公務員浪人はやめるべき?デメリットやリスクについて解説

このページのまとめ

  • 公務員浪人をしたからといって必ずしも合格する保証はない
  • 公務員浪人中は無職のため、期間が長いほど就職に影響する
  • 公務員浪人に失敗する人は、「安定した仕事がしたい」など志望理由が曖昧

公務員を目指したい!公務員浪人って得策なの?の画像

「公務員浪人したい」と考える就活生は、多いのではないでしょうか?一度公務員試験に落ちたからといって、将来の夢を簡単には捨てられませんよね。

公務員試験は狭き門のため、浪人しても必ず合格するとは限りません。あなたが公務員浪人に失敗した場合、「民間企業に就職すれば良かった」と後悔する恐れも。

この記事では、公務員浪人のリスクや向いている人の特徴などを詳しく解説します。将来の選択に悩む方は、ご参考ください。

目 次

公務員浪人しても必ず合格する保証はない

公務員浪人をすると、一度公務員試験を経験しているため「勉強の貯金がある」点が強みです。公務員試験は出題科目が幅広く、時間をかけて勉強する必要があります。浪人生は一通り勉強済みのため、あなたは、ほかの受験生より有利な位置でスタートラインを切れるでしょう。

しかし公務員浪人をしたからといって、必ずしも公務員になれる保証はありません。公務員試験は筆記・論文・面接試験が課せられるのが一般的で、対策する項目が多いのが特徴です。

筆記試験でいくらよい点数をとっても、面接で志望動機や性格が高く評価されなければ不合格となってしまいます。

公務員は最大倍率10倍超の狭き門

人気がある公務員試験は倍率も高く、合格が難しいといえます。例として、下記に東京都の職員採用試験の倍率を挙げました。

【1類A採用試験】
事務:15.2倍
技術:2.7倍

【1類B採用試験(一般方式)】
事務:4.7倍
技術:2.3倍
その他の職種:6.3倍

【1類B採用試験(新方式)】
行政:3.2倍
ICT:6.4倍

公務員試験の受験者の中には、何年も浪人している方も含まれます。あなたは自分よりも長く勉強をしてきた人と肩を並べることになり、簡単に合格できるとは限らないでしょう。

参照元
東京都
令和5年度東京都職員1類A、1類B採用試験の申込状況について

公務員試験は年齢制限あり!浪人前に確認しよう

公務員試験は種類別に年齢制限があるため、何歳になっても受験できるわけではありません。東京都職員の場合、「Ⅰ類B(一般方式)」では29歳を上限としています。

地方公務員の場合は、自治体によっては25歳を上限とする場合も。浪人するならタイムリミットを意識し、あなたの限られた時間を有効に使いましょう。

公務員の年齢制限については、「公務員に年齢制限はある?受験前に上限年齢をチェック!」をご覧ください。

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公務員浪人に失敗した場合の4つのリスク

公務員浪人に失敗した場合、人生の予定が崩れる可能性があります。下記、考えられる主なパターンを確認しておきましょう。

1.将来への絶望で心身に負担がかかる

公務員浪人に失敗した場合、目標を見失い「この先どうすればよいのか」と先が見えなくなる恐れがあります。将来への不安が原因で、心と体に負担がかかる可能性もあるでしょう。

公務員になることだけが人生のゴールではないので、早めに目標を切り替え自分を守るのも1つの手です。

2.職歴なしの空白期間が残り就活に影響する

公務員試験に失敗した場合、職歴に空白期間だけが残り、就活に影響する可能性が高いです。

多くの採用担当者は、職歴がない人に対して「何か問題があるのでは」と不安を覚える傾向にあります。浪人期間が長いほど無職期間も長くなり大きな短所と見なされるので、公務員浪人は短期決戦がおすすめです。

3.公務員にこだわり過ぎ民間企業を視野に入れない

公務員にこだわり過ぎると、失敗しても民間企業を目指せない傾向にあります。

プライドが邪魔して民間企業に就職せず、短所を見直すといったアクションを起こせずなんとなくフリーターになる人もいるでしょう。自己分析で「プライドが高い」というような結果が出た方は特に要注意。

