キャリアチケットの「お仕事図鑑」では、さまざまな職種の方へのインタビューを行っています。会社で活躍する社会人の方の生の声を通じて、日頃知ることができない仕事の裏側や楽しさをお伝えします。
今回お話をお伺いしたのは、三菱ふそうトラック・バス株式会社で人事・採用のお仕事をしている小島さん。就活をしている皆さんにとって、人事は最も接する機会の多い職種なのではないでしょうか。しかし、人事の仕事は、面接や説明会を行うだけではありません。人事の仕事に興味のある就活生は、ぜひご一読ください。
<Profile>
三菱ふそうトラック・バス株式会社
人事本部人事企画部採用
小島 和海(おじま・なごみ)さん
就活時に三菱ふそうトラック・バスのインターンシップに参加し、インターンでも責任ある仕事を任せてもらえることや働く環境を魅力に感じ、2016年入社。現在は新卒採用担当として、面接をはじめとした選考活動はもちろん、学生向けのイベントや出張講義の企画なども運営・推進している。
三菱ふそうトラック・バス株式会社
世界最大の商用車メーカーであるダイムラー・グループに属し、トラック・バス、産業エンジンなどの開発や設計、製造を行い、世界170カ国に向けて高品質なトラック・バスを輸出している。また、社員の20%が外国人で52カ国籍の社員が所属するグローバル企業。https://www.mitsubishi-fuso.com/ja/
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学生に会社のことを知ってもらうため、あらゆる施策を打ち出し推進する
――小島さんの仕事内容について教えてください。
今の私の職務は、主に新卒採用とHRマーケティングです。新卒採用においてのHRマーケティングとは、学生に弊社について興味を持ってもらうための施策や、より学生と接点を増やす施策を打つことです。具体的に言うと、大学に赴いて説明会を開いたり、学生向けにイベントを開催したりすることですね。
――イベントはどんな内容ですか?
例えば、採用時期には「スチューデントデイ」といって、自社の工場見学や、若手社員がどんな仕事をしているのかを説明するイベントなどを行っています。ほかにも、学生を集めてビジネスコンペイベントを開催しました。いろいろな大学の学生を集め、チームごとに新しいビジネスのアイデアを発表してもらったんです。優勝チームにはドイツのシュツットガルトにあるメルセデス・ベンツミュージアムのチケットを贈呈したのですが、それがすごく好評で。初めての試みだったのですが、学生向けの良い自社ブランディングになりました。
大学で開催するものは、今東北大学さんと協定を組んでいて、学内で三菱ふそうの講義を開講させていただいています。当社の部長クラスの人間が大学に伺い、弊社のバリューチェーンについて講義をするという取り組みです。
採用に関わるイベントだけでなく、内定者同士の顔合わせイベントや、4月1日の入社式の運営にも携わっており、採用活動の前から内定後まで一貫して学生との接点を作るのが私たち人事の仕事です。もちろん、採用担当として面接など選考業務も行います。
――どのように企画するのでしょうか。
メンバーとブレインストーミングをして出していきますね。パソコンを閉じて、携帯も閉じて、情報をシャットアウトした状態でチーム全員で話し合うんです。
毎年1月~2月頃に「今年は何がやりたい?」というところから始まって、「採用はこういうイベントがしたい」「ブランディング視点ではこんなことができそうだよね」という感じに。企画をある程度挙げていったら、その企画を実現するためにどうしたら良いかを考えていくんです。あとは、いつイベントを実施するか、といったスケジュールを決めていきます。
――小島さんは面接では学生のどういうところを見ていますか?
私が特にチェックするようにしてるのは、「今まで何に取り組んできて、どのように頑張ったか」というところですね。実際に入社してからどれだけ頑張れるかというのは、学生のこれまでの経験やどれだけ頑張ったのかという部分に密接に関わると考えているので、過去のエピソードはよく聞くようにしていますね。ルーツを探る、と言いますか。理想論ではなく、現実を真摯に受け止め問題解決にあたってくれるような人に入社していただきたいと考えています。
――貴社では外国人採用も積極的に行っていますよね。日本の学生と海外の学生の違いを感じるときはありますか?
インターン生を見ていて感じるのは、やはり海外の学生は、プロジェクトをリードする力やスキルが高い人が多いということ。全体的なビジネススキルのベースを持って入ってくる方が多いんです。でもそれは、抜本的な教育の違いでもあると思っています。
例えばドイツは、高校生の段階である程度自分のキャリアが決まるんです。高校で進路の選択があり、例えば「私は企業の人事になりたい」と思った学生は、その時点から志すことになります。そのため彼らは18~19歳ですでに人事の仕事について学んでいて、ベースがあるんです。そこが、日本の学生と違うところですね。ただ、もちろん日本にも優秀でキャッチアップが早い人はいるので、能力的なものは個人間の意識の差であると考えています。
――小島さんの1日のタイムスケジュールを教えてください。
日によりますが、例えば今日は午前9時30分に出社して、その後直属の上司、マネージャーとミーティング。午前11時からチームミーティング、そのあとはデスクでメールの返信などをしました。3~5月頃は採用活動でさらに忙しくなります。採用イベントは結構出張も多くて、去年はアメリカのボストンで開催される『ボストンキャリアフォーラム』に行って、会社説明会を行いました。
――人事のお仕事のやりがいを教えてください。
私の説明で学生に興味を持ってもらえたときは、すごくうれしいです。
ボストンキャリアフォーラムでも弊社のプレゼンを担当したのですが、プレゼンでは台本をダラダラと話すのではなく自分の言葉で話すことや、決して上から目線で喋らないということを大切にしています。学生から「面白かったです」「お話を聞けて良かったです」と声を掛けてもらったり、さらにそのプレゼンが応募、採用に結びついたりしたときは、本当にやりがいを感じますね。
――仕事で辛かったことや、大変だと思ったことはありますか?
