【お仕事図鑑】仕事は人の手によって進められる。信頼関係が肝となるオペレーション職

オペレーション職とは、現場業務の実行・管理・推進を行う仕事です。ただ、細かい役割は会社によって変わってくるもの。

株式会社OKANのオペレーション職は、商品配送のオペレーションというサービスの根幹部分を担っています。パートナー企業や社内メンバーと信頼を築きながら、業務をアップデートする視点が求められるのだとか。OKANでオペレーション職を担当する中川光さんに、仕事内容ややりがいを伺いました。

<Profile>

株式会社OKAN
サービスデザイングループ SCMチームリーダー
中川 光(なかがわ・ひかる)さん

短大卒業後、IT企業でアパレルのオンラインストアの運営などを経験し、株式会社OKANに入社。「オフィスおかん」のロジスティクス(物流や在庫管理など)に関する部署を立ち上げる。配送パートナー企業とともに「オフィスおかん」の物流網を構築してきた。

株式会社OKAN
「働く人のライフスタイルを豊かにする。」をミッションに掲げ、実現するために“健康”をテーマにした2つのサービスを提供している。法人向けの置き型ぷち社食サービス「オフィスおかん」、組織課題を数値化して可視化するツール「ハイジ」を運営。
https://okan.co.jp/
 

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フローを回すことと業務改善が、オペレーション職の大事な役割


――中川さんの仕事内容について教えてください。

法人向けぷち社食サービス「オフィスおかん」の事業部で、配送部分のオペレーションを担当しています。「オフィスおかん」とは、オフィスに設置された冷蔵庫から、従業員の方が1品100円で惣菜を買えるサービスです。デリバリーサービスなので、物流工程が機能していないと、運営が成り立ちません。

私たちのチームの仕事は、企業様に惣菜を滞りなくお届けするためのオペレーションですね。配送代行をお願いしているパートナー企業とコミュニケーションを取り、「今日はどの企業にどの惣菜を届けるか」といった指示を出すことも仕事のひとつ。あとは、問題なく配送が完了したかどうかの確認や、より効率的な業務フローへの改善もしています。

おかげさまで「オフィスおかん」は、2014年3月にスタートし、今では2,000社以上に導入されるサービスになりました(※2020年3月時点)。私がOKANに入社したのは、サービススタート時。当時は物流に関して何も決まっていませんでしたが、パートナー企業様と協力し、一から物流網や配送フローを構築してきたんです。

――業務フローの構築から担当されたのですね。

そうですね。「オフィスおかん」の提供が始まってから2年ほどは、手探りで配送のオペレーションを組んでいきました。現在は、在庫管理や配送などの物流業務全般をパートナー企業に委託し、私たちは配送指示を出しています。しかし当時は、指示出しだけではなく、とにかく自分の目で現場を見るようにしましたね。

配送員さんに同行して配送の現場を見たり、倉庫にある在庫を確認したり、倉庫で商品を仕分けしたり。実務を経験し、現場の動きをしっかりと理解することで、配送員さんの働きやすさを意識しながら業務フローを作っていきました。
 

――中川さんの1日のスケジュールを教えてください。


まず出社をしたら、チームメンバーと今日の動きを共有しイレギュラー案件があれば誰がどう対応するかを確認。ルーティン業務である配送の指示出しは、チームメンバーがやっているため、私はチームをまとめながら各メンバーのフォローをしています。

昼前から夕方にかけては、惣菜を配送する時間です。私たちはオフィスで、配送員さんから来る質問に答えたり、トラブルなどのイレギュラー案件に対応したり。社内やパートナー企業とのミーティングに参加することもあります。夕方になると、配送作業は終わり。トラブルがなかったかどうかの確認や、配送員さんからの報告・要望を聞いています。

1日を通して常に「どこか改善できるポイントはないか」と考えています。オペレーションが決まっていても、より効率的に配送するために、よりお客様に満足してもらうために、配送フローを改善していく必要があるんです。毎日の業務をアップデートし続けられるところに、私はオペレーション職のやりがいを感じていますね。

――自分の考えた施策で業務効率化できるのは社内的なインパクトも、やりがいも大きそうですね。

はい、初期からこのサービスに携わっていたので、業務の進め方が目に見えて進化していくのが楽しくて。サービス立ち上げの頃から考えると、大分フローが効率化されました。

例えば、お客様先の冷蔵庫の在庫チェック時。最初は、配送員さんが紙のチェック表を持ちながら、「ハンバーグは◯個残っていて、サバの味噌煮は◯個残っていて……」と手書きで確認していたんです。記入済みのチェック表を配送員さんから受け取って、私たちが手作業でパソコンに打ち込む。このフローでは時間がかかるうえ、人的ミスも多く発生してしまいます。そこで、課題を解決するために、手動ではなく完全にシステム化すればいいのではないか、と考えました。

まずは配送現場に同行し、どんな作業をしているのかを細かく確認しました。そして、社内のエンジニアと相談しながら自社システム開発へ。紙の在庫チェック表から、iPadを使ったチェックシステムに変更しました。

導入当初、配送員さんは「iPadなんて使えるかわからない」と戸惑っていましたが、徐々に慣れていただいて。導入後しばらくしたら、「このシステムを使いこなせるようになって、業務がラクになった」と言ってもらえたんです。大幅に時間が短縮できましたし、今では数え忘れもゼロになりました。

――ほかにシステム化の事例はありますか?

