商社に就職するにはどうすればいい?仕事内容や選考フローについて解説

このページのまとめ

  • 商社には総合商社と専門商社の2種類がある
  • 就職先が商社だと世界を舞台に仕事ができ、高い給与も得られる
  • 商社は内定が出る時期が早いため、OB訪問など事前に済ませておく

商社に就職するにはどうすればいい?仕事内容や選考フローについて解説のイメージ

就職先として商社を目指す方にとって、「自分はどうしたらこの業界に入れるか」「どうすれば内定がもらえるか」は悩みどころです。

そこでこの記事では、商社の仕事内容や業界の特徴、選考についてや商社に向いている方の特徴について解説します。これから、この業界での内定を獲得したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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目 次

商社とはあらゆる商材を扱う企業のこと

商社とは、あらゆる商材を販売したり、販売にあたって取引の仲介を行ったりするのが仕事です。商社の意義は、国内外に張り巡らされたネットワークを駆使し、仲介業者として売り手に販売機会を提供すること、そして買い手のニーズを満たすことです。

さらに近年では、国内外の企業に対する「事業投資」も代表的な事業の1つとなっています。事業投資では出資者として企業経営に参画し、出資先の企業に人やお金、ノウハウを投資することで、投資した企業の価値を高めて配当を得ています。

商社が事業投資を行うようになった背景には、バブル崩壊後の不況と、商社を取り巻くビジネス環境の変化があります。1990年代、インターネットの普及によって、多くのメーカーが商社を介さず取引を行うようになりました。その結果、商社の業績は悪化し、「冬の時代」と呼ばれる時期を迎えます。

この時、仲介手数料による利益が期待できなくなった商社は、新しいビジネスとして事業投資に踏み出しました。積極的な事業投資を行なったことで、事業投資はその後商社に多大な利益をもたらしました。こうして事業投資は、トレーディングと並んで商社が行うビジネスの柱になりました。

商社については「商社とは?仕事内容や事業など就活生が知るべきポイントをわかりやすく解説」も参考にしてみてください。

総合商社と専門商社に分けられる

商社は大きく「総合商社」と「専門商社」に分けられます。
総合商社は、幅広い分野・サービスを手がける商社のことで、食品から衛星までさまざまな分野を取り扱っています。一方の専門商社は、繊維なら繊維、自動車部品なら自動車部品と、ある特定の分野を専門に手がける商社。総合商社は国内で7つのみですが、専門商社は分野ごとに数多く存在しています。

商社については「商社の仕事内容とは?業務の魅力や向いている人の特徴についても解説」も参考にしてください。

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商社で活躍する職種

商社に就職するとどんな職種に就く可能性があるのか気になりますよね。ここでは商社での代表的な職種についてまとめました。同じ就職先でも職種によって業務内容は大きく変わるので、自分がどのような仕事をしたいのか、具体的に考えてみてください。

営業

商社という言葉からイメージされる仕事の多くは、営業が担っています。メーカーと交渉して商品を卸してもらい、小売店などに販売します。

企業と企業をつなげる役割を果たし、常にお客様とコミュニケーションを取ることが仕事です。自社で商品開発をしている商社では、自社商品を売り込む業務も担当します。

営業職については「営業職の志望動機の書き方は?わかりやすい構成やアピールのコツを解説」も参考にしてください。

事業企画

事業の立ち上げや運営のため、企画立案などを行います。自社の強みを活かすにはどの市場に打って出るべきか、世界の時流をつかみ、どうすれば自社に利益が出るのか考えるなど、高い視座が求められるポジションです。同時に、緻密なリサーチも必要となり、マーケティング知識も必要となります。

事務

商社における事務は大きく3つにわかれます。まず、海外から商品を輸入、輸出する際の手続きに対応する貿易事務。貿易書類を作成するための知識や、ビジネスレベルの英語力が必要となります。

営業事務は、営業担当者の予定のチェックや書類作成のサポート、営業で使う資料の作成などを行います。一般事務は部門を営業に限定せず、社内の事務業務を担います。

法務

法人の契約や取引に関して、契約書の作成や審査、契約事項の確認をします。また、必要に応じて訴訟対応をすることも。コンプライアンスや知的財産権への対応も行います。ビジネス実務法務検定や司法書士などの有資格者が就くことが多いです。

