このページのまとめ
- 27卒の64.4%が就活中に「就活うつ」を経験
- 就活うつの原因は「長期化で先が見えない」が40.7%で最多
- ストレスの相談相手は「生成AI」が最多の39.4%で、友人や家族を上回る
就職活動の早期化・長期化が進むなか、就活中に精神的・身体的な不調を抱える学生の増加が指摘されています。キャリアチケット就職では、2027年3月卒業予定の大学生・大学院生351名を対象に「就活うつ」に関する実態調査を実施しました。この記事では、就活うつの経験率や症状、就職活動への影響、原因、対処法について、調査データをもとに解説します。
- 調査概要
- 27卒の64.4%が「就活うつ」を経験
- 就活うつとは就活中に感じる精神的・身体的な不調
- 「強く感じた」「やや感じた」の合計が6割超
- 早期に就活を始めた層は経験率が高い
- 就活うつの症状は「無気力」と「不安感」が半数超
- 睡眠や涙、体調不良など日常生活に影響する症状も
- 約4人に1人が3つ以上の症状を抱えている
- 就活うつの原因は「長期化」が40.7%で最多
- 上位は「長期化」「周囲との比較」「不採用の連続」
- 親の過干渉やSNSも一定の影響
- 心身の不調を感じ始めた時期は大学3年3月が最多
- 約半数は心身の不調を抱えたまま就活を継続
- 「行動には特に影響しなかった」は50.9%
- 選考辞退やサイレント辞退につながるケースも
- ストレスの相談相手は「生成AI」が39.4%で最多
- 友人や家族、キャリアセンターを上回る結果に
- 「特になにもしなかった」も約2割
- まとめ
調査概要
本調査は、2027年卒の「就活うつ」の実態について、次の方法で実施しました。
調査期間:2026年8月28日〜8月31日
調査方法:インターネット調査
調査主体:レバレジーズ株式会社
有効回答数:351人
調査対象:2027年卒業予定の大学生・大学院生
実査委託先:GMOリサーチ&AI株式会社
27卒の64.4%が「就活うつ」を経験
はじめに、27卒学生がどの程度「就活うつ」を経験しているのかについて調査しました。本調査では、就職活動を進めるなかで精神的・身体的な不調や強いストレスを感じたことがあるかを、「強く感じたことがある」「やや感じたことがある」「あまり感じたことはない」「全く感じたことはない」の4段階で尋ねました。あわせて、就職活動を本格的に開始した時期別に経験率を比較しています。
ここでは、本調査における就活うつの定義と経験率、就活の開始時期による違いを解説します。
就活うつとは就活中に感じる精神的・身体的な不調
本調査における「就活うつ」とは、医師の診断によるものではなく、就職活動中に精神的・身体的な不調や強いストレスを感じたという学生自身の認識を指します。医学的なうつ病とは区別したうえで、就職活動が学生の心身に与える負担を捉えるための言葉として用いています。
就活うつの原因や相談先は「就活うつ対策とは?原因や相談先を知って深刻化する前に内定獲得を目指そう」の記事でも解説しているのでこちらもご参照ください。
「強く感じた」「やや感じた」の合計が6割超
就職活動を進めるなかで精神的・身体的な不調や強いストレスを感じたことがあるかを尋ねたところ、「強く感じたことがある」が28.5%、「やや感じたことがある」が35.9%でした。両者をあわせると64.4%に達し、27卒の6割以上が就活うつを経験していることが明らかになりました。
一方で、「全く感じたことはない」は10.3%にとどまり、ストレスをほとんど感じずに就職活動を進めた学生は少数派です。就活うつは一部の学生に限られた現象ではなく、就職活動を経験した学生の多くに共通する状態であると考えられます。

早期に就活を始めた層は経験率が高い
就職活動を本格的に開始した時期別に見ると、大学3年9月以前に開始した早期層の経験率は68.1%、大学3年10月以降に開始した標準・後期層は61.9%でした。早期層のほうが6.2ポイント高く、「強く感じた」の割合も早期層が上回っています。
就職活動の早期化は準備に充てられる時間を増やす一方で、選考に向けた緊張状態が続く期間も長期化させます。早期に開始した分だけ活動期間が延び、ストレスの蓄積につながっている可能性があります。また、早期に開始した層ほど経験率が高いという結果は、後述する原因の章で「就活の期間が長すぎて先が見えない」が最多となっている点や、不調の始まりが大学3年の段階に集中している点とも整合しています。

