コンビニエンスストア業界の現状と今後の動向について

このページのまとめ

  • コンビニ業界の収益モデルは「粗利分配方式」
  • コンビニ業界の市場規模は大きくなり続けている
  • 課題は人手不足、24時間体制の見直し、消費心理の変化など

私たちの日常生活に欠かせない存在となっている「コンビニエンスストア」。経済産業省では「飲食料品を扱い、売り場面積30平方メートル以上250平方メートル未満、営業時間が1日で14時間以上のセルフサービス販売店」と定義しています。「コンビニ」「CVS」と略称で呼ばれることもあります。

コンビニエンスストアの発祥は、1972年アメリカ・テキサス州。氷販売店「サウスランド・アイス社(現 7-Eleven,Inc.)」が、夏の時期に「週7日・1日16時間」と営業時間を延長し、さらにパン、卵、牛乳なども取り扱うようになったのが始まりです。

日本で初めてセブンーイレブンの国内1号店が誕生したのは、1974年5月15日のセブンーイレブン豊洲店。現在、「セブン-イレブン・ジャパン」「ファミリーマート」「ローソン」の3社がシェアの約9割を占めており、「ミニストップ」が後に続く形です。

今回は、そんなコンビニエンスストア業界の現状の裏側から今後の展望までご紹介します。

本記事の執筆者

田矢信二(たや・しんじ)

コンビニ研究家。セブン-イレブンとローソンでの現場経験を活かし、講演・研修を行う。 独自情報をブログで発信。その口コミが評判で、テレビ・ラジオなどにもメディア出演。代表著書『セブン-イレブンで働くとどうして「売れる人」になれるんですか? (TWJ books)』

 

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コンビニエンスストア業界の業態と収益方法

コンビニエンスストア業界は、一部が直営店「レギュラー・チェーン(直営店で構成されるチェーン)」として運営されているほかは、ほとんどが「フランチャイズ・チェーン(FC方式)」で構成されています。

フランチャイズとは、コンビニエンスストアの看板や経営ノウハウ、商品などを使用する権利をもらい、その対価をフランチャイズ本部に支払う仕組みのこと。店舗経営や販売に専念する「フランチャイザー(本部)」と、経営に関するあらゆる支援をする「フランチャイジー(加盟店)」との間に契約を結びます。

また、FC方式でコンビニエンスストアを運営する場合に特徴的なのが、本部が巡回する経営指導員「SV(スーパバイザー)」と、加盟店を経営する事業主「加盟店経営者」との関係性。業界を目指す方は、現場の店長などを経験後に、SVのポジションで店舗経営を学びつつ、上級職にキャリアアップするのが一般的です。

 

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コンビニエンスストア業界は粗利分配方式が基本

コンビニエンスストア業界の収益方法は「粗利分配方式」が基本です。粗利とは、「売上総利益(お店の売上―お店の原価)」のこと。この売上総利益に対して、決められた比率を掛け合わせてロイヤリティの金額を算出します。ロイヤリティとは、加盟店が本部に支払う対価のこと。会社によって異なりますが、約40〜60%のロイヤリティが発生します。

粗利の約50%を支払うのは割高と思われるかもしれませんが、その対価として、本部が加盟店に提供する経営に関するサポートが充実しているとも言われています。

たとえば、店舗の立地選びからはじまり、業界の情報、店舗やディスプレイづくりの工夫、従業員の研修制度、開業資金の融資などが挙げられます。加盟店側と直接やり取りをするSVにも大きくかかわる部分になるので、企業研究の際にはどのようなサポートを提供しているのかをチェックすると良いでしょう。

 

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コンビニエンスストア業界の現状と課題

日本フランチャイズチェーン協会によると、コンビニエンスストア業界の市場規模は、10兆9,646億円、55,743店舗。年間来店客数は174億にもなり、国民一人当たり年間約145回、月に12回の来店計算になり、日本人が3日1回は店舗に来店している計算になります。

また、2008年〜2016年の売上高・客数・客単価を見てみると、いずれも右肩上がりであることが確認できます。

出所:日本フランチャイズチェーン協会

日本人の生活にマッチしていることが分かる数値ですが、店舗運営側では、人手不足が課題となっています。お店によってはパート・アルバイトの方を維持するのが難しい店舗もあるため、どのように解決していくかが鍵となるでしょう。

 

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コンビニエンスストア業界の課題

コンビニエンスストアが誕生して40数年。誕生した当時は、長時間営業する小さなお店がなく、お客様の「便利」に対応するために商品やサービスを開発・提供してきました。平成という時代と共に、ビジネスモデルが成長してきたといっても過言ではありません。現在の市場規模は10兆円を超え、今もなお右肩上がり。日本人の生活に適したコンビニビジネスは、流通業界のリーダー的存在と正しくいえるでしょう。

そんな中で、もっとも脅威となるのは、顧客の消費心理が変化することです。たとえば、リアル店舗よりもスマホ時代に代表されるネット市場のほうが便利になりつつあります。また、Amazonの「Amazon Go」などが進めている無人化店舗が誕生していることも、将来的な懸念材料といえます。今後、消費者の動向には目が離せません。

今後、業界がすぐに衰退するとは想像しにくいですが、人口減少による人手不足をどう解消するのか、24時間営業モデルをどう時代と合わせた変化にするのか、そのために競合相手とどのようなルール化をするのかなど、解決すべき課題はたくさんあります。


企業研究をする際には、それぞれの企業が課題にどのように向き合っているのか、どのような特色があるのかと共に、消費者の目線で、まずは各社のコンビニを視察し分析してみましょう。

 

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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