この他、人事や経理、広報など、一般的に存在する部署があり、それぞれ役割を果たしています。

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商社に向いている人の特徴

商社で働くことを目指しているけれど、自分が向いているかどうか不安に思っている方も多いでしょう。商社にはさまざまなタイプの人が働いていますが、ここでは特に向いている人の特徴について紹介します。

様々な立場をまとめる力を持つ人

商社では、コミュニケーションスキルが非常に重要です。総合商社や専門商社を問わず、一つのプロジェクトを進める上で、多くの関係者と連携する必要があります。そのため、異なる立場やバックグラウンドを持つ人々をまとめ上げる能力が求められます。

例えば、トレーディング業務では仕入れ先や販売先との信頼関係を構築することが大事です。事業投資においては、多様なバックグラウンドをもつ関係者と協力し、プロジェクトを進める場面が多くあります。

専門商社の場合、特定の産業に特化しているため、特定分野の知識や専門性を持ち、それを活かして取引先と深い信頼関係を築くことが重要です。例えば、化学品を扱う専門商社では、化学に関する知識を活かして取引先のニーズに的確に応えることが求められます。

また、商社の業務は社内の上司や同僚とのコミュニケーションも非常に重要です。チームで協力して業務を進めるため、社内での情報共有や意見交換が欠かせません。良好な人間関係を築くことで、業務がスムーズに進行し、成果を上げることができるでしょう。

さらに、外国の政府関係者や国営企業との交渉が必要となることもあり、国際的なコミュニケーションスキルも必要です。このように、商社の仕事は社外だけでなく、社内の上司や同僚との密なコミュニケーションも欠かせません。

周囲と良好な関係を築くことが得意な人にとって、商社業界は活躍するチャンスが多いと言えるでしょう。

情報収集に積極的で好奇心旺盛な人

商社の仕事では、トレーディングでも事業投資でも情報収集が必要です。トレーディングでは、業界の動向を把握し、マーケットの動きを予測することが求められます。

事業投資では、政治的な動向、最新のトレンド、長期的な市場の傾向など、さまざまな角度からプロジェクトのリスクや収益性を分析し、投資を実行する必要があります。

専門商社の場合、特定分野に特化しているため、その分野に関する専門的な情報を常にアップデートし、取引先に対して有益な情報を提供する能力が求められます。

好奇心旺盛な人は、常に最新の情報をキャッチし、分析する能力が高く、ビジネスチャンスを敏感に嗅ぎ取ることが得意です。こうした特性は商社の仕事に向いていると言えるでしょう。

面接の際も、この好奇心旺盛な特性を強調してアピールすると効果的です。詳しくは「自己PRで好奇心旺盛さをアピール!エピソードを伝えるコツを例文付き解説」の記事を参考にしてみてください。

ハードな仕事に耐えられる体力・精神力がある人

商社では、体力的にも精神的にもタフであることが求められます。例えば、入札に参加する場合、締切までに書類をまとめるために残業が必要となることがあります。また、営業部門では顧客との連日の接待や長時間の出張が頻繁に発生します。

専門商社でも、特定分野に特化した深い知識とそれに基づく顧客対応が求められるため、忙しいスケジュールの中で高度な専門性を発揮し続けることが求められます。

これらの状況に対応するためには、体力と精神力が不可欠です。
近年、働き方改革が進み、ハードな働き方は減少しつつありますが、それでも体力や精神力に自信がある人が向いている業界です。

このような資質は、スポーツ経験を通じてアピールすると効果的です。詳しくは「自己PRでスポーツ経験をアピールするポイントは?例文を合わせて解説」の記事で解説しているので参考にしてください。

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商社の就活で必要なこと

商社には意欲が高く優秀な学生が集まるため、他の学生と差別化できるようなアピールが必要になります。ここでは、商社に採用されるために必要な対策について解説します。

自己分析をしっかりとおこなう

商社では、自分自身の強みや特技をしっかりと理解し、それをどう活かせるかを具体的に説明することが求められます。学生時代に力を入れた取り組みについては、自己分析を行った上で具体的に説明できるよう準備しましょう。

ビジネスに関する情報を日頃からチェックしておく

商社の選考では、国際政治や経済に関する知識が問われることが多いため、日頃からニュースや専門誌をチェックしておくことが重要です。最新のビジネストレンドや市場の動きについて理解を深めておくことで、筆記試験や面接でのビジネス目線の質問に対応しやすくなります。

