EC業界の現状・今後の動向について

このページのまとめ

  • ECの収益モデルには、「出店手数料型」と「自社EC型」がある
  • 市場規模は右肩上がり
  • セキュリティ面や運送料の高騰などにリスクがある

就職活動を行う中で、志望する業界や職種を探すのは、結構大変ですよね。どこを目指していいか分からず困っている方も多いのではないでしょうか。そして、自分の生活に身近なサービスを提供している業界から研究してみようと思っている就活生も多いと思います。今回は、AmazonやYahoo、楽天など、今や私たちの生活に馴染み深い、EC業界について紹介します。

本記事の執筆者

小宮山真吾(こみやま しんご)

2004年よりECサイト売上ノウハウの講師を担当し、全国で売上アップの連続セミナーを開催。コーチングを取り入れた講演は、参加者の問題解決や気づきに活かされ、内外から高い評価を受ける。オリジナルメソッドで、すぐに実行できる実践体験型セミナーを提案する。

 

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ECの種類

そもそもECとは、「electronic commerce」の略で、電子商取引を意味します。一般の人々が「ネットショッピング」と呼んでいる行為は、この電子商取引の一種に当たります。そして「ECサイト」とは、インターネット上でショッピングを行えるウェブサイトを指します。

ECは、大きく「総合型」「ジャンル特化型」「CtoC」に分けることができます。

総合型

AmazonやYahoo!ショッピング、楽天などを代表とする、総合的に商品を取り扱うECサイト。日用品からまでニッチな趣味のアイテムまで、売り場を必要としないネット販売の強みを生かし、幅広く圧倒的な量の商品展開を行えます。

サイト例:Amazon、Yahoo!ショッピング、楽天市場、Wowma!、ポンパレモール、&mall、omniモール、Qoo10、ヤマダモール、ロハコモール、dショッピング、ベルーナ、ベルメゾンネットなど

ジャンル特化型

洋服や食品、またはオフィス用品や家電など、ある特定のジャンルに特化したECサイトです。商品数や集客力は総合型ECサイトに劣りますが、消費者にとっては商品が探しやすく、貴重な商品を扱っている場合もあるので、固定客がつきやすいという強みがあります。

サイト例:ZOZOTOWN(ファッション)、オイシックス(食品)、おとりよせネット(食品)、ぐるなび食市場(食品)、アスクル(オフィス用品)、Joshin webショップ(家電)など

CtoC型

CtoCとは、消費者(Consumer)から消費者へ、つまり消費者間取引のことを指す言葉です。ECサイトの場合、メルカリやヤフオクに代表されるような、出品者も買い手も個人であるサイトのことを言います。

サイト例:メルカリ、ヤフオク!、ラクマ、Creema、iichi、minneなど

 

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ECの収益構造

ECサイトの収益の仕組みは、主に2つに分かれます。

AmazonやYahoo!ショッピング、楽天市場などの、出品者とサイト運営者が異なるショッピングモール型ECサイトでは、出品者から手数料などを得ることで収益を上げています。出品者はこうしたショッピングモール型ECサイトを利用することで、より集客が見込める半面、出品するにあたってコスト(初期費用、月額利用料、販売手数料など)を支払わなければいけません。その出品コストがECサイト運営会社の収益になっているのです。

対して、自社商品を自社のサイトで売り、利益をあげる自社サイト型ECサイトもあります。こちらはモールを介さず直接販売するので、出店料コストはかからず、月々発生する運用コストを抑えることができます。

 

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EC業界の職種・業務フロー

業務内容としては、大きく「受注・顧客管理」、「基幹システム管理」、「プロモーション」、「出荷・配送管理」に分かれます。



それぞれに担当者がつく場合もあれば、複数の業務を横断的に対応する場合もあります。また、プロモーションを外注したり、出荷・配送業務を外注したりする場合も多くあります。

 

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EC業界の現状と脅威

出所:経済産業省 - 電子商取引に関する市場調査

経済産業省によると、平成30年のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の国内市場規模は約18.0兆円で、前年に比べ8.96%も増加しています。グラフを見ても、増加傾向が続いているのが分かりますね。また、平成30年のBtoB-EC(企業間電子商取引)の国内市場規模は344.2兆円で、こちらも前年に比べ、8.1%増加しています。

また、EC化率(※1)は、BtoC-ECで6.22%(前年比0.43ポイント増)、BtoB-ECで30.2%(前年比0.8ポイント増)と、ともに増加傾向にあり、商取引の電子化が引き続き進展していくことが期待されます。

※1 EC化率……すべての商品取引のうち、電子商取引が占める割合のこと

また、ECサイトはグローバル展開できることが強みです。中国消費者による日本事業者からの越境EC購入額は1兆5,345億円(前年比18.2%増)、米国事業者からの越境EC購入額は1兆7,278億円(前年比18.5%増)であり、海外の顧客も大幅に増加しています。

一方、脅威としては、個人情報漏洩のリスクがあり一気にサイトの信用を失いかねないことや、運送会社の送料や荷役費、梱包資材費の高騰などに収益を左右されることが挙げられます。

 

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EC業界の魅力

EC業界は、商品やサービスの対面販売と違い、写真・動画・テキスト・SNS・広告など様々な方法で顧客にアプローチを行うため、他の業種以上に深い販売経験を積めることができます。またEC業界での経験は、他業種でも多く活かせることが魅力です。将来転職を考えている人にとっても、EC業界での経験は自分の財産になるでしょう。

また、EC業界ではIoT、AI、オムニチャネル(※2)などを取り入れ時代の最先端を進んでおり、様々な可能性を魅せてくれるでしょう。またEC業界は今後、ますます国境を越えグローバルに展開されていく大変魅力的な業界です。新しいこと・もの、チャレンジ精神に溢れた学生には魅力ある業界です。

AIによる今後の業界については「今ある仕事の半数はAIに代替可能?AIによってなくなる仕事、なくならない仕事」も参考にしてください。

※2オムニチャネル……インターネット上だけでなく、実店舗などとも連携し、売上アップを狙っていく方法

 

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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