地方上級公務員とは?職種や仕事内容から試験の難易度まで詳しく解説

このページのまとめ

  • 地方上級公務員とは、大学卒業レベルの公務員試験に合格した職員のこと
  • 地方上級公務員は、将来の幹部候補として待遇や昇進スピードで優遇される場合がある
  • 民間企業と地方上級公務員で迷ったら、就職エージェントに相談するのがおすすめ

「地方上級公務員とは何?」と気になる就活生も多いでしょう。地方上級公務員とは、大学卒業レベルの公務員試験に合格し、都道府県・政令指定都市に採用された職員のことです。試験の難易度が高い分、幹部候補としてキャリアを積めます。
この記事では、地方上級公務員の仕事内容や職種、向いている人の特徴を解説。試験の概要や民間企業の就活と両立するコツもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

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目 次

地方上級公務員とは大卒程度の試験に合格した職員のこと

「地方上級」とは、大卒程度の学力レベルを必要とする都道府県・政令指定都市・特別区の職員採用試験の総称です。「地方上級公務員」とは、地方上級に区分される公務員試験に合格した自治体の職員を意味します。

重要なのは、「地方上級」はあくまで受験業界の用語であり、採用後の職員が「上級公務員」と呼ばれるわけではないという点です。入庁後は、初級・中級で採用された職員と同じ職場で働く場面も多く、試験区分で呼び分けが続くことはありません。

短大卒程度の学力レベルは「地方中級」、高卒程度は「地方初級」と表現されますが、これらも同様に受験業界用語です。初級・中級・上級は、特定の職種や仕事内容を表すのではなく、地方公務員試験を難易度別に分けたものといえるでしょう。

区分 上級 / Ⅰ類(大卒程度) 中級 / Ⅱ類(短大・専門卒程度) 初級 / Ⅲ類(高卒程度)
国家公務員(国に雇用される) ・総合職(キャリア官僚)
・一般職(国家一般 / 大卒)
一般職(高卒 / 専門卒程度) 一般職(高卒)
地方公務員(自治体に雇用される) ・地方上級(都道府県庁 / 政令指定都市)
・一般市役所(大卒枠)
地方中級(県庁 / 政令市 / 市役所) 地方初級(県庁 / 政令市 / 市役所)

地方初級・地方中級公務員との違い

都道府県・政令指定都市・特別区における地方公務員は、試験の難易度によって地方上級公務員・地方中級公務員・地方初級公務員に分けられます。

それぞれの主な違いは、以下のとおりです。

地方上級公務員 ・「Ⅰ類」「1種」「A」とも呼ばれる
・大卒程度の学力が求められる
・将来の幹部候補として期待される
地方中級公務員 ・「Ⅱ類」「2種」「B」とも呼ばれる
・短大卒程度の学力が求められる
・将来の管理職候補として期待される
※自治体によっては「中級」試験を設けていないケースもある
地方初級公務員 ・「Ⅲ類」「3種」「C」とも呼ばれる
・高卒程度の学力が求められる
・現場のスペシャリストとして勤務

年齢制限をはじめとする受験資格さえクリアしていれば、高卒の人が地方上級公務員試験を受けられる場合もあります。あくまで大卒程度の学力が求められているだけなので、必ずしも学歴は関係ありません。

地方公務員を目指す場合は、どのような仕事をしたいのか明確にしたうえで、自分がどの公務員試験を受験すべきか把握しておくことが大切です。

市役所職員との違い

地方上級公務員が、大卒程度の試験に合格した都道府県や政令指定都市の職員を指すのに対し、「市役所職員(市町村職員)」は市役所や町村役場の職員を意味します。

主な違いは、業務の範囲と転勤の有無です。都道府県などの地方上級公務員は、複数の市町村にまたがる広域的な行政や、国と市町村の橋渡し的な業務を担います。一方で市役所職員は、住民票の発行や福祉サービスの受付など、より住民の生活に密着した対人サービスが中心です。

地方上級公務員は管轄する地域が広いため、引っ越しを伴う転勤が発生するケースも少なくありません。一方、政令指定都市以外の市役所職員の場合は、勤務地がその市内に限定されるため、生活拠点を固定しやすいでしょう。

国家公務員との違い

国家公務員の場合、外務省や厚生労働省などの各省庁で働くケースが一般的で、省庁ごとの専門分野に特化してキャリアを積むスペシャリスト型が基本です。一方、地方上級公務員は採用された自治体のゼネラリストとして、幅広い業務を担当しながらキャリアを築いていくオールラウンダー型といえます。

