広告業界の現状と今後の動向について

このページのまとめ

  • 純広告費は6年連続で上昇している
  • Web広告費が地上波広告費に迫る勢いになっている
  • マスだけに対応する職種や広告は減少傾向にある

本記事の執筆者

磯部 茂 (いそべ しげる)

編集者として、企画、紀行文、コラムなどの執筆、各界著名人のインタビューを担当。後、広告業界へと場を変え、コピーライター・プランナーを経験。現在(有)ペア・ファクトリー代表。神奈川と東京を拠点に、広告制作やコンサルティングを行っている。

広告業界の業態について

広告業界は代理店と、専門的なスキルや知見を提供する会社に分けることができます。

総合広告会社

総合広告会社はTV、新聞、雑誌、ネットまでさまざまな「枠」を持ち、企画~制作までを請け負います。クライアントも上場会社が主で、扱う額も大きい傾向にあります。具体的には、電通、博報堂、アサツー ディ・ケイ、大広などを指します。

デザインプロダクション

規模の小さい会社が多く、大手広告会社からのアウトソーシングを請け負っているところが多い半面、独自でクライアント開発を行っている会社も増えています。両者ともに、クオリティが高いのが強みです。

Web系の広告代理店・制作会社

Web系は広告業のなかでも新しい業態で、一番伸びています。

Webページの広告枠を売る代理店のほか、ホームページなどを制作する制作会社、Googleなど検索サイトの検索順位を上げるSEOを得意とする会社など、多岐にわたった企業が存在します。

映像専門の制作会社

大手広告代理店などから依頼され、CMなどを制作する会社と、規模の小さいプロモーションや会社案内、製品などの動画を撮る会社に分かれます。

マーケティング会社

商品開発の調査、広告表現調査、効果分析、顧客満足度など、さまざまな分析を行い、よりよいプロモーション戦略(宣伝方法など)を提案します。

PR会社

主に新聞やTVなどの報道機関へ、企業より依頼された新製品や新開発、新業態への進出等の情報の提供を行います。新商品発表会に使用するプレスリリースと言われるものを制作・発行するのも業務のひとつです。最近ではSNSなど、新しい手法などを採り入れるところも多く、各企業のPRを陰からサポートしています。

イベント会社

毎日のように開催されているさまざまなイベントに携わり依頼された企業からの要望にこたえ、空間づくりや演出などを行います。

広告業界の収益の仕組み

広告代理店と呼ばれる会社では、TVや新聞に掲載するための時間やスペースを商品として取り扱い、その料金で収益を上げています。こうした会社は、クリエーターより営業マンが多く在籍しているのが特徴です。

グラフィック系、デザインプロダクション、映像専門の会社、イベント会社は制作物を納品して収益を得ています。ほぼ全員がクリエーターで構成され、ディレクター、デザイナー、コピーライターなどが集まる専門家集団と言えるでしょう。Web系も、代理店系と制作に分けられ、その収益は上記と同様です。

マーケティング会社やPR会社はそれぞれ調査・分析、提案などで収益を上げています。なかには自社開発ツールの利用料などで利益を出している企業もありますが、その多くがいわゆる原料や在庫を持たず、基本的には成果物に対する人件費が原価としてかかっています。

広告業界の現況

景気動向に敏感に左右する業界なので、経済の動きと売上・収益が連動します。

出所:電通

2017年の日本の総広告費は6兆3,907億円と6年連続で増加しています。

2007年のリーマンショックの影響で一時期は落ち込んでいましたが、2011年以降の東日本大震災の反動増や緩やかな景気回復によって広告費も増加傾向にあります。

なかでも好調なのはWeb(インターネット)広告です。2009年には新聞を抜き、テレビに続く2位の広告媒体に成長しています。2017年のインターネット広告費は1兆5,094億円にものぼり、地上波テレビ広告費の1兆8,178億円に迫る勢いです。

広告業界の脅威

長年のデフレの影響を受け続けて、広告業界は値引きが常態化しています。

こうした傾向は、ゆくゆくは経営を圧迫し、人件費にも悪影響を及ぼします。人件費の低下はモチベーションをも低下させるので、更に質の落ちたコンテンツが増えると、業界全体の評価も下がるのではないかと懸念されています。

一方、業界全体がデジタルの方向へと移行するに連れ、従来のマスメディアに関するスキルでは活躍の場が減る職種が出てきます。

広告業界の今後

TV、新聞、雑誌など従来からの広告スタイルは縮小傾向です。一方、Web広告などの市場は大きな伸びを示しています。Web単体の広告だけでなく、リアルのイベントやマス広告との連動など、広告は従来のマスメディア一方通行型から、双方向でリアルタイムな情報提供へ変化しているといえるでしょう。

こうした流れに伴い、今後の広告業界には、広告枠やクリエティブを単体で売るのではなく、広告を介して価値のあるコミュニケーションを作っていくことが必要とされるでしょう。

さらに、ターゲットがマスから個人に細分化されているので、今まで通りの方法では消費者への訴求が難しくなっています。SNSの普及により、個人でさまざまな発信ができるようになって生まれたインフルエンサーなど一人ひとりのブランド化が進んでいます。広告業界は、こうした新たなライバルに対して、予算に見合った確実な成果を求めらます。

現在の広告を取り巻く劇的な変化を鑑みると、クライアントが何を求めているのかを理解する力を養う必要があると思います。そして大事なことは、やはり、どうあっても「好き」なことがこの業界のどこかにある、ということではないかと思います。

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