【お仕事図鑑】任された品目をどう売るかは自分次第。国内最大の青果卸売の営業とは?

キャリアチケットの「お仕事図鑑」では、活躍する社会人の方へのインタビューを通して、日頃は触れる機会のない仕事現場のリアルな声をお届けします。

今回は、東京青果株式会社で営業をしている黒岩さんにお話をお伺いしました。青果物卸売業界の中で、どのように果実・野菜の目利きをし、川上から川下へ流通させているのでしょうか。普段はなかなか知ることができない「青果物の販売」のやりがい・裏側に迫ります。
 

<Profile>

東京青果株式会社
果実第4事業部
黒岩 司(くろいわ・つかさ)さん

農業大学卒業後、もともと興味を抱いていた「食」や「農業」関連の企業を中心に就職活動を行い、東京青果に入社、現在5年目。パインやマンゴーといったトロピカルフルーツやメロンの販売を担当している。

東京青果株式会社
国内最大の青果物卸売会社。東京都中央卸売市場大田市場を拠点に、全国の農協・生産者から届く青果物やその加工品を、せり・相対取引によって仲卸や売買参加者へ販売。また、国産青果物の輸出促進や海外でのPR活動にも取り組んでいる。https://www.tokyo-seika.co.jp/

市場での人間関係を大切に。目利きのスキルはお客様とのやりとりで学んだ


――まずは、黒岩さんの仕事内容について教えてください。

仕事内容をひと言で表すと、「生産者と消費者の架け橋」ですね。具体的には、生産者が出荷した青果物を我々が預かり、適正価格で販売・消費者に供給するのが仕事です。青果物ごとに販売する担当者が分かれているんですが、私はここ2~3年、トロピカルフルーツやメロンなどを担当しています。

時期によって販売する品目が変わるのですが、春先だと沖縄のパインや茨城県産のメロン。夏場ですと、沖縄のマンゴーや茨城の梨。秋になると柿、冬場はみかんなどの柑橘類など……。そういった季節の旬の果物を年間通して販売させていただいています。

――販売に至るまでの流れをお聞きしてもよろしいでしょうか?

生産者から果物を出荷していただき、基本的には私たちを介して翌日に消費者に届きます。出荷されてからお客様に届くまでには、大体2~3日かかりますね。あとは、直接取引と言って産地から売り先まで直接届けてもらう形のものもあり、その場合は早くて出荷2日後には店頭に並んでいる場合もあります。その際は、出荷明細書が弊社に届き、荷物が届いた確認をするという感じで……さまざまな形態で流通の商売を行っているんです。

――東京青果では、青果の価格を決めたりもしているんですか?

そうですね。基本的に弊社で価格を決めています。同じ品物でも時期によって数量が変わったり、売り先によって需要と供給のバランスによって異なったりするので、そういった変化を見つつ価格決定していますね。産地から送っていただいた青果はなるべく1円でも高く売りたいという気持ちがあるので、慎重に価格形成を行っています。

――価格を決めるときはどんなことに気をつけていますか?

 やはり品質が重要になってきますね。すべての青果に品質レベルの目安を表す「等級」というものが付けられるんですが、産地から出荷していただく段階で選果され、そこで基準の等級の目安は示されているんです。ただ、市場に来たときにその品質が保たれているのか、といった目利きも重要になります。なので、価格を決める際は品質に関してとても気を使っています。

例えばメロンであれば、形がきれいか、ツルの状態が良いか、などを細かくチェックしていますね。あとは見た目だけでなく味も大切な要素なので、価格を決めるときは実際に食べて味も確認しています。食べてみて、「今年は昨年よりもおいしい」「もう少し日数を置いたほうがおいしくなる」などを判断して、価格を決めたりしています。

――青果の目利きのスキルというのは、どのように養っていくんですか?