また、地方上級公務員は「出向」という形で、別の自治体や国の省庁に一定期間赴任するケースも。出向を通じて行政全体の仕組みを広く学べる機会があることも、地方上級公務員ならではの経験といえるでしょう。

主な就職先

地方上級公務員の主な就職先は、都道府県庁、政令指定都市、東京特別区(23区役所)です。大卒程度の地方公務員試験において、これら規模の大きな自治体に採用された職員が該当します。同じ大卒程度の試験であっても、一般の市役所や町村役場は、試験日程などが異なるため含まれません。

都道府県庁では、複数の市町村にまたがる広域行政や産業振興、大規模なインフラ整備など、地域全体を動かす業務に携わります。人口50万人以上の政令指定都市や東京特別区では、都道府県並みの強い権限をもちつつ、都市開発や子育て支援など、都市経営に関する幅広い政策に主体となって取り組むことが可能です。どのような規模で地域社会に貢献したいかによって、志望先を選択すると良いでしょう。

公務員の種類について詳しく知りたい方は、「公務員の種類一覧!職種別の仕事内容や難易度も分かりやすく紹介」の記事もご確認ください。

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地方上級公務員の特徴3選

地方公務員は、都道府県や政令指定都市、市町村といった全国の自治体に所属し、公共の利益のために働きます。なかでも、地方上級公務員は幅広い業務を担当するため、やりがいを強く感じられるでしょう。

以下で、地方上級公務員の仕事の特徴を3つ解説するので、公務員を目指している就活生の方はぜひご一読ください。

地方上級公務員の特徴3選のイメージ

1.幹部候補として中核的役割を担う

地方上級公務員の特徴の一つは、幹部候補として中核的役割を担うことです。入庁後は、3〜5年程度でジョブローテーションしながら、幹部に必要とされる経験を積みます。

地方上級公務員は、中級・初級試験に合格した職員と比べて、早い段階から幅広い業務を任されます。地域の包括的な発展に寄与することが求められるポジションといえるでしょう。子育て支援や福祉などのさまざまな社会課題に対し、組織の中心となって働く必要があります。

2.地域の活性化に深く携わる

地域の活性化に深く携われるのも、地方上級公務員の特徴です。地域の魅力を引き出すためのイベントの計画・実施や民間企業との連携など、地域の活性化を直接的に推進するような仕事も多いでしょう。

また、各種政策や都市計画を立案する際には、説明会などを通じて住民の声を直接聞く機会もあります。地域の連携を深めるためにも、立場や世代の異なる多くの人と積極的に関わり、合意形成を図る姿勢が重要です。

3.中級・初級の地方公務員と同じ仕事もする

地方上級公務員として採用された人でも、中級・初級の地方公務員と同じ仕事をする場合があります。将来的に組織を牽引するリーダーとなるためにも、若手のうちは現場での実務を幅広く経験する必要があるためです。

窓口業務や事務処理など、中級・初級で採用された職員と同じ現場に配属され、ともに働く場面も多いでしょう。こうした現場での実務経験を積み、住民のニーズを肌で感じることが、将来的なキャリアアップに向けた準備になります。

地方公務員の仕事について詳しくは、「公務員の仕事内容とは?種類と職種別でご紹介!」の記事を確認してみてください。

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地方上級公務員の職種と仕事内容

ひと口に地方上級公務員といっても、職種や仕事内容はさまざまです。以下では、地方上級公務員の各職種の担当業務や勤務先について解説します。地方公務員の仕事を理解するための参考にしてみてください。

行政系

行政系の地方上級公務員は、「一般事務」や「行政事務」とも呼ばれ、本庁や出先機関などに勤務します。具体的な仕事内容は、配属される部署によってさまざまです。

地方初級公務員が主に定型的な事務処理を担当する一方で、地方上級公務員は部署間の連携を必要とする仕事を中心に、あらゆる業務を担当します。

行政系の地方上級公務員が担当する業務の例は、以下のとおりです。

・政策の企画および立案
・予算の編成や執行管理
・地方税の賦課や徴収
・都市計画の策定や推進
・住民への広報や情報発信
・環境保全に関する施策の実施 など

ほかに、公立学校に勤務する「学校事務」や警察署などに勤務する「警察事務」も、行政系の地方上級公務員の仕事の一つです。

学校事務は、各市町村立の小・中学校や都道府県立の高校に勤務し、会計や備品管理、学校行事の準備などを行います。警察事務の場合は、遺失物届の受理や犯罪情報の収集・分析などの、警察独自の業務があるのが特徴です。

