【お仕事図鑑】「人事はコスト」というイメージを変えたい。攻めの人事を目指して

人事・採用担当は、就活生の前で自社の魅力を伝える「会社の看板」というイメージがあるのではないでしょうか。しかし、実際の人事の仕事は面接や説明会の実施だけではありません。キャリアチケットの「お仕事図鑑」では、会社で活躍する社員の方へのインタビューを通じ、仕事現場の生の声をお届けします。

今回お話を聞いたのは、株式会社ジールキャリアで人事・採用担当として働く杉本さん。人事の仕事で大切にしていること・やりがいなどについてお聞きしました。
 

<Profile>

株式会社ジールキャリア
社長室 採用チーム
杉本 圭(すぎもと・けい)

日本体育大学卒業 在学中は体育会硬式テニス部に所属、卒業後不動産会社に就職。営業や人事を経験し、その後縁あって株式会社ジールキャリアに入社。経験を生かしてカウンセラー業務に従事。現在は新卒・中途採用の一貫として、さまざまなセミナーの企画・運営に携わり、企業に利益をもたらす「攻めの人事」を目指す。

株式会社ジールキャリア
新卒学生の採用・就職支援事業を展開。人材紹介による企業と新卒学生とのマッチングや、体育会系限定の合同企業説明会の開催によって、1,500社以上の企業の採用と20,000名以上の学生の就職支援を実現。https://zeal-career.co.jp/
 

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人事は会社の顔。だからこそ「会社への愛」が大切になる

――まず、株式会社ジールキャリアについて教えてください。

ジールキャリアは就職支援事業を行っており、もともと体育会系の学生の就職支援のために立ち上げた会社です。そのため、強みは体育会系学生向けの支援ですが、現在は一般学生向けにもサービスを展開しています。

――杉本さんは人事ということで、どんなお仕事をしているんですか?

自社の新卒・中途採用がメインの業務になります。あとは社内イベントの企画や運営、オフィス改善業務を行うこともありますね。私の所属が社長室というところになるので事業部関係なく、採用だけでなく社内で求められたことをやる、という感じです。

――新卒採用が始まるまでにどのような準備をするんですか?

前年の採用シーズンが終わったら、どの施策が効果的だったのか、採りたいターゲット層の学生は採れているのかなど、その年の振り返りを行います。その後、各エージェント・媒体ごとに効果測定をして、次の採用に繋がる課題を洗い出していきます。例えば、この媒体は辞退率が高かった、当日キャンセルが多かった、というように精査していくんです。そうやって毎年振り返りと採用準備を並行して進めていますね。

――採用が始まってからはどのようなスケジュールになるんですか?

新卒採用だと3月からスタートし、6~7月頃には内定を出しています。採用が終わったら、入社後すぐに活躍できるように、月に1回程度で新入社員研修を行いますね。その研修の内容も人事が考えています。

――人事の間で「こんな学生が欲しい」という話し合いはあるんですか?

そうですね、現場で活躍している社員はどのような人物か、部署内だけでなく役員や代表と話します。そこから今の事業に求められる人物像を描き、採用を行っていきます。具体的に言うと、1年目で役職に就いていたり部署の売上トップ3に入っていたりする社員は、総じて責任感や物事の目的意識が高く、最後までやりきる力を持っているといった特徴があります。

あとは、部活でもアルバイトでも何でも良いので、とにかく今までの人生の中で何かやりきった経験のある人が良いですね。それにプラスして結果を残せた人は、成果の出し方を知っているので、なお良いです。苦労や挫折を自分の力で乗り越えた経験は、面接でも聞くようにしています。

――杉本さんも面接に入るんですか?

採用面接は、「人事面接」「役員面接」「代表面接」と3段階あるんですが、私は一次の人事面接に面接官として入っています。採用業務は私が行っているので、人事面接は基本的に私1人ですね。ただ、面接が重なったり数が増えたときは、グループ会社の人事の方に手伝ってもらうこともあります。

――面接で、「これだけは学生に聞こう」という質問はありますか?

