このページのまとめ
- 総合商社の事業はおもに「トレード」「事業投資」「事業経営」に分けられる
- 総合商社の仕事内容は総合職と一般職に分かれ、どちらも英語力が求められる
- 総合商社の仕事内容を調べるには、業界・企業研究やインターンシップへの参加が有効
「総合商社の仕事内容は何なのか」と気になる就活生も多いでしょう。総合商社は事業範囲が広く、企業によって仕事内容が異なります。業界研究や企業研究を行い、理解を深めることが大切です。
この記事では、総合商社業界の概要を基に仕事内容や専門商社との違いを解説します。また、総合商社の仕事で求められる能力も紹介しているので、参考にして内定獲得に近づきましょう。
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総合商社とは?業界の特徴や専門商社との違いを解説
総合商社とは、商材を仕入れてメーカーや卸売業に販売する企業です。商材を仕入れて販売をする仕事を「トレード」と呼び、商品を販売したい人と必要としている人を結びつける役割を担います。
取り扱う商材は限定されておらず、身近な食料品からエネルギーまで幅広く扱うのが総合商社の特徴。海外との取引を行う商社も多く、世界各地に拠点を持っている企業がほとんどです。
また、総合商社は仕入れ・販売を行うだけでなく、流通経路をゼロから構築したり、適正な仕入れ量・価格の設定なども担います。
豊かな資金力を活かして流通に関するインフラ整備や金融といったプロジェクトを手がけたり、ほかの企業に投資したりするなど、幅広いビジネスを展開している業界です。
総合商社の動向
総合商社への就職を考えるに当たって、業界の動向も把握しておきましょう。総合商社の動向として特徴的なのはおもに以下のテーマです。
脱石炭
総合商社の動向として、発電に関わる鉱山事業や火力発電事業といった資源分野から撤退したり、縮小したりする動きが活発化しています。世界的な流れである脱炭素やESG経営につなげられているのが特徴です。
再生可能エネルギー・新エネルギー
総合商社は太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーや、石炭の代わりに水素を利用した新エネルギー領域に参画し、CO2排出量を減らす取り組みを活発化しています。
非資源分野
資源を基にしている事業は景気や価格に大きく影響を受けるため、変動が激しいのが特徴です。そのため、ヘルスケアや人材といった非資源分野への投資が活発化している傾向にあります。
また、DX化による流通の動きも高まっており、事業の効率化やマーケティングを強化している状況です。
総合商社はこのような分野の取り組みに柔軟に対応し、持続可能な企業運営を目指しているといえます。
専門商社との違い
総合商社と専門商社の違いは、商材が限定されているかどうかです。専門商社は特定の商材を扱い、トレードを行います。また、トレードだけではなく原料を仕入れて加工を行うのも特徴です。
専門商社には、食料品だけを扱う「食料商社」や鉄鋼品だけを扱う「鉄鋼商社」などがあり、幅広い商材を扱いたい場合は総合商社を、専門的な商材を扱いたい場合は専門商社を選ぶとよいでしょう。
専門商社については、「専門商社とはどんな会社?仕事内容や種類を解説します」をご覧ください。商社への就職を考えている場合は、総合商社と専門商社の両方について調べておきましょう。
総合商社の業界ランキング
総合商社のうち「5大商社」と呼ばれる企業の売上高ランキングを紹介します。本データは有価証券報告書より抜粋しまとめました。
企業名 | 売上高 | |
1位 | 三菱商事株式会社 | 215,719億円(2023年3月時点) |
2位 | 三井物産株式会社 | 143,064億円(2023年3月時点) |
3位 | 伊藤忠商事株式会社 | 139,456億円(2023年3月時点) |
4位 | 丸紅株式会社 | 91,904億円(2023年3月時点) |
5位 | 住友商事株式会社 | 68,178億円(2023年3月時点) |
幅広い事業を世界で展開しているため、全体を通して売上規模が大きいのが全体的な特徴です。
参照元
金融庁
EDINET
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総合商社の主な事業内容
総合商社の事業内容は、大きく分けて「トレード」「事業投資」「事業経営」です。ここでは、それぞれの特徴について解説します。
