研究職になるには?働くメリットや向いている人物像をご紹介

このページのまとめ

  • 研究職とは新しい理論や活用方法の発見を目指して研究を行う仕事
  • 研究職の仕事は「基礎研究」と「応用研究」にわかれている
  • 研究職は向上心があったり失敗しても前向きだったりする人に向いている

研究職になるには?働くメリットや向いている人物像をご紹介のイメージ

「研究職とはどんな仕事?」「研究職はどのような人に向いている?」などと気になる就活生も多いでしょう。研究職は新しい理論や活用方法の発見を目指す仕事であり、成功するまで長期的にじっくりと取り組める人に向いています。

この記事では、研究職がどのような仕事なのかや、メリットデメリットについて解説。最後まで読めば研究職に対するイメージが湧き、志望するかどうかを明確にできるはずです。

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目 次

研究職とはどんな仕事?業務内容を解説

研究職とは、新しい理論や活用方法などの発見を目指して研究を行う職種です。「基礎研究」と「応用研究」の2種類があるため、どちらを目指すのかを考えておきましょう。

基礎研究とは、まだ誰も発見していない理論を見つける研究のことです。商品やサービスに直結しない場合もありますが、新しい知識を見つけるための研究として役割を持っています。

応用研究とは、基礎研究で見つかった理論を商品やサービスとして実用化を目指す研究です。たとえば、医薬品の開発は基礎研究で見つかった理論を応用研究で発展させる作業となります。

研究職の分類

厚生労働省の「職業分類表」では、研究者は以下の7つのカテゴリーに分類されています。

・理学研究者
・工学研究者
・農学・林学・水産学研究者
・医学研究者
・人文科学研究者
・社会科学研究者
・その他の研究者

研究職を目指す場合は、自分の興味や適性を考え、どの進路を選ぶか決めましょう。大学で学んだことが、活かせる分野であるかどうかも大事になります。

研究職と開発職の違い

研究職と似ている職業に、開発職があります。研究職はまだ見ぬ知識や技術を発見する仕事です。新しい発見をすることが目的であり、発見したものが商品やサービスに活かせるとは限りません。一方で、開発職は商品やサービスを生み出す仕事です。自社で扱う製品にすることを前提に、開発を進めていきます。

研究職は0から1を作る仕事、開発職は1から100を作る仕事だと考えるとよいでしょう。研究職と開発職では目的が違ってくるので、それぞれの違いを意識して就活を行うようにしてください。

研究職の目的と目標

研究職の目的は、知識や理論の発見を目指し、学問の発展に寄与することです。商品やサービスに活かせるかではなく、「新しい知見を生み出せるか」に重きをおいています。

具体的な目標としては、学術論文の発表や特許の取得をとおして学界や産業界に貢献することです。実験やデータ分析、新しい理論やモデルの提案を行い、世界に知識の蓄積と共有を目指す仕事といえるでしょう。

研究職の成果物と評価

研究職の評価は、新しい知見や理論を見つけられるかです。研究論文の発表や学会での発表が評価の場となります。

開発職のように、製品やサービスの開発、完成が成果になるわけではありません。仕事のゴールも考えて、志望するかどうかを考えることが大切になります。

研究職の平均年収

国税庁の調査によると、研究職の平均年収は約520万円です。

日本人の平均年収は約443万円なので、研究職の平均年収は高い傾向。しかし、これはあくまで平均での話です。企業規模や年齢、研究の分野によっても異なります。大手企業ほど年収は高くなる傾向があり、年齢とともに経験やスキルが身に付けば、より年収は高くなるでしょう。

参照元
国税庁
民間給与実態統計調査結果

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研究職の就職先

研究職としての就職先には、大学や公的研究機関で研究に従事するいわゆる「アカデミックポスト」と、企業に就職する、研究者以外の研究職という3つの選択肢があります。それぞれの特徴について、以下で確認してみましょう。

大学・公的研究機関の研究職

研究職の就職先には、教授や准教授、研究所の研究員などのアカデミックポストがあります。アカデミックポストを目指す場合は大学院に進学し、2年の修士課程、3年の博士課程を経て博士号を取得するのが一般的です。

アカデミックポストになったあとは、「ポストドクター(ポスドク)」を目指せるのもポイント。ただし、アカデミックポストは狭き門であり、全員が正規の研究職に就けるわけではないようです。