心理系

地方公務員として心理学の知識を活かせるのが、心理系の職種です。心理系の地方上級公務員は、児童心理司や心理判定員として児童相談所や病院、こども家庭センターなどで、以下の業務を担当します。

・心理検査や診断
・カウンセリング
・心理学的助言や援助
・関係機関との連絡調整 など

心理系の地方上級公務員の役割は、問題を抱える個人や家族の心身の健康をサポートすることです。自治体によっては、受験資格に公認心理師や臨床心理士などの資格要件、あるいは大学での専攻を設けているケースがあります。

福祉系

福祉系とは、主に都道府県や政令指定都市が運営する福祉事務所や児童相談所で、相談やケースワークに関わる職種です。また、県庁や市役所などで、社会福祉系の専門業務を担う場合もあります。

国家公務員と比べて、地方公務員としての採用が多いのが福祉系の職種です。福祉系の地方上級公務員になるには、「福祉職」や「社会福祉」といった区分の試験に合格する必要があります。なお、多くの自治体が社会福祉士や児童指導員などの資格要件を定めているため、事前に確認しておきましょう。

技術系

技術系の地方公務員は、公共施設やインフラの整備・保全を支える各分野のスペシャリストです。技術系は専門性の高い仕事を中心に担いますが、地方上級公務員の場合は、幹部候補として統括や企画、他部署との連携を図る業務にも加わります。

専門分野 配属先 仕事内容
土木 ・土木課
・道路課
・河川課
・公園課
・水道局 など
道路や河川、公園、上下水道、都市計画に関わり、地域のまちづくりを担う
建築 ・建築課
・営繕課
・都市整備局 など
建築物の検査申請を扱う窓口や検査業務を担う
電気 ・環境施設課
・清掃事務所
・水道局
・交通局 など
自治体が管理する街灯やごみ焼却施設、上下水道の施設における電気系統の維持・管理を担う

ほかにも、機械、化学、農業、林業といった分野があり、それぞれ大学で履修した専門的な知識やスキルが求められます。

公安系

警察官や消防士など、社会の安全と平和を守る仕事を担うのが公安系の地方公務員です。公安系の職種は、地域の治安維持に努めるほか、犯罪や火災を予防するための教育活動も行います。大卒程度の試験に合格した場合、将来の幹部候補としての活躍が期待されるでしょう。

警察官は各都道府県警察に所属し、交番勤務や交通取締、刑事業務など、配属先によって異なる業務を担います。消防士は、各自治体が実施する採用試験に合格したあと、消防学校での訓練を経て各市町村の消防署などに配属されます。いずれも受験資格として、年齢制限に加えて身長・体重・視力などの身体基準が設けられているのが特徴です。

資格免許系

地方上級公務員には、資格や免許を持っていなければ従事できない職種もあります。たとえば、看護師や保健師、保育士などは、国家資格を取得したうえで公務員試験に合格しなければなりません。

資格免許系の地方公務員は、専門的な資格を活かして医療や教育の分野で働きます。看護師の場合、各自治体が運営する公立病院をはじめ、保健所や保健センター、公立の保育所が主な勤務先です。また、保育士は公立の保育園や認定こども園などに配属されます。

民間施設に勤務する同職種と異なり、身分は地方公務員となるため、福利厚生や給与体系は自治体の規定にもとづくのが特徴です。

地方上級公務員を目指している方は、「業界・企業・職種の研究はなぜ重要?就活を効率的に進めるための基礎知識」の記事を参考に職種研究も進めてみてください。地方上級公務員のなかから、自分の適性に合うものを見つけましょう。

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地方上級公務員の平均年収

地方上級公務員の平均年収は、約620万円~650万円前後が目安となります。総務省の「令和7年度地方公務員給与実態調査」によると、全地方公共団体の一般行政職における平均給与月額は41万3,968円です。ここに年間の期末・勤勉手当(ボーナス)が加算されるため、このような年収水準が算出されます。

また、地方上級公務員の主な就職先である「都道府県」や「政令指定都市」は、一般の市町村に比べて平均給与月額がやや高く設定されている点が特徴です。都道府県の一般行政職で42万139円、政令指定都市では44万5,629円となっており、ボーナスを含めた年収ベースでは660万円を超えるケースも少なくありません。

