エントリーシートや面接で頻出するこの質問。「人生で最大の挫折は何ですか?それをどう乗り越えましたか?」あなたはすぐに答えることができますか?
この質問は「みんなが挫折経験をしていること」が前提になっています。ところが「挫折って何?」、「挫折経験がない」と困っている学生もいます。挫折経験が思い浮かばないときの答え方を考えてみましょう。
松岡 澄江(まつおか・すみえ)
キャリアコンサルタント。株式会社キャリアポート代表取締役。のべ2000人以上の就活生の相談や就活実践講座、キャリアデザイン講座などを実施しながら就活を支援してきた。就活生から働くひとまで、キャリアカウンセリングや授業・研修を通して自分らしい人生のためのキャリアを考える機会を提供している。著書『自分らしい人生のための働き方・生き方』(セルバ出版)。
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挫折って何だろう?
何か目的を持って続けてきたことが途中でダメになってしまうことを挫折といいます。この「挫折」という言葉は、とても強い表現だと感じます。
気持ちがくじけて折れてしまう、学生が使う「心が折れる」という状況に似ているかもしれません。
たとえば、受験で目標にしていた学校に合格できなかった、資格取得を目指して頑張って勉強したけどダメだった、部活で大会出場に向けて練習を重ねてきたけどレギュラーになれなかった。このように一生懸命頑張ってきたけど、叶わなかったことが「挫折」です。
「今まで挫折したことってないんですよ。どうしたらいいですか?」
数年前からそういう声をよく聞くようになりました。
高校や大学の進学時は指定校推薦だったので、特に受験勉強はしたことがない。
部活やサークルには入っていないし、入っていても短い期間で退部してしまった。
今まで必死になったことがない。
そんな人にとっては、挫折経験を問うこの質問の答えを考えるのがとても大変です。
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自己分析・棚卸しの中でがんばった経験を見つけよう
まずはがんばったけど叶わなかったことがないか、もう一度自分を振り返ってみてください。挫折経験がないと嘆く学生にも、これまでの人生でがんばったことはあると思います。
たとえばこんなことはないでしょうか?
・失敗した経験
・悔しい思いをしたこと
・落ち込んだ体験
そういう気持ちの変化があったときは、何かに熱を入れていたのに結果が思うようにいかなかったことが多いと思います。「挫折」というほどではないけど、「うまくいかなかった」ことを探します。
すると何らかのできごとが出てくると思います。
部活で頑張っていたのにケガをしてしまって、自分だけ違うメニューで練習していた。
アルバイトで接客の仕事についたけど、最初はなかなか声が出せずに苦労した。
レポートを提出したけど、何度も教授に書き直しを指示された。
人生最大の挫折とまではいかないけど、悔しい気持ち、残念な気持ち、凹んだこと、落ち込んだことを考えてみればいろいろ見つかるはずですよ。
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この質問の意図は「挫折の大きさ」ではない
挫折経験を聞く質問は、「挫折の大きさ」を聞いているのではありません。後半部分の「自分の思いどおりにならなかったときや苦労することがあったとき、どう乗り越えるのか?」を聞きたいのです。
社会人になって働き始めると、順調に仕事が進むとは限りません。顧客とのやりとりでも、思いどおりにいくことはまれです。だからこそ工夫したり、何度も挑戦していく気持ちが大切です。
うまくいかないときも心が折れずに、もう一度挑戦しようと自分をコントロールすることができるのか?自分なりに創意工夫をすることができるのか?ということを聞きたいのです。
挫折のすごさより、自分の思いどおりにならなかったとき、気持ちを切り替えたりやり方を変えたり、何かに集中して、改めて立ち向かっていったことを言葉にしましょう。
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挫折を乗り越えてどう変わったかを具体的に述べる
質問の答え方は以下のとおりです。
1.どんな挫折があったのか?
2.その挫折をどう捉えて、乗り越えるために何をしてきたのか?
3.その経験で自分が成長を感じたこと、得たこと、学んだことは何か?
重要なのは2と3です。
ある学生の「部活でケガをして試合に出られず悔しかった」という挫折例を紹介します。
大会を前にケガをしてしまいレギュラーから外れてしまいました。
ケガをしたことは悔しかったのですが、チームのために自分ができることを考えました。
マネージャーとして率先してサポートすることにし、メンバーの動きを細かく観察しその都度アドバイスをしていたところ、徐々にチームの動きが良くなっただけでなく、自分にとってもプレイを客観的に見る力が養われました。
上記の例では、ケガの程度や期間は書いていません。挫折自体の大変さのアピールではなく、挫折経験によって自分が変われた部分に焦点をあてています。
誰でもちょっとは悔しいできごとがあるものです。挫折がないと悩む前に、質問の意図をしっかり捉えて、自己分析をした中からエピソードを探し、この質問に対応できるようになってほしいと思います。
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