大学で働く研究職の特徴

大学での研究は、利益を追求していない傾向にあります。そのため、テーマは研究者が自由に設定できるようです。

また、目的と異なる結果が出たとしても評価される可能性はあり、興味深い現象が観察できれば元のテーマとは違う方向に舵を切ることも可能。実用化の見込みが薄くても研究を続けられる場合があるため、基礎研究を行うのに適した環境といえるでしょう。

ただ、目に見える結果が得られないことも多いため、研究を続けるためには強い意志が必要です。

企業の研究職

企業で研究職に就く場合は、メーカーの研究部門に入ることが多いでしょう。食品や化学、化粧品、医薬品など、大抵のメーカーでは研究部門を置いています。

企業によっては、大学で何を研究していたかを重視する場合もあるため、自分が扱っていたテーマと近い企業を選ぶと好評価につながりやすいでしょう。

学歴としては、大手企業では修士卒以上が大半を占めているようです。ただし、中小企業では学部卒を募集している場合もあります。

企業で働く研究職の特徴

企業が行う研究は、利益を上げることを目的としているため、研究のテーマは企業から指定されます。

利益につながらない研究だと判断されれば、打ち切りになってしまう可能性も。情報の流出を防ぐために、論文での研究発表はしないという点にジレンマを感じる人もいるようです。

しかし、他社に先駆けて新しい発見をするために、スピードや品質にこだわった研究ができるという魅力もあります。自分の研究を元にした技術や製品が世の中に出たときには、大きなやりがいを感じられるでしょう。

研究者以外の研究職

研究者以外にも、「研究補助者」「技術者」のような研究職もあります。

「研究補助者」とは、研究者の業務補助を行う人のことです。研究所に直接雇用されている場合、研究室で事務作業を行う場合もあります。「技術者」は実験で得たデータの分析を行う人です。研究者の指示に従い、研究室で作業を進めることになります。

研究職のキャリアパス

研究職としてのキャリアパスには、「専門性を高めて研究職の道を究める」「管理職になる」「起業する」が考えられます。

専門性を高めて研究者としてのスペシャリストとなる場合、日々勉強を続けていく必要があります。勉強や研究が好きな方はこのような道を選ぶのもよいでしょう。

また、管理職となって、研究者の管理やプロジェクトの管理を行う立場になると、研究者というよりも経営に近い仕事が中心となります。研究者の目線から経営に近い立場で、新しい技術や商品を提供するという道も 選ぶのもよいでしょう。

起業して自分が本当にやりたい研究だけに 没頭するという選択肢もあります。

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研究職のメリット

研究職に就職するメリットは、自分の好きな分野や興味のあることをとことん追求できる点です。大きな発見や何らかの進展があれば、やりがいも感じられます。

好きな分野を仕事にできる

メリットとして、自分の好きな分野を仕事にできる点が挙げられます。自分の好きな分野に関する知識を深め、研究を進めることが可能です。

また、専門性の高さから異なる職種への異動が発生しにくい傾向にあり、長く研究を続けられることも魅力といえるでしょう。

やりがいを感じられる

研究職では、大きなやりがいを感じられることでしょう。研究職は、自分の作り出した新たな技術が世の中の役に立っていることを実感できます。自分の持っている専門知識を研究に活かせるため、仕事へのモチベーションも保ちやすいでしょう。

なお、自分の好きな分野や、やりがいを感じる場面を見つけるには自己分析が重要です。研究職の仕事内容が自分に合っているかどうかを見極めましょう。自己分析の進め方については、「自己分析とは?おすすめのやり方8選や実施時の注意点を紹介」の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

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研究職のデメリット

研究職に就くと、学生とは異なり仕事として研究を行うため、どうしても成果を求められます。研究の進捗や内容によっては途中で打ち切りになることもあるでしょう。

成果を求められる

研究は何かしらの成果を挙げることを目的に行われるため、研究職は、成果を厳しく求められることが多いようです。
研究にはコストがかかるため、成果が出ない場合はプロジェクト自体が打ち切られてしまうことも。プロジェクトが打ち切られてしまえば、自分のやりたかった研究ができなくなる可能性もあります。

