就活生の皆さんは、営業と聞くと「飛び込み営業」「ひたすら知らない会社に電話する」といったイメージがあるかもしれません。しかし、営業はその会社の商品・サービスによってスタイルが異なります。
今回お話を聞いたのは、全農物流株式会社で営業として活躍する末光さん。物流会社の営業はどのような仕事内容で、どんなことが求められるのでしょうか?
<Profile>
全農物流株式会社
営業開発部 物流営業課
末光 宏行(すえみつ・ひろゆき)さん
大学の経済学部を卒業後、新卒で全農物流株式会社に入社し、現在5年目。農産物以外を扱う物流営業課で、飲料メーカーの商品や、住宅メーカーの建材などを扱う。実は大学時代にお笑い芸人を目指してコンビを組み、2年間漫才を中心に活動していた時期がある。
JA全農グループとして、米穀・農産物・飼料・酪農・資材などのほか、各種メーカーの商材の物流を取り扱う物流会社。全国70拠点の物流ネットワークによる輸送コストの削減や幅広いエリアへの対応を強みとし、貨物の輸送や保管などを中心に日本の農業に貢献している。http://www.zennoh-butsuryu.co.jp/
自分の価値観とあった企業に出会える!26卒のスカウト登録はこちら
壮大なパズルのような「配車業務」はお客様のために
――物流営業の仕事内容について教えてください。
主に取引先や運送会社などの協力会社に訪問営業や電話営業を行っています。「営業」と聞くととにかくアポを取って、訪問するといったイメージする学生さんもいるかもしれません。しかし、弊社ではすでにお付き合いのある企業との取引が多いので、新規のいわゆる“飛び込み営業”のようなものはありません。新規の取引先の場合、既存の取引先からの紹介が多いですね。
取引先に訪問や電話をする際は「運びたい商品は何か」「いつまでにどこに運びたいのか」「どのくらいの料金で配送を希望しているのか」をヒアリングします。運送会社はそれぞれ強いルートを持ち、保有するトラックの種類も違うので、ヒアリング内容をもとにどの運送会社に協力してもらうか検討する必要があるんです。
また、たまに普段のオーダーとは異なる配車のご相談をいただくこともあります。例えば、普段は神奈川県中心でお取引している企業様から「大阪から岡山まで商品を運びたい」という相談いただくといったイメージです。1ヶ月前からご相談いただくこともあれば、前日に急に依頼をいただくこともあるので、その都度配車の対応を行っています。弊社は全国に拠点や協力会社があるので、さまざまなオーダーにお応えできるのは全農物流ならではの強みだと思います。
――配車業務を行ううえで気をつけていることはありますか?
「A地点からB地点まで商品を運んでほしい」と取引先からオーダーをいただいた際、基本的に運送会社には片道分の料金しか出ません。B地点に着いたトラックがA地点に戻ってくるとき、トラックの中が空のままだと非効率ですよね。なので、そのトラックが自社の営業所まで戻ってくる復路の間にも、何か別の配送業務をあてがえないかつねに考えなければいけません。各所の荷物情報を探し出し、パズルのように荷物とトラックを組み合わせ、空車を減らすのも営業の役目なんです。
また、取引先から依頼を受ける際は、依頼内容を詳細に確認することも心掛けています。例えば、お米の場合、トラックに積み込めるのは1袋30kgのものを400袋ということが多いのですが、その400袋を1つずつ手作業で積み込まなくてはいけないのか、あるいはパレットに載っており一気にリフトで運べるのかを確認する必要があります。それによって現場のドライバーやスタッフの作業内容が変わりますし、確認を怠るとトラブルになってしまうため、細心の注意を払ってヒアリングするんです。
――1日のタイムスケジュールを教えてください。
出社したらまずはメールチェックをし、前日に配車した車の台帳をチェックしてナンバープレートや車種などの情報を納品先に報告します。台帳には、「輸送する運送会社、トラックのナンバー、輸送元と輸送先、商品名、輸送日時」といった情報が記録されてあります。こういった情報を事前に伝えておくことで、違うトラックに違う荷物を積み込んでしまうという事態を防ぐことができるんです。その後は、取引先企業や協力会社に訪問したり、急な配車オーダーなどに対応したりしていますね。
――営業の仕事でやりがいを感じるのはどのようなことでしょうか?
