「Coffee Fest Latte art world championship in Chicago 2015(2015 コーヒーフェスト ラテアート 世界選手権 シカゴ大会)」で世界チャンピオンに輝いた田中大介さん。29歳のときまでは音楽活動に専念していましたが、音楽活動を卒業しカフェバリスタという職業に転身した田中大介さんの仕事哲学を紐解きます。聞き手は「キャリアチケット」を運営する、レバレジーズ株式会社執行役員の間山哲規です。
- 自分が楽しめる仕事は、お客様に喜んで貰える仕事
- カフェラテ一杯で、お客様を幸せにする
- 出遅れた分、いま自分が出来ることを一生懸命やればいい
- 世界一なったからこそ、さらに腕に磨きをかけたい
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自分が楽しめる仕事は、お客様に喜んで貰える仕事
ーまずはじめに、田中さんの現在のお仕事内容について教えてください。
各地方でのコーヒートレーニングやラテアートトレーニングに加え、コーヒーセミナーやトークショーに登壇しております。また、ゲストバリスタとして地方でコーヒーを提供する仕事も行っています。
他には、ラテアートスクールを開いたり、トレーニングを中心としたコンサルティング。ラテアートのデモンストレーターやコーヒー関係のジャッジ、アンバサダー関係の仕事などをやらせていただいております。
ーバリスタになる前は10年間ほど音楽活動をされていたそうですが、音楽活動を辞めてから次のことを考えるときに、どういう観点でお仕事を探したのでしょうか。
すごく単純ですが「将来、家庭を持つ」ということを基準に考えました。そのとき、どんだけ忙しくても、できるだけ楽しく生活したいと思ったんですね。朝は早く起きて仕事に取り掛かる、そんな生活サイクルが望ましいかなと考えたときに、お酒の仕事ではないと思いカフェを始めました。
ただ、お客さまに喜んでいただくことを目的とするのではなく「自分が楽しくやっている仕事が、結果お客様に喜んでもらえるもの」というのは、アルバイトを通じて認識していたので、自分は飲食業やサービス業は向いていると思っていました。
サービス業は人の気持ちというより、瞬間瞬間の積み重ねを提供することが大事だと思っています。そういう瞬間に一言なにかを添えるということが自分は得意で、お客様にとってもいい空間なんだろうなというのは感じていたので、その延長線上でカフェで働くことをはじめました。
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カフェラテ一杯で、お客様を幸せにする
ーコーヒーをはじめてから、ラテアートで世界チャンピオン目指そうと思ったきっかけについて教えていただけますか。
もともと10年間、音楽活動をやっていました。音楽活動での「盛り上げる」「楽しませる」「幸せにする」ということにプラスして、自分の空いている時間を有意義に過ごしたいと思い、始めたのがきっかけです。
カフェは、500円ほどでお客さまに喜びを感じていただくことが出来る素晴らしい仕事です。にも関わらず、いざ他業種の人と話をしたりすると、自分のやっていることはちっぽけだと見られがち。
お店では輝いているかもしれません。でもその輝きは、自分がエプロン取った瞬間からなくなる。僕が飲食店で「僕は毎日お客さま幸せにしてます」と言っても、周りは「ああ、がんばってね…」くらいのリアクションでした。(笑)
そのときに考えたことが2つありました。1つ目は「カフェを辞めて違う場所で自分が輝く」2つ目に「いま自分がやっていることにもう少しテコ入れして、自分だけでもその世界から脱出する」です。このとき、僕は後者を選びました。
後者を選んだときに、すぐさま「世界チャンピオンを目指そう」と思ったんですね。仮に人に評価をされなくても、自分の中でがんばった証が残るので、そこを目標にしました。
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出遅れた分、いま自分が出来ることを一生懸命やればいい
ーチャンピオンになるためにすごく苦労されたと聞きましたが、世界一になろうと決めてから、工夫したことはありますか?
