今ある仕事の半数はAIに代替可能?AIによってなくなる仕事、なくならない仕事

このテーマについて話すうえで、一番伝えたいことを最初に書いておきます。それは、「AIによる代替を過剰に恐れてはいけない」ということです。

確かに、今後AIによってあなたの就職先の企業での仕事の一部、あるいは全部がなくなることがあるかもしれません。

しかし、今までの仕事が不要になったとしても、そのときは新たな仕事が生まれることが大半です。臨機応変に対応していく柔軟性は必要かもしれませんが、それまでの仕事で身につけたことが100%無駄になるわけではありません。

AIが代替しなくともそのほかの技術革新、あるいは流行り廃りによりなくなる仕事はいくらでもあります。一番恐ろしいのは、「AIに代替されるかもしれないから、何をしても無駄」と、そんな無力感を感じて自己研鑽を放棄してしまうことです。

まずはそのことに留意したうえで、お読みいただければと思います。
 

本記事の執筆者
酒井 一樹(さかい・かずき)

慶應義塾大学在学中、世界初の就活SNS「Dachinco!」の代表に就任。国内最大の就活SNSへと成長させた後に大学を卒業し、エグゼクティブサーチを行う人材ベンチャーに入社。役員・事業責任者などの幹部人材の採用支援に携わる。2009年に株式会社エイリストを設立し「自分の頭で考え、行動する人材を増やすこと」を命題として、就職情報サイト「就活SWOT( https://swot.jp )」を開設。
 

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労働者の半分はAIによって代替される

1つ衝撃的な研究結果があります。

野村総研と英オックスフォード大学の共同研究によると、日本の労働人口のおよそ半分はAIやロボットに代替可能であると言われています。
(※参考:日本の労働人口の 49%が人工知能やロボット等で代替可能に ~ 601 種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算 ~

特に日本は、単純作業の仕事に従事している人口が多く、AIに代替される比率も高いという推計になっているようです。

これは10〜20年以内での予測ですので、今から就活される皆さんが30〜40代になる頃の話です。大半の方はまだまだ働き盛りの年代になると思いますので、仕事がなくなると言われると不安に思ってしまうかもしれません。

代替されやすい仕事としては、一般事務やデータ入力、駅事務員、受付、測量士、タクシー運転手、電気通信技術者などが挙がっています。これらの仕事は現在の従事者の66%以上が代替されるだろうと予想されています。

一方で代替されにくい仕事として挙がっているのは、アートディレクターやカメラマン、経営コンサルタントやケアマネジャー、保育士、バーテンダーなどです。

ものすごくざっくり言うと、「クリエイティビティが必要な仕事」「人間がやることに意味がある仕事」などは残るという予測です。

また、よく言われることですが「レベルの高い接客」が求められる仕事は残ると言われています。前述のバーテンダーなどもその1つです。ただお酒を作るだけであればロボットでも代替可能でしょう。しかしバーに行く客は、ただ酒を飲めれば良いというわけではなくバーテンダーとのコミュニケーションも求めているでしょう。

逆に言うと、「お酒しか作れないコミュニケーション能力の低いバーテンダー」がいたとしたらロボットに代替されるかもしれませんね。そもそもそういう店はロボットに代替されるまでもなくほかのバーテンダーに代替されてしまっているかもしれませんが…。

将来は、お酒を作る作業だけをロボットに任せ、自身はお客とのコミュニケーションだったり「こんなお酒はどうか」と提案することに専念するというような新しいバーテンダーの在り方が生まれるかもしれません。

一方、タクシー運転手とのコミュニケーションを目的にタクシーに乗るという方は、ゼロではないが恐らく少ないでしょう。「目的地まで移動できれば良い」という方のほうが多いはずです。

経理事務なども入力などの単純作業はAIで十分ですが、会社の状況に応じて経理や財務の方針を考えたり、金融機関などの他社と交渉を行うような仕事は簡単には代替できません。経理の事務員を減らすことはできても、経理財務マネージャーを担う人材は必要だという話ですね。

このことから何がわかるかというと、「人間にやってもらいたい」という仕事は案外多いということです。
 

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AIに仕事をさせる仕事も生まれる


代替される仕事があるならば、新たに生まれる仕事もあります。AIやロボットはあくまで「ツール」であり、そのツールに何を実行させるかを考えるのは人間です。

前述の例でいくと、経理マネージャー視点では「マネジメントするのが経理の事務員なのか、AIなのか」の違いがあるだけで、仕事として求められることは同じでしょう。

もちろん人間の部下のマネジメントと、AIのマネジメントでは勝手が違う部分もあります。柔軟に対応できない人材には厳しい変化となるかもしれません。そのときに、「AIを自分では使いこなせない人」とAIの架け橋となるような人材は必要となるでしょう。

IT技術が浸透する前に「情報システム部門」の仕事が存在しなかったように、AIの普及によりAIを活用するための部門や人材が必要になってきます。

ネットを検索すれば「こんな職種が生まれる!」と予想する記事もありますが、それは些末な話であるためここでは紹介いたしません。少なくとも就活をする時点で、そこまで細かい「未来の新職種」を知っておく必要はないと思うからです。

そもそも、これから生まれる新しい職種というのはAI関連に限らず、AI関連の新職種ばかりに目を向けるのは賢明ではありません。

大事なのは、AIはあくまで人間のやりたいことを補助するためのものであり、それを使うのは最終的には人間だということです。
 

 

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AIの存在をネガティブにとらえない

以上を踏まえ、どういった仕事を目指せばAIに代替されずに済むかを考えると、

・単純作業を任される側ではなく、方針などを考える側に回る
・創造性を活かせる仕事での経験を積む
・コミュニケーション能力を身につけ、「人が介在・対応すること」自体に意義を見出される仕事ができるようになる


AIに仕事を代替されるというと、現時点でそういった仕事をしている人間からするとネガティブな話に聞こえるかもしれません。しかし、技術の進化により何かの仕事が消え、新たな仕事が生まれるというサイクルは今に始まったことではありません。すでに人類は、そのサイクルを何度も経験してきているのです。

また、AIに代替されなかったとしてもほかの要因で代替される可能性は十分にあります。だから過剰に恐れず、5年、10年のサイクルで「変化しても求められる」スキル・素養が何かを見極め、自分のものにしておきましょう。

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