「就活ってどう進めれば良いの?」「自己分析のやり方がわからない」「面接で落ちてしまう」……など、就活に悩みはつきもの。レバレジーズの執行役員・間山が就活生のお悩みにズバッとお答えします!
選考に進もうと思っている企業の口コミサイトをみると、マイナスなことが書いてあることも多く、選考に進むかどうかいつも迷ってしまいます。誰がいつ投稿したかわからない口コミに惑わされるのは良くないと思ってはいますが、企業の口コミはどの程度参考にするのが良いのでしょうか。
アドバイザー
間山 哲規(まやま・あきのり)
レバレジーズ株式会社 執行役員。若年層就職支援サービス「ハタラクティブ」、アパレル業界特化人材サービス「FASSIONE」、新卒向け就職支援サービス「キャリアチケット」など主に若年層のキャリアに関わる複数事業を統括。YouTubeチャンネル『就活トーク』『キャリアチケット』出演中。Twitter:@aki_mayama
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会社選びは誰かの評価に左右されてはいけない
口コミサイトを見るときは、
「そう評価している人もいるんだな…」
と考えるだけですね。
逆にそれ以上だと、「新卒で入社する会社」という人生においても重要な選択を、自分以外の誰かの評価(それも誰の意見なのかすらわからないもの)で決めて、本当に大丈夫ですか?と不安に思います。
もちろん、口コミサイトに書いてあることがすべて間違っているとは思っていませんし、就職先の選定における情報収集の一環として口コミサイトを調べることは悪いことではありません。
ただ、万人にとって最高な会社はないですし、反対に万人にとって最低な会社もありません。会社選びは誰かの評価に委ねるのではなく、事実と数字をベースに自分自身の頭で考えて決断してほしいところです。
……というのが結論ではあるものの、もう少し具体的に説明するために、まずは口コミサイトについて一緒に考えていきましょう。
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書き込む側の事情を想像してみよう
就職系の口コミサイトに書かれている情報は、どんな人がどんなときに書いているのか想像してみてください。
まず、1件口コミを書くごとに、インセンティブを得られる場合がありますね。
就職系の口コミサイトの中には、投稿されている口コミを見るために、料金を支払うか自分が口コミを投稿するかのどちらかが必要なものがあります。
他社の口コミが見たいときというのは、現職に何らかの不満があり、転職を考えているときでしょう。つまり、口コミを投稿するときは、何らかのネガティブな感情が働いている以上、企業のマイナス面について書かれやすいということです。
ほかにも、感情が高ぶったときに書かれることもあります。口コミだけでなくSNS全般に言えることですが、企業の評判は「特別に良かったとき」か、「特別に悪かったとき」に投稿される傾向があります。「そこそこ良い」もしくは「悪くはない」と思っているときに口コミを書くことはあまりないため、口コミは仕事で何か特別な感情が生まれ、その衝動のままに書かれている可能性が高いのです。
あとは、その企業と全く関係のない人が書いている場合もあります。
本人確認をせず匿名で投稿できるのが口コミサイトの特徴です。会社の評判を上げようと採用担当者が書いているという噂も聞きますし、社員を装って良い口コミを書いてくれる業者(いわゆるサクラ)も存在します。そうなると、もはや口コミは信じるに値しないですよね。
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口コミ量が増えたほうがサイト運営側は嬉しい?
次に、口コミサイトを運営している会社のことを考えてみましょう。
就職系の口コミサイトは、企業ではなく一般ユーザーの投稿によって成り立っています(そういったコンテンツを「UGC(User Generated Content)」といいます)。
ユーザーが作るものは自然と共感が集まりやすく拡散されやすいという特徴があります。自社でコンテンツを制作する必要がないのであれば、かなりローコストでSEO対策(※)ができるので、利益率の高いビジネスモデルといえます。
※SEO対策……サイト上のコンテンツを検索の上位に表示させるための対策のこと
基本的に口コミサイトは、口コミの量が多いほうがサイトとしての価値が高いと評価されやすいため、サイト運営側としてはできるかぎりユーザーが書いてくれた口コミは残しておきたいと思うはずです。
そのため、口コミの内容が違法性の高いものであっても、裁判所の決定がないと削除しないサイトもあります。企業側から削除要請し削除させることは不可能ではありませんが、裁判所への申立手続きは手間がかかるため、「違法な口コミがあっても仕方ない」と諦めてしまう会社がほとんどでしょう。
このような事情から、口コミサイトにはネガティブな投稿が削除されることなく、どんどん溜まっていく性質があるのです。
ちなみに、これを読んでくれている学生は、社会人になってからも「匿名で書きこんでも投稿者はわかる」というリスクを把握したうえで投稿してくださいね。
他人のプライバシーの侵害となるような書き込みをしたり、他人が書いた文章をそのまま転載して投稿したりするのはやめましょう。また、たとえ事実であったとしても他人を傷つけたり、他人の名誉を棄損するようなことを書いてしまうと、犯罪になるケースがあります。
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口コミサイトとの上手な付き合い方
では、口コミサイトをどのように活用すると良いのでしょうか。
まず、「作られた」口コミかどうか見分けるポイントとして、社員数と口コミの量を比較してみると良いと思います。社員数の割に口コミが多い場合、作られた口コミである可能性があります(離職率が非常に高いことも考えられますが……)。
また、ポジティブな口コミとネガティブな口コミに、あまりにも大きなギャップがある場合も作られた口コミである可能性が高いでしょう。
次に、時系列で見ることも大切です。
先ほど、サイト側の事情で過去の投稿がそのままになっていると言いましたが、実際かなり古い書き込みも残っています。サイトによっては投稿時期が書かれているものの、小さく表示されている傾向があります。
「これは2010年の情報で、今から10年以上前の情報なのであまり参考になりません」と、丁寧に書いてくれるサイトなんてないですよね。運営会社にとって掲載情報の価値の低さをアピールすることはメリットがないからです。
今でこそ超ホワイトで有名な企業も、筆者が就職活動をしていた20年近く前は残業時間がとても長く、入社3年でほとんどの新卒が辞めるような離職率の高い会社だったこともあります。
そもそも、会社の状況は良くも悪くも変化するものです。例えば、コロナ前と後で賞与の桁が違う会社もありますし、経営者が変わることでまったく別の価値観を持つ会社に変わることもあります。情報は鮮度が命です。これらを理解して、その口コミがいつ書かれたものなのか注意して見てみましょう。
また、筆者が新卒で入社した会社は、当時8000人以上の社員がいて新卒同期も500人いましたが、配属される部署やプロジェクトによって残業時間や離職率は随分違いました。
いわゆる「配属ガチャ」と言われるものですね。これは自分でコントロールしきれないリスクであり、大きな会社だと余計に口コミとのギャップがあるはずです。部署ごとに口コミの内容に差がないか確認することもおすすめします。
さて、ここまで口コミサイトの裏側についてお話ししてきました。あくまでも就活エージェント側の意見なので、ポジショントークと捉えられてしまうかもしれません。しかし、結論として、意思決定において口コミサイトを重要視するのはあまり望ましくないと私は考えています。
1回の食事を選ぶ飲食店の口コミサイトであれば、たとえ口コミにだまされたとしても許容できる程度のリスクのため、大いに参考にしたら良いと思います。
しかし、就職活動の際は、書き込む側やサイトの運営側にさまざまな事情がある以上、口コミは「あくまで参考程度」にしましょう。できるかぎり実際に働いている社員と話し、具体的な事実を集め、それらをもとに自分の頭で考えて、企業を選んでほしいなと思っています。
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