実際には、民間企業の中にも、自分の強みや性格を活かせる企業はあります。視野を広くして、将来の可能性を狭めないようにしましょう。

4.多浪すると年齢的に就職が難しくなる

何年も公務員浪人を続けていた場合、いざ見切りをつけても年齢的に就職が難しくなる恐れがあります。採用に関する方針は変わり始めていますが、依然として日本では新卒重視が一般的。

年齢が高いほど短所として扱われます。ただし、卒業して3年以内なら新卒と同じように扱われる可能性が高いです。厚生労働省は、卒業3年以内の既卒を新卒枠で応募受付するよう、企業側に要請しています。

「浪人するなら3年まで」などあらかじめ期限を決め、失敗した場合は民間への就職に切り替えるのがおすすめです。

公務員浪人を検討している就活生は、「公務員試験に失敗したら?その後の選択肢をご紹介」もあわせてご覧ください。

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公務員浪人の5つのデメリット

公務員浪人を決断する前に、下記デメリットを確認しておきましょう。

1.アルバイトが忙しく勉強時間を確保できない

アルバイトしないと生活できない場合、公務員浪人しても勉強時間を確保できない恐れがあります。

アルバイトで疲れて勉強できないと、せっかく浪人しても公務員試験に落ちる可能性が高いです。結果的に貴重な1年間をアルバイトに使ったことになり、本来強みとなるはずの潤沢な時間を活用することができず、浪人したことを後悔する可能性があるでしょう。

浪人中に生活費を稼ぐ必要がある方は、自治体や行政機関の臨時職員になるのがおすすめです。現場で働くことで、「絶対公務員になる」という決意が強化される可能性があります。

臨時職員は1年間など期間限定で、事務補助など職員のサポート役として働くのが一般的。フルタイムでないアルバイト・パート勤務が多いため、浪人しながら働きたい方にはぴったりでしょう。

2.精神的なプレッシャーが大きく不安に駆られる

浪人生は新卒カードを捨てて公務員を目指すため、精神的なプレッシャーが大きいといえます。大学の同級生が社会で活躍している間に、公務員浪人は1人黙々と勉強しなくてはいけません。

性格によっては「後がない」と追い立てられるような気持ちになり、心に負担がかかる恐れも。プレッシャーに耐えて浪人できるかどうか、自分自身とよく向き合うことが大切です。

3.モチベーションの維持が難しく勉強に身が入らない

公務員を目指す明確な理由がない場合、モチベーションが維持できず勉強に身が入らない恐れがあります。

「なぜ苦しい思いをしてまで浪人しているのか」「就職後に自分の強みを活かせるのか」など分からなくなり、勉強を投げ出してしまう可能性も。後悔しないためにも、「浪人してまで公務員になりたいのか」冷静に考えるのがおすすめです。

公務員浪人中の勉強については、「公務員試験に受かるには、どのくらいの勉強時間が必要?」もご一読ください。

4.公務員に受かれば一発逆転できると思い込んでしまう

公務員浪人をしていると、身近な同級生が社会人として働き始めるのを見て焦ってしまいます。その焦りを解消するためにも、「自分は公務員にさえなれば、人生を逆転できる」と思い込んでしまう方も多いです。

また、自分の学歴にコンプレックスがある就活生も「民間企業よりレベルの高い公務員になって一発逆転したい」と思ってしまう傾向にあります。

何を持って一発逆転とするかにもよりますが、どんな職業でも「ここに就職できればすべてが上手くいく」ということはありえません。その仕事なりの苦労や大変さもあるので、こういった勘違いをしないように注意しましょう。

5.生涯年収が減ってしまう

働き始めるタイミングが遅れれば遅れるほど、生涯年収は減ってしまいます。

インセンティブで稼げる営業職などであれば入社後に強みを活かして努力すればカバーできますが、公務員にインセンティブはなく、年功序列で毎年少しずつ給与が上がっていきます。そのため、失った年の分の収入は取り返すことができません。

