視点で下調べしてみるのもポイントです。

事故防止や消費者対応を徹底しているか調べる

人の体に入るもの、時には人命を脅かすものを扱っている食品・飲料メーカーでは、事故の防止や消費者対応は基本中の基本です。消費者の視点に立った経営や取り組みがされているかをよく調べてみてください。

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