面接官に伝わりやすい「就活の軸」の作り方とは?

「就活ってどう進めれば良いの?」「自己分析のやり方がわからない」「面接で落ちてしまう」……など、就活に悩みはつきもの。レバレジーズの執行役員・間山が就活生のお悩みにズバッとお答えします!

 学生のお悩み 
企業選びの軸がどうしてもありきたりになってしまうのが気になります。ほかの人と差別化するには、どう軸を作っていくと良いでしょうか?
 

アドバイザー

間山 哲規(まやま・あきのり)

レバレジーズ株式会社 執行役員。若年層就職支援サービス「ハタラクティブ」、アパレル業界特化人材サービス「FASSIONE」、新卒向け就職支援サービス「キャリアチケット」など主に若年層のキャリアに関わる複数事業を統括。YouTubeチャンネル『就活トーク』『キャリアチケット』出演中。Twitter:@aki_mayama

 

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就活の軸はなぜ必要なのか?


企業選びの軸、通称「就活の軸」ですね。

就職活動をしていると、直接的に聞かれるか間接的に聞かれるかの違いはあっても、この類の質問に多く出会います。

この「就活の軸」。中学、高校、大学と基本的に「偏差値」というある種、画一的な基準で「いい高校」「いい大学」を選んできた人が多いので、就職活動になって急に出てくる、この自分だけの「軸」を求める風潮に、戸惑い、迷走する人が多くいるように思います。

この記事では、なぜ就職活動において「就活の軸」が必要か、軸をどう作るのかについて解説していきます。

まず学生の質問にストレートに答えると、「就活の軸」で人と差別化する必要はありません。

面接官の立場から考えると奇をてらったようなオリジナリティのある軸よりも、むしろわかりやすい軸のほうが面接で掘り下げやすく、好印象であることも少なくありません。そういう意味では「軸」そのものより、その軸の裏側に見え隠れするあなたの人間性、そしてそれを裏付ける原体験や、キャリアビジョンの一貫性こそが重要です。

大前提として就職活動とは、キャリアをどこから始めるか、スタートラインを決める活動です。そして、キャリアを考えるということは、仕事という観点から人生を考えることにほかならず、「良い人生」が人によって異なるのと同じように、「良いキャリア」も人それぞれです。ある人にとって素晴らしいキャリアであっても、別のある人にとってそうでもないこともあります。

キャリアを考えるうえで大切なのは、人と比べることではなく、自分自身の頭できちんと考えることです。参考にするためにほかの人の話を聞くのことは大切ですが、キャリアには上も下も、良いも悪いもなく、偏差値のようにわかりやすい「ランク」的なものもありません。それを忘れて、誰かにとっての「良い選択」を自分に当てはめてしまうと、キャリアにおける悲劇が生まれがちです。

重なりますが、奇をてらったような就活の軸は必要ありません。もちろん自分自身のキャリアですので、自分が納得した選択をするためにそのような軸を設定してもいいですが、就活で話す「就活の軸」は自分だけでなく、それを伝える相手、つまり面接官にとっても「納得」のいくものである必要があります。
 

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キャリアアンカーを使って軸作りをしてみよう


では、どのように軸を作っていくべきでしょうか? 何も基準となるものがない状態で自分の軸を考えることはとても難しいので、苦手意識がある人におすすめするのは、「キャリアアンカー」です。「キャリアアンカー」とは、マサチューセッツ工科大学ビジネススクールの組織心理学者であるエドガー・H・シャイン博士によって提唱された、有名なキャリア理論の概念です。

キャリアアンカーは、キャリアを選択するうえで軸となる譲れない価値観や考え方を指します。キャリアアンカーは8つに分類されており、自分は8つの中で何を大事にしたいのかを考え、その理由を説明できるようにしましょう。
 

 ①専門・職能(Technical and Functional)

キャリアアンカーが「専門・職能」の人は、特定の分野のエキスパートを目指すタイプで、専門家としての能力を発揮することに喜びを見出します。自分の専門性やスキルを向上させることに強い関心を持ち、その道の第一人者となるべく努力します。

技術職や研究職といった、知識とスキルを積み上げる職業に向いていますが、別の職種や向いていない仕事を任されると、仕事への満足度が下がる傾向があります。

②管理・マネジメント(General Management)

キャリアアンカーが「管理・マネジメント」の人は、経営者やマネージャーの立場になることに価値を見出します。専門的な職務よりも、スケールが大きく組織を動かすような仕事に興味があるとされています。

