このページのまとめ
- 転勤の企業意図には「組織と社員の成長」「事業変動による人員配置」などがある
- 転勤のない仕事の探し方は「小規模企業への就職」「職種や業種を選ぶ」などがある
- やむを得ない事情や勤務地限定採用といった理由がなければ、転勤拒否は難しい
- 転勤のない仕事のメリットは「人間関係を築きやすい」「家族負担の心配がない」など
- 転勤のない仕事のデメリットは「心機一転しにくい」「給与が低い場合がある」など
仕事のための転勤となると、マイナスイメージを抱いてしまう方もいるのではないでしょうか。住み慣れた場所を離れることに抵抗があり、「転勤のない仕事をしたい」と考える方も多いでしょう。
転勤のない仕事には、良い点もあれば悪い点もあります。このコラムでは、転勤のない仕事の探し方や転勤拒否の可否、転勤なしのメリット・デメリットなどを解説。転勤にまつわる疑問を解消して、自身が納得のいく就職を叶えましょう。
企業が転勤を求める理由
会社から転勤を言い渡されると、同一の企業内の異なる勤務地で働くことになります。転勤というと、「知らない土地で過ごし方がわからない」「新しく人間関係を作るのが大変そう」とマイナスなイメージを抱いている方もいるはず。
そもそも、なぜ企業は社員に転勤を命じるのでしょうか。企業が転勤を求める主な理由には、下記が挙げられます。
・組織の活性化を図るため
・社員のスキル向上を図るため
・事業の拡大や縮小によるもの
・左遷や懲戒処分によるもの
転勤は、基本的に会社が組織や社員の成長を目的として行うのが一般的です。いわゆる「左遷」と呼ばれるケースは稀といえるでしょう。
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転勤を拒否することは可能か?
もし勤めている会社で転勤を命じられた場合、断ることはできるのでしょうか。
転勤を断れないケース
就業規則に転勤規定がある場合は、原則として転勤を断ることはできません。
就職前の段階で「転勤はしたくない」という希望が明確なら、雇用契約を交わす前に転勤の有無を確認しておく必要があるでしょう。
転勤を断れる主な3つのケース
下記に挙げるケースでは、転勤を断れる場合もあります。
1.転勤なしが前提の勤務地限定採用である
勤務地限定採用とは、あらかじめ勤務する地域を限定して採用する方法です。会社公認の「転勤なし」を前提とした就職のため、転勤を拒否できます。
2.転勤の理由に正当性がない
転勤を命じられた理由が明らかに不当である場合は、断ることが可能です。
たとえば、日常的に上司から嫌がらせを受けているなら、パワハラによる職権乱用が疑われます。転勤を了承する前に、第三者への相談なども検討したほうが良いでしょう。
3.やむを得ない事情がある
転勤を断る理由がやむを得ない事情なら、希望が通ることもあります。
育児や介護など、どうしても今の住居を離れられない特別な事情がある場合は、上司に相談してみましょう。
もし正当な理由なしに転勤を断ったら?
前述に挙げたような正当な理由を掲示できない場合は、転勤を拒否することは難しいでしょう。
たとえ転勤拒否の意思を示しても、上司の承認が得られなければ会社から転勤の辞令が下されます。会社の命令である辞令を無視して行動すると、就業規則違反として処罰される恐れもあるでしょう。
転勤のない仕事の探し方3つのポイント
転勤のない仕事に就きたいという場合は、下記のポイントに着目して企業を選びましょう。
1.規模が小さい企業を探す
大手企業の場合、全国に支店や営業所を持っているのが一般的で、転勤の可能性が高くなります。
いっぽう、規模が小さい企業は勤務地が1つ、または本社近くに支店や営業所を構えるケースが多く、転勤を求められることは少ないといえるでしょう。
2.転勤が少ない職種を選ぶ
どうしても転勤のない仕事をしたいという場合は、転勤が少ない職種を選ぶのも一つの手。
以下、転職が少ないとされる主な職種です。
・専門性の高い職種(看護師、研究開発など)
・内勤職(事務、総務、人事など)
・地方公務員
専門性を求められる職種は、代替が効かないことが多く、転勤の可能性は低いでしょう。事務や総務といった内勤職も、営業などの外勤職に比べて転勤が少ない職種の1つといえます。地方公務員は、地域を基盤とする業務が主なため、転勤は少ない傾向にあるようです。
