私は就活コンサルタントとして、1年で10万通のESを審査しています。それだけたくさん見ているといろいろなタイプのESに出会います。良いものもあれば、そうでないもの、良い文章だけど題意から外れているものなど、さまざまです。
この連載では、私が今まで出会った「ダメな就活生」や「良い就活生」のエピソードを挙げながら、人事目線ではどのように学生を判断しているのかをお伝えしていきます。
第1回では、過去に私が審査した「残念なES」を例に挙げてお話ししましょう。これからご紹介するのは、就活生が意外とやってしまいがちなことです。ぜひ最後まで読んであなたのESの通過率を上げていってください。
高田 晃一(たかだ・こういち)
就職活動コンサルタント。これまで22,000名以上の就活生の内定獲得を支援。また、採用活動コンサルタントとして、日本全国さまざまな規模の企業の新卒採用活動の支援も行っている。著書に『2万2000人超を導いた就活コンサルタントが教える これだけ!内定』(あさ出版)、『188社落ちても内定とれた!大逆転の就活攻略法』(同文舘出版)。
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「何が言いたいかわからない」という理由で落とされる
皆さん、ESでは何が一番重要だと思いますか?私はESはビジネス文書の一端だと考えています。つまり、「伝えたいことを正確に伝えること」が最も大切なのです。ESに文学性やエンターテインメント性は必要ありません。
就活コンサルタントの中には「倒置法を用いると良い」「面接で深掘りしてもらうためにあえて肝心な部分を隠して書くと良い」と教える方がいますが、私はこれはおすすめしません。
なぜなら、読んでいて内容が頭に入ってこないからです。ESで重要なのは「スムーズに読めるように仕上げる」こと。あなたのことを全く知らない社会人の方が読むわけですから、徹底的にわかりやすい表現で書くことが重要です。
たとえば下の1文を見てください。
「私が将来チャレンジしたいことは、新規の仕事場を営業で取ることです」
「営業で新規の仕事場を取る」とはどういうことでしょうか? 意味が伝わってきません。
これを書いた学生に話を聞いてみると、「営業の中でも新規開拓の仕事がしたい。そして個人ではなく法人顧客をたくさん増やす仕事がしたい」とのこと。そのため、次のように直すようアドバイスしました。
「法人をターゲットにした新規開拓の仕事に挑戦したい」
「これでは普通すぎて、オリジナリティがないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、一番重要なのは「わかりやすさ」です。そして、このように具体的に書かなければ企業の方には伝わりません。徹底的にわかりやすく書くことを心がけましょう。
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1文が長すぎるせいで伝わらない文章に
もう1つ例を挙げます。次のような書き方をしてしまう人が意外に多くいます。「貴社では、私の強みである周りをよく見て行動できる力を活かし、任された仕事に思いやりをプラスすることで、技術スタッフの方々が能力を存分に発揮できるように取り組み、貴社の更なる利益の獲得に全力で貢献します」
読んで分かる通り、1文が長すぎて何が言いたいのか伝わってきません。ESの審査は「疑わしきは落とす」という考えで行っています。よって、何かネガティブな箇所があると落としてしまうことが多いのです。
1文が長くならないように、次の2点を意識しましょう。
・接続助詞を多用せずに、句点を使う
・1文は大体40字以内に収める
これを踏まえて書き直すと、先ほどの文はこのようになります。
「貴社では、私の強みである周りをよく見て行動できる力を活かします。任された仕事に思いやりをプラスすることで、技術スタッフの方々が能力を存分に発揮できるように取り組みます。これらから、貴社の更なる利益の獲得に全力で貢献します」
いかがでしょうか?
1文を区切るだけで読みやすくなりますね。
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ESのクオリティを上げるためには
ここまで読んできて、危機感を持ち始めた方もいるのではないでしょうか? ではどうすれば読みやすいESを書くことができるのか、その方法をお伝えします。
まずは自分が志望する企業の選考で、過去に通過したESの文例を手に入れましょう。最近は実際のES回答例が見られるWebサイトが増えています。選考を通過した文例を見れば、志望企業の合格基準がわかります。
また、過去のESが見られるWebサイトもあります。それを見て志望業界のESで出題された質問を元に、自分もESを書いてみてください。そして書いたESは大学のキャリアセンターの方に添削してもらうとよいでしょう。
「書いては誰かに見せ、改善して、また書く」ということを繰り返すうちに、選考に通過できるほどの文章力が身につくはずです。
そして、ESを書くことは自己分析にもなるため、自己分析に充てる時間も短縮できるでしょう。
ESがなかなか書けないと困ったときは、まずは練習でたくさん書いてみてください。
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