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公務員浪人に成功する人の4つの特徴

公務員浪人はリスクがありますが、浪人して公務員になる人は少なくありません。公務員浪人に成功する人の特徴を、下記で確認しておきましょう。

1.過去の失敗から自分の弱みを改善できる

強みを伸ばすだけでなく、過去の失敗から自分の弱みを改善できる人は、公務員浪人に成功する可能性が高いです。

筆記試験対策では間違った問題を繰り返し解き、解答のプロセスを学ぶことが重要。面接対策では、第三者からのアドバイスを素直に受け入れるのが改善の近道です。自分の間違いを素直に認め、柔軟に変化できる人は、公務員浪人でも成長できるでしょう。

2.自己管理能力が高くスケジュール通りに勉強できる

公務員試験に合格するには、スケジュール通りに毎日一定の勉強時間をキープする必要があります。

一度決めたノルマは完遂する、意思の強さが必要です。スケジュール通りに行動するには、遊びに割ける時間を確保するのが難しいことも。友人からの誘いも断り、自分をコントロールする力が求められるでしょう。

3.明確な志望理由がありモチベーションが高い

公務員を目指す理由が明確な人は、モチベーションが高いため成功する可能性が高いです。「公務員になったら実現したいこと」ベースで考えるため、勉強以外の活動にも熱心な傾向にあります。

たとえば、現場を知るために役所でアルバイトをしたり、市民ボランティアで市民の目線を学んだりする人も。夢の実現に向けた行動は、モチベーションの維持はもちろん、面接でのアピール材料にも役立つでしょう。

公務員試験で活用できる志望動機については、「公務員になりたい理由の書き方を解説!志望動機の例文付き」を参考にしてください。

4.必要な情報を集められる

公務員試験を受ける際、自治体ごとに試験日程や面接で聞かれることなどは異なります。それらの情報を素早く適切に収集し、効果的な対策を講じることが公務員試験突破に必要です。

単に試験勉強をしていればいいというわけではなく、このような情報収集能力を持っている方が合格します。また、面接でどのように答えれば高評価につながるかといったこともリサーチして準備することで、さらに合格率は高まるでしょう。

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公務員浪人に失敗する人の4つの特徴

公務員浪人に失敗する人には、共通する特徴があります。自分が当てはまらないか、浪人を決める前に確認しておきましょう。

1.自己管理能力が低く自分に甘い

自己管理能力が低く自分に甘い人は、公務員浪人しても十分に勉強しない傾向にあります。「アルバイトの日は何もしたくない」「友達の誘いは必ず乗る」という人は、浪人中も生活スタイルを変えない恐れが。

自覚がある人は、勉強できる環境を意識的に整えるのが重要です。カフェで勉強したり、オンライン講座を受講したりして、勉強せざるを得ない時間を作りましょう。

2.ひとりよがりで客観性に欠ける

ひとりよがりで客観性に欠ける人は、成長が難しく公務員浪人に失敗する恐れがあります。公務員は国民に行政サービスを提供する立場のため、柔軟性やコミュニケーション能力が必要です。

自分の考えに固執する人は、一次試験は通過しても、二次試験以降の面接で落ちる可能性が高いでしょう。頑固の自覚がある人は、予備校や個人指導を行う講師を探して、客観的なアドバイスを求めるのがおすすめです。

3.公務員試験に落ちた理由を考えない

公務員試験に落ちたとき、なぜ合格できなかったかを分析することは非常に重要です。ここで自分に都合のいい理由を考えてしまうと、翌年以降もなかなか合格できません。

「今年は例年に比べて難易度が上がっていたから」「たまたま倍率が高かったから」といった考えは避けましょう。

自分の行動を見つめなおし、「来年はもっと勉強時間を確保する」「自分は△△の分野が苦手だからそこを重点的に勉強する」など、翌年以降に向けた前向きな理由を見つけ、足りなかったところを努力しなければその後も公務員試験に合格することはできません。