評価されるスキル

商社に新卒で就職するために特別な資格は必要ありませんが、総合商社では英語力が重要視されます。TOEICのスコアなどで語学力を証明できる資格を持っていると高い評価を得やすいです。高い英語力を持つことで、グローバルなビジネスシーンで活躍できる可能性が広がります。

志望動機を明確にする

商社への志望動機は具体的かつ説得力のあるものでなければなりません。単に「海外で働きたい」という動機では「商社ではなくほかの企業でも良いのでは?」と思われてしまいます。この場合、なぜ応募先の商社に属して海外で働きたいのか、具体的に説明することが必要です。

企業の特徴や強みと自分の将来のビジョンを結びつけて説明しましょう。

インターンやOB・OG訪問に参加する

商社を志望するなら、選考開始前にインターンやOB・OG訪問に参加することがおすすめです。インターンでは実際の業務を体験するので、自分の適性を見極めることができるだけでなく、企業の社風や雰囲気を感じ取ることができます。

同じ商社といっても企業ごとに社風や雰囲気が異なるので、入社後のミスマッチを防ぐためにもインターンは大切な要素。企業を深く知れば、志望動機にも説得力が出てきます。

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商社の選考フロー

総合商社の内定は6月中に出ることが多く、早め早めの行動が肝心です。OB訪問は余裕をもって済ませ、志望企業の優先順位づけを行いましょう。

選考時期が同じ総合商社同士では面接日程が重なることが予想されるため、面接予定がかぶる場合、どちらを優先するかあらかじめ考えておくようにしましょう。

商社の選考はほかの企業と同じように、エントリー→筆記試験→面接が大まかな流れ。面接の回数は通常3~5回で、グループディスカッションを行う企業もあるようです。

また、エントリーシートや筆記試験とは別に、作文試験が実施される場合もあります。筆記試験ではSPIやGABといった適性検査のほか、企業独自の筆記試験が課されるので、事前に対策しておきましょう。

面接では、「なぜ商社の中でもうちを志望するのか?」「総合商社の魅了は何か?」といった志望動機を問う質問や、「どんな業界に投資すべきか?」というビジネス目線の質問が頻出します。OB訪問や参考資料で得た情報を十分に活用し、予想される質問への回答を練っておきましょう。

専門商社の場合も、総合商社と似た流れで選考が進みますが、専門性に重点が置かれる点が異なります。専門商社の内定は、総合商社と同じく早期に出ることが多いため、こちらも早めの準備が必要です。専門商社の選考では、エントリー→筆記試験→面接が基本的な流れです。

面接の回数は通常2~4回で、企業によってはグループディスカッションやプレゼンテーションを行う場合もあります。専門商社では、取り扱う商品やサービスに関する知識を問われることが多いため、事前に十分な情報収集と勉強が必要です。

面接では、「なぜこの分野の専門商社を志望するのか?」「当社の商品やサービスについてどのように理解しているか?」といった質問が多くなります。専門性をアピールできるよう。自分の経験や知識を具体的に示す準備をしましょう。

これから面接を受ける方については「面接対策と受け答え・成功への効果的な準備と戦略」も参考にしてみてください。

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商社に就職するメリット

就職先が商社だとどのようなメリットがあるのでしょうか。総合商社と専門商社の両方に共通する魅力や、それぞれの商社に特有のポイントを詳しくまとめました。自分にとって魅力的なポイントかどうか、確認してみてください。

世界を舞台に仕事ができる

商社への就職を目指す方の中には、「グローバルな環境で仕事がしたい」「英語力を活かしたい」といった方も多いです。

商社は国内だけでなく世界中の企業を相手として取引を行うため、広い地域で活躍できます。特に総合商社は海外に100以上の拠点数を持ち、駐在社員も多数います。海外出張も多く、国際的に活躍したい方にはぴったりです。

一方、専門商社でも特定の分野での海外取引が頻繁に行われます。例えば、化学品専門商社では、海外の化学工場と連携して原料を調達し、日本国内のメーカーに供給する業務が日常的にあります。

こうした業務では、英語を駆使して海外の取引先と連絡を取り合うだけでなく、現地に赴いて交渉や契約を締結する機会もあります。専門知識を活かしながら国際舞台で活躍できるのが専門商社の魅力です。

