【お仕事図鑑】法務は会社全体を見渡す仕事。大きな取組みすべてに関われる

【お仕事図鑑】法務は会社全体を見渡す仕事。大きな取組みすべてに関われるのイメージ

就活生にとって、実際に働くイメージを持つのは難しいもの。そこで、キャリアチケットの「お仕事図鑑」では、実際に会社で活躍している方のインタビューを通じて、仕事に関するリアルな声をお伝えしていきます。今回お話を聞いたのは、ネスレ日本株式会社で法務のお仕事を行う桝本さん。法務のお仕事の業務内容や、やりがいについてお伺いしました。

ネスレ日本株式会社
法務部 桝本啓介(ますもと・けいすけ)さん

理系の大学院を卒業後、ネスレ日本株式会社に新卒入社。製造プロセスのエンジニアとして5年勤務した後、法務部に異動。現在法務部4年目。

 

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リーガルテックに携われることに、強くやりがいを感じる


ーー法務部の仕事内容について教えてください。

法務部全体としては、法律・取引についての相談、消費者とのコミュニケーションの相談、法的知識の社内啓蒙といった業務を担っています。その中で私が携わっているのは、主に契約書の管理や契約内容のレビュー、消費者に対するネスレのキャンペーンやメール内容を法的な観点からチェックすることなどです。新しいプロジェクトが立ち上がる際には、そのプロジェクトに沿った特別な契約書を作ることもあるのですが、そのときは事業部の社員たちと「ああでもない、こうでもない」と話し合いながら内容を固めていきますね。あとは、法務業務の改善も大切な業務の1つです。

ーー 法務業務の改善というのは、どういったことするのでしょうか? 

現在は、リーガルテックという観点で、法務業務を改善できないか取り組んでいますリーガルテックというのは、簡単にいえば法務業務にITを取り入れたシステムのことですね。リーガルテックを利用することで、これまでのアナログな法務業務を、効率的なフローに改善していくことができるのです。ネスレではリーガルテックに積極的に取り組み、どのように取り入れるか検討する時間を多く設けていますね。

ーーリーガルテックに関して、具体的な事例はありますか?

契約の締結をWeb上で完結できるサービスがあって、それはすでに取り入れています。そのほかには、AIを使って契約書をレビューするサービスの導入を検討しています。これは、AIが「この条項は不利になる」「重要な条項が抜けているが入れなくて本当に良いのか」と契約書の内容をチェックしてくれるものです。ただ、それをそのまま取り入れるだけでは自社の業務としてはうまく回らないことがあるので、AIをどのように業務フローに落とし込むか、ということを日々考えていますね。

ーー桝本さんの1日のタイムスケジュールについて教えてください。

1日のうち、大体半分ぐらいの時間を契約関係のレビューや、消費者向けのキャンペーン関係の法務チェックにあてています。残りの4分の1は契約書の管理ですね。書類に会社の印鑑を押印したり、 期限が切れそうな契約がないか確認したり。そして、残りの1/4を法務業務の改善に使っているというイメージです。
 

ーー法務の仕事を行うにあたって、必要なスキルや求められる能力は何ですか? 

正直なところ、スキルや資格など、特別な能力はあまり必要ないと思っているんですよね。実際、私はもともと理系の学部出身なので、法務の業界に入ったときは本当に何もわからない状態だったのですが、 それでも、今はしっかりとやらせていただいているので。ただ、向いている性格として、勉強することに抵抗がないようであれば良いと思いますね。あとは、書類は絶対に目を通さないといけないので、書類を細かく読み込むことに抵抗がない、といった点でも相性はあると思います。

ーー法務における勉強とは、どのようなことをするのでしょうか。 

一番基本になるのが民法を勉強することですね。そのほかには、先ほどいったリーガルテックの最新情報のチェックなども行っています。体系的に何かを勉強するというよりは、今その場において求められていることの知識を深めることが大事ですね

ーー法務の仕事のやりがいは?

他事業部の社員に感謝されることですね。大きなプロジェクトを動かす際は、ほぼ必ず契約の話や、そのプロジェクトを進めるにあたって法律的に問題ないか、事業部から直接相談を受けます。 いろいろ提案した結果、「すごくうまくいった」と言ってもらえると、やって良かったなとやりがいを感じますね。

あともう1つは、先程お話ししたリーガルテックに携われることです。ネスレに限らず、法務ってこれまで基本的に紙が中心のアナログの世界だったんですよ。それがここ数年で本当に劇的に変化していて、その変化の中で、自分たちが何を利用して、どううまく業務プロセスを適合させていくかを検討していくのが本当に面白いです。やりがいのある仕事だと強く感じています。

ーー逆に、つらいこともあるのでしょうか?

