”ポスト高校生”から”プレ社会人”へ。キャリアを生み出すミライ塾イベントレポート

「大学の4年間になるべく早く、物事を享受するだけで受け身の“ポスト高校生”から、自ら機会を作り出す意識を持つ、創り手側の”プレ社会人”にならないといけません。」

『プロティアン』、『先生は教えてくれない就活のトリセツ』など多数のキャリアに関する書籍の著者である法政大学キャリアデザイン学部教授、田中研之輔氏はこう語ります。

”ポスト高校生”から”プレ社会人”に向けて最初の一歩を踏み出すためのワークショップイベントが、2019年12月キャリアチケットカフェ早稲田大学前店で開催されました。
”ポスト高校生・プレ社会人”モデルを提唱する田中研之輔先生ご本人と、キャリアチケットカフェを運営するレバレジーズ株式会社 執行役員間山哲規によるイベント『キャリアを生み出すミライ塾』当日の様子をお伝えします。

イベントの登壇者

田中 研之輔(たなか・けんのすけ)
法政大学キャリアデザイン学部教授

専門:キャリア論 
一橋大学大学院社会学研究科博士課程を経て、メルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員を務める。博士(社会学)。大学と企業をつなぐ連携プロジェクトを数多く手がける。著書24冊。『辞める研修 辞めない研修―新人育成の組織エスノグラフィー』、『先生は教えてくれない就活のトリセツ』、『覚醒せよ、わが身体。』、『丼家の経営』など。企業の取締役、社外顧問を15社歴任。(連載)日経ビジネス・日経STYLE・プレジデントオンライン他多数。最新刊に 『プロティアン』(日経BP)。

間山 哲規(まやま・あきのり)
レバレジーズ株式会社執行役員

1981年生まれ。新卒で業界最大手のSIerに入社し、エンジニアとしてキャリアをスタート。その後、法律事務所にてシステム責任者、事務局長を歴任。2012年、レバレジーズに参画。全社の経営管理体制の構築を担う他、若年層就職支援サービス「ハタラクティブ」、アパレル業界特化人材サービス「FASSIONE」、新卒向け就職支援サービス「キャリアチケット」をはじめ、複数の新規事業を創出、収益化を実現。2019年執行役員就任。

 

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キャリアチケットカフェを、“プレ社会人”学生を生み出す場にしたい


――イベントは登壇者2人の自己紹介の後、田中先生の『ポスト高校生、プレ社会人モデル』のお話からスタートしました。
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  田中先生

大学生は2つのタイプに分かれると思っています。その2つを”ポスト高校生”、”プレ社会人”と僕は呼んでいます。これからこの2つのタイプの特徴をお話ししますので、みなさんも今の自分はどっちか、考えながら話を聞いてもらえたらと思います。

まず、ポスト高校生というのは、高校生の感覚や意識の延長のまま大学生になっている人。 何事にも受け身で、すでに自分に与えられている選択肢の中で行動が完結していることが特徴かな。一方でプレ社会人というのは、自分で能動的に機会を作っていくような学生です。

例えばこのカフェに来て、イヤホンしながらコーヒー飲んで、2時間ぐらいYouTubeを観て帰る。これはポスト高校生。プレ社会人だと、この空間をどうやって使ったら面白くなるかなと考えたり、友達とビジコンの企画を練ったり。そういった使い方をします。


田中先生当日のプレゼン資料より引用 

このイベントで伝えたいのは、「もうポスト高校生はやめようよ」ということ。

今日の『ミライ塾』にピンときて、ここに来てるということは、みなさんは感度の良い学生さんだと思うんです。だからこそ、今日この場をきっかけに今までの日常の過ごし方を1回見直して、プレ社会人にトランスフォームしてほしい。それがイベントの目的です。

そこで、今回のイベントのメインはみんなが主体になるワークにしました。
ワークのテーマはキャリアチケットカフェの空間を使った企画考案です。4~6人のチームを3つ作るので、議論して企画して、それを30分後に間山へプレゼンしてください。
今日はレバレジーズ執行役員の間山にきてもらっているのは、実際にやっていいよっていう返事を直接もらうためでもあります(笑)。

我々も手加減なしの本気でフィードバックをしていきます。執行役員から企画のフィードバックを直接もらえる貴重な機会なので、この機会を活かして全力で考えてみてください。そして、プレ社会人への一歩を踏み出しましょう。

 

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学生から執行役員への企画提案がスタート。事業企画のプロによるフィードバックを受ける

 

――さまざまな大学から集まった学生が3チームに分かれ、ブレスト開始から30分が経過。いよいよ発表の時間を迎えました。各班のプレゼン後に、間山からのフィードバックが入ります。
 

A班のアイデア

・手軽に参加できる、スキルを学ぶ教室 
・対象は、新しいことを学びたい人、空きコマで時間を持て余した学生
・職業や趣味とかライフスキルとか幅広いジャンルをテーマに、専門領域のある社会人を招く。例えば、主婦もしくは料理人を呼んで料理教室、IT企業のプログラマーを呼んでプログラミング講座を開催する。企業側の宣伝にもなる。参加した学生で交流が生まれ新たに視野を広げることができたらさらに良いのではないか

    間山

A班へのフィードバック

空きコマを使うという考え方、すごく良いですね。実際にこのカフェは授業の空きコマに利用する学生が多いです。でも、もっと細部まで想像してほしいですね。まず気になったのが、専門家の人のメリットはなんだろう。 企業広報的な観点のメリットを上げてくれたけど、その考え方は1つあると思います。また人気企業の社員さんや著名な専門家だったら学生も集まるかもしれないけど、企業広報したいと思っている成長段階のベンチャー企業の人の場合、学生が集まるかな? その辺りをもう少し深堀して考えてみてください。



