就活生の皆さんの中には「やりたい仕事がわからない」とお悩みの方も多いはず。キャリアチケットの「お仕事図鑑」では、さまざまな職種の仕事内容について掘り下げてインタビューしていきます。
今回お話を聞いたのは、塗料や樹脂を扱う藤倉化成株式会社で法人営業として活躍するR・Kさん。普段どのような仕事をしているのか、やりがいや大変なことについてもお聞きしました。
<Profile>
藤倉化成株式会社
コーティング事業部 営業部 営業三課
R・Kさん
新卒で藤倉化成株式会社に入社、現在4年目。大学時代は漠然と営業を志す中、選考途中に出会った先輩社員の熱い人柄に惹かれ入社。自動車から化粧品容器、家電などに使用されているコーティング材の営業を担当している。
藤倉化成株式会社
「ともに挑み ともに繋ぐ」を経営理念に掲げ、化学メーカーとしてアクリル樹脂派生製品を主力製品にコーティング・塗料・電子材料・化成品の4事業を柱とし、自動車から最先端の電子機器まで幅広い分野で高機能・高付加価値な塗料や樹脂材料を提供する。https://www.fkkasei.co.jp/
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お客様と技術者との考えをすり合わせながら一緒に製品を創っていく
――Kさんの仕事内容について教えてください。
私が所属する部署ではプラスチック用コーティング材の開発や販売を行っており、営業の中には大きく自動車向け内外装部品用塗料を担当する部署と、自動車向け以外を担当する部署があります。私は自動車向け以外を担当する部署におり、その中でも主に家電や化粧品容器などを担当しています。
例えば化粧品容器の場合、容器に高級感を出すために金属のメッキのようなキラキラした素材を付けるのですが、それを付着させるために塗料は欠かせないんです。プラスチックは軽いのがメリットですが、ガラスに比べると見た目がチープに見えてしまいますよね。そこで、弊社の塗料を用いてキラキラした素材を貼り付けることで、ガラスにも劣らない高級感を出すことができるんです。
取引先の企業は容器にコーティングを行う加工メーカーや塗装メーカーなどがメインで、営業は日々、取引先に対して商品についての提案を行っています。
――営業の仕事はやはり外出が多いのでしょうか。
1ヶ月のうち半分以上は取引先を訪問しています。私が担当するお客様の工場は北関東に多くあるので、出向いた日は基本的に直行直帰が多いですね。1社あたり1~2ヶ月に1回ほど訪問して新商品の説明をしたり、すでに使用していただいている塗料で困っていることはないかをヒアリングしたりします。
基本は「ルート営業」と呼ばれる、自分が担当する取引先を訪問するスタイルですね。ただしホームページから問い合わせがあった場合や、紹介があった場合、展示会で出会った企業様からの引き合いがあった場合には新規のお客様を訪問します。新規の営業は問い合わせをいただいた場合が基本なので、私はまだいわゆる「飛び込み営業」を経験したことはありません。
――取引先に訪問しない日はどんなことをしているんですか?
弊社には塗料を開発する研究所があるので、営業先から持ち帰ってきた案件を技術者に相談しに行くことが多いですね。
先日、取引先の方から「新製品を作るにあたって金属にも塗料を塗りたい」というご要望をいただいたことがありました。私が担当する塗料は基本的にはプラスチック用なので、金属には適していません。そういった場合は一旦話を持ち帰って、研究所で技術者と相談するんです。「ゼロからの開発になるのか」、あるいは「既存の塗料をベースに新たに開発できるのか」を相談し、お客様の要望に応えられるかどうかを一緒に検討していきます。
――営業の仕事でやりがいを感じるのはどのようなことでしょうか?
やはり、自分が関わった製品が完成したときはやりがいを感じます。以前、縁あって自動車のメーター周りのパーツ用塗料を担当したときがありました。その自動車が「東京モーターショー」で展示されていると聞いたので共に開発に携わった技術担当者と見に行ったんです。展示されている自動車を見たときはテンションが上がりましたし、技術担当者とも一緒に喜びを分かち合いましたね。
――逆に、営業の仕事で大変だなと思うことはどのようなことですか?
営業が間に立って調整を行わなければならない場面が多く、それに伴って細かな業務が発生するときですね。
例えば、取引先からのオーダーでオリジナルの塗料を生産する場合、まずは調色工場に依頼します。調色工場で出した色をお客様に確認していただき、OKがもらえたら社内のデータベースに塗料の名前や原価、販売価格の登録依頼を各担当部署にする……そういった事務的な作業も営業が行うんです。さらに、在庫がなくなり追加で生産する必要があれば、また製造現場の担当者とスケジュールの調整が必要になります。細かな調整業務や事務作業が発生するのは大変かもしれません。
――今後の仕事の展望を教えてください。
弊社は海外にも拠点があるので、近いうちに海外赴任もしてみたいです!
弊社の海外拠点は東南アジアに多いのですが、国内における営業担当の区分けとは異なり、自動車向けもそのほかも部署内で取り扱うすべての分野の製品を担当することができるんです。扱うジャンルが増えれば増えるほど成長できると思うので、海外での営業経験も積みたいですね。
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就活生へのアドバイスは、BtoB企業も視野に入れること
――Kさんが就活をしていたとき、もともと営業で受けようと考えていたんですか?
文系の大学だったので、漠然と「営業かな」と考えて探していました。そこまで「これがやりたい!」という気持ちはなかったのでいろいろな会社を見ていたんです。そんな中見つけたのがこの藤倉化成という会社で、社員と話してみたらとにかく良い人で、ここなら自分に合いそうだなと思ったので入社しました。
――就活生に就活のアドバイスをお願いします。
学生のときはイメージしづらいかもしれないですが、BtoB(※1)の企業も視野に入れて考えてほしいですね。学生はどうしても大手企業や名前を知っているBtoC(※2)の企業に目が行きがちですが、名前は知られていないけど働きやすい会社もたくさんあります。
※1「BtoB」……「Business to Business」の略で、企業が企業に対して商品・サービスを提供する取引のこと
※2「BtoC」……「Business to Consumer」の略で、企業が消費者に対して商品・サービスを提供する取引のこと
――BtoBの企業はどうやって探すと良いのでしょうか……?
探し方としては、最初は自分が知っているBtoCの企業から見て、そこから関連会社や取引先、というように企業を発掘するのがおすすめです。特に「自分に向いている仕事がわからない」「やりたいことが見つからない」という学生の方ほど、BtoBの会社の仕事内容を知ることで興味が持てることがあるのではないかと思います。
――では最後に、営業を目指す就活生にメッセージをお願いします。
営業に大切なのは「敵を作らないこと」だと思います。いろいろな人と一緒に進めるという性格上、敵を作らないほうが仕事は上手くいくと私は考えているんです。そのためにはやはり大切なのが挨拶。基本的なことですが、挨拶ができるというだけで印象が良くなります。
取引先の方は私より年上の場合が多く、私も日々の挨拶を欠かさず丁寧な対応を心掛けています。そうやって礼儀正しさを忘れないことが、お客様からかわいがってもらえる理由なのかなと。
学生の皆さんも挨拶をしっかりして、そして新人らしいフレッシュさとやる気があれば就活も上手くいくのではないでしょうか。
取材・文/松本果歩
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