【就活基礎講座 #3】選ばれるESの書き方~志望動機編~

私は長年、就活コンサルタントとして就活生にさまざまなアドバイスをしてきました。連載第1回・第2回でご紹介した「選ばれるESの書き方~自己PR編~」と「ガクチカ編」に引き続き、今回は最も書くのが難しいと言われている志望動機の書き方について学んでいきましょう。

私がお伝えするのは「30分で簡単に書ける」「人気企業の書類選考を通りやすい」方法です。志望動機作りに苦戦している皆さん、ぜひ実践してみてください。

本記事の執筆者
福島 直樹(ふくしま・なおき)

就職コンサルタントとして就職・採用にかかわる執筆、講演活動を行う。また、企業の採用コンサルティングでは、戦略立案、選考実施なども担当。『就職ジャーナル』、『DODA』、東京商工会議所ウェブサイト、NHK、フジテレビ、FM東京、J-WAVE等の番組、CF出演。主な著作は『学歴フィルター』(小学館新書)など28冊。就活漫画『銀のアンカー』(集英社)では監修を担当。年間160回を超える講演を行う。
 

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就活解禁日に半分以上の学生はES提出済み

キャリタス就活2020 学生モニター調査(3.選考試験の受験状況)」によれば、今年3月1日時点でのES提出率は52.0%となっていました。ご存じの通り3月1日は就活スタートの日ですが、すでに半分以上の就活生がESを提出していたことになります(面接の受験率も46.4%)。

就活ルールが形骸化し、動きが大幅に早くなっていることがわかります。
一方で、こんな就活生もいます。

「志望動機が書けなかったので、ESを提出できませんでした」
「志望度の低い企業の志望動機が書けません」

これは非常にもったいない状況です。また、次のように考える就活生もいます。

「志望動機を正直に書くのは人として正しい行動なので、企業の方にも思いが伝わるだろう」
「A社に入りたいという素直な気持ちを、正直に書けば志望動機が完成するはず」

私は毎年、ESに「正直な志望動機」を書く就活生にたくさん会ってきました。もちろん「正直さ」は素晴らしいのですが、採用担当者の身になって考えてみてください。

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志望動機「内在説」は説得力がない

採用担当者はこの時期大量のESを読んでいます。文章だけを見ているのであって、学生を目の前に表情や仕草を見ながら話をするわけではありません。

つまり、あなたがESの質問に対し正直に書いているか、嘘を書いているかはわからないのです。

このような「正直」な志望動機を、私は、志望動機「内在説」と呼んでいます。「自分の内に存在する正直な気持ちを説明する」というものですが、残念ながら説得力に乏しいESが多いのです。例を見て確認してみましょう。
 
<志望動機「内在説」の例>
私は貴社の商品が幼少期から好きで、今でも家族でよく食べます。貴社のチョコレートは競合他社に比べ非常に魅力的で、人を幸せにする力があると思いました。貴社の商品のおかげで私は部活や受験などの厳しい状況を乗り越えることができました。今度は私が貴社に恩返しをしていきたいと思い、第一志望とさせていただいております。ものごとに誠実に取り組むという自分の強みを活かして、商品企画職として貢献する決意です。

この志望動機に対して、多くの面接官は次のように判断します。

「商品が好きというのは志望者として当たり前のことだ」
「ありふれている」
「特に入社したいという強い思いは伝わってこない」

つまり人気企業の選考を通過するのが難しいのです。しかも内在説では、第2志望群(保険をかけるために受ける優先順位の低い企業群)の志望動機が書けません。

では、どうすればいいのでしょうか?

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福島式「やりがい・厳しさシート」で志望動機を作る

志望動機の書き方は何パターンかあるのですが、中でも特に簡単で、選考に通りやすい方法を説明します。
 
以前、私は「1社あたり20分で完成!「時短」でできる企業研究」で、簡単にできる企業研究の方法をお伝えしました。

実はこの記事で紹介した、福島式「やりがい・厳しさシート」を使って志望動機も作ることができます。まずは下の表を見てください。


<福島式 やりがい・厳しさシート>
業界名/職種/企業名
インテリア/販売職/◯◯カンパニー
A:仕事内容
インテリアショップでの販売職
B:仕事のやりがい・企業の魅力
◯◯さんの「以前の店舗のお客様がベッドを購入するために、わざわざ現在の私の店舗まで来てくれ感動した」というコメントからやりがいを知った。
C:仕事の厳しさ・企業の課題
「商品によっては細かなデザインオーダーもあり、一度、カーテンのサイズの発注ミスをした」から仕事の厳しさが想像できた。
D:活かせそうな自分の強み
カフェのアルバイトを通じて養った継続力や打たれ強さがあるので、仕事の厳しさに負けない。

企業の採用HPにある社員インタビューや会社説明会、OB・OG訪問、雑誌や書籍などで得た情報から、「B:仕事のやりがい・企業の魅力」「C:仕事の厳しさ・企業の課題」に該当するものをそれぞれ書いていきます。「D:活かせそうな自分の強み」は自己PR、ガクチカを引用して書いてみましょう。

書き終わったらA→Dの順に文章にするだけです。これだけの作業なので1社あたり30分程度で終わります。

この表に書かれた内容をまとめてみると次のような志望動機が完成します。
 
<例>
私は貴社店舗を以前から利用させていただいており販売職に興味がありました。貴社HPを拝見したところ、◯◯さんのコメント「以前の店舗のお客様が、ベッドを購入するために、わざわざ現在の私の店舗まで来てくれ、信頼されていることを実感し感動した」から仕事のやりがいがわかり第一志望となりました。一方で「大量の商品知識が必要であり、商品によっては細かなデザインのオーダーもあり、一度、カーテンのサイズの発注ミスをした」というコメントから仕事の厳しさが想像できました。私はこの厳しさに負けません。カフェのアルバイトを通じて継続力や打たれ強さを養ってきたからです。自分の強みを活かし貴社に貢献します。(294字)

いかがでしょうか?

最初にA~Dの要素を表に書き込むことで文章に起こしやすくなります。志望動機が思いつかないという人は情報を整理することから始めてみてください。

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採用担当者からの評価が高い2つの理由

このように作られた志望動機に対して、多くの採用担当者は、

「仕事のやりがいだけでなく、厳しさまで調べている。深く企業研究しているから入社意欲は高いのだろう」
「仕事の厳しさを理解したうえで志望しているので、入社後、早期離職することはないだろう」

と判断し、次の2つのメリットを感じます。

・短期的なメリット「入社意欲が高いことから内定辞退はしないだろう」
・長期的なメリット「早期離職しないだろう」

 
しっかり筋の通った志望動機を書くことで書類選考も通りやすくなり、その後の面接も有利に進めることができるはずです。

また、仕事の厳しさを調べることは、あなたにとっても、早期離職のリスクを減らす大きなメリットがあります。

ここまで3回にわたってシンプルで効果的なESの自己PR、ガクチカ、志望動機の書き方を説明しました。誰もが簡単にでき、結果につながりやすい方法なので皆さんぜひ試してみてください。

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