私も最初は何もわかりませんでした。例えば、先輩から「このリンゴ、今このくらいの価格で販売してるから、それを目安に売ってきて」と言われて、よくわからないのでとりあえず八百屋さんに行って「これ2000円なんですけど、買ってもらえませんか?」みたいな……。本当に手探り状態からのスタートでしたね(笑)。

ただ、八百屋さんも仲卸の方もプロなので、箱を開けて品物を見て「これ、持ち上げたときに下の部分に傷がついてるからこの値段は厳しいよ」と、なぜこの値段だと難しいのか詳しく教えてくれる人がたくさんいらっしゃいます。青果の品質面や目利きに関しては、お客様とのやりとりの中で学んでいった部分が大きいと思います。

――出荷者から提示された価格では取引が難しい場合はどうするんでしょうか?

出荷者はどの市場に出すか選べるわけですから、もちろん高く売ってくれるところに出したいですよね。時として「この価格では出せません」と言われることもあります。ただ、本当に信頼関係があれば、こちらが提示した価格が多少安くても、今後の展望に期待して信じて出荷してくれる人もいます。

そこは、やっぱり生産者との信頼関係で成り立っている部分だな、と思います。産地への理解や生産者と関係性を築いていくのは、青果の営業においてとても大切だと思います。

――産地に直接出向くことはあるんですか?

ありますね。産地で出荷会議が開かれるときや生産者の方と商談するときに行っています。私の場合だと、例えば沖縄には年に3~4回行っていますね。会議では市場の方や生産者が集まっていて、今年の需給状況の説明をしたり、いつ頃から出荷を始められるのかを話し合ったりしています。
 

――黒岩さんの1日のタイムスケジュールを教えてください。

時期によって異なりますが、大体午前6時から6時半に出社し、メールの確認や青果の入荷状況をチェックします。あとは、その日に自分が販売するものの一覧表を見ながら、販売物品の確認です。朝にそういった確認作業をすませたら、その後部署ごとのミーティングに参加します。

午前7時前後になると競売が始まって、販売は午前9時から10時頃まで続きますね。その後事務所に戻り、自分の販売した品目や値段を帳面に記入します。これは、「このお客様にいくらで何ケース売りましたよ」というのを請求するためのもので、「仕切り」と呼ばれる作業ですね。

午後は明細書をもとにお客さんと販売の相談や、出荷されてきた青果のチェックなどを行います。基本的に空いている時間はバイヤーさんや仲卸の方と商談や情報交換をしていて、繁忙期でなければ午後2時半~3時半頃には仕事が終わり、帰宅するという流れです。
 

――繁忙期はいつ頃でしょうか?

私の場合、夏が旬の果物を担当していることもあり、大体7月~8月が一番忙しいですね。例えば、みかん担当の方だと旬の時期である冬場、特に年末が大忙しになります。繁忙期については、本当に担当している青果によって異なるという感じですね。

――仕事をしていてやりがいを感じることは何ですか?

担当によって売り方が異なるんです。自分が任された品目をどう売るかは自分次第で、仕事で自分の色が出せるのはやりがいを感じますね。自分の担当した青果が良い値段で販売でき、最終的にお客様に納得してもらえたときは、生産者の方にも喜んでもらえますし出荷できて良かったな、と思います。
特に生産者の方に「来年もよろしくね」「こんな高い値段で売ってくれてありがとう」と言ってもらえたときは、すごくうれしいですね。

――逆に、仕事での辛いことや大変なことは何でしょうか?

生産者と売り先とで価格に対しての温度差があるため、やはり値付けは難しいなと感じますね。生産者の方は高く売りたい、でもお店や消費者は安く買いたいと思うのは当たり前。ただ、高ければ高いほど店頭で売れ残ってしまいます。ですから、ある程度お客様に買ってもらえる適正価格で売らないといけません。私たちは販売状況を見て値段を決めるのですが、生産者の方もお客様も満足できる値段を提示するのはとても難しいんです。

「需要期になったら高く売れるので、今は辛抱です」と生産者の方に説得したり、逆にお客様には「ここまでの値段でさすがに止めてください」とお願いしたり。お客様には「店頭で試食販売を行ってみてはどうか」と、販売促進の提案を行うこともありますね。

もう1つ大変なのは、果物の鮮度を気にしなければいけないということです。青果物は本当に鮮度が命なんです。品目によっては棚持ちが悪く、すぐ腐ってしまうものもあります。そして出荷時に傷んでしまうこともあり、それがクレームの対象になることもあって。そういった自分でも予想できない問題が発生するときは毎回苦労しますね。

――お仕事をする際に気をつけているポイントはありますか?