団体区分 平均給与月額 想定平均年収の目安
都道府県 42万139円 約660万円
政令指定都市 44万5,629円 約650万円
40万8,453円 約640万円
町村 37万910円 約610万円

参照:総務省「令和7年地方公務員給与実態調査結果等の概要 2 平均給与月額 <第8表>団体区分別平均給与月額(一般行政職・R7)(p.6)

※想定平均年収は平均給与月額の12ヶ月分と、年間のボーナス(約4.4~4.5ヶ月分)を合算した目安です。

民間企業のように会社の業績によって給与が大きく変動するリスクが低く、年齢や経験を重ねるごとに給与が上昇していく仕組みが整っています。就職活動の初期段階から明確な給与水準を把握しておくことは、将来の生活設計や民間企業とのバランスを検討するうえで、判断材料の一つとなるでしょう。

公務員の昇給については、「公務員の給料事情とは?年齢別の違いや職種の違いによる差を詳しく解説!」も参考にしてみてください。

参照元
総務省
令和7年地方公務員給与実態調査結果等の概要

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地方上級公務員のキャリアパス

地方上級公務員として採用された職員は、将来の幹部候補として期待されています。数年ごとの異動を通じて、幅広い業務を経験するジェネラリストとしてのキャリアを歩むのが一般的です。

採用されたばかりの地方上級公務員は、複数の部署を経験し、行政実務の基礎を学びます。数年の経験を経て業務に慣れてくると、実務のリーダーとして、担当業務のとりまとめや後輩を指導。その後、課長級以上の管理職として組織のマネジメントや政策の意思決定に関わり、最終的には組織全体の運営を担う経営層としての役割が期待されるようになるでしょう。

地方上級公務員の場合、初級や中級と比較して昇進のスピードが速く、より高い役職まで昇り詰める可能性が高いのが特徴です。3〜5年周期の定期的な人事異動によって、福祉や教育、産業振興、防災など、自治体のあらゆる分野に精通した人材へと成長していきます。

また、自治体によっては「出向」として国の省庁や他の自治体で一定期間勤務し、より広い視野と人脈を得る機会も。こうした経験が将来の幹部としての素養を磨く場にもなるでしょう。

なお、昇任や昇級に関しては、筆記や面接による独自の昇任試験を課す自治体もあれば、勤務成績や経験年数にもとづき選考を行う自治体もあるなど、その方針はさまざまです。

地方上級公務員のキャリアプランについて検討したい方は、「キャリアプランの例文20選!見つけ方や企業から評価されるポイントを解説」の記事を参考にしてみてください。

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地方上級公務員試験の概要

以下では、地方上級公務員試験の試験の概要を解説します。受験資格や科目、難易度、倍率などについて知りたい方は、ぜひご一読ください。

受験資格

地方上級公務員試験は、学歴を問わず受験できるものがほとんどです。ただし、多くの自治体では年齢制限が設けられています。一般的には22〜30歳前後に設定されており、35歳まで受験が認められている自治体もあるでしょう。

また、「地方公務員法第16条」によると、以下の条件に当てはまる人は公務員試験を受験することができません。

チェックリスト

  • 拘禁刑以上の刑を受け、執行が終わっていない人
  • 受験する自治体で過去2年以内に懲戒免職になった人
  • 人事委員会や公平委員会の委員として特定の罪で刑を受けた人
  • 憲法や政府を暴力で壊そうとする団体に属している人

職種によっては、受験にあたって資格が必要な場合もあります。自治体によって条件は異なるので、事前に採用情報を確認しましょう。公務員試験での資格の必要性については、「公務員に資格は必要?職種の違いや採用までの流れを解説」の記事も参考にしてみてください。

参照元
e-Gov 法令検索
地方公務員法

受験日程

地方上級公務員試験(都道府県・政令指定都市)の1次試験は、例年6月中〜下旬の日曜日に全国一斉に実施されます。ただし、4〜5月などに独自日程を設定しているところもあるため注意が必要です。

例年、2〜5月ごろにその年の試験案内が自治体のWebサイトで公表され、3〜4月には申し込みの受け付けが始まります。近年では、多くの自治体がインターネット経由での申し込みを採用しているため、早めに確認しておきましょう。