研究が打ち切られる理由

研究職では、主に以下のような理由によってプロジェクトが途中で打ち切られるリスクが常にあります。

・資金不足
・成果が出ない
・市場の変化

研究が打ち切られると、自分のキャリア計画が大きく狂うだけでなく、再び新しいプロジェクトを見つけるために時間と労力を費やす必要があるでしょう。

専門性が高くつぶしが効かない

研究職は専門性が高く、ほかの職種への転職が難しい傾向にあります。研究職は一般的な企業とは職場のあり方や業務内容が大きく異なります。

研究に費やしてきたスキルは、ほかの職種では活かせない可能性も。一般的な企業で働くために必要な能力が身に付いておらず、転職が困難になることも多いようです。

仕事におけるデメリットを探す際は、企業研究を行いましょう。仕事内容について詳しく知ることで、自分に合うかどうかを見極められます。企業研究の進め方については、「企業研究とは?目的や手順を解説!ポイントを押さえて就職成功を目指そう!」の記事で紹介しているので参考にしてください。

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研究職に向いている人が持つ4つの特徴

研究職の仕事には、探求心や向上心が大切です。ここでは、研究職に向いている人が持つ特徴を紹介するので参考にしてください。

1.探究心が強い

研究職には、「なぜそうなるのか」「△△するにはどうしたらよいか」を考える探求心が必要です。

研究職はすぐに結果が出るわけではなく、実験や仮説検証を何度も繰り返して成果を目指す仕事。
何事も理由を知りたい、理論を証明したいと考える人や、「なぜ?」を常に考え続け、努力できる人が活躍できるでしょう。

2.判断力がある

研究を開始したり、続けたりするには判断力が重要です。たとえば、研究を始める際には、「これをテーマにして結果を出す」と決めなければなりません。また、結果が出ないときには、「この研究は結果が出ないから中止した方がいい」と判断できるかも大切になります。

ただ言われたことを研究するわけではなく、自分で考えて動かなければなりません。研究成功のために、冷静に判断できるかどうかも研究職には求められます。

3.失敗しても前向きである

失敗してもくよくよせず、前向きに乗り越えられる力も大切です。研究職は、結果が出るまでに時間がかかる仕事です。1つの研究を終えるのに数年、場合によっては10年単位の時間を費やすこともあります。

成果が出ずに失敗を続けても、研究を諦めることはできません。すぐに成果が出なくても、長期的に研究を続けられる精神力がある人、失敗を次の成功に活かそうと前向きに捉えられる人は研究職に向いています。

4.コミュニケーション能力が高い

研究職として活躍するには、コミュニケーション能力も必要です。研究は個人の作業だけでなく、他の研究者やチームメンバーとの協力が欠かせません。

たとえば、進捗状況や研究結果を共有することにより、チーム全体が効率よく動けます。1人で黙々と作業しているだけではなく、聴く力と伝える力も求められるのです。

研究職でどのような人材が求められているのかは、企業研究を行って確かめるのもおすすめです。企業研究の方法は「ほかの就活生と差をつけろ!1歩先行く業界企業研究のコツ」の記事で紹介しているので参考にしてください。

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研究職を目指す際の注意点

最後に、研究職を目指す際の注意点をご紹介します。以下の点を押さえておきましょう。

求人数は少ない傾向にある

研究職は求人数が少なく、倍率が高くなるので気をつけてください。自分が大学で選考している分野の求人に絞ると、さらに募集枠は減ってしまいます。

研究職が就活を行う際には、大学推薦や教授からの紹介もうまく使っていくことが大切です。教授推薦を依頼する方法については、「教授推薦とは?理系就活で利用する際のメリット・デメリットを解説」の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

採用の条件が厳しい

研究職の場合、採用条件の厳しい企業が多いので気をつけましょう。たとえば、募集要項の時点で以下のような条件が設定されている企業もあります。

・修士課程または博士課程を修了している
・学会・学術論文などの発表実績、または予定がある
・薬学・工学、理学など、特定の分野を研究している

研究職の場合、そもそも大学院を卒業していないと応募できないケースもあります。自分が採用条件を満たしているかを確認し、応募するのを忘れないようにしてください。

視野を狭めない

研究職を目指すにあたっては、広い視野を持つことが大事です。研究職に就くには、早めの段階から研究テーマを決め、知識を深めておく必要があります。

一度決めたら研究の方向性を変えるのは容易ではありません。「この研究テーマで問題ないか」「本当に研究職を目指したいか」を広い視野で考えてみましょう。

周囲との連携が必要であることを理解する

1人で黙々と仕事ができるという理由で、研究職を志望するのはおすすめできません。研究を行うにあたり、他部署の人と連携することもあるため、コミュニケーション能力が必要です。
研究は決して1人でするのではく、周囲の人とも関わりながら進める仕事であることを把握しておきましょう。