トレード
総合商社の事業の1つは、商材を仕入れてメーカーや卸売に販売するトレード事業です。仕入れ値と売値の差額や仲介手数料が利益となります。
総合商社の特徴は、商材に以下のような付加価値をつける点です。
・商材の安定供給
・豊富な商品知識
・取り扱いのノウハウ
・購入代金の立替え
・輸送経路の確保 など
また、総合商社の場合はトレードする商材が限定されていません。そのため、利益が出そうな分野には積極的に参入する特徴があります。
しかし、近年はインターネットの普及などによってメーカーが幅広いユーザーに商品を直接届けられるようになったため、トレード事業は減少傾向にある状況です。いかに付加価値をつけて商社を通してもらうかが、今後のトレード事業の鍵になるといえるでしょう。
事業投資
事業投資とは、成長が見込めそうな企業・分野に対して投資を行い、長期的に利益を獲得する事業です。
たとえば、海外の油田や鉄道などの大規模開発に投資したりします。資金投資による配当だけでなく、豊富なノウハウや積み上げてきたネットワークを駆使して、原料の生産から販売まで一貫して関わり利益を上げるのが特徴です。
また、近年では小売業界に注目が集まっており、子会社化を行う企業もあります。商材を流通させるために必要な小売企業を子会社化したうえで、関連企業や団体との連携による相乗効果を期待し、事業成長を図る目的があるでしょう。
かつてのイメージとして、商社といえば「トレード」でしたが、近年は事業投資に力を入れる商社が増加しています。
事業経営
近年は、異なる分野での事業経営に取り組む商社も増えている状況です。たとえば、「コンビニエンスストアの展開」「病院経営」などが挙げられます。
具体的には、新規事業の展開や、総合商社の人材を投資先の企業に出向させて経営改善をしたり、さらなる発展をさせたりしているのが特徴です。総合商社の中には投資先の企業に出向させる「経営人材」の育成に力を入れている会社もあります。
どのような事業展開や取り組みを行っているかは商社によって変わるので、業界研究や企業研究を行い入念に確認したり比較したりしておきましょう。
業界研究の方法や志望業界の絞り方を詳しく知りたい人は、「志望業界はどう決める?業界の選択肢やおすすめの見つけ方を解説」を参考にしてください。
また、企業研究の方法は「企業研究の目的とやり方は?簡単に情報をまとめられる方法を解説」で詳しく解説しています。
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総合商社の仕事内容をわかりやすく解説
総合商社の職種は、総合職と一般職に分けられるのが特徴です。ここでは、総合職と一般職のおもな仕事内容を解説します。
総合商社の総合職の仕事内容
総合職の場合、営業や事業企画を担当します。「取引先がどのような商材を求めているか」といったニーズを汲み取り、「どこからどのように希望の商材を手に入れるか」を考え、販売に関するネットワークの構築を行い、日本にはない商材の販路を新規開拓したり、取引先の希望どおりに資材を加工するルートを確保したりするのが主な仕事。
事業企画に携われば、新規事業の計画や企画、経営を任されるなど責任やスケールの大きな仕事を担当するのも特徴です。
総合商社の一般職の仕事内容
一般職の場合、営業や貿易事務として事務作業を行うのが一般的です。総合職のサポートとして、おもに以下のような業務を担います。
・取引先の対応
・来客対応
・伝票や書類作成、整理
・商材の発注
・税関に関する手続き など
総合商社は事業規模が大きいため、一般職が担当する業務範囲も広くなる点が特徴です。海外の取引先と英語で対応したり、船のトラブルで海外からの輸入が間に合わないといった緊急事態に対応したりする場合もあるでしょう。
総合職と一般職の違いをより深く知りたい人は、「総合職とは?仕事内容や一般職との違い・進路に悩んだ時の選び方を解説」を参考にしてみてください。
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総合商社の仕事内容について詳しく調べる5つの方法
総合商社の仕事内容を知りたい場合は、業界研究や企業説明会への参加が欠かせません。内定を獲得するために、総合商社への理解を深めましょう。
ここでは、総合商社の仕事内容について調べる方法を5つ解説します。
1.業界研究を行う