また、たとえ事務系の仕事であっても、総合職だと転勤の可能性が高まるため、一般職を選んだほうが良いでしょう。
3.転勤の多い業界を避ける
「この業界は決して転勤がない」と一概にいうことはできませんが、あらかじめ転勤の多い業界を避けて就活を行うのもおすすめです。
業界選びの条件として「転勤の有無」の優先度が高い方は、業種による転勤の多い・少ないを基準に志望業界を絞り、できるだけ転勤の確率を下げると良いでしょう。
転勤の少ない業界と多い業界の具体例については、下記をご参照ください。
【転勤の少ない主な業界】
転勤の少ない主な業界は、以下のとおりです。
・インフラ業界
・IT業界
電気やガス、水道などのインフラ業界は転勤が少ないのが一般的。各会社で担当するエリアが定められており、地域性を問われる業界のためです。IT業界は場所を限定せず業務を行えることが多く、転勤は少ない傾向にあるといえるでしょう。
【転勤の多い主な業界】
転勤の多い主な業界は、以下のとおりです。
・金融業界
・建設業界
・商社
・人材業界
・国家公務員
上記に挙げた業界は、全国各地に事業所や支社を設けていることが多く、転勤の可能性も高いといえるでしょう。転勤のない仕事を希望するのであれば、避けたほうが無難です。
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転勤のない仕事に就くメリット・デメリット
転勤のない仕事に就くメリット・デメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。それぞれの詳しい内容を把握した上で、後悔のない仕事選びをしましょう。
メリット
転勤のない仕事に就いた場合、下記のようなメリットが考えられます。
仕事における人間関係を築きやすい
転勤のない仕事は、継続的にコミュニケーションを積み重ねられるため、周囲との関係性を深めやすいのがメリットです。転勤した際に必要となる自己紹介や名刺交換、挨拶回りといった過程を一から踏む必要もありません。
同じ職場に長く勤めるほど、職場のスタッフや顧客との信頼関係を構築しやすいでしょう。
家族や親しい人と離れる心配がない
転勤に伴う単身赴任や家族全員での引越し、親しい人との別離といった心配がないのもメリットの1つといえます。
仮に家族全員で転勤先に引越す場合、パートナーの転職や子どもの転校が必要となる可能性があります。単身赴任を選んだとしても、家族や親しい人と離れて暮らす生活にストレスを感じる人もいるでしょう。転勤がなければ環境の変化を強いられることがないため、人によっては落ち着いた生活を確保しやすいと考えられます。
3つのデメリット
転勤のない仕事に就いた場合、下記のようなデメリットが考えられます。
1.心機一転できる機会に乏しい
気持ちを新たに仕事に励むという機会を得づらい点がデメリットの1つです。
勤務地が変わることがないため、現職場での人間関係や社内環境、業務内容などに悩みがあっても、転勤を機にした解消を期待するのは難しいでしょう。
2.転勤ありの仕事に比べて給与が少ない場合がある
転勤のない仕事は、転勤ありの仕事と比較して給与が低い場合があります。
転勤には引越しや地方勤務、単身赴任といった諸手当がつくことが多いためです。環境変化に伴う負担を考慮して、給与自体をアップさせる会社もあるでしょう。
3.キャリアアップやスキルアップしにくい
転勤がないと環境変化に乏しいため、キャリアアップやスキルアップを図るのが難しいことも。
前述したとおり、転勤には社員や組織の成長を促す企業意図があると考えられます。そのため、転勤先で結果を残せば、その貢献度を評価され昇進につながりやすいといえるでしょう。今後の業務に活かせるスキルや経験を身につけられる可能性もあります。
「転勤なし=給与や待遇が悪い」ではない
転勤のない仕事のデメリットで給与や昇進について触れましたが、これはあくまで「転勤あり」の場合と比較した上でのこと。必ずしも「転勤なし=給与や待遇が悪い」という訳ではありません。
給与や待遇は会社や職種によって変わります。「転勤なし」に焦点を当てると求人数は減りますが、もとより転勤のない会社に就職すれば、「転勤なし」を理由に給与や待遇が悪くなることは基本的にないでしょう。入社後に後悔しないよう、自身の望む働き方を明確にした上で就活を行うことが大切です。