その人の過去の経験をよく聞きますね。どんな価値観を持ち、どのような環境で育ってきたのか……というところは、とても気にします。今まで育ってきた環境と会社の風土は、ある程度近いほうが仕事のパフォーマンスが上がると思うんです。なので、面接でも過去の経験を掘り下げながら学生の価値観を探り、社内の風土や文化とマッチしそうか検討しています。

逆に、志望動機はあまり聞きませんね。個人的には志望動機は後付けでいくらでも作れるものだと思うので、その人がどういう人なのか、こういうことが起きたときどう反応するのか、というほうが気になりますね。

――採用時期以外ではどういったお仕事をしているんですか? 

次年度の採用に向けて情報収集をしたり、中途の方の転職相談に乗ったりしていますね。転職相談を受けるのは大体11月くらいで、その時期は比較的手が空くんです。「事業部で何か売り上げに貢献できることはないかな」と考え、転職相談のセミナーを始めました。 ほかにも、採用系のセミナーなど会社の利益に繋がるような施策出しを行っています。

――セミナーはどういった内容なんですか?

現在実施しているものは、転職を迷っている人を対象にしたセミナーです。今の会社に残るべきか、転職するべきか、じっくり考える機会を設けたいと思ったんです。どうして今の会社を辞めようか悩んでいるのか、どうやったらそのモヤモヤが解消されるのか、優先順位をつけて一緒に考えていくという感じです。実際に転職する、しないにしても、現状を変える何かのきっかけになったら良いなと思っています。

人事は直接的に会社の利益を生むポジションではないので、捉えようによっては「コスト」とも言えますよね。でも、私はそう捉えられてしまうのがすごく嫌で。「利益も生める人事ってイケてるよな」と思って、セミナーのような売上に貢献できる新しい取り組みを始めたんです。

――セミナーの企画は杉本さんご自身が企画されたんですか?

そうですね、役員に「こういうセミナーをすると人が集まるかもしれないです」といった提案をしました。弊社はアイデアを出すと、「やってみよう」「面白そうだね」と任せてもらえる社風なので、だからこそ実現できたのだと思います。

 

――杉本さんの1日のタイムスケジュールを教えてください。

基本的には、午前中に採用に関する打ち合わせや社内のミーティングが入ります。午後に学生の個別対応や、就職エージェントとの打ち合わせ、電話やメールのやり取りをします。採用イベントの前だと、その準備に時間を使うことがありますが、基本的には学生の対応に時間を割き、空いた時間で打ち合わせや準備、資料作成を行うという感じですね。

――人事の仕事で必要だと思う能力やスキルはありますか?

「変化に柔軟に対応できるか」ということは必要だなと感じます。
採用の市場や手法はもちろん、会社の方針や体制なども常に変わっていきます。人事に限ったことではないと思いますが、やはりそういった変化に即座に対応して次の策を実行できるということはとても重要だなと感じます。

あとは、能力・スキルとは少し違うかもしれませんが、「会社のことが好き」という想いがあることと、代表のことをリスペクトできるかというのはすごく大事だなと思います。 やはり、人事は会社の看板となって魅力を伝える立場なので、心から好きと言えないとそれは求職者にも伝わってしまうと思うんです。なので、「会社への愛」「この会社に貢献したい」という気持ちは必要ですね。それさえあれば、能力やスキルはあとからついてくるものだと思っているので。

――お仕事のやりがいや楽しいと思うことを教えてください。

人事の仕事をしつつ、いろいろな方の転職相談に乗らせてもらったり、それが成果に繋がったりしたときは、「やって良かったな」と思います。あとは、採用業務の部分だと、自分が採用した新卒の子が入社後に活躍している、その部署で欠かせない存在になっているのを見たときはとてもうれしく思いますしやりがいを感じますね。

人事は華々しいイメージがあるかもしれませんが、そんなことばかりでもなくて、裏方的な仕事が多いんです。だから、自分がスポットライトを浴びることはあまりなくて。そのことで葛藤していた時期もあったんですが、今は自分の仕事が会社の成長や自分自身の成長に繋がっていくことがわかるので、この仕事にすごくやりがいを感じています。今後ももっといろいろなことにチャレンジしたいですね。

――逆に、仕事で辛いこと・大変だと思うことは何ですか?

