建設(ゼネコン)業界の現状と今後の動向について

このページのまとめ

  • 建設業界の市場規模は今後10年は横ばいで推移する見通し
  • 特定分野では浮き沈みが見られ、住宅では供給過多による需要減、道路では大規模修繕による需要増などが見込まれる
  • 建設工事は国内景気に、土木工事は政府方針に大きく左右される

本記事の執筆者

榑林宏之(くればやし・ひろゆき)

一級建築士・防災アドバイザー

中堅ゼネコン設計部を経て独立、一級建築士として活動。都市環境設計(再開発プロジェクトや市区町村主導の駅前開発)」「各種建築設計(展示・観光施設、宿泊施設、集合住宅など)」などに携わる。BAUMPLANNING一級建築士事務所代表。



 

大規模な建築物を手がける建設業界

ゼネコンとは、土木・建築工事のすべてを請け負う総合建設業者のことです。大規模な地域・都市の開発、土木工作物(橋梁など)の施工、建築物の施工などを担っています。建設(ゼネコン)業界といっても、企業やプロジェクトの規模によって仕事は多岐に渡ります。自分がどの分野で活躍したいのかを明確にするためにも、業界についての知識を身につけておきましょう。



 

ゼネコンの本質は土木・建設工事を請け負うこと

ゼネコンは、建設業界の業態のひとつです。総合建設業者として、土地開発(土地造成)から土地工作物・建設物の施工に至るまで、トータルに携わることもあれば、部分的に携わることもあります。いずれにしても、多種多様な下請け企業や関連業者と連携することで、ひとつのプロジェクトを成し遂げる「組織的業務」が中心となっています。

最近では、中小規模のゼネコンの場合、特化型の事業展開を行うことが増えています。公共工事に特化、マンション工事に特化、地域づくりに特化など、その分野はさまざまです。

収益の基本は、請負工事(土木・建築)の受注です。ゼネコンによっては自らがディベロッパーとして土地建物の販売収益(マンション販売など)を得ているケースもあります。しかし、ゼネコンの本質は「土木・建設工事を請け負うこと」という認識を持っておきましょう。
「土木工事」と「建設工事」のどちらも設計図をもとに建造物をつくる作業ですが、現場ではそれぞれ違う認識を持たれることが多いようです。
 
建設工事は住宅やビル、マンションなどの構造物、土木工事はダムやトンネル、道路などが業務領域となっています。


全体的には横ばいだが、分野によって浮き沈みあり

業界の現状について統計データを確認してみましょう。まず、過去20年間の「完成工事高(建設工事による売上高)」を見てみます。2010年まで減少傾向にありましたが、ここ数年はあまり大きな変動がみられず、変動要因もあまりないため上高は少なくとも今後10年は横ばい傾向で推移していくと考えられます。

出所:国土交通省

しかし、特定分野(要素)に絞っていくと、要素ごとに事情は少し異なります。たとえば、「住宅建設」については、現時点ですでに「供給過多」になっており、今後は空き家が加速度的に増加していくと考えられます。そのため、新しい住宅建設の需要は低下。今後、「住宅」に関する新しい政策や価値観が生まれない限り、衰退傾向になる可能性があります。

逆に、「道路・橋梁などの土木工事」については、耐用年数が経過している道路や橋梁がたくさんあります。「首都高速」などの大規模修繕が始まっており、今後も土木の公共工事数は減ることはなく、さらに増加する可能性があります(予算との兼ね合いがあるものの需要は確実にあり)。

このように、ゼネコンを含む建設業界の売上高は全体的には横ばいにはなりますが、特定分野への注力や、企業の特性によって、浮き沈みの状況が異なっていくと考えられます。

出所:国土交通省

また、「建設工事部門」と「土木工事部門」によって、驚異(リスク)となる要素も異なってきます。上記のグラフを見てください。現状、「建設工事」の民間受注は8割を超えています。しかし、反対に「土木工事」は公共受注が8割を超えています。

建設工事は、国内の景気動向に大きく左右されます。景気が悪化すると、各企業の設備投資が最初に削減されてしまします。

土木工事は、政府方針に大きく左右されます。公共事業を積極的に推し進めているときは問題ありませんが、政権交代などに伴い、公共事業に関する考え方が180度転換される可能性が大きくあります。そうなれば、突然の受注減少に見舞われることもあるでしょう。



 

建設(ゼネコン)業界に就職するうえで意識したい2つのポイント

ゼネコンに就職するうえで、意識したいポイントは下記の2点です。

1)ゼネコンの企業規模で判断しない

就職先を考えるうえで重要なのは、企業の大きさで決めないことです。先に説明したとおり、ゼネコンは得意分野や政治・経済による影響を受けやすい業界。そのため、「得意分野はあるのか」「どんな分野が得意なのか」「今後、注力していく分野はあるのか」「独自の技術を有しているのか」といった、各企業の個性を見極めましょう。

2)どのようなフィールドで活躍したいかを考える

ゼネコンの内部でもさまざまな部門に分かれています。施工部門、設計部門、営業部門、管理部門、それぞれの仕事内容や必要な技能、働き方などが大きく異なります。それぞれの役割が連動することで、ひとつの建物がつくられるのです。建設業界・ゼネコンといった枠組みで判断するのではなく、自分がどのようなフィールドで活躍したいかを念頭に置きましょう。



 

私たちの暮らしに大きな影響を与えるモノづくり

建設(ゼネコン)業界、広い意味で建設業界の仕事は、社会環境(都市計画など)に大きな影響を与え、数十年単位で存在し続けるモノづくりに携わることができます。

「あの橋は自分が手がけた」
「あのタワーマンションをつくった」
「あの街並みを作り上げた」

そんな、仕事の成果をはっきりと自覚できるのが最大の魅力といえるでしょう。しかし、その反面、手抜きや妥協による大きな問題を生じさせてしまったときは、長きに渡って信頼感の失墜が起こる恐れもあります。そんな自覚をもっておくことが大切です。
 
社会に大きな影響を与えるというプロ意識のもとで、地図に残るモノづくりに挑戦していただければと思います。



 

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