やはり法務部は別の部署をサポートすることが役目なので、自分だけでは仕事量を調整しづらい部分はあります。次から次に仕事が来ることもあるので、そこにつらさを感じるときもありますね。業務量は上司が最大限コントロールしてくれているので問題になることはないのですが、自分で業務量をコントロールするのが難しいという意味で、大変ですかね。
 

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法務部は、会社の大きな取り組みすべてに携われる

ーー桝本さんの経歴について教えてください。新卒時代はどのような就職活動をされていたのですか? 

大学時代は機械系の大学院に所属していたので、まずは電機業界を志望していました。そして、それとは別に食品業界にも興味があって、2つをメインに考えていました。

ーーなぜ食品業界に興味を持たれたのですか? 

純粋に好きだったというのが大きいですね。食品の中で特に嗜好品に興味があり、食品業界を志望していました。食品業界は「好きなこと軸」で、電機業界の方は「できること軸」というイメージです。 

ーー就活時代に意識していたことはありますか?

一般的な方法になるとは思うのですが、自分が本当に何をしたいのか、というのはかなり強く意識していました。自分がそもそもどんな能力を持っているのか、 自分が何をしたいのかということを、自己分析をしてかなり深く掘り下げたうえで就職活動に挑んでいました。
 
ーーネスレ日本に就職を決めた理由を教えてください。

「ネスカフェ」や「キットカット」など昔からの強いブランドを持ちながら、イノベーティブで新しい取り組みも行っていることでしたね。それを外から見たり聞いたりして感じることができたので、面白そうなことにチャレンジさせてくれそうだな、と感じたのが決め手です。

ーー入社前と入社後でイメージの違いを感じたことはありますか?

ネスレは外資系企業なので、実力主義で競争が激しいような、冷たいイメージを入社前は持っていたんですよ。でも、いざ実際に入社してみたらクールな人はあまりいない。結構熱い人が多くて、 それはいい意味で大きなギャップを感じました。

ーー最初に配属された部署は?

生産本部です。自社工場で、いわゆる製造プロセスのエンジニアとして働きはじめました。業務内容としては、新しい製品を作る際の新しい設備や製造ラインの設計部分を主に担当していました。それを5年間続けていましたね。

ーー法務部に異動を希望した理由や経緯について教えてください。

会社全体と幅広く関わることができる部署に異動したかったことと、もともと勉強するのが好きで新しい分野にチャレンジしてみたい気持ちがあったこと、その2点です。

ネスレには社内公募制度があるのですが、たまたま法務部に異動したい社員を募る案内があり、思い切ってそれに応募しました。工場での仕事も面白かったのですが、当時は目の前のことしかあまり見えてない実感があったんですよ。いまこうやって機械を入れたりしているけど、それが会社全体としてどういう影響を与えているかというのが、自分の中では当時あまり見えていなかったんです。そのときから、視野を広くしたい、会社全体幅広く関わることができる職種が面白そう、と思い始めていたんですよね。

ーー実際に法務部に異動してみていかがでしたでしょうか。

まさに考えていた通りでしたね。法務部って会社全体に関わることができるんですよ。契約書を結ぶ際は必ず私の確認が入るフローになっているので、本当にすべての契約書を見ることになる。会社の取り組みの中には必ず契約書が存在するので、そういう意味で本当に大きな施策まですべてに携われていると思いますね。

ーー5年後、10年後といったスパンで、キャリアの展望についてお聞かせください。

法務で得た知識をもって違う部署に行くという考え方もあると思いますが、私は法務として貫きたいと思っています。そのうえで、リーガルテックをうまく扱っている企業はネスレだと思ってもらえるような、リーガルテックにうまく適応した法務体制を作っていける人物になりたいですね。

それと、もともと理系ということもあって知的財産に関して興味があるので、知的財産に関する知識を深めていきたいとも思っています。基本的な契約関連の知識とリーガルテック、そして知的財産の3つにおけるスペシャリストとして活躍していきたいですね。 

ーー桝本さんのように、 法務部に就きたいと考えている就活生の方にアドバイスするとしたらどんなことがあるでしょう?

法務部というのは会社によってカラーが全然違うと感じています。ですので、あらかじめその会社の法務部がどんな仕事をしているか、どんな雰囲気なのか、OB訪問などで可能な限りその会社の法務部の雰囲気を把握しようと努めておくと良いと思います。あとは、 リーガルテックの情報をキャッチすることですね。リーガルテックはまだ導入してない会社もたくさんあるのですが、これから必ず来ると私は考えています。リーガルテックのトレンドを把握しておくと、おそらく就活に活きるのではないかと思いますよ。


写真:株式会社アートシーン

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