ホームセンター業界の現状・今後の動向について

このページのまとめ

  • 市場規模は10年前からほぼ横ばい
  • PB商品の開発に力を入れている企業が多い
  • ECなどに市場を奪われつつある

本記事の執筆者

高浦佑介(たかうら・ゆうすけ)

1988年1月28日生まれ、大阪府出身。2010年3月東京大学文学部(社会心理学)卒業。12年3月同大学院人文社会系研究科修了。流通・小売業の専門誌『ダイヤモンド・チェーンストア』編集・記者を務める。2019年4月より、国内唯一のホームセンター業界誌『ダイヤモンド・ホームセンター』誌副編集長。

 

24卒の就活について相談したい

 

ホームセンター業界の現状

カインズ、コーナン、島忠、ビバホーム……。おそらく皆さん、これまでの人生でどこかのホームセンターに立ち寄ったことがあると思います。お住まいの地域によって、なじみ深いホームセンターも変わってきます。

では、ホームセンター業界が今どうなっているのか、数字で追ってみましょう。
『ダイヤモンド・ホームセンター2018年9月号』によると、売上規模は約3兆8000億円。とほうもなく大きな数字に見えますが、10年前の3兆6000億円からほとんど変わらず、横ばい傾向が続いています。

売上規模が増えていないにもかかわらず、店舗数は増え続けています。総店舗数は4694店舗。ここ5年で200店舗以上が増えています。
一方、企業数は激減しています。5年前まで207社あったホームセンター企業は145社まで減っています。M&A(合併・買収)で中小企業が大手に再編される、という流れがずっと続いているためです。
まとめますと、売上は横ばい、店舗数は増加、企業数は激減。これがホームセンター業界の現状です。

最大手は、「ホーマック」「ダイキ」「カーマ」を傘下に持つDCMホールディングス。そこにカインズ、コメリ、コーナン商事と続きます。これら4社はすべて売上高が3000億円を超えている超大企業です。

 

24卒の就活について相談したい

 

業態の種類と収益の仕組みについて

事業をメーカー、卸、小売の3つに分類するとしたら、ホームセンター企業は「小売業」になります。卸を通じて、メーカーから商品を仕入れ、それを店舗でお客さまに販売します。

DIY(Do It Yourself)用品、日用品、機械工具、園芸用品などさまざまな商品を取り扱っていますが、販売価格から仕入れ値を差し引いた「粗利益率」は20~30%程度であることが多いです。

最近はその企業だけで販売する「プライベートブランド(PB)商品」の開発に力を入れている企業が増えています。基本的に、PBはメーカーから仕入れた商品よりも粗利益率が高く設定されています。「その企業でしか買えない」という差別化にもなるため、PBを強化している企業が増えています。

 

24卒の就活について相談したい

 

職種について

大きく分けて、本部での仕事、店舗での仕事に分かれます。
本部での仕事は、どの業界でも共通している総務や経理、人事、広報といった管理部門業務のほか、店舗で販売する商品を仕入れたり、どういう商品を置くかを決めたりする商品部・バイヤー、販売促進、店舗開発といった仕事があります。

一方、店舗での仕事は店長、副店長、各部門の売場担当、レジ担当などがあります。社員の方は多くのパートの方をマネジメントすることになりますので、若いうちから多くのメンバーを管理する経験を得ることができます。

一般的に、初めから本部で仕事をすることはなく、店舗業務を数年経験してから本部に異動することが多いです。

サービス業界については「職種や業種、今後の動向は?サービス業界の概要を知ろう」も参考にしてください。

 

24卒の就活について相談したい

 

現状と脅威

ホームセンター業界は先ほど述べた通り、市場規模がここ数年横ばいです。市場が拡大している要素といえば、数年前より「インスタ映え」への注目に乗って「DIY女子」が取り上げられるようになり、DIYブームが追い風になりました。また、ペット用品や園芸などで新たな市場を取り込んでいます。

一方、アマゾンやモノタロウ(機械工具系のネット通販)などのネット通販企業、ニトリや良品計画(無印良品)などの専門店、ドラッグストアなどに市場を奪われている部分もあります。アマゾンは2000年に日本に上陸して以来、急成長を続けており売上高1兆円を突破。モノタロウやニトリ、良品計画も好業績が続いています。

今後、ホームセンター企業はこういった企業にどう立ち向かっていくのか、というのが課題となります。

 

24卒の就活について相談したい

 

業界の魅力

今、ホームセンター業界は未曽有の変革期にあります。これまでの「ただモノを並べて売る」というビジネスモデルが通用しなくなっています。ホームセンター業界にとっては「ピンチ」ですが、これから入る人にとっては、新しいことに取り組むことができる「チャンス」です。

ただ安売りするだけでなく、「この店に行ってみたい」と思わせるような店舗づくり、売場づくりが求められています。おしゃれなカフェを店内に展開したり、電動工具や3Dプリンターを無料で貸し出して買った商品をその場でつくることができるコーナーを設けたり、他にもさまざまなイベントで集客しています。

お客さんに「楽しそうだから行ってみたい」と思ってもらえる店をつくるには、まず働いている人が「楽しむ」必要があります。多くの人と関わることができ、いろいろ経験できる業界だと思います。

 

24卒の就活について相談したい

 

業界に就職を検討する学生にアドバイス

まず、企業のことはしっかり研究しましょう。採用ページだけでなく、上場企業であれば、IR情報(決算短信、決算説明会資料)などをしっかり読んでおくと、それぞれの企業がどういう取り組みをしているか理解できると思います。

あと、売場は必ず見にいくようにしましょう。売場を見ずに、その企業のことは分かりません。それぞれの企業がどういう意図でこの場所に店舗を出したのか、なぜここにこの商品を置いているのか、など考えながら見てみると面白いと思います。

さらに、もっとホームセンター企業に興味のある方は……ぜひ「ダイヤモンド・ホームセンター」誌を1冊買ってみてください。国内唯一のホームセンター業界誌で、ほとんどのホームセンター企業の社長が読んでいる雑誌です。最新の店舗や売場づくり、各企業の戦略を紹介しています。

 

24卒の就活について相談したい

   

本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

キャリアチケットについて

キャリアチケットは、就活生の最高のキャリアスタートを支援するサービスです。