このページのまとめ
- 建設業界とは、住宅などの建造物や道路を造る仕事
- 建設業界には、デベロッパーやゼネコンなどの業種がある
- 建設業界の職種には施工管理や設計、研究開発などがある
本記事の執筆者
榑林宏之(くればやし・ひろゆき)
一級建築士・防災アドバイザー
中堅ゼネコン設計部を経て独立、一級建築士として活動。都市環境設計(再開発プロジェクトや市区町村主導の駅前開発)」「各種建築設計(展示・観光施設、宿泊施設、集合住宅など)」などに携わる。BAUMPLANNING一級建築士事務所代表。
「建設業界ってどのような仕事をしているの?」「建設業界の職種には何がある?」などと気になる就活生もいるでしょう。建設業界とは、住宅などの建造物を造る業界です。具体的には、施工管理や職人などの仕事があります。
この記事では、就活に向けて知っておきたい建設業界の概要をまとめました。最後まで読めば建設業界への理解が深まり、就活対策ができるようになります。
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建設業界とは建造物や道路を造る仕事
建設業界とは、建造物や道路、住宅などを作る仕事です。人々が住んでいるマンションや、歩いている道路、トンネルなども建設業界が作っています。
建設業界は、主に「建築分野」と「土木分野」に分けられます。扱う内容が異なるものの、依頼を受けて建造物などを作る点において同じです。
「建築業界」との違い
建設業界と建築業界は少し違うため、どのような点で異なるか知っておきましょう。建設業界は建物だけではなく、道路など幅広い分野の建設を行う仕事です。
総務省の分類によると、建設業界は以下の3つを行う業界とされています。
・建築物や土木施設などの設備を新設、改造、修繕、解体、移設する
・土地や航路、流路などを改良、造成する
・機械装置を据え付け、解体や移設をする
一方で、建築業界では、建築物を新築したり改築したりします。建物の建築に関わることがメインであり、道路などは含まれないケースが一般的です。
参照元
総務省
大分類D-建 設 業
人手不足で就職しやすい傾向にある
建設業界は人手不足に悩まされており、就職を目指しやすい業界です。
キャリアチケットの「【2023年10月実施】25卒学生の就活状況についての調査」によると、建築や土木の職種を目指したいと答えた就活生は1%で、人気が低めだと分かります。
ただし、建設業界のなかでも大手企業や有名企業は人気な傾向です。すべての企業で就職しやすいわけではないので、気をつけてください。
参照元
キャリアチケット
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建設業界の業種
建設業界の業種には、デベロッパーやゼネコンなどがあります。4つの業種を紹介するので、就活に向けて参考にしてください。
デベロッパー
デベロッパーとは、街や地域を開発していく仕事です。マンションやビルの建造、街全体の不動産を作っていくことで、その地域を発展させます。
デベロッパーが担当する範囲は幅広く、どのように街を発展させていくかの「企画」、発展させる土地の「仕入れ」、発展させた土地の「販売」なども担当です。
デベロッパーには「専門デベロッパー」と「総合デベロッパー」もあるので、企業に応募する際はどちらがよいかも調べておきましょう。
ゼネコン
ゼネコンとは、工事を請け負い、実行する仕事のことです。「ゼネラルコンストラクター」の略であり、日本語では総合建設業を意味します。
ゼネコンは、工事全般を担当するのが一般的です。たとえば、住宅であれば基礎工事から設備工事、内装工事まで実施します。
ただし、すべての作業をゼネコンがやるわけではなく、「サブコン」と呼ばれる企業に依頼して作業を進めていきます。ゼネコンが指示・管理役、サブコンが実行部隊と考えるとイメージしやすいでしょう。
ゼネコンについては「ゼネコンに就職したい就活生向け!仕事内容や必要な就活準備を解説」の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
ハウスメーカー
ハウスメーカーとは、住宅を建設する会社のことです。住宅の建造はもちろん、リフォームや賃貸業なども手がけるケースがあります。
ハウスメーカーの特徴は、建造だけではなく販売も実施する点です。住宅展示場などで営業が契約を獲得し、お客さまの住む家を建設する場合もあります。
ハウスメーカーについては、「ハウスメーカーとは?就職活動に向けて職種や仕事内容を解説!」の記事も参考にしてください。
工務店
工務店も住宅に特化している建設業です。オーダーメイドの家づくりを得意としており、お客さまの希望に合わせて建設を行います。
ゼネコンのように大きな建造物を作ることは少なく、基本的には住宅がメインです。ハウスメーカーはある程度決まった規格の住宅を建造しますが、工務店はお客さまごとに合わせて作る点も違いといえるでしょう。
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建設業界の職種
建設業界には職人や施工管理、研究開発などさまざまな職種があります。実際に建造物を作る以外にも仕事はあるので、どのような職種があるのかを知っておきましょう。
施工管理
施工管理は、工事全体の管理や指示を行う仕事です。スケジュールどおりに進めたり、安全や品質を管理したりなどの仕事を行います。
建設は長期間になることもありますが、いつまでに、どの程度まで建設を進めていくかの管理は重要です。問題なく作業を進める計画性や、現場に指示するコミュニケーション能力などが求められます。
設計
設計は、建造物をどのように作るかを考える仕事です。現場が建造を実現できるように図面を作成します。
仕事によっては、顧客からの要望に合わせて設計を行うこともあるようです。ニーズに答えることはもちろん、安全性や利便性なども考えてどのような建造物にするかを決めます。
職人
設計された図面をもとに、現場で建設の仕事を行うのが職人です。職人には、以下のような種類があります。
・大工:建造物を建てる