4.明確な目的がなく志望動機が弱い

明確な志望動機がない方は、公務員浪人に失敗する可能性が高いです。「安定しているから」「親が勧めたから」「性格とあっている気がするから」といった曖昧な理由では、アピール力の高い志望動機は作れません。

たとえ聞こえのよい志望動機を作っても、内容の薄さは面接官に伝わるでしょう。「なぜ公務員になりたいのか」を掘り下げて考え、明確な目標のもとに勉強するのが重要です。

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試験に落ちたら「本当に公務員になりたいか」考えよう

試験に落ちた方は、浪人を決める前に「自分が本当に公務員になりたいのか」考えてみましょう。

公務員は営利を目的とせず、人と社会のために土台を支える仕事です。そのため、「社会貢献にやりがいを感じる」など利他的な思考が求められます。住民と関わる仕事も多く、コミュニケーション能力も必要不可欠です。

倍率の高い公務員試験を突破するには、志の高い応募者に勝たなくてはなりません。あなたが単に安定した職業を求めているだけなら、たとえ浪人しても成功する可能性は低いでしょう。

また、公務員になる明確な理由がない方は、民間企業にも目を向けることをおすすめします。民間には多様な業界や企業、職種があるため、自分に合う仕事が見つかる可能性が高いです。

就職エージェントを使って、自分に合う企業を紹介してもらうのも1つの手。公務員1本に絞らず、民間企業も視野に入れて活躍のステージを広げておきましょう。

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公務員浪人を経験した方のよくある意見

公務員浪人を経験したかがどんなことを考え、どんなことに悩んでいるのか。よくある意見をまとめました。

公務員になるモチベーションの維持が難しい

自己分析をした結果、「真面目でコツコツ努力できる性格。短所は臨機応変な対応が苦手なところなので、ルーティンワークの職場があっている」と出たので、公務員が向いているのではないかと思い、公務員試験の勉強を始めました。

しかしそれほど強い志望動機もなかったためモチベーションが上がらず、不合格に。そこから就活生として民間企業に就職するのも大変だろうと思い、なんとなく公務員浪人を決めてしまいました。しかし志があるわけではないため、モチベーションが続かず勉強に身が入りません。毎日、なんとなく机に向かう日々が続いており辛いです。

周りを見ると焦ってしまう

公務員浪人が4年目に突入しました。同級生たちは後輩もできて、自分だけが置いていかれているという焦りを感じます

不合格が続くたびに「もう自分は公務員になれないのではないか」と思いますが、とはいえここまで来ると改めて自己分析などをして就活生として民間企業の面接を受ける気にもなれません。

自分の長所を活かした場所で働きたいと思いつつ、にっちもさっちも行かない状態で、気持ちが追い込まれます。

民間企業に就職して気持ちを切り替える

現役時代に不合格だったので1年だけ公務員浪人をしましたが、また不合格だったので気持ちを切り替え民間企業に就職しました。

仕事でつらいことがあったり、SNSで友達のキラキラした生活を見たりすると、「あのとき受かっていたら」と思うこともありますが、だんだん諦めもつきました。

仕事ができるようになるにつれて面白さもわかってきたので、このまま自分の長所を活かして今の会社で頑張りたいと思います。

公務員浪人をすべきかどうか悩んでいるあなたへ

公務員浪人は決して楽な道ではなく、むしろ就活生として民間企業の選考を受けるよりも大変かもしれません。

「△△という理由で絶対に公務員になりたい」という強い気持ちがあり、自己分析などを通して自分の強みや長所、性格が公務員に向いていると思えば、公務員浪人をして再チャレンジをするのもよいでしょう。

しかしそこまでの強い意志や理由がないのであれば、民間企業への就職も検討してみてください。職業はあくまでも人生を生きるための手段であって、目的ではありません。あなたが長所を活かしてよりよい未来を手に入れるためのルートは、公務員以外にもきっとあるはずです。

もし「公務員浪人をしようか悩んでいる」「誰かに相談にのってほしい」と思ったら、キャリアチケットをご利用ください。あなたの課題を一緒に見つけ、どうすればよいか就活生に寄り添って考えます。

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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