そうですね、音楽活動を10年間頑張ってきたとはいえ、結局メジャーデビューすらできなくて。でも同じ時に勉強などを頑張っている人は、IT企業や広告代理店といった優秀な企業に勤めている。人によっては、医者やパイロットにもなっている。そういった努力をして、自分の努力で結果を出した人が既に何万人も存在する。
それに比べて、僕はまだ何も結果を残していない。既に同い年で結果を出している人たちが、僕よりも前に努力をしてきているのであれば、僕は今から頑張ればいいと思っていて。みんなが努力していた期間を今からやればいい、そんなフランクな感じで考えていました。
ー実際に世界チャンピオンになると覚悟したときに、最初に何をしたのでしょうか。
最初に行ったことは、世界チャンピオンと言われる人たちが描いている絵柄に近づけました。まずこの絵柄を作成することが出来なくては意味がないと思ったので、上手い人たちの真似をすることを常に心がけました。
教えてもらってばかりでは、仕事の特徴や押さえておきたいポイントはいつまでも習得できません。成功者やチャンピオンがやっていることを、まずは真似ていくことで、ポイントがわかり同じように仕事ができるようになります。
日々トップオブトップと比べることを習慣づけることによって、やがて唯一無二の自分にしか表現できないコントラストやスタイルを作ることができました。
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世界一なったからこそ、さらに腕に磨きをかけたい
ー実際、チャンピオンになって変わったことなどありますか。
優勝したからといって特別、世界は変わることはなく、自分のノウハウをどんどんアップグレードしていかないといけないなと実感した1日になりました。なので、いろいろなことに対して、昔よりも貪欲に勉強するようにしましたね。更に磨きをかけるように。
僕にとって優勝がスタートラインだと思っていたので、特に自分の中では大きな喜びやこれからの未来が変わるという絶対的な自身はありませんでした。しかし、周りは「チャンピオン」とスポットライトを当ててくれることは増えました。その中で、自分の力のない部分ははっきりと理解していたので、一つ一つを冷静に仕事をさせていただきましたが、同じくらいの数だけ挫折もしました。
ただ、スタートラインだと思っていたので、これも全て経験だと考えていました。なんでもできて当たり前だと思われているだろうし、逆にできていなかったらそれをはやし立てる人も中にはいることも分かっていたので、コーヒーやビジネスにおけるあらゆる知識を吸収しました。感覚ではなく、しっかり効率を考えて緩急をつけて吸収することも心がけました。
ー田中さんが仕事に対して大事にしていること、今後やりたいことについて教えてください。
仕事に対して大事にしていることは「準備を怠らないこと」です。もちろん現場としては任務を遂行することと、責任感がまず大事です。そこは目標値をしっかりと設定することだと思います。
また、大事にしていることは僕がゲストバリスタとしてコーヒーを淹れに行くときは、地方に限定していて東京・大阪以外で開催しています。理由は、東京・大阪というのは刺激が多すぎるため、その刺激の1つでしか過ぎません。
ですが、地方に出向くことによって、僕が淹れるコーヒー、カフェラテはその地域のかけがえのない一杯になる。かけがえのない一杯をお客様に提供することを引き続きやっていきたいこと思っています。
あと、僕自身ラテアートのスクールを開いていますがスクールだけでなく、コーヒーを通じたコンサルティングなども、やっていきたいですね。
ー最後にこの記事を呼んでいる方にメッセージをお願いします。
僕が伝えたいことは2つあります。1つ目に「他人と自分を比較し過ぎないこと」です。自分にしかないものを見つけることも大事なことの1つです。他の人と比べて、できないことがあったとしても、一人ひとり自分にしかないもが必ずあります。
2つ目に「自分がやりたいことに自信持つこと」です。自分がやりたいと思ったことが「大きい」と思うことってたまにありますよね。ですが、地球規模で見るとすごくちっぽけなものです。大きいと思うことが足かせだったりするので、本当にやりたいと思ったことは、すべて同じ難易度だと思って挑戦してほしいと思います。
田中大介プロフィール
大阪府出身。約10年間の音楽活動を経て、コーヒー業界に足を踏み入れる。「 コーヒーフェスト ラテアート 世界選手権 シカゴ大会(2015年)」優勝や「コーヒーフェスト ラテアート 世界選手権 東京大会(2017年4月)」準優勝など、世界各国のコンテストで入賞経歴を持つ世界的バリスタ。
現在は、大阪府近郊に5店舗を構える「MONDIAL KAFFEE 328」(モンディアルカフェ328)にてヘッドバリスタを務める。また、ラテアートのトレーナーやセミナー公演も行う。
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執行役員 間山哲規
1981年生まれ。神奈川県出身。新卒としてNTTデータに入社し、エンジニアとしてキャリアをスタート。その後、アディーレ法律事務所にてシステム責任者、事務局長を経て、2012年にレバレジーズに参画。全社の経営管理体制の構築を担う他、若年層就職支援サービス「ハタラクティブ」、アパレル業界特化人材サービス「FASSIONE」、新卒向け就職支援サービス「キャリアチケット」をはじめ、複数の新規事業を創出、収益化を実現。2019年執行役員就任。
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