なお、公務員試験でよく耳にする「A日程・B日程・C日程」という言葉は、主に市役所試験(政令指定都市以外の市役所)の日程区分のことです。地方上級の試験日(6月第3日曜日)を便宜上「A日程」と呼ぶこともありますが、基本的には別の仕組みであると理解しておくと混同を防げます。

試験日が重ならなければ複数の自治体を併願できるため、各自治体の採用ページで実施日を照らし合わせ、計画的に準備を進めましょう。

試験科目

地方上級公務員の1次試験では、教養試験や専門試験、論文(記述試験)が課されます。2次試験になると、面接や集団討論といった試験を実施する自治体が多いでしょう。

特に、教養試験や専門試験の出題範囲は広く、しっかりと対策する必要があります。教養試験の主な出題内容は下記のとおりです。

チェックリスト

  • 数的処理
  • 文章理解
  • 人文科学
  • 自然科学
  • 社会科学
  • 時事問題

なお、各科目すべて出題される場合もあれば、「選択式を採用」「一部の科目のみが出題範囲」としている自治体もあります。問題数を含め、試験範囲は自治体や職種によって異なるため、自分が受験する自治体の出題傾向に合わせて対策することが大切です。

また、近年の地方公務員試験は人物重視・面接重視の傾向が強まっており、1次試験(筆記)を通過しても2次試験(面接・論文)で差がつくケースが増えています。筆記の準備だけでなく、早い段階から志望動機や自己PRを練り込んでおくことが重要です。

難易度と倍率

総務省の「地方公務員の職員採用方法の多様化について(5p)」によると、2016年から2020年の5年間における地方上級公務員試験の競争倍率は、全国平均で6~7倍ほどでした。地方公務員試験のなかで難易度が高いとされる地方上級公務員試験ですが、競争倍率は自治体や職種によって異なります。

また、同省の「地方公務員における働き方改革に係る状況」で公表された、過去10年間の地方公務員試験における受験者数、合格者数、競争率の推移は以下のとおりです。

地方公務員における働き方改革に係る状況の引用画像

引用:総務省「地方公務員における働き方改革に係る状況 ―令和6年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要

地方公務員試験の競争倍率は年々低下傾向に。総務省のデータによると、地方公務員試験全体の競争倍率は2024年度に過去30年で最低の4.1倍を記録しており、地方上級においても同様の低下傾向が見られます。

以前より合格のチャンスは広がっているものの、試験範囲の広さや専門試験の難易度は変わらないため、しっかりとした対策は引き続き欠かせません。自治体の多くは、公式サイトや採用ページで試験実施状況を公表しています。希望の地域や職種が決まったら一度確認してみるのがおすすめです。

参照元
総務省
勤務条件・採用試験等 地方公務員における働き方改革に係る状況 ―令和6年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果の概要

新方式を採用する自治体も増加傾向

近年、「新方式」と呼ばれる新しい試験制度を導入する自治体も増加傾向にあります。これは従来の専門試験を課さず、民間の就職活動で広く使われるSPIなどの適性検査や、面接といった人物評価を重視する仕組みです。特別な公務員試験対策をしていない学生でも挑戦しやすいため、民間企業との併願を考える層からも注目を集めています。

背景としては、公務員志望者の減少や、多様な経歴をもつ人材を確保したいという自治体側の狙いです。総務省の資料でも、試験内容の多様化や、民間企業の採用手法を取り入れる動きが全国的に広がっていると示されました。大学3年生から準備を始めるにあたり、専門試験の勉強量に不安がある場合は、こうした新方式の実施状況を早めに確認しておくのがおすすめです。

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【科目別】地方上級公務員試験の対策方法

地方上級公務員試験は公務員試験のなかでも比較的難易度が高いので、合格するためにはしっかりとした対策が必要です。ここでは、試験科目ごとにどのような対策をとるべきかを解説します。公務員を目指している就活生の方は、ぜひ参考にしてください。

教養試験

教養試験は、大きく「一般知能」と「一般知識」に分けられます。さまざまな分野から出題されるのが特徴です。なかでも、重要なのが一般知能に分類される数的処理だといわれています。多くの自治体の公務員試験で出題されるうえに、出題数も多い科目です。

なお、数的処理はこれまで学習した数学とは毛色が全く違うため、苦手意識をもつ学生も少なくありません。地方上級公務員試験の勉強を始めたら、一般知能の対策を優先して取り組むのがおすすめです。