営業の仕事は、自分の話し方・接し方ひとつで結果が変わってきます。全農物流は自社でトラックをそこまで多く保有していないため、運送会社など協力会社がいないと案件は成立しません。そのまた、取引先の企業様だけでなく協力会社様のことも大切にするようにつねに心掛けています。
例えば「荷物が破損していた」と取引先からクレームがあった場合でも、一方的に運送会社のせいにし、クレーム内容をそのまま伝えるのはNGです。今後どうしていったらいいかという視点を交えながら真摯に対応するようにしています。
日々の丁寧な対応の甲斐があったのか、以前私が担当していた名古屋の取引先の方が、私が東京本社に異動した際にわざわざ足を運んでくださって。「あなたが担当ならぜひ東京でも取引をしましょう」と言ってくださったときはすごく嬉しかったですね。
――逆に、営業の仕事で大変だなと思うことはどのようなことですか?
自分が何もしなければ、売上は現状維持、もしくはどんどん減っていくのが営業の仕事です。つねに「何かしなくては」といった責任感やプレッシャーがあるのは大変かもしれません。弊社の営業部は厳しいノルマもないですし、上司が営業成績について厳しく問い詰めてくるといったことはありません。ですが、「ただ会社に居るだけ」の人間にならないように日々緊張感を持って仕事しています。
自分の価値観とあった企業に出会える!26卒のスカウト登録はこちら
芸人を目指していた大学時代。紆余曲折を経て物流業界へ
――大学時代、今の仕事に興味を持ったのには何かきっかけがあったのでしょうか。
実は大学時代はお笑い芸人を目指していたんです。大学2年の頃からコンビを組んで、3年の就活がそろそろ始まるタイミングに大学を休学して2年間活動を続けていました。ただ、事務所に所属するためのオーディションには落ちてしまっていましたし、これ以上は続けられないかなと考え、すっぱり諦めて真面目に就活しようと決意したんです。もともと人と話すことは苦ではなく、むしろ好きなほうだったので仕事をするとしたら営業かなと考えていました。
大学は経済学部だったので、始めのうちは金融業界を見ていました。ただ、就活は思うようにいかなくて……。視野を広げて金融以外の業界も見ていくうちに物流業界に興味を持つようになったんです。物流業界は私たちの生活に密接に関わるものですし、だからこそ将来的にも安定しています。物流業界の中でも「全農」の名前は元から知っていて安心感があったので応募し、入社に至りました。
――今後の仕事の目標はありますか?
営業としてずっと働き続けたいと考えています。全農物流は全国に拠点があるので、営業は全国転勤があるんです(※全国職のみ全国転勤)。各拠点・地域で「この人に任せたら大丈夫」と信頼される営業マンになりたいと思っています!
――就活生に向けて、メッセージをお願いします。
営業には人と話す力や聞く力といったコミュニケーション能力は必須だと思います。そのためには大学時代から仲間うちだけで話すのではなく、知らない人と話すような経験も必要です。私の場合は、芸人を目指していたことから自然とコミュニケーション能力が鍛えられていたのかもしれません。その活動の中で培われた「人と話す力」は、営業の仕事にも役立っていると感じています。
学生の皆さんは、知らない人と話すには始めのうちは度胸がいると思いますが、慣れれば苦にならないはずです。営業職を目指す人はOB・OG訪問でも良いので知らない大人と話す機会を作って、経験を積んでおくことをおすすめします!
取材・文/松本果歩
自分の価値観とあった企業に出会える!26卒のスカウト登録はこちら