・配管工:水道の配管を行う
・塗装工:建造物の塗装を行う
・内装工:建造物の内装を作る
実際に現場で建造する人材であり、技術が求められます。
研究開発
研究開発は、新しい技術を作り出す仕事です。業界に必要な新しい技術を考え、実現させるように考えています。
近年では建設業界もIT化が進んでおり、ITを使った技術開発が盛んです。より便利に、安全に建設ができるように、研究開発の力が欠かせません。
営業
営業は顧客を見つけ、住宅の販売や建造物の受注を行う仕事です。顧客がいなければ、職人がいても、技術があっても建設ができません。
たとえば、ハウスメーカーや公務員は住宅を購入するお客さまを見つけ、契約して住宅を建設します。また、契約を結ぶだけではなく、購入後のアフターフォローも営業の仕事です。
事務
事務は書類作成や総務、経理などを行う職種です。一般的な企業の事務と特に仕事は変わりません。
作業は基本的にパソコンを使って行うため、PCスキルを求められる傾向にあります。就活で求められるPCスキルについては、「就活で問われる「PCスキル」ってなに?具体例や証明に便利な資格を紹介」の記事を参考にしてください。
運用・保守
建造した建物の運用や保守も建設業界での仕事です。建造物に問題はないか、設備は動いているか、不具合はないかなどを確認します。
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建設業界の現状や将来性
建設業界の現状や将来性についても確認しておきましょう。
業界的には横ばいの売上をしている
建設業界の売上は、横ばいを続けています。国土交通省の「完成工事高(建設工事による売上高)」によると、2010年までは減少傾向でしたが、以降は大きな変化はありません。
引用:国土交通省「建設工事施工統計調査報告」
売上が大きく変わる要因も想定されていないことから、横ばいが続くと考えられています。
参照元
国土交通省
建設工事施工統計調査報告(平成29年度実績)
住宅建設は衰退の可能性がある
住宅建設は衰退していく可能性があります。国民に対して住宅が供給過多になっており、空き家が増えていくと考えられているからです。
一方で、「道路・橋梁などの土木工事」は、耐用年数が経過している道路や橋梁が数多くあります。「首都高速」などの大規模修繕が始まっており、今後も土木の公共工事数は減ることはなく、さらに増加するでしょう。
景気によっても左右されやすい
「建設工事部門」と「土木工事部門」によって、驚異(リスク)となる要素も異なります。建設投資の内訳を見てみると、「建設工事」の民間受注は8割を超えている状況です。
しかし、「土木工事」は公共受注が8割を超えています。
引用:国土交通省「建設産業の現状と課題」
建設工事は、国内の景気動向に大きく左右されます。景気が悪化すると、各企業の設備投資が最初に削減されてしまうのです。
参照元
国土交通省
建設産業の現状と課題
政府の方針によっても変わる場合がある
建設業界の売り上げは、政府の方針によっても変わる場合があります。公共事業を積極的に進めている段階では仕事が多く、売り上げに影響はありません。
しかし、政権交代などで政府の方針が変わり、公共事業への取り組みが少なくなる場合もあります。そうすると、工事件数や売り上げが減るため、政府方針の影響が大きい業界といえるでしょう。
業界の動向について知るためには、業界研究が大切です。業界研究の方法を「業界研究、おすすめの方法は?これから就活を始める人へ」の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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建設業界で求められるスキル
建設業界では、コミュニケーション能力や計画性などが評価されています。建設業界が求めるスキルについて紹介するので、就活でのアピールに向けて参考にしてください。
コミュニケーション能力
建設は多くの人々が協力して行う仕事であり、コミュニケーション能力が欠かせません。どの職種を目指す場合でも、必要とされる能力です。
たとえば、施工管理は現場とコミュニケーションをとり、スケジュールどおりに仕事を進める必要があります。設計でも顧客と話し合い、ニーズを満たしながらどのような設計にするか考えなければなりません。
周囲と協力して仕事を進められるコミュニケーション能力は、採用担当者に高く評価されるでしょう。就活でコミュニケーション能力をアピールするコツについては、「自己PRでコミュニケーション能力を伝える方法は?具体化のポイントを解説」を参考にしてください。
体力
建設業界の現場で働くためには体力が欠かせません。力仕事も多く、毎日建設を行っても問題ない体力が必要です。
また、施工管理の場合は現場とデスクワークの両方を行います。どの業務でもこなせるタフさは評価されるでしょう。
計画性
工事開始から完成までを進める、計画性も重要です。建造物は数ヶ月、数年かけて建てるものであり、計画性がなければ予定どおりの完成までたどり着きません。
長期的な計画性はもちろん、日々の仕事量を落とし込んで作業を進める必要があります。
責任感
建造物の完成までやり遂げる、責任感も必要な能力です。顧客から任された依頼を途中で投げ出すことはできないからです。
期間が長く、関わる人も多いことから、うまくいかない場面も出てきます。苦しいときでもあきらめず、完成までやり遂げる責任感は評価されます。
危機管理能力
現場作業は安全確認が重要であり、危機管理能力が欠かせません。建設中の事故や従業員の体調管理など、注意すべき場面はいくつもあります。
現場を見て細かな異変に気づくのはもちろん、あらかじめリスクに対して備える能力も必要です。事故を未然に防ぎ、安全に仕事を進められる人は建設業界に向いているでしょう。
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本記事の監修者
淺田真奈(あさだまな)
大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。