B班のアイデア

・キャリアチケットカフェを国際交流に使いたい
・コンセプトはアニメ。アニメが好きな留学生は多いから
・プロジェクターでアニメを流したり、英語の漫画をたくさん置くことでまずは留学生が来たくなる空間をつくる。国際交流をしたい日本人学生はたくさんいるから集客はできる
・システムとして、日本語をしゃべる時間と、英語を喋る時間を設ける。この時間からこの時間までは日本語しかしゃべれませんというように、時間で分けることで、留学生も日本人も勉強できる

​​
   間山

B班へのフィードバック

参加者みんなハッピーにさせるような企画は弊社の理念とマッチするので、単純に良いなと思いました。本質的なところじゃないですが、アニメを放映するためには版権を持っている会社の許可が必要かな、と。そのあたりの法的な関係も調べないとですね。 あとは、交流の先に何があるのかまで考えてほしいです。単発のイベントで終わってしまいそうじゃない?ほかには、今回ビジネスとして考えてるから、運営費用くらいは賄えた方がいいというのが本音です(笑)。ビジネスとして回るイメージがまだ湧かなかった。 アニメきっかけで来て交流しました、その先の部分をもう少し詰めてほしいです。



C班のアイデア

・各業界のプロフェッショナルを呼んで仕事・キャリアの対話型イベントを開催
・今の日本だとキャリアを考える時期って大学生に入ってからで、しかも終盤の就活を控えたあたりの人が多い。もっと早い段階から考えるべき
・カフェは約60人規模のイベントが可能であるため、プロフェッショナルが1人に対し学生が3人で 13ブースを作成。セッションを時間で区切って、ローテーションを回す形式にする
・中高生の集客は amazon ギフト券1000円、プロには謝礼を払う


   間山

C班へのフィードバック

お金をばら撒いての集客ってあんまり好きじゃないですね……。あと中高生を対象にすると集客が難しそうだな。これだったらカフェでやる必要はなくて、専門家の集団を作って学校に出張授業したほうがいいかなと思いました。ただ、確かに日本はキャリアを考える時期が遅すぎるので、中高生からキャリアについて考えさせたいっていうのはすごく良いと思いました。



  田中先生
「この企画を実施したら本当に参加者が来るか」を考え抜いてね。それが創り手に回るということだから。あと、本気で自分が実施することをイメージしてください。ここで実施しきるのがプレ社会人です。
いただいたフィードバックをもとにもう1回考えてみてください。

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フィードバックを受けての修正、ついにGOサインが出る企画が誕生

――間山からのフィードバックを受け、集まっている学生にスイッチが入りました。そして迎えた2回目の発表で、A班の企画にGOサインが出ます。
 

GOサインが出たA班修正アイデア

・将来のキャリアに繋がる勉強会
・対象:新しいことを学びたい人、空きコマで時間を持て余した学生。
・マーケティング、プログラミング、デザイン、それぞれの講座を2週間に1回、常に第1回を開催する。常に初回の基礎的なことしか教えないことで参加する人の間口を広くするのがポイントの1つ。もう1つが、講座を受けてみて、面白かったら大学の授業やインターンにつなげる。そのように、キャリアにつながるきっかけを与えたい。
・企業はレバレジーズのグループ会社であるレバテックの事業、レバテックルーキー*のクライアントにご相談する
*ITエンジニアを目指す新卒学生向け就職活動エージェントサービス


   間山

第1回を常にやるって面白いですね。ただ企業側の目線で考えると常に第1回だけをやっているわけだから、学生との接点が深くならないというのが少し弱いかなと思います。でもコンセプトは面白いので、ぜひやってみてください。

あともう1点言うと、確かにレバテックと絡めればできると思います。でもせっかくやるなら、自分たちでやりきったほうが良いです。レバテックの社長を紹介しますから、社長を本気で口説き落とすとか。もっと良いのは、レバテックを絡めずに自分たちで企業を集める。ここまでできたら凄いよね。これ本当にやってください。


   田中先生

やってみましょうよ。やってみたら絶対面白いから。ただ、ここで逃げるもよし。やるのもみんな次第ってことで。この場所、カフェは逃げないから。ぜひやるべきだと私は思います。

――学生、大学教授、経営者が本気で向き合い議論を行った今回の『キャリアを生み出すミライ塾』。2時間のイベント終了後、GOサインの出たA班だけでなく、B班、C班も企画をさらに詰めるため、メンバー同士で連絡先を交換していました。個々人が能動的に動き、自ら機会を作り出すその姿は、まさに”プレ社会人”に向けての1歩を踏み出した瞬間でした。
 

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田中先生から就活生へ

 

就活が始まったタイミングで自分のキャリアを考える方が多いと思うのですが、たくさんの情報が溢れる現代において、やりたいことを1つに絞るのは難しいと思うんです。

そこでおすすめなのが、「人生100年のうちで3つできるとするなら何をするか」という考え方です。
やりたいことを1つに絞るためにほかの選択肢を消すのではなく、3つそれぞれの可能性を心のどこかに残しておく。

そして人生の中で自分の持っている3つの希望をかなえるために、スキルや経験などのキャリア形成の素材を、他者や組織に預けたり求めたりするのではなく、自分自身で生み出して育てる。つまり、自らキャリアを開発していく。ぜひそんなマインドを持って就活に臨んでください。


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