採用は会社(事業)の成長を左右しますので、大きな責任を感じます。決められた採用人数を決められた期日までに採用できないと極端な話、事業にも影響が出ると思っているので、そういうプレッシャーがありますね。あとは、採用を進めていく中で、「この人と一緒に働きたい!」と思っていた人から辞退の連絡が来たときはフラれた気分になります(笑)。

辞退連絡をもらったときは、「こういう部分が自分に足りていなかった」「もっとこういう風に伝えれば良かったのかもしれない」と振り返ることで、会社としてもそうですし1人の人事として成長のチャンスをもらったと前向きにとらえています。

――採用のお仕事で気を付けているポイントはありますか?

人事として学生や求職者の方に見られているということは常に意識をしていますね。自分の立ち振る舞いや言動で、企業のイメージが決まると言っても過言ではないので、とても気を付けています。

あとは業務的なところで入社フェーズになると、マッチングというところはとても気を遣います。とにかくいろいろなタイプの方がいるので、当然ひと筋縄ではいかないです。一人ひとり企業選びで大切にしたいことが違うので面接で話すとき、どういう価値観の持ち主か探り、その人に合った情報をいかに的確に伝えられるかが私の役割だと思っています。

ここに関しては戦略なので、頭を使いますね。例えば、選考が終わったあと、見送る際に話した何気ない会話から、その人の刺さるポイントを探っていくとか……。面談で社員に同席してもらうときは、「こういうことを話してみてほしい」と事前に伝えておくとか。採用できるかどうか左右される部分なので、そこはすごく頭を使います。
 

 

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きっかけは異業種交流会。裁量の多い社風に惹かれて入社を決意


――杉本さんがジールキャリアに入社した経緯を教えてください。

ジールキャリアに入ったのは中途採用なんです。私はもともと不動産会社の営業をやっていて、そこからいろいろなことに挑戦させてもらったんですが、最終的にその会社の人事になりました。そんなとき、たまたま参加した異業種交流会で弊社の社員に出会い、意気投合したんです。私は大学時代体育会に所属していたんですが、その社員も体育会出身でかつ同い年だったので親近感が湧いて。

その当時、ジールキャリアは設立して2年目。一人ひとりの社員が自由に、だけど責任を持って仕事に取り組んでいました。同い年でこんなに仕事に対して前向きに取り組んでいる人がいるんだ、と驚きましたね。彼の話を聞いていても、裁量を持たせてもらっているのが伝わるし、自分次第ですごく成長できそうな環境だと感じたんです。それがジールキャリアに入社したきっかけですね。

――入職前のイメージと現在のお仕事にギャップはありましたか?

ポジティブなギャップはありましたね。思った以上に裁量を持たせてもらえることや、言ったことは全部やらせてくれるということ。自分でも不安に思ってしまうくらい、さまざまなことに挑戦させてもらえたんです。あまりにも自由なので、「こんなに自由にやらせてもらって良いんですか」と役員に相談したこともありました(笑)。

――杉本さんのキャリア展望を聞かせてください。

受け身ではなく「攻めの人事」。チャンスがあれば失敗を恐れず挑戦して、成果を上げる。そういう人間になっていきたいです。

あとは、何歳になっても常に挑戦し続けていたいなと思っています。そして子供に、「お父さんすごく活き活きと働いてるね」と言われるような存在でありたいなと。これは、面接していて感じることでもあるんです。面接で学生に仕事や働くイメージを聞くと、6~7割は、「きつそう」「大変そう」と答えます。それは、親御さんの背中を見ているからなのかな、と感じることが多くて。まずは周りから一人でも多く前向きに働く人を増やしたいですし、自分の子供が社会に出るときは、「父親みたいに働きたい」と思ってもらいたいですね。

――人事に興味がある、やってみたいと考えている就活生に向けてメッセージをお願いします!

シビアなことを言うと、人事をやりたい理由が「華々しいから」「人と関わりたいから」だけでは、自分自身が苦しくなるかもしれません。裏方の仕事や泥臭いことも多々求められます。また、人の人生を扱う側面と、会社の成長を担う責任の大きな仕事なので、憧れだけでは続けられない仕事なのかな、と。

ただ、「この会社に心から貢献したい」「自分がこの会社を成長させたい」という思いが強い人にはぴったりの仕事だと思います。自分が一緒に働きたいと思う仲間を探したり、増やしていったりすることにやりがいを感じる人に挑戦してほしい仕事ですね。
 

 

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