企業の選考では、エントリーシート提出やWebテストの後に行われることが多いグループディスカッション。なかには複数回設定している企業もあります。学生同士の話し合いを企業がなぜ選考として行うのか、選考の基準は何か、しっかり押さえて対策しましょう。
松岡 澄江(まつおか・すみえ)
キャリアコンサルタント。株式会社キャリアポート代表取締役。のべ2000人以上の就活生の相談や就活実践講座、キャリアデザイン講座などを実施しながら就活を支援してきた。就活生から働くひとまで、キャリアカウンセリングや授業・研修を通して自分らしい人生のためのキャリアを考える機会を提供している。著書『自分らしい人生のための働き方・生き方』(セルバ出版)。
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グループディスカッションでは何を見られているの?
グループディスカッション選考で、企業は何を見ているのでしょうか?
選考を実施する理由は大きく分けて2つ。まず学生同士の話し合いでは素顔が出やすくなるので、学生の本来の姿を見ることができます。もう1つは、仕事上でのミーティングや会議での姿を想像でき、チームワークをもって業務を進められるかどうかの判断ができることが、選考の大きな目的です。
採点官がチェックしている主なポイントは以下のとおりです。
1.協調性:チームワークを大切にできるか
2.主体性:積極的に参加しているか
3.コミュニケーション力:メンバーとのコミュニケーションのとり方
4.思考力:課題に即した意見が出せているか
5.マナー:姿勢や態度、マナー
グループ全体に対して、与えられた時間をしっかり管理しつつゴールに向かって進行できるかどうかも、評価に入っていることがあります。
採点官は学生同士の話し合いの様子をかなり細かくチェックしていると思ってください。どんなに素晴らしい意見を出していても、メンバーを無視して話し合いを進めてしまうようでは、一緒に働くことは難しいですね。また、気を抜いて足を組んだりペンを回したりしていては、印象は良くありません。緊張感を持ちつつも、お互いに刺激し合いながら時間内にゴールに向かう意識が重要です。
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役割はやらないと受からない?
グループディスカッションでは、最初に司会(進行)、書記(話し合いをまとめていく)、タイムキーパー(時間管理)の役割分担をしてスタートします。
ときおり学生から、「何か役割を受け持たなければ選考に受からないのか?」という質問を受けますが、役割を受け持ったから受かるというわけではありません。もちろん自ら手を上げて司会をやる積極性はポイントアップになるとは思いますが、きちんと進行できなければ徐々に評価が下がってしまう可能性もあります。
一番大切なのは積極的に話し合いに参加することです。
まず全員が意見を出せるよう気を配りましょう。話していない人がいることに司会が気づいていなければ「〇〇さんの意見も聞きませんか?」と投げかけてみたり、書記がただメモを取っているだけだなと気づいたら、「今まで出た意見は、□□と△△に分類できそうですね」など、役割を持っていなくても話し合いをまとめる手助けをすることはできます。役割を担った人に任せきりにしないという気持ちが大事です。
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ディスカッションにおける「困った!事例」対処法
企業によっては、グループディスカッションの様子を個人単位で採点している場合もあれば、グループ単位で採点している場合もあります。いずれにしても、その選考に対して自分ができることをやる意識が大事です。
ここからは、学生が私に教えてくれた、実際に困ったディスカッション事例とその対処法をお伝えします。
ケース1 司会がグダグダで意見がまとまらない
司会の進行がうまくいってないと気づいたら「時間配分とまとめ方を先に決めませんか?」と提案しましょう。話し合いの手順を決めてしまえば、安全に進行できるようになります。途中ズレていると思ったら、「本題に戻しませんか?」と伝えてあげてください。司会に遠慮しているうちに終わってしまったということがないように積極的に関わる意識が大事です。ケース2 よくしゃべる人が1人で時間を使ってしまった
自分の意見が正しいと主張する人や話が長い人はいます。こういう人がメンバーにいたとき、みんなが聞いている時間が長くなってしまって一向に話し合いが進まなくなります。そんなときは、「お話し中すみません、時間も限られているから結論から話しませんか?」「〇〇さんの意見はこういうことですか?」など、途中で話を遮る勇気をもってください。スタート時に、時間を有効に使うために意見は「1人1分程度で」と決めてタイムキーパーにチェックしてもらうのも1つの方法です。
ケース3 意見が思いつかない!
「みんなの意見がすごすぎて、全然話せなかった。自分だけ置いてきぼりにされた」というケースもありました。意見がすぐに思いつかなかった時は、「〇〇さんの意見、私は~~と思います」と、メンバーの意見に対する感想でもいいので話しましょう。何も話さない人は消極的と思われますし、採点のしようがありません。ケース4 時間が足りない/時間が余る
仕事には時間を管理する意識が大切です。意見が広がりすぎて時間が足りなくなった、意見が出ずに時間が余ったという状況は避けましょう。意見が出ないときは、一度観点を変えてみて話し合いをしたり、テーマに沿った個人の経験を出し合ったりするなど、課題に対する材料を集めていく努力も必要になります。意見が広がりすぎて時間が足りないと感じたら、グループとして何に集中するかを決めてそれを深掘りしてまとめるなど、工夫していきましょう。
グループディスカッションは1人では対策できない選考です。就活ナビサイトの合説会場やハローワークなどでグループディスカッション講座が開催されています。積極的に参加して他大学の学生との他流試合をたくさんすると経験値が上がります。
面接官の着眼点やスムーズに進行するコツを知って、グループディスカッションの選考を乗り切ってください。
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