【お仕事図鑑】製造系エンジニアは数百人規模のプロジェクトに携われるのが魅力

どのような仕事なのかイメージしづらい職種、たくさんありませんか? キャリアチケットの「お仕事図鑑」では、様々な職種の日々の業務の様子や、やりがいをお伝えしていきます。

今回お話を聞いたのは、日研トータルソーシング株式会社の福田さん。つい3ヶ月ほど前は技術部で製造系エンジニアとして仕事をし、現在は人事部に所属しています。どうやら人事部への異動は、今後のキャリアを考えたもので理由があるとのこと。今回は製造系エンジニアの業務内容についてお聞きするとともに、なぜ人事部なのかも直撃してみました。
 

<Profile>

日研トータルソーシング株式会社
人事部新卒採用ユニット
福田 雄斗(ふくだ・ゆうと)さん

大学の応用生物学部を卒業後、新卒で日研トータルソーシング株式会社に入社し、現在3年目。半年間の研修を経て2年半エンジニアとして業務を行い、2019年10月からは自ら異動希望を出し、人事部に配属。新卒採用担当をしている。

日研トータルソーシング株式会社
大手メーカーから技術のアウトソーシングを請け負い、製造業界・建設業界・医療業界に専門知識とスキルをもった正社員派遣や技術職の人材紹介を行う企業。製造アウトソーシング業界のパイオニアとして40年間近くの実績を誇る。https://www.nikken-totalsourcing.jp/

 

25卒の就活について相談したい

 

人の命を預かる自動車の製造現場。様々なことに配慮し設計を行う


――製造系エンジニアの仕事内容について詳しく教えてもらえますか?

弊社のエンジニアは常駐先のメーカーで働くのですが、メーカー側が「こういうものを作りたい」と要望したものを形にするのが仕事です。具体的には、設計図を描き、製造するための試作品作りを行います。1つのモノを作るときは、「研究→設計→試作品製造→検証→設計修正→製造」と試作品を作りながら進んでいきますが、エンジニアは設計・製造・検証の部分を担っていますね。
 

私が担当していたのは自動車の「ワイヤーハーネス」の設計です。ワイヤーハーネスとは自動車の電気信号を通す電線のことで、人間でいうと神経のようなものですね。これは車体のあらゆるところに張り巡らされています。私は中でもエンジン周りのワイヤーハーネスを担当していました。エンジン周りは特に熱くなる場所でもあるので、耐熱性能なども考えて設計しなければなりません。

 

※ワイヤーハーネスのイメージ図(Adobe Stock)


そして、ワイヤーハーネスは内部の様々なパーツに通す必要があるのですが、自動車の揺れによってワイヤーハーネスが金属部品に触れてしまうと、感電して車両火災が起こってしまいます。そういったトラブルの可能性も考慮したうえで、設計を行わなければならないんです。
 

――福田さんの1日のタイムスケジュールについて教えてください。

出社後、メールチェックやその日のスケジュールを立て、午前中はメーカー様と自社の製造担当者と共に設計図の内容をすり合わせます。午後、ミーティングを終えたあとは自動車のパーツごとのワイヤーハーネスの試作品を見ながら、ミリ単位で設計を変更したり強度の調整をしたりします。

――エンジニアの仕事でやりがいを感じるのはどのようなときでしょうか?

何度も試作を経て設計図が完成したときは達成感があります。正式な設計図として会社に保管されるものは3メートル✕3メートルとかなり大きなサイズなんです。自分が手掛けたものがその後もずっと会社に残ると思うと嬉しい気持ちになりますね。

大学時代もチームで研究をしていたことはありますが、車の製造はそれよりもはるかに大規模な、数百人規模でのプロジェクトになります。大人数で1つのものを作りあげていくのもやりがいを感じる部分かもしれません。

――逆に、エンジニアの仕事で大変だなと思うことはどのようなことですか?

エンジニアは設計図を描いたらまず社内の製造担当者に確認してもらい、その後メーカー側の担当者にも確認をしてもらいます。それぞれ「もっとこうしてほしい」とフィードバックをもらうのですが、意見が相反することもあるためそれを調整しなければいけないときは大変かもしれません。

例えば、製造側からもらった意見を設計図に反映すると、メーカー側から「これだとコストがかかりすぎてしまう」といった指摘を受ける、といった感じですね。そういうときは話し合いを重ね、双方が納得する形に設計図を修正していきます。

――エンジニアの仕事で気をつけていたことはありますか?