配送側だけではなく、社内側の業務フローもシステム化しています。効率化した業務はさまざまありますが、特に印象的なのは納品書のメール送信ですね。以前は約50社への配送を1日かけて終えたら、手動で50通分の納品書を作成し1件ずつメールで送っていたんです。そこで、必須のチェック項目だけを確認すれば一括で納品書を作成して一斉送信できるシステムを作りまして。今まで1日30分かけていた作業を、1日3分ほどで終わるようになったんです。

日常の何気ない業務に目を凝らし、「効率化できるのでは?」と疑問を持ち、改善のアイデアを出していく。こうしてフローをひとつずつ進化させていけるところに、やりがいを感じますね。
 

――中川さんが仕事をするうえで心掛けていることはなんですか?

配送員さんとのコミュニケーションの取り方です。配送員さんは、お客様と顔を合わせて接するので、“オフィスおかんの顔”と言っても過言ではありません。弊社のミッションである「働く人のライフスタイルを豊かにする。」を実現するのに、配送員さんは欠かせない存在なんです。

「オフィスおかん」の物流部分を一緒に担う仲間だから、信頼関係を築いたうえで働きたい。だからこそ私は、外注先としてのコミュニケーションではなく、OKANメンバーの一員としてのコミュニケーションを心掛けています。

具体的には、フロー変更をお願いするとき、「自分たちの業務をわかってくれたうえでの提案なんだな」と思ってもらえるよう、現場への同行を重ねてきました。ほかにも、配送員さんの名前を呼びながら交流したり、分け隔てなくこまめに話しかけたり。こちらで決めたオペレーションを押し付けるのではなく、一人ひとりと対話するスタンスを大切にしています。

ただ、親近感の湧くコミュニケーションを取るなかで、伝えるべきことをきちんと伝えないといけない場面があって。配送ミスが起きたときはその伝え方に苦戦していますね。

――確かにミスを相手に伝える際、マイナスな話題であるがゆえにどう話そうかと悩んでしまいます。

ありがたいことに、「オフィスおかん」の配送員さんは、皆さん誇りを持って業務に取り組んでくださっています。だからこそ、ミスがあったときは落ち込んでしまって。ただ、私は配送員さんを落ち込ませたいのではなく、改善してより良いチームワークを築き、お客様により良いサービスを提供したいだけなんです。

そこで、ミスが起こらないようにルールを再編し、感謝もセットで伝えるように意識しています。「次からミスしないように、業務フローをこう変えましょう。ミスがあったからこそ、オペレーションを改良するきっかけができました」と。

――注意で終わるのではなく、ミスを前向きに伝えてもらえたらモチベーションアップに繋がりそうです。

そうかもしれません。以前、配送員さんに「中川さんのことを信頼してるから、モチベーション高く仕事ができる」と言ってもらえまして。与えられた役割をこなすだけではなく、私との信頼関係が原動力になっていると知れて、とてもうれしくなりました。システム化してどんどん便利になる世の中だけど、仕事は最終的に人の手によって進められるもの。改めてそう認識するきっかけになりましたね。

オペレーション職は業務フローの効率化も大切ですが、それだけを求めていては足りません。「いかに真心込めて人とコミュニケーションを取れるか」が仕事の本質的なところだと気づけた、大切な出来事です。

 

 

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常に進化が求められる仕事。学生へのメッセージ


――そもそも、なぜ中川さんはOKANに入社されたのでしょうか?

大学時代から食に興味があり、生産者と消費者の繋がりをテーマにしたファーマーズマーケット「アースデイマーケット」の手伝いをしていました。イベントを通して、少しでも多くの人に食について考えてもらいたかったのですが、結局足を運んでくれるのはもともと興味を持っている人ばかりで。今興味を持っていない人にも広めなければ、とずっと考えていました。

時が経ち、ちょうど転職しようとしているタイミングで、前にどこかで出会った「オフィスおかん」の存在を思い出したんです。「オフィスおかん」は、オフィスの中に冷蔵庫を設置するため、従業員の方は一度は目にする。そういったツールなら伝えたいメッセージを多くの人に広められると思い、OKANの採用面接に応募しました。

個人的には、かねてより課題として持っていた食に対する意識を、今後「オフィスおかん」のユーザーに広めていけたらと思っています。利用企業を増やし、より多くの人に食に対する新しい価値観を伝えられたらうれしいですね。

――最後に、オペレーション職に興味を持っている学生に向けて、メッセージをお願いします。

オペレーション職は型が決まっているフローを回す仕事ですが、業務を改善する視点も求められます。同じオペレーションを組み続けるのではなく、常にみんなが働きやすいように進化を追求していくことが重要なのです。

そこで、オペレーション職に興味がある方は、普段から取り組んでいることに対して「もっと効率化できないか」と考えるようにしてみてください。新しい目線に立って考えるトレーニングをすれば、そのチカラは社会人になったあなたの背中を押してくれるはず。

パートナー企業の方や社内メンバーと信頼関係を築き、安定したフローを堅実に回しながら、新しいチャレンジをしていける。私は、そんなオペレーション職に出会えて、楽しくやりがいのある毎日を過ごせています。
 

取材・文/柏木まなみ

 

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