総合商社の仕事内容を把握するには、まず業界研究を行いましょう。業界研究は、仕事内容だけでなく業界について詳しく把握したり、自分の就職の方向性に合うか判断したりするために欠かせません。
また、就活が始まればESや面接などで「なぜこの業界を選んだのか」と質問されることが多いため、すでに総合商社を中心に就活を考えている場合も、業界研究は必ず行いましょう。
なお、時間の余裕がある場合、商社に関わるほかの業界や分野について調べれば、商社との関連性が見つかり、商社への理解を深められる場合もあります。
業界研究を行う際は、業界研究セミナーへの参加もおすすめです。同じ業界の企業が集まるセミナーもあるので、一度に複数の企業情報を手に入れられるでしょう。業界研究セミナーについては、「業界研究セミナーとは?気になる内容と参加するメリットを解説!」をご覧ください。
2.企業研究を行う
企業研究で、気になる総合商社が行っている事業や取り組みから仕事内容を調べるのも1つの方法です。同じ総合商社であっても、企業によって仕事や事業範囲は変わります。
企業ごとの研究を行えば、競合他社との違いを比較して自分に合う会社が分かりやすくなり、志望先選びがスムーズに進むでしょう。
また、企業研究は自己分析と合わせて、自己PRや志望動機を作成するうえでも重要な項目です。企業研究で対象の総合商社がどのような人材を求めているか確認したり、どのようなキャリアを歩めるか把握したりして、需要に沿ったアピールをしましょう。
なお、本格的に就活が始まった際は、企業説明会への参加や選考の準備など取り組むべきことが多いので、企業研究を効率よく進めるのが大切です。「企業研究ノートとは?就活の効率を良くする上手な活用方法」も参考に、就活を実施してみてください。
3.企業説明会に参加する
総合商社の仕事内容について理解を深めるため、企業説明会に参加してみましょう。企業説明会では、企業のWebサイトよりも詳しい情報を入手できます。
企業説明会では実際に働く社員の話を聞いたり質問したりできるため、気になる部署の状況や選考で聞きにくい福利厚生といった情報なども入手できるでしょう。また、社員の働く姿を見て、企業の雰囲気が自分に合うか見極めるのも大切です。
なお、企業説明会は合同で行われるケースも多く、同じ分野の企業が参加している場合は一度に複数の会社の情報が手に入ります。
企業説明会については、「企業説明会の種類や見つけ方は?参加時の注意点や質問の悩みについても解説」をご覧ください。
4.OB・OG訪問をする
OB・OG訪問を行い、実際に働く社員から仕事のリアルな情報を聞くのもおすすめです。採用担当者が教えてくれない仕事や社内情報などを知れる場合もあります。
また、OB・OGは就活を経て入社しているため、総合商社の仕事内容だけでなく就活の進め方やポイントを教えてもらうこともできるでしょう。
もし、知り合いのOB・OGがいない場合には、大学のキャリアセンターでOB・OGを紹介してもらえることもあります。OB・OGを探す専門サイトやSNSを利用する手もあるので、自分に合った方法で行うのがおすすめです。
なお、訪問する際は、身だしなみやマナーに注意してください。訪問時の対応が選考評価に影響する場合もあるので、気をつけましょう。OB・OG訪問については「OB・OG訪問のやり方とは?流れやマナー、注意点を知ろう」を参考にするのがおすすめです。
5.インターンシップに参加する
興味のある企業が絞れたら、インターンシップに参加すると仕事内容が明確になりやすいでしょう。インターンシップには、実際の業務を体験できる場合があるからです。業務体験ができれば仕事内容の理解が深まったり、その分野に必要なスキル・強みが分かったりします。
中には採用選考の内容が一部免除されたり、インターンシップでの働き選考で評価されたりするケースも。インターンシップは積極的に参加するのがおすすめです。
インターンシップへの参加の流れを知りたい人は、「インターンシップの申し込みはいつ?流れや参加方法・メールの書き方を解説」を参考にしてください。
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総合商社の仕事に求められる能力
総合商社の仕事で求められる能力は、語学力やコミュニケーション能力などです。ここでは、総合商社には具体的にどのような能力が求められるかを解説します。
