【人事のホンネ #3】使い回しのESでも通過できる、効果的な書き方とは?

ESを審査しているときに、「これ、使い回しているな」と感じるものが多くあります。しかし、使い回しのESでも通過するものと落ちてしまうものに分けられます。

どうして使い回しでも落ちないのかわかりますか?

今回は私がこれまで就活コンサルタントとして関わった就活生のESの例文を挙げながら、使い回しでも落ちない理由と、使い回しのESでも通過する書き方をお伝えします。

本記事の執筆者

高田 晃一(たかだ・こういち)

就職活動コンサルタント。これまで22,000名以上の就活生の内定獲得を支援。また、採用活動コンサルタントとして、日本全国さまざまな規模の企業の新卒採用活動の支援も行っている。著書に『2万2000人超を導いた就活コンサルタントが教える これだけ!内定』(あさ出版)、『188社落ちても内定とれた!大逆転の就活攻略法』(同文舘出版)。

 

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企業の「採りたい人物像」に沿った書き方に

私は就活生にESの書き方を教えたり、添削のサービスもしていますが、就活生には「どこの会社でも通じる自己PRを書けるようになってください」と伝えています。

これはつまり 「ESは使い回しの文でもOK」ということです。

しかし、そこに到達するまでには一定の練習が必要です。ESの質問を見ると、自己PRに関する質問と志望動機に関する質問に大別されます。

志望動機に関する質問は会社ごとに多少文面を変えなくてはなりません。しかし、自己PRに関する質問は使い回しができます。下の例文をご覧ください。
 
私の強みは人のために尽力できるところです。アルバイトでチョコレートを販売していたとき、甘いものを好まない孫にもバレンタインにチョコレートをあげたいというお婆さんがいました。私はお婆さんの想いを叶えることによって、君に相談して良かったという想いで、満足してほしいと思いました。そこで当店の甘さを控えた商品を味わって頂き、他の気になるチョコレート店にも一緒に尋ねて回りましたが、最後は私の店に決めてくれました。勧めた商品に満足して、自分の名前を覚えて頂いたときにはやりがいを感じました。将来この強みを活かすことで、個人や法人のお客様のために尽力し、十分満足のできるサービスを提供します。(285字)

この自己PRを書いた学生は、内容を一言一句変えることなく全日空や三菱UFJ銀行など超有名企業6社のES選考を通過し、6社とも内定獲得に至りました。

では、どうしてこの学生は同じ内容のESで選考通過ができたのでしょうか?

理由は2つあります。 1つ目はESで300字以内の自己PRを書く会社だけを選んだため。そして2つ目は、内定を得た6社には共通する「求める人物像」があり、この文章の内容に合っていたためです。

特に2つ目の「人物像に合っているかどうか」はESの判断基準において重要なポイントです。企業がどのように採りたい人物像を決めているのかは、連載第2回の記事(【人事のホンネ #2】ESの質問はどうやって決めているの?採用コンサルに聞いてみた)で説明しているので、そちらを読んでみてください。

企業研究を進めていくと、その会社の求めている人物像が分かってきます。なので、あなたの自己PRから読み取れる人物像と企業が求める人物像が合っていれば、どの会社に使い回しても大丈夫です。

企業側が「使い回しているな」と感じてしまうのは、人物像とESの内容が合致していないときです。この合致していないことで生まれる違和感こそ、「使い回している」と感じさせる原因になります。

さらに、「企業が知りたいことと回答が微妙にずれている」ということも使い回しのESが落ちる原因の1つです。分かりやすい例で言うと、「ガクチカを書く欄に自己PRを書いている」ことが挙げられます。

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必ずしも全てコピペできるわけではない

また、ガクチカで次のように細かく聞く企業もありますが、この場合は使い回しでは対応できません。


「学生時代に最も力を入れた取り組みで感じた課題や問題、および感じたきっかけ・背景について教えてください。また、その後どのような行動を取ったのかについても教えてください」

この質問に対して使い回しのガクチカを書いてしまうと、聞きたい内容が含まれていないため「使い回ししているな」と判断されてしまいます。

ベースとなるエピソードは使い回して大丈夫ですが、企業の質問に合わせて微妙に表現を変えるようにしましょう。

特にガクチカに関するお題で重要なのは、先ほどの「感じた課題や問題」「感じたきっかけ・背景」「その後どのような行動を取ったのか」のように、書かなければならない項目を掴むことです。ベースとなるエピソードを使って、回答できるように徹底的にわかりやすく書き換えるようにしましょう。

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志望動機は同じ「型」で書く

では、志望動機はどう書けばよいでしょうか?

最初に「志望動機は使い回せない」とお話ししましたが、書くときの「型」は使い回せます。次のような流れで書くとよいでしょう。

1. 結論
2. その会社にまつわるエピソードや会社選びの基準
3. この会社でなくてはならない理由
4. 入社後の抱負


1~4の流れで書いてみると次のような志望動機になります。
 
企業選択のポイントは製品を通じて健康を提供できるかです。両親が障害を抱えていたため、幼少から健康であるために栄養バランスの良い食生活を心がけてきました。今後は、製品を通じて多くの方の健康で豊かな生活に貢献したいです。そのため心とからだの健康に役立ちたいという貴社の考えに深く共感し、関心を持ちました。また向上心が強いため、少数精鋭で若いうちから様々な仕事に挑戦できる点にも魅力を感じています。(カルピス内定者)

では、この文章を各項目ごとに分解してみましょう。

1. 結論
「企業選択のポイントは製品を通じて健康を提供できるかです」

2. 会社にまつわるエピソードや会社選びの基準
「両親が障害を抱えていたため、幼少から健康であるために栄養バランスの良い食生活を心がけてきました。今後は、製品を通じて多くの方の健康で豊かな生活に貢献したいです」

3. その会社でなくてはならない理由
「そのため心とからだの健康に役立ちたいという貴社の考えに深く共感し、関心を持ちました」

4. 入社後の抱負
「向上心が強いため、少数精鋭で若いうちから様々な仕事に挑戦できる点にも魅力を感じています」

志望動機に苦労している人は、 まずこの1~4について書き出したあとに文章に組み立てていってください。また、この「型」を使って別の会社の志望動機を書くと、次のようになります。
 
私の企業選択のポイントは、地域社会に貢献できているかです。高校在学時から区のボランティア活動を行ってきたことから「地域が新しい日本を作る」と感じ、地域社会に貢献したいと考えました。貴社は地域のランドマークになる施設を多く作ってきた実績から、強く志望しています。また向上心が強いため、若いうちからたくさんの仕事に挑戦できる点にも魅力を感じています。(大成建設内定者)

このように筋の通った志望動機が完成します。

ESを1社1社丁寧に書き上げるとなると、かなり時間がかかってしまいます。そのため就活生は同じ内容で提出してしまいがちです。どうせなら使い回しでも通過できる書き方に直し、ES通過率を上げていってください。

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