
企業選びの方法やキャリア観には、27卒世代ならではの変化がみられます。受ける企業数を絞り込み、ナビサイトに加えて口コミサイトやSNSも活用しながら、自分に合った企業を見極めようとする学生が多いようです。一方で、将来の出世を望む学生は約5割に留まり、私生活とのバランスを重視する価値観も広がっています。
後編では、キャリアチケット就職が実施した381名への調査をもとに、27卒の就活における企業選びやキャリア観の傾向を紹介します。
調査概要
今回の調査では、2027年卒の就活の実態について次のような方法で調査を行いました。
調査期間:2025年12月12日~2025年12月22日
調査方法:インターネット調査
調査主体:レバレジーズ株式会社
有効回答数:381人
調査対象:2027年卒業予定の大学生・大学院生
27卒の約8割が受けたい企業数を「8社以内」に絞りたいと回答
就職先を決定するまでに受けたい企業数について、「1〜4社(49.1%)」が最多となり、特に文系では51.8%と半数を超えました。また「8社以内」と回答した学生は全体の約8割にのぼります。
数多くの企業を受けるよりも、自分に合った企業を見極めたうえで選考を受ける企業数を絞り込みたいという学生の意向がうかがえます。


なぜ企業数を絞る傾向があるのか
既に企業理解を深めたうえで、受ける企業を絞って就活を進める学生が増えているためと考えられます。その背景には、就活の早期化によって情報収集や企業研究に使える時間が相対的に増えたことが考えられます。
インターンシップへの参加を通じて、企業の雰囲気や業務内容をある程度把握しやすくなったことで、「とにかく多く受ける」よりも「納得できる企業に絞って臨む」という考え方が広がっているとうかがえます。また、ES作成や面接準備にかかる負担を踏まえると、企業数を絞ることが一社ごとの準備を丁寧に進めることにもつながるでしょう。
受ける企業数の目安と選考準備のポイント
企業数を絞る戦略は有効ですが、「志望企業だけに絞りすぎて選択肢がなくなる」リスクも念頭に置いておくことが大切です。第一志望群・興味のある企業・練習も兼ねた企業という形でいくつかの層に分けて整理することで、万が一の際にも柔軟に対応できます。ES・面接の準備を丁寧に行えるよう、自分のキャパシティに合った社数設定を意識しましょう。
就活で受ける企業数や選び方については「就活は何社受けるべき?文系・理系の平均や後悔しない選び方を解説」の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
企業集めの手段は「ナビサイト」が最多、SNSや口コミサイトの活用も
企業に関する情報収集の手段としては「就職ナビサイト(57.5%)」「就活エージェント(27.8%)」が上位に挙がりました。またSNSや口コミサイトの利用者も一定数存在し、約5人に1人は口コミサイトを活用していることが分かります。
企業が発信する情報だけでなく、多様なチャネルを使い分けることで、より企業のリアルな情報を収集しようとする姿勢がうかがえます。

就活生はなぜ多様な手段で情報収集をするのか
就活生が多様な手段で情報収集を行う背景として、ひとつの情報源だけでは企業理解が十分ではない可能性が挙げられます。ナビサイトは求人情報・説明会の申し込み・エントリー管理などを一括して行える利便性が高い一方で、企業が発信する公式情報に偏りやすいという側面があります。
また、口コミサイトやSNSは、実際に働いている社員や就活を経験した先輩の声に触れやすく、企業の雰囲気や働き方を補足的に知る手段として活用されている場面が増えているようです。
加えて、就活エージェントでは、就活生自身では見つけきれない企業情報をキャリアアドバイザーが整理したり、希望に合いそうな企業を提案したりしてくれる場合があります。
こうした複数の手段を組み合わせることで、企業の表面的な情報だけでなく、実際の働き方や社風まで含めて、より立体的に理解しやすくなるでしょう。
情報収集を効果的に進めるポイント
情報収集では「どこで調べるか」と同様に「何を確認するか」を明確にしておくことが重要です。たとえば「社員の働き方・残業実態」はロコミサイト、「事業の方向性・ビジョン」は企業の公式サイトやIR情報、「社員の雰囲気」はOB・OG訪問やSNSというように、知りたい情報ごとに適切なチャネルを使い分けると効率的です。
就活で効率的な情報収集については「SNSで行う就活の情報収集とは?効率よく行う方法とメリットを知ろう」の記事で詳しく解説しているのでご一読ください。
将来出世したい27卒学生は約5割
「将来出世したいと思うか」という質問に対して「非常にそう思う(16.5%)」「ややそう思う(32.0%)」と回答した学生は、理系では5割を超えたものの、全体では約49%と過半数を下回りました。


27卒の出世観は二極化 | 出世したい理由は「給与」、したくない理由は「責任・ストレス」
出世したい理由としては「給与・報酬を上げたいから(66.5%)」が最多でした。一方、出世したくない理由としては「責任やストレスを感じることが増えそうだから(66.3%)」が最多となり、過度な責任や私生活への影響を避けたいと考える学生が一定数存在することが明らかになりました。


出世したい理由・したくない理由
出世を望む学生の多くが「給与・報酬」を理由に挙げている点は、経済的な安定や豊かさを重視する傾向の表れといえます。一方、出世を望まない学生が責任やストレスを懸念する背景には、近年注目されている「静かな退職(Quiet Quitting)」に代表されるような、仕事と私生活を明確に切り分けたいという価値観の広がりがあると考えられます。「頑張れば昇進できる」という従来のキャリアモデルよりも、「自分のペースで働きながら生活を豊かにしたい」という意識が、27卒世代では強まっている様子がうかがえます。
出世意欲にとらわれず、自分らしいキャリアを考える
出世意欲の有無にかかわらず、大切なのは「自分がどのように働きたいか」という軸を持つことです。昇進・昇給を目指すキャリアも、専門性を深めるキャリアも、ワークライフバランスを重視するキャリアも、どれが正解ということはありません。就活の段階から、給与・仕事内容・働き方・社風など複数の視点で企業を比較し、自分の価値観に合った選択をすることが、長期的な満足度につながるでしょう。
まとめ
今回の調査から、27卒が企業数をある程度絞り込みながら、ナビサイトや口コミサイト、SNSなど複数の手段を使って企業理解を深めようとしている様子がうかがえました。以前のように、幅広くエントリーして機会を増やすことを優先するというよりも、事前に情報を集めたうえで、自分に合う企業を見極めながら選考に臨もうとする傾向が強まっているのかもしれません。
情報収集の手段が多様化したことで、27卒の就活は企業から与えられる情報を受け取るだけでなく、自ら複数の情報源を組み合わせて判断する動きが広がっていると考えられます。企業選びに対する向き合い方も、数をこなすより納得感を重視する方向に変化していることが、今回の調査結果からみえてきました。