市場での人間関係はとても大切なので、関わる方々が気持ち良く仕事ができるよう、常に明るくいようと心掛けていますね。仕事に余裕があれば市場に足を運んで、仕事の話以外にも雑談をしたり、コミュニケーションを取ったりしています。

あとは、産地からいただいた情報を正確に迅速にお客様に伝える、というのも大事なポイントかな、と。産地から私を通す際に情報に齟齬が生まれてしまってはいけないので、正確にお客様に伝えるということはいつも気をつけていますね。

――お仕事に就くにあたって必要な能力やスキルがあれば教えてください。

そうですね……私が普段仕事で気をつけていることに通じますが、何より人と話すのが好きな人は向いていると思います。生産者の方や仲卸業者の方と密接にコミュニケーションをとる仕事ですし、信頼関係を築くことがとても大切なので、初対面の相手でも分け隔てなく話せる方は特に向いているかな、と思います。
 

大規模な市場での青果販売は、自分を成長させるチャンスが詰まっている

 

――黒岩さんのご経歴について教えてください。

私はもともと農業大学に通っていて、その頃から農業だったり、農産物の栽培だったり、そういった「食」に携わる作業が身近にあったんです。農家さんのところにファームステイをしたこともありました。その経験もあって食や農業に関連する会社に興味があり、東京青果に入社したんです。

私の大学の先輩が東京青果で働いていて、先輩から仕事の話を聞いていたときに「面白いな」と感じたのが入社の大きなきっかけですね。就活のときは3~4社ほど受けていましたが、東京青果は全国各地の生産者と取引をしているため、いろいろな場所に行ける、たくさんの人と関わることができる、という点に魅力を感じました。

――入社して最初の仕事はどのような内容でしたか?

1年目は現場仕事がメインでした。朝は一番最初に出社して、入荷した品物のサンプル集めから始めます。時期によって出荷されるものが違うので、その都度品物の良し悪しや品質を勉強していきました。

基本的に1年目の場合は八百屋さんとの取引が多いので、彼らとの交渉を通してノウハウを勉強していました。その翌年から少しずつ担当の品目を持たせてもらえるようになり、現在のように1人である程度の品目を任されるようになった、という感じです。

――黒岩さんのキャリア展望をお聞かせください。

現在私は入社5年目ですが、自分ではまだ販売の練習期間なのかなと感じています。ベテランの方に比べたら、まだまだ経験が少ない若手です。毎年少しずつスキルアップしていき、将来的には今よりももっとブランド力のある、売上の大きい品物を販売できるようになりたいですね。昇格をするにもそれ相応のスキルを身に付けなくてはいけないので、経験を積んで任される品目を広げていきたいです。

――就活生に向けて、会社や仕事の魅力をお伝えください。

他社になく弊社にあるもの、それは日本一の取扱量と、全国の基準価格の形成です。1都1道2府43県の多くの生産者が日々出荷をしてくださり、日本一売買参加者(買人)が多い環境は、どこの市場にも負けません。
また、弊社営業職が日々付ける価格は国内の基準となる価格です。その価格を決めるのが我々営業職という点では、当社ならではの魅力です。

また、この仕事はいろいろな産地に行ってさまざまな人と触れ合い、自分が成長できるチャンスが詰まっていると思います。仕事のやりがいというのは、入ってからでないと実感できないと思いますが、食や農業、流通などに少しでも興味がある方にとっては面白い業界だと思うので、ぜひ挑戦してみてください!
 

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