若いうちは多くの経験を積むために異動を積極的に受け入れ、キャリアアップのための資格取得の努力も惜しみません。誰かに世話を焼いたり、問題解決に取り組んだりするのが好きな傾向があり、責任を引き受けることで成長するタイプです。

③保障・安全(Security and Stability)

「保障・安定」をキャリアアンカーとする人は、社会的・経済的な安定を求めるタイプです。リスクを回避することを優先し、将来が見通せる環境でキャリアを歩みたいと考え、大企業や公務員などの組織に長期間所属することを望みます。また、この特徴から危機管理やリスクマネジメントの分野において力を発揮します。

一方で、異動には大きなストレスを感じやすい特性があります。堅実な転職先が用意されていないかぎりは、1つの組織に忠誠を誓うタイプです。

④起業家的創造性(Entrepreneurial Creativity)

キャリアアンカーが「起業家的創造性」の人は、新しいものを生み出す起業家や芸術家、発明家タイプです。新製品や新サービスの開発、新規事業の立ち上げ、既存事業の買収・再建などに関心があります。一度企業に就職しても、将来的に独立や起業を目指すケースが多く見られます。

刺激的な環境や新しいものが好きなので、困難な課題や変化の激しい状況に立ち向かうことに、モチベーションを見出す傾向があります。

⑤自律・独立(Autonomy and Independence)

キャリアアンカーを「自律と独立」に置く人は、自分のペースやスタイルで仕事を進めることを重視するタイプで、集団行動や組織のルールや規則に縛られることが苦手です。研究職や技術職に多く見られ、自分が納得できる方法でマイペースに仕事に取り組みます。

裁量が大きい企業や、在宅勤務・フレックスタイムといった行動の自由度が高い環境で能力を発揮します。

⑥奉仕・社会貢献(Service and Dedication to a Cause)

「奉仕・社会貢献」をキャリアアンカーとする人は、世の中のためになることがしたいと考えるタイプです。自分の能力を発揮したり出世したりすることよりも、人の役に立つことに喜びを感じます。

誰かを支援する医療、看護、教育系の仕事や、人のためになる商品・サービスの開発、監査部門、福利厚生部門で能力を発揮します。社会貢献意識が強い分、誠意のない仕事や内部不正は見逃せません。

⑦純粋な挑戦(Pure Challenge)

キャリアアンカーが「純粋な挑戦」の人は、チャレンジすることが人生のテーマです。あえて困難に飛び込み、誰もが無理だと思うような厳しい状況下で問題を解決することに喜びを感じます。ルーティンワークは好まず、一度仕事を覚えると違う業界に飛び込もうとする傾向があります。

困難をものともしないため、異動や配置換えにも前向きで、幅広い事業を展開する企業でさまざまなことにチャレンジすることに向いています。

⑧ライフスタイル(Lifestyle)

キャリアアンカーが「ライフスタイル」の人は、仕事とプライベートをどちらも大切に考え、両立させたいと考えるタイプです。生活スタイルが確立していて、仕事には打ち込みますが、私生活を犠牲にすることはないでしょう。予定にない残業や、会社のイベントなどはきっぱり断るタイプです。

プライベートが充実すると仕事へのモチベーションが上がるため、フレックスタイムや育児休暇、在宅勤務といった制度が整った、柔軟な働き方ができる職場が向いています。

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「就活の軸」はできるだけ分かりやすい言葉で作ろう


以上が、8つのキャリアアンカーです。就活の軸を考えるにあたって、8つのうちのどれが自分の価値観に近いか考えてみてください。

また、「就活の軸」は判断基準なので、できるかぎり比較できる状態にしておくべきです。

例えば、「若いうちから裁量権を持ちたい」「自分の市場価値を上げたい」「成長できる環境」などの軸がある場合、A社とB社を比較するとどちらがより適しているのか、それがわからないと軸として機能しません。

「若い」って何歳のこと? 「裁量」って何? 「市場価値」って何? 「成長」って?

相手に説明するときは抽象度が高いほうが良いですが、より詳細に伝えられるように抽象的な言葉は具体的に、具体的な言葉は抽象的に説明できるようにしましょう。

そして、抽象的な言葉を具体的に話すときは、志望動機とつなげると良いでしょう。就活の軸はわかりやすい言葉で作り、その軸ができた背景や理由、原体験をきちんと整理して面接に臨んでくださいね。
 

 

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