就活うつの症状は「無気力」と「不安感」が半数超
次に、就活うつを経験した226名を対象に、具体的な症状や身体的な変化について調査しました。ここでは、症状の内訳と、一人あたりの症状数を解説します。
睡眠や涙、体調不良など日常生活に影響する症状も
最も多かったのは「なにもやる気が起きなくなった」で53.5%、次いで「常に強い不安感や焦燥感・動悸に襲われるようになった」が50.9%と、この2項目がいずれも半数を超える結果となりました。意欲の低下と不安感が、就活うつの中心的な症状であることが分かります。
さらに、「夜眠れなくなった・途中で目が覚める」が26.1%、「勝手に涙が出るようになった・止められなくなった」が24.3%と、4人に1人前後が睡眠や涙に関する症状を挙げています。頭痛や胃痛などの身体的な体調不良、食欲の減退や過食を挙げた学生も1割台にのぼりました。気分の落ち込みにとどまらず、睡眠や食事、身体面の不調といった日常生活に直接影響する症状を自覚している学生が一定数いることが明らかになりました。

意欲が低下する背景や対処法は「就活できないのは甘えじゃない!やる気が出ないときの対処法を解説」の記事をご覧ください。
約4人に1人が3つ以上の症状を抱えている
一人あたりの症状数を見ると、1つだけを挙げた学生が半数強を占める一方で、3つ以上の症状を挙げた学生は24.7%にのぼります。就活うつを経験した学生の約4人に1人が、複数の症状を同時に抱えていた計算になります。
意欲の低下や不安感に加えて、眠れない、涙が止まらないといった症状が重なった場合、選考の準備や活動そのものが困難になると考えられます。症状が複数に及んでいる学生は、一時的な気分の落ち込みではなく、心身の不調として周囲の支援を要する状態にあるといえます。

就活うつの原因は「長期化」が40.7%で最多
不調やストレスの原因として大きく影響を与えたと思われる項目について、就活生に調査を行ないました。ここでは、就活うつを経験した226名が回答した10項目を中心に解説します。

上位は「長期化」「周囲との比較」「不採用の連続」
不調やストレスの原因として大きく影響したものを尋ねたところ、1位は「就活の期間が長すぎて先が見えない」で40.7%でした。次いで「周囲との進捗の比較」が34.1%、「不採用通知の連続やサイレントお祈り」が33.6%、「自分のやりたいことや判断軸が分からないまま進めること」が31.0%と、3割を超える項目が4つ挙がりました。
エントリーシート作成や面接対策の作業負担、面接の緊張感、学業やアルバイトとの両立といった項目は、いずれも2割台にとどまっています。作業量や面接そのものの負担よりも、先行きの不透明さ、周囲との比較、選考結果の不明確さといった心理面に関わる要因が上位を占めている点が特徴です。
特に注目されるのは、「不採用通知の連続やサイレントお祈り」が3人に1人に影響している点です。サイレントお祈りとは、不採用の通知を出さない企業側の選考対応を指す通称です。結果が届かないまま待機を続ける状態は、不採用そのものよりも学生の負担を大きくしている可能性があります。企業側が合否連絡に一言添える、簡易的なフィードバックを返すといった対応は、学生の納得感を高め、企業への印象を維持するうえでも有効といえます。
サイレントお祈りの背景や向き合い方は「就活生を悩ます「サイレントお祈り」の防止策や振り回されない極意とは?」の記事で解説しています。
親の過干渉やSNSも一定の影響
「親からの過干渉やプレッシャー」は16.4%、「SNSのレコメンドや投稿で他人の進捗との比較」は13.7%でした。割合としては上位項目に及びませんが、就職活動そのものとは別の要因によるストレスとして、一定数の学生に影響していることが分かります。
「周囲との進捗の比較」が34.1%で2位に入っていることとあわせて見ると、友人からの直接の情報に加えて、SNS上に表示される他者の内定報告や、家族からの期待が重なり、比較によるストレスを強めている実態がうかがえます。本人が意図せずとも比較の材料が目に入る環境が、就職活動中の心理的負荷を高める一因になっているといえます。
心身の不調を感じ始めた時期は大学3年3月が最多
就活うつを経験した226名に、精神的・身体的な不調を感じ始めた時期を尋ねたところ、最も多かったのは「大学3年3月」で14.2%、次いで「大学4年6月」が13.3%でした。なお、「大学3年10〜12月」(12.4%)は3ヶ月分をまとめた値のため、単月の値とは単純に比較できません。大学3年3月までに不調を感じ始めた学生をあわせると56.7%となり、半数以上が大学4年に進級する前の段階で不調を自覚していたことになります。
大学3年3月は広報活動が解禁され、エントリーや説明会が本格化する時期です。大学4年6月は選考が解禁され、選考結果が出揃う時期にあたります。就職活動のスケジュール上の節目と、不調を感じ始めた時期のピークが一致していることから、選考の進捗や結果が明らかになるタイミングで心理的な負荷が高まっていると考えられます。

約半数は心身の不調を抱えたまま就活を継続
本調査では、就活うつが就職活動の行動に与えた影響について、「選考を辞退・キャンセルした」「就職活動そのものを一時的に完全にストップ(休止)した」「連絡なしで選考を無断欠席・サイレント辞退した」「行きたい企業ではない妥協した企業に投げやりで入社を決めた」「行動には特に影響しなかった」の5項目(その他を除く、複数回答)でアンケート調査を行いました。