専門試験

専門試験は職種によって試験科目が異なります。

  科目 内容
行政系職種 法律系科目 憲法、民法、行政法、労働法、刑法、商法など
経済系科目 経済原論(ミクロ経済学・マクロ経済学)、財政学、経営学、会計学、統計学など
行政系科目 政治学、行政学、社会学、国際関係論など
心理・福祉系職種 心理・福祉系科目 心理学、社会学、教育学、社会福祉、社会調査など
技術系職種 技術系科目 土木、工学、建築、機械、電気など

採用数が多い行政系の対策を例に挙げると、法律系の憲法や民法、行政法、そして経済系の経済原論などが試験範囲となります。専門試験に関しては、それぞれの科目の問題数や配点によって、重点的に取り組むポイントを絞って対策すると効果的です。

新方式

新方式は筆記試験の負担が少なく、特別な公務員対策を行っていない学生でも挑戦しやすい点が特徴です。多くの自治体において、SPIなどの適性検査や面接といった人物評価を中心に合否が判定されます。

出題範囲の広い専門試験が課されないため、一般的な対策に比べて勉強時間を大幅に抑えられる点がメリットです。その分、民間企業の就職活動と並行して進めやすく、大学3年生の秋や冬からでも十分に合格を目指せます。

ただし、筆記試験のハードルが低い反面、面接や集団討論などの人物試験は厳しく評価される点に注意が必要です。自己分析や志望動機の言語化など、民間の就活と同様に丁寧な選考対策を行うことが、合格を勝ちとるための重要なポイントとなります。

論文・面接

公務員試験では、論文や面接の対策も欠かせません。教養試験や専門試験の勉強に追われていると、論文や面接対策が疎かになりがちです。しかし、地方公務員試験では論文や面接を重視する自治体も多く、内容次第で合否が決まるケースもあるでしょう。

論文の書き方や面接マナーは短期間で身につけるのが難しいため、なるべく早めに対策するのがポイントです。論文であれば、制限時間内に字数を守って書き上げられるように何度も練習し、第三者に添削してもらうと良いでしょう。

面接では、公務員試験ならではの頻出質問にも備えておく必要があります。「なぜ民間ではなく公務員を選んだのか」「なぜ他の自治体ではなく当自治体なのか」「地域の課題をどう解決したいか」といった質問は特に多く聞かれるので、スムーズに答えられるよう対策が必須です。

学んできたこと・経験してきたことと志望動機を結びつけて、具体的に語れるよう準備しておきましょう。公務員の志望動機の書き方については、「公務員になりたい理由の伝え方は?民間企業やほかの自治体と差別化するコツ」も参考にしてみてください。

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地方上級公務員試験のポイント

地方上級公務員試験に合格するためには、計画的にスケジュールを立て、勉強時間を確保することが大切です。場合によっては、公務員対策の予備校に通うことも検討できます。以下では、地方上級公務員の試験対策のポイントを解説するので、ご一読ください。

計画的にスケジュールを立てる

地方上級公務員試験の合格に向けて、まずは計画的にスケジュールを立てましょう。就活生のなかには、大学の授業で公務員試験対策の講座を取り、大学1年生のときから勉強を進める学生もいます。

ただし、あまり早くから勉強に取り組んでしまうと、中だるみしてしまう人もいるようです。また、試験まで期間が空いてしまい、勉強した内容を忘れてしまうこともあります。試験日から逆算し、自分に合った試験対策スケジュールを立てましょう。

勉強時間を確保する

地方上級公務員試験に合格するためにも、十分な勉強時間を確保しましょう。あくまで目安ですが、公務員試験合格に必要な勉強時間は1000時間以上とされています。公務員試験は出題範囲が広く、多様な知識を身につけるためには時間をかけてインプットが必要です。

平日の夜や休日を優先的に充てるといった工夫で、生活リズムのなかに学習を組み込むことが大切です。特に配点の高い数的処理などの科目は毎日少しずつでも触れ続ければ、知識の定着を図り、解答スピードを維持できます。

公務員試験に合格するための勉強時間については、「公務員試験の勉強時間は?大学生が合格を目指す際のポイントを紹介!」の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてご覧ください。