大学で学生向けの授業を企画したときは大変でしたね。競合他社に比べて弊社はまだまだ知名度が高くなく、学生にもっと弊社について知ってもらいたいという思いで企画し、時間をかけて授業内容を考えたのですが、最初は学生が全然集まらなくて。大学側にも協力をお願いして、広告を打ったり、学生に周知するメールを送ったり、SNSで宣伝したり……地道な広報活動によって軌道に乗せるまでが苦労しました。
あと、弊社は良い意味で多様性に溢れた会社で、現在52ヵ国籍の外国人の方がいます。中には、外国人の方とどうやってコミュニケーションを取ったら良いのかわからず困ってしまう人もいるんです。なので、仕事が上手くいくように採用担当が緩衝材のような役割を担うことがあるのですが、そういうときは中立的な視点を持って接する必要があるので難しいですね。
――人事のお仕事をするにあたって必要な能力やスキルがあれば教えてください。
外国人の方は日本人と比べると主張が強く、交渉や説得を行う場面が多くあるんです。例えば、給与など待遇面の交渉事ですね。そういったときにも、きちんと相手が納得し気持ち良く働くことができるよう話し合いをしなければなりません。なので、プレゼンスキルも必要ですし、説得力のある話し方や、交渉力はとても大切だと考えています。
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インターンにも裁量を持たせてくれる社風に惹かれて入社を決意
――小島さんの就活生時代について教えてください。
最初は外資系や食品メーカーに興味がありました。ただ、基本的には外資を見ていましたね。当時英語が堪能だったというわけでは全くなかったんですが、何となくグローバルな環境や働き方に憧れを持っていたんです。いろいろと調べていたら、三菱ふそうのインターンシップの募集をたまたま見つけて。平日はインターン生として働き、土日は合同説明会に行く、みたいな就活をしていましたね。結局はインターン中に弊社の内定をもらい、入社を決めました。
――インターン生として働いていたとき、この会社に入りたいという気持ちはあったんですか?
正直、インターンとして働き始めたときは入社したいと特に考えていなかったですね。留学に近い感覚だったと思います。「この会社のインターンシップに参加すると英語も学べるので、自分のためにもなるし就活資金も稼げる」、そのくらいの気持ちでした。
入社を決めた理由は、人間関係が上手く築けていたというのが大きいですね。あとは、インターン生でもいろいろなことを任せてもらえて、自分が関わったプロジェクトが完遂したときにすごくやりがいを感じたんです。素敵な仲間にも出会えたし、裁量があって仕事の面白さを感じられる。それが入社の決め手でした。
――インターンを経て入社して、当初抱いていたイメージとのギャップはありましたか?
私がインターンをしていたときに任されていたのは海外販売のセールスだったのですが、いかに「英語を上手く話せるか」というのが優秀さを見極めるポイントだと思っていました。弊社はミーティングやランチなどを含め、社内でのコミュニケーションの8割が英語だからです。でも、実際に入社してみて人事だけでなく海外セールスにしても、大切なのは英語力だけではないことに気がついたんです。語学力に関係なく、その人に知識があって、いかに結果を出せるかというほうがずっと重要だと。
あとは、自分がやりたいことを任せてもらえる、というポジティブなギャップもありましたね。自分の提案に説得力があれば、それが通って実際に実行に移すことができるんです。それはとてもうれしいことでしたし、ここでは受け身でなく、どんどん自分から発信してやっていくくらいの気概が必要なんだと、背筋が伸びた思いがしましたね。
もちろん、それは人事に限らずです。会社では自ら提案してOKをもらいに行くという感じなので、指示されたことをやるのではなく自分自身で考え実行する力が問われるとは思います。
――小島さんの今後のキャリア展望をお聞かせください。
具体的に決まってるわけじゃないんですが、人事としてのスキルを高めていきたいので、昇進し管理職になりたいと思っています。今入社5年目なのですが、5年以内にマネージャーに就いて、マネジメント経験も積みたいですね。
――小島さんのように人事に興味がある就活生にメッセージをお願いします。
人事は就活生の前に立つこともありますが、基本的にはなかなか目につかない仕事が多いです。ほかの部署と比べても、縁の下の力持ちという感じで……。でも、人事は面接だけでなく、イベントの開催や説明会でのプレゼンなど、いろいろな仕事をしています。採用担当は泥臭い仕事も多くて、体力勝負の部分もあるんですが、その分やりがいも大きく充実しています。
人事の仕事の魅力は、自社の魅力をダイレクトに最前線で伝えることができるということ。もちろん責任を感じることも多いですが、自分が楽しんでやっていれば相手にも会社の魅力や楽しさが伝わるので、人事を目指す人はとにかく楽しんで仕事をしてほしいです!
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