1人で設計図に向き合っていると、どうしても考えがループしてしまうときがあるんです。そんなときはできるだけ多くの方の意見を聞いたり、社内の先輩に相談したりすることを大切にしていました。

また、過去に起きたリコールなどの問題はすべて把握し、同じ過ちは二度と起こさないように常に注意を払っていました。自動車の設計をするということは、その自動車に乗る人の命を預かるということでもあります。「この自動車では過去に起きた問題は絶対に起きないのか?」と徹底的に考えることが大切なんです。

――エンジニアの仕事を行うにあたって、必要なスキルや求められる能力は何でしょうか?
 
基本的には、理系のほうがいいと言われています。その理由としては、エンジニアの仕事は「実験・研究→考察→検証→結果の確認・分析→未来予測」というサイクルを繰り返すことが求められるからです。理系の学部にいた人であれば実験や研究などがあるので、このサイクルで何度も考察を重ねることに慣れていると思います。良いものを作るために試行錯誤を繰り返すことは、エンジニアにとってとても重要なことなんです。
 

 

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将来を見据えて人事部に。スキルアップしてまた現場へ戻りたい


――そもそも福田さんは、なんでエンジニアになろうと思ったんですか?

大学時代は応用生物学部というところに在籍していたのですが、同じ学部出身の先輩たちは化粧品メーカーなど専攻を活かせる企業に就職する人が多くいました。私も最初は同じような道を考えていたのですが、ある日「本当に自分が好きなものは何だろう」と考えたときに、「車だ!」と気づいたんです。

ただ、自動車を設計するエンジニアになりたいと思ったものの、多くの自動車メーカーでは工学部や情報学部の出身者を採用していて……。いろいろと企業を見ていた中で、日研トータルソーシングでは入社後の技術研修でしっかりとスキルを身に付けられると知り、入社に至りました。

――事前の知識がなくても、研修で習得できるものなのでしょうか?

私もあまり知識がない状態で入社したので問題ないと思います。研修では基礎の基礎をしっかりと学び、応用の部分やメーカーごとに求められる知識については配属後の研修で習得していきます。ただ、研修ですべての知識を得られるわけではないので仕事をしながら覚えていく必要がありますし、日々の勉強は大切ですね。 

――入社前と入社後でイメージの違いを感じたことはありますか?

エンジニアというとどうしても「寡黙で職人気質の人が多い」イメージがありました。しかし、実は1人で黙々と作業するよりも周囲とのコミュニケーションが求められる場面がとても多いんです。仕事を進めるうえでコミュニケーションがとても重要であるというのは意外に感じました。

また、入社当時は派遣のエンジニアは格下に扱われてしまうのではないかと不安に思っていました。でも、実際は派遣されているエンジニアがプロジェクトを先導し、頼られている場面も多くて。その姿を見て、自分も知識と経験を早く積んで頼られる存在になりたいと思いましたね。

――現在はエンジニアではなく人事部の配属ですが、これはご自身で希望されたのでしょうか?

そうですね。人事部は自分で希望を出して4ヶ月前くらいに異動しました。エンジニアが嫌になって異動したわけではなく、エンジニアとして成長するために希望を出したんです。

以前、仕事のことで悩んだときにものすごく仕事ができる先輩に相談をしたことがありました。その方はカーディーラーを7年経験したのち、エンジニアとして中途入社してきた方です。「何でそんなに仕事ができるんですか?」と聞いたところ、「僕は技術者として仕事ができるわけではないよ、ただ人と人を繋げるのが上手いだけ」と言われて目からウロコでした。確かにその先輩は人に説明したり交渉したりするのが上手く、誰とでもスムーズにコミュニケーションをとっている印象で……。その話を受けて、自分もエンジニアとして成長するためにコミュニケーション能力を磨きたいと思ったんです。

現在は人事部の新卒採用担当としてたくさんの学生と接し、日々コミュニケーション能力を鍛えています(笑)。スキルがついたと実感できたらまた現場に出て、自動車業界に精通したエンジニアを目指したいと思っています!

――それでは最後に、エンジニアの仕事に興味を持っている就活生の方にアドバイスをお願いします!

就活生は自分がやりたいことや、将来こんな風になりたいという姿を本気で目指してほしいと思います。就活中はつい会社のネームバリューや給料などの条件面だけで就職先を決めてしまいがちです。しかし、それだけでは仕事というものは続かないと思います。

特にエンジニアを目指すモノづくりが好きな人は、目先のことだけにとらわれるのではなく「自分はどんなエンジニアになりたいか」と考えることを忘れないでほしいですね。
 

取材・文/松本果歩

 

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