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研究職の志望動機の書き方

研究職に就職したい方は、 研究職に向けた就活対策を行う必要があります。志望動機を作る前の準備として下記を行いましょう。

・学生時代の研究内容をまとめる
・応募する企業の事業内容などの企業研究を行う
・自身の経験と企業の事業内容の共通点を見つける
・今後やりたい仕事や成し遂げたいことをまとめる

まずは、学生時代に研究した自分の研究内容を整理します。また、応募する企業の事業内容や研究内容をしっかりと調べることも大切。

そして、自身の研究内容と応募する仕事との関連性を見つけていきましょう。これにより、どのような部分を活かしていけるのかを志望動機として伝えることができるようになります。

志望動機に具体的なエピソードを盛り込むことにより、 相手に伝わりやすくなります。また、自分が今後どんな研究を行っていき、どんなことを成し遂げたいのかも伝わるでしょう。

研究職の志望動機の例文

私が御社を志望した理由は、大学で生化学に関する研究を活かしてより安全な食品の提供を実現させたいと考えたからです。

私は大学時代、生化学に関する研究室に所属し、食品の研究に取り組んでいました。生化学は生命現象を分子レベルで解明し、生物学や医学において革新的な発展をもたらす分野である一方で、 食品は私たちの健康や生活に直結する重要な要素であり、食品の品質向上や安全性確保は社会的な課題となっています。

そこで、私は生化学と食品に関する研究を通じて、新たな知識や技術を生み出し、人々の生活に貢献したいと考えました。

以上の理由から、研究職において生化学と食品に関する研究に取り組みたいという強い意欲を持っており、貴社で貢献したいと考えております。

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研究職を目指す学生におすすめの資格

研究職を目指す際には、関連する資格を取得しておくのもおすすめです。研究職の選考で評価されやすい4つの資格を紹介するので、参考にしてください。

修士や博士などの学位

企業の研究職の場合、大学院生以上しか応募できないケースもあるため、研究職を目指す場合には、修士や博士などの学位を取得しておくのがおすすめです。
専門学校卒業でも研究職は目指せますが、採用枠が少なかったり、キャリアプランの選択肢が狭まったりとデメリットもあります。専門的に研究を行いたい場合には、修士以上の学位があると安心です。

TOEIC

研究職は英語の論文を読むことも多く、英語力が求められます。また、企業によっては海外に拠点を置き、研究を行うケースも。TOEICを取得して英語が使えることをアピールしましょう。

ただし、TOEICは点数が低すぎると評価されない場合もあります。どの程度の点数が求められるかについては、「TOEICは就職活動で評価される?アピールの目安点数や勉強法を解説」の記事を参考にしてください。

QC検定

QC検定とは、品質管理に関する知識を問う検定です。品質管理とは、製品やサービスの質を保つために、仕組みを考える仕事です。

特に、製造業では高い品質管理が求められる傾向にあり、研究職も品質管理にかかわる場合があるので、取得しておくとプラスに評価されるでしょう。

危険物取扱者

危険物取扱者は、ガソリンや石油などの危険物を扱うために必要な資格です。薬品会社や燃料工場、塗料メーカーなどは危険物を扱うため、必要となってくるでしょう。

危険物取扱者は「甲種・乙種・丙種」の3種類があり、なかでも甲種の取得がおすすめです。甲種の資格を取得しておくと、全種類の危険物を扱えるようになります。

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研究職に就職したいけど自信のないあなたへ

研究職は採用枠が少なく、募集条件も厳しい仕事です。内定を勝ち取るには、事前の準備を万全にし、就活を乗り越えることが欠かせません。

しかし、理系の学生は卒業論文作成のための研究をしながら就活を進める場合も多く、時間が多く撮れないこともあります。効率的に就活を進めるため、就職エージェントの力を借りてみましょう。

就職エージェントのなかでもおすすめなのがキャリアチケット。マンツーマンでサポートを行い、忙しい理系の就活生も内定が獲得できるようにサポートします。

就活の始まりである自己分析の作成から、内定獲得までアドバイスを行うので安心。キャリアチケットと一緒に、志望企業の内定獲得を目指しましょう。

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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