独学か予備校を検討して選ぶ

自分に合った勉強方法を選択するのも、地方上級公務員試験に合格するための重要なポイントです。

独学でも十分に合格を目指せますが、自力での学習が難しいと感じる場合や効率よく対策を進めたい場合は、予備校や通信講座の活用を検討しましょう。

それぞれのメリットをまとめると、以下のとおりです。

独学のメリット 予備校(通信講座)のメリット
・コストを抑えられる
・自分のペースで学習できる
・市販のテキストから好きなものを選んで勉強できる
自治体ごとの出題傾向や最新情報が得られる
・合格ノウハウが凝縮された講座を受けられる
・面接・論文対策まで一括してサポートしてもらえる
・疑問点をすぐに解消しやすい

特に、近年は面接重視の傾向が強まっているため、「筆記は独学・面接対策は予備校」という使い分けをする受験者も増えています。お金や時間、自分の試験対策の状況を考慮したうえで、最適な方法を選びましょう。

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地方上級公務員に向いている人の特徴

地方上級公務員という仕事が自分に向いているかどうか、気になる就活生も多いでしょう。以下に、地方上級公務員として活躍しやすい人の特徴をまとめました。

特別な学歴や素質がなくても目指せる

地方上級公務員になるために、高学歴であることや、特別な才能などは必要ありません。試験の受験資格には基本的に年齢制限が設けられているのみで、特定の学歴を必須条件としていない自治体がほとんどです。大卒程度の試験難易度であっても、学歴そのものが合否の判定に直接影響を与えるケースは極めて低いと考えられます。

採用において重視されるのは、過去の経歴ではなく、試験に向けた事前の準備や本人の人柄です。出題範囲の広い筆記試験に対して計画的に勉強を継続できる力や、面接で自分の考えを誠実に伝える姿勢があれば合格を目指せます。大学3年生の段階で「自分には無理かもしれない」と躊躇する必要はなく、正しいステップを踏んで対策すれば、誰にでも道は開かれているといえるでしょう。

地域や社会への貢献意識が高い

地方上級公務員の仕事は、営利目的ではなく地域住民の生活や社会全体の利益のために働くことが本質です。そのため、「住民の役に立ちたい」「地元をより良くしたい」といった貢献意識が強い人ほど、日々の業務に大きなやりがいを感じられます。

公共の利益を追求する性質上、民間企業とは異なる視点が求められますが、自分の仕事が地域に直接還元される喜びは何物にも代えられません。目の前の課題に対し、誠実に向き合い続ける姿勢こそが重要な資質となるでしょう。

長期的な視野でコツコツ取り組める

長期的な視野を持ち、コツコツと地道に業務に取り組める人も地方上級公務員に向いているでしょう。行政が手掛けるプロジェクトは規模が大きく、成果が出るまでに数年から数十年単位の時間を要することも珍しくありません。そのため、目先の変化に一喜一憂するのではなく、長期的なビジョンを持って粘り強く実務に励める人が重宝されます。

地道な作業の積み重ねが、将来的に地域社会の大きな安心や発展に繋がっていく点にやりがいを見出せるなら、適性は高いといえるでしょう。

幅広い人と関わることを苦にしない

地方上級公務員はあらゆる世代や職種の人と接する機会が多いため、相手の意見を尊重しつつ、物事を調整することに苦を感じない人に向いているでしょう。住民や議会、民間企業、他の行政機関といった多様な関係者と連携しながら業務を進めていきます。立場や目的が異なる人々と円滑に意思疎通を図り、合意を形成していく力が欠かせません。

周囲と協力してプロジェクトを動かす過程で、信頼関係を築くことに喜びを見出せるなら、自治体の中核を担う職員として活躍できるでしょう。

安定した環境でキャリアを積みたい

地方公務員は、民間企業のような倒産やリストラのリスクが低く、経済的な基盤を安定させながら働けるのが大きな魅力です。給与は年数や役職に応じて着実に昇給する仕組みが整っているため、将来のライフプランも立てやすいでしょう。

また、育児休業や時短勤務などの各種制度を利用しやすい風土が根付いている点も特徴といえます。私生活の変化に柔軟に対応しつつ、一つの自治体で長く腰を据えてキャリアを築いていきたいと考える方には、理想的な職場環境です。

就職を成功させるためには、自分に合った仕事を探す必要があります。「向いている仕事が分からない…適職の定義や見つけ方5ステップを解説」の記事では、適職の探し方を紹介しているので参考にしてください。

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地方上級公務員と並行して民間企業を目指すコツ

就活生のなかには、公務員試験と並行して民間企業の選考を受ける方もいるでしょう。公務員と民間企業を併願する