5分でわかる『経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください!』

「キャリアチケットカフェで読める就活生におすすめの本」の要約シリーズ第2弾として、今回取り上げるのは川口宏之さんの『経営や会計のことはよくわかりませんが、儲かっている会社を教えてください!』です。

「監査法人」「証券会社」「ベンチャー企業」「会計コンサル」、4つの視点で「会計」に携わった経験のある公認会計士の著者。本書では有名企業の財務諸表をいくつか取り上げ、財務の特徴や読み方をわかりやすく解説しています。

就活で避けては通れない企業研究。その中でも企業のIRにはとても重要な情報が含まれています。これを読んで、会計情報から企業の経営戦略を読み解けるようになりましょう!
 

【書誌情報】
著者:川口宏之
出版社:ダイヤモンド社
定価:1500円(税抜)
出版日:2020年1月15日
スタッフのおすすめ度:★★★☆☆
 

本書の要点

  • 儲けの定義は企業によってさまざま。「キャッシュ・フロー(資金繰り)」を重要視する企業もあれば、「売上高と広告宣伝費のバランス」を大切にする企業もある。
  • 財務諸表の中でも「財務三表」を読めれば、企業の財務状況もわかるようになる。
 

儲けの定義とは?


儲けと聞くと売上や利益をイメージする人は多いと思います。しかし、実際はキャッシュや在庫といった資産や人件費や広告費などの費用が存在し、これらの原資となる負債や純資産も存在します。あらゆる数字が一体となって企業の経営は行なわれています。

「キャッシュ・フロー(資金繰り)」を重要視する企業もあれば「売上高と広告宣伝費のバランス」を重要視する企業もあり、儲けの定義は企業によってさまざまです。また、同じ企業でも成長ステージにより、儲けの定義は変わっていきます。起業直後の会社であれば、赤字であっても売上高を伸ばすことが重要です。一方、軌道に乗った会社は利益を出すことに注力するべきであり、成長ステージによっても儲けの定義は変わっていくのです。

会計に苦手意識を持っている方や、会計をビジネスに活かせていない企業の多くは「売上」と「利益」にしか注目しがちです。「売上」と「利益」のみで企業を測ることはできないため、複眼的な「儲け」の視点を身に付ける必要があります。
 

財務三表を理解し、読み解いていこう


会社の経済活動を記録・集計した書類を「財務諸表」といい、その中にある下記3つを「財務三表」と呼びます。

財務三表は企業の財産の状況や収支の財務状況を把握するために欠かせません。
 

貸借対照表

貸借対照表は一定期間の会社の財務状態をまとめた書類のことで、資産・負債・純資産の3つで表します。
 

負債と純資産には「どこからお金を集めているのか(資金の調達源泉)」、資産には「その集めたお金を何に使っているのか(資金の運用形態)」が記載されています。負債とは「返済義務のある資金の調達源泉」、純資産は「返済義務のない資金の調達源泉」を指し、負債と純資産の違いは返済義務の有無です。

貸借対照表に記載されている資産・負債・純資産それぞれの金額に注目することで、会社の安定性を測ることができます。

負債が膨らみ、資産を上回ってしまっている会社は瀕死の状態(債務超過)といえ、負債が純資産より多いほど危険な財務状況と考えられます。逆に、純資産の割合が多い会社は安全な基盤を築いているといえます。
 

損益計算書

損益計算書は会社が一定期間にどれだけ儲けたのかを表した書類のことで、会社の儲けの量や質がわかります。「売上高-費用=利益」の構造で、何に費用がかかり、どのくらいの利益があるのかが把握できるように書かれています。また、利益は細かく分けると次の5段階で表します。
 

複雑に見える損益計算書も、売上高と5種類の利益だけに注目すれば会社の収益力を大まかに測ることができます。➀~⑤を棒グラフにしたとき、緩やかな傾斜を描く会社は収益力があり、そうでない会社は先が不安な会社ということも覚えておきたいポイントです。

 

キャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フロー計算書とは会社の現金・預金(現金預金)が一定期間にどれだけ増減したかを表した書類です。会社の儲けをキャッシュの動きでとらえたもので、現金の増減要因に沿って、「営業キャッシュ・フロー」「投資キャッシュ・フロー」「財務キャッシュ・フロー」の3つに分けられています。これらの増減を見れば会社の好不調などが把握できます。


営業キャッシュ・フロー

本業での現預金の増減を示すもの。プラスなら、本業で現預金を増やす好調な会社であり、マイナスなら、本業で現預金が減って業績が苦しい会社であることがわかります。

投資キャッシュ・フロー

事業拡大のための設備投資や、ほかの会社への出資などによる現預金の増減を示す。プラスなら設備の売却などで現預金が増えたということで、既存事業からの撤退・縮小などの「守りの経営」を行っていることが読み取れます。マイナスなら「攻めの経営」を行なっていることがわかります。

財務キャッシュ・フロー

銀行や株主との関係により発生した現預金の増減を示す。プラスなら銀行からの借り入れなどで現預金を集めたことを意味し、マイナスなら借入金の返済や株主への配当支払いで現金が減少していることがわかります。

有名2社を比較してみると何がわかる?


では、実際に企業を比較してみるとどうでしょうか。ここではフジ・メディア・ホールディングスと日本テレビホールディングスのテレビ関連の事業に注目し、両社の有価証券報告書見てみましょう。
フジ・メディア・ホールディングス 有価証券報告書(2019年3月期)日本テレビホールディングス 有価証券報告書(2019年3月期)

上場企業でひとつの事業に取り組む会社は少なく、たいていの会社はいくつかの事業を行っているか、それらを営むグループ会社があります。そのため、テレビによる利益で比較したい場合、グループ会社の財務を合算した連結損益計算書だけ眺めていてもわかりません。

そんなときは、有価証券報告書に記載されている「セグメント情報」が役に立ちます。セグメント情報では、事業ごとの営業収益などを把握することができます。

セグメント情報を見ると、フジ・メディア・ホールディングスと日本テレビホールディングスはそれぞれ次の事業に取り組んでいます。
 

テレビ関連事業はメディア・コンテンツ事業に含まれています。両者のメディア・コンテンツ事業のセグメント利益を比較すると、フジ・メディアホールディングスは170億円であるのに対して日本テレビホールディングスは461億円と、約3倍です。

日本テレビは高視聴率番組の広告価値が高く、着実に放送収入を伸ばしています。それに対し、フジテレビの放送収入は下降の一途を辿っています。

 

視聴率に伸び悩んでいるフジテレビはスポンサーからの広告収入が減っているため、番組制作費用を削らざるを得ません。そのため、番組のクオリティが低下し、視聴率が伸び悩むという負のスパイラルに陥っているのです。

 

しかし、メディア・コンテンツ事業全体の売上高で比較すると、フジ・メディア・ホールディングスのほうが大きくなっています。

 

テレビ以外の各種メディアの売上があるフジ・メディア・ホールディングスのほうが営業利益は上ですが、主要なテレビ事業が不調のため先行きは不安定です。実際、フジ・メディア・ホールディングスの都市開発・観光事業は現在、営業利益の5割以上を占めており、都市開発・観光事業の営業利益率は13%を超えています。これは、日本テレビホールディングス全体の営業利益率11.7%を上回る高さです。

フジ・メディア・ホールディングスは、主力のメディア・コンテンツ事業にしがみつくのではなく、第2の収益の柱を育てるという「多角化戦略」に舵を切っていることが読み取れます。
このように、企業の動向や特徴は財務三表を一つひとつ読み解いていくことで掴むことができるのです。
 

就活生おすすめ度:★★★☆☆


企業の財務状況を読み解く力は、企業研究を行ううえで役立ちます。なぜなら財務諸表は「企業の経営実態を数値として表す鏡」だからです。本書では初心者にもわかりやすく財務諸表を読み解く際のポイントを紹介しています。

「会計」や「経営」と聞くと難しく感じてしまうかもしれませんが、学生でも理解できる内容になっています。財務諸表のような1次情報を有効活用し、ワンランク上の企業研究をしてみてください。

 

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