「行動には特に影響しなかった」は50.9%
就活うつが就職活動の行動に与えた影響を調査したところ、「行動には特に影響しなかった」が50.9%で最多となりました。就活うつを経験した学生の約半数は、心身の不調や強いストレスを抱えながらも、選考を中断することなく就職活動を継続していたことになります。
「就活うつ」を感じながらも、心身の不調を抱えたまま就職活動を継続している学生が多いことが示唆されます。行動には現れにくい形で負担が蓄積している状態は周囲からは把握されにくく、気づかないうちに就活生が孤立化している可能性も考えられます。不調を抱えたまま就活を続けるときに気をつけたい限界のサインは「就活ストレスの解消法とは?限界サインや11の原因とその対策を解説」の記事も参考にしてください。
選考辞退やサイレント辞退につながるケースも
一方、「選考を辞退・キャンセルした」は21.2%に達し、5人に1人が実際に選考を取りやめていることもわかりました。その他にも、就職活動の一時休止やサイレント辞退、妥協した企業への入社を挙げた学生も一定数見られました。
企業側からは、選考辞退やサイレント辞退は「志望度の低下」や「マナーの問題」として認識されやすいですが、今回の結果からは、その背景にはメンタルヘルスの不調が存在するケースがあることが読み取れます。学生の離脱を志望度のみで判断せず、選考過程における負担にも留意することが、企業にとっても機会損失の防止につながることが示唆されました。
ストレスの相談相手は「生成AI」が39.4%で最多
最後に、就職活動中に精神的なストレスや不調を感じた際の対処法について調査を行いました。ここでは、就活うつを経験した226名の対処法と相談相手の内訳を解説します。

友人や家族、キャリアセンターを上回る結果に
就活中に精神的ストレスや不調を感じた際の対処法を尋ねたところ、最も多かったのは「生成AIに悩みや感情を吐き出す・相談する」で39.4%でした。「友人・知人に相談する」の33.6%、「家族・親に相談する」の23.9%、「大学のキャリアセンターに相談する」の17.3%を上回り、生成AIが相談相手として最も多く選ばれる結果となりました。
生成AIが選ばれる背景には、時間帯を問わず利用できること、相手への配慮を必要とせずに本音を表出できること、他者に相談するほどではないと感じる程度の不安も表出できることがあると考えられます。友人や家族に対しては、心配をかけたくない、進捗を比較されたくないという心理が働きやすく、就活うつの原因として「周囲との比較」が上位に入っている結果とも整合しています。
一方で、「就職エージェントなどの専門アドバイザーに相談する」は8.0%にとどまり、大学のキャリアセンターとあわせても、就職活動の専門家に相談した学生は少数派でした。
相談窓口は存在するものの、実際に利用している学生は多くありません。相談に対する心理的な障壁の高さや、そもそも選択肢として認識されていないことが背景にあると考えられます。
就活の悩みを相談できる窓口は「27卒の就活相談先は?プロに相談するメリットやエージェント活用法を解説」の記事でご紹介しています。
「特になにもしなかった」も約2割
「特になにもしなかった」と回答した学生も20.8%いることがわかりました。就活うつを経験した学生の約5人に1人が、不調を感じながらも相談や対処をしないまま就職活動を継続していたことになります。「就職活動を一時的に休んだ・距離を置いた」は15.5%でした。
就活うつを経験した学生の約半数は行動を変えずに就職活動を継続しています。相談も休息もとらずに活動を続けている層は、不調の長期化や症状の重複につながるリスクが高いと考えられます。生成AIが相談先として定着しつつある一方で、人に相談する選択肢が十分に活用されていない点は、大学や支援機関にとっての課題であるといえます。
まとめ
今回の調査では、27卒の64.4%が就職活動中に精神的・身体的な不調やストレスを感じる「就活うつ」を経験していることが明らかになりました。症状は「無気力」と「不安感」がそれぞれ半数を超え、約4人に1人は3つ以上の症状を抱えています。経験者の約半数は行動を変えずに就職活動を継続している一方で、選考辞退や一時休止、サイレント辞退といった形で選考から離脱した学生も一定数見られました。
原因として最も多かったのは「就活の期間が長すぎて先が見えない」で、「周囲との進捗の比較」「不採用通知の連続やサイレントお祈り」が続きます。不調を感じ始めた時期は大学3年3月と大学4年6月にピークがあり、就職活動のスケジュール上の節目と一致していました。早期化と長期化が進む就職活動において、先行きの不透明さと他者との比較によるストレスが学生の心身に負担を与えている実態がうかがえます。
対処法では「生成AIに悩みや感情を吐き出す・相談する」が39.4%で最多となり、友人や家族を上回りました。時間帯を問わず利用できる相談先として生成AIが定着しつつある一方で、キャリアセンターや就職エージェントといった専門窓口の利用は少数にとどまり、「特になにもしなかった」学生も約2割存在します。学生が不調を一人で抱え込まない環境の整備は、大学、企業、支援サービスに共通する課題であると考えられます。