仕事の規模が大きい

総合商社のプロジェクトは、国と連携するような大規模なものもあります。資源開発やインフラ整備など、その国の社会や生活を支えるような仕事ができるため、非常にやりがいがあるでしょう。

また、資源ビジネスは一つのプロジェクトで数百億円の金額が投資されることもあり、非常にインパクトが大きいです。

専門商社の場合、取り扱う商品やサービスが特定されているため、プロジェクトの規模は総合商社に比べて小さいこともありますが、その分、専門知識を活かしてプロジェクトを細部まで管理する経験が得られます。

給与が高い

五大商社では平均年収が1200万円を超えており、他業界に比べて大きな収入が見込めます。そこに魅力を感じて就職する方も多いでしょう。

仕事の結果によっては20代で1000万円を超えるケースもあり、早くから高収入を稼ぎたい方にとって、商社は魅力的な職場です。

専門商社でも高給与を提供する企業が多くあります。機械専門商社では、高度な技術知識と取引スキルを持つ社員が高く評価され、高い報酬を得ることができます。年収1000万円以上の社員が多数いる企業もあり、収入面でも非常に魅力的です。

より高い給与を目指したい方については「高給取りを目指すにはどうする?高収入を目指しやすい職種や業界を紹介!」も参考にしてください。

幅広いスキルを伸ばせる

商社では特定の分野に特化するのではなく、ビジネスに必要な様々なスキルをバランス良く身につけることが求められます。

商社の業務では、様々な業界の関係者や海外のビジネスパートナーと協力しながら仕事を進める機会が多くあります。総合商社ではプロジェクトの運営で、営業、会計、財務、法務など幅広い分野の業務を自ら中心となって進める必要があります。

専門商社では、例えば電子部品専門商社では、電子部品の供給チェーン全体を管理するためのスキルが必要です。仕入れ先との価格交渉、品質管理、在庫管理、顧客対応など、さまざまな業務を一貫して行います。

こうした経験を通じて、業界に特化した知識とともに、ビジネス全般のスキルをバランス良く習得することができます。商社での経験は、異なる分野や文化との関わりを通じて視野を広げ、多角的な視点から物事を考える力を養うための貴重な機会となります。

この経験は、将来どのようなキャリアを選ぶにしても大きな強みとなります。

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商社に就職する際の注意点

商社で働くと、メリットだけではなくデメリットもあります。両面を理解してから就職するようにしましょう。

出張や転勤が多い

商社は日本全国、そして世界中の企業を相手に仕事をするため、出張が非常に多いです。近場ではなく海外に行く機会も多いため、それを負担に感じる方にとってはデメリットになるでしょう。
特に総合商社では、広範囲の地域で事業を展開しているため、頻繁な海外出張や長期の海外駐在が求められます。

専門商社の場合でも、特定の分野に特化しているため、その分野での海外取引が多くなります。例えば、食品専門の商社では、海外の食品メーカーとの取引や現地の品質管理を行うため、定期的な海外出張が必要です。

行先は欧米の先進国だけでなく、アジアや南米、アフリカなど多岐にわたります。

希望の配属になるとは限らない

大手企業であればあるほど事業の種類は多く、自分が興味のある分野に配属されないリスクも高まります。例えば、総合商社ではエネルギー部門や食品部門、金融部門など様々な部署がありますが、希望する部署に配属されるとは限りません。

最初の配属先が希望と異なると、モチベーションが下がる可能性もあります。

一方、専門商社では事業内容が特化されているため、比較的希望する分野に近い業務に携わる可能性が高いです。ただし、専門商社でも複数の事業分野が存在するため、希望の細部まで一致するとは限りません。

専門商社もについては「専門商社とはどんな会社?仕事内容や種類を解説します」も参考にしてください。

年功序列の風土が残っている

多くの商社では年功序列の風土が色濃く、若手の積極登用や抜擢人事は少ない傾向にあります。総合商社では、まずは基礎的な業務を数年こなし、実力を付けてから大きな仕事を任されるというのが一般的な流れです。

入社直後から大きなプロジェクトを任されることは少なく、地道な下積みが必要です。

専門商社でも年功序列の傾向は見られますが、総合商社に比べて若手が早くから実力を発揮できる機会が多い場合もあります。専門知識を活かした仕事が求められるため、早い段階で専門性を身に付けて業務に携わることができるでしょう。

ただし、ここでも基礎的な業務をしっかりこなすことが重要です。

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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