総合商社を志望している就活生は、ぜひ自分がアピールする強みの参考にしてください。
語学力
商社は出張や海外企業とやり取りする場合も多く、語学力が求められます。実際に英語で会話するほか、英文のメールや資料を読んだり、書類を作成したりする機会が多いでしょう。TOEICを受験し、点数をアピールできると効果的です。
複眼的思考力
世界で仕事をするには複眼的な思考力も欠かせません。複眼的思考力とは、目の前の出来事に対して「これが正解」と思い込まず、多面的に見方を変える思考方法を指します。
ビジネスを行ううえで「これが正解」という答えはなく、常にどの選択が最適かを探っていくことが必要です。単一的な物の見方では、今ある常識にとらわれてしまい成長は難しいでしょう。
また、複眼的な思考力は議論の質を上げることにも役立ちます。英語力とともに複眼的思考力を身につけておけば、海外の取引先と議論する際にもしっかり自分の意見を主張できるでしょう。
コミュニケーション力
総合商社は取引先とのやり取りが多いので、コミュニケーション力が求められます。営業を行う総合職はもちろん、来客対応を行う一般職にも必要な能力です。
特に、総合職は商談で相手の信頼を得たり、事業をスムーズに進めたりするためのコミュニケーションが欠かせません。取引業界や関わる人の立場も多岐にわたるため、状況に合った臨機応変な対応も必要です。
コミュニケーション力を高めて強みにしたい人は、大学の同級生や身近な人だけでなく、さまざまな立場の人と関わる機会を作り、やりとりの練習をしてみるとよいでしょう。
体力
総合職で働く場合には、体力も必要です。国内外問わず直接足を運んで商材を見たり、交渉したりするため、早朝から夜遅くまで働く日もあります。また、業務量も多いため体力がなければ仕事をこなすことが難しいでしょう。
海外に拠点を持つ商社の場合、海外出張や駐在の可能性もあります。慣れない環境でも対応できる体力が必要になるでしょう。
行動力
総合商社は仕事内容の幅が広く、行動力も欠かせません。変化の激しい時代ではよりタイムリーな価値の提供が求められ、新しい商材を探したり、事業を展開したりする行動が必要です。
また、商社によっては事業投資や事業経営を行っており、現場での対応が必要な場合もあるでしょう。国内外問わずさまざまな事業に積極的に参加し、発展や課題解決に取り組む行動力が評価されます。
交渉力
総合商社では、交渉力も求められます。特に、営業職は国内外の取引先と商談するため、相手の要望を汲みつつ自社の利益も守らなければなりません。
商談ではスムーズにまとまる場合だけでなく、相手に提案を断られる場合もあるでしょう。しかし、それで商談が終わりではなく、角度を変えたり条件を調整したりする工夫が必要です。根気強く交渉する力があれば、双方が納得する形で契約をまとめられる可能性が高まるでしょう。
チャレンジ精神
総合商社では経験のない業務に携わる場合も多いため、チャレンジ精神も重要です。たとえば、行ったことのない国に出張し、取引などのビジネスを行う場面もあるでしょう。新しい事業のメンバーに選ばれることも考えられます。
初めての経験であっても、ためらわずに挑戦できる人であれば、ビジネスチャンスを掴んだり、事業を素早く展開したりしやすいでしょう。
そのため、未経験の業務でも積極的に取り組めることが強みの人は、総合商社で活躍が期待できます。
なお、自分の強みを見つけるためには、自己分析が欠かせません。「自己分析とは?おすすめのやり方と8つの注意点を解説」で自己分析の方法を解説しているので、参考にしてください。
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総合商社の仕事内容を把握し就職を目指すあなたへ
「総合商社の仕事内容は何だろう」と気になる就活生もいるでしょう。総合商社の仕事内容を把握するには、企業研究を行ったり、OB・OG訪問などに積極的に参加したりすることがおすすめです。
本記事で解説した総合商社の概要や求められる能力を参考に、就活をスムーズに進めましょう。
どのように進めればよいか分からず、苦戦しているなら就活エージェントの利用がおすすめです。
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本記事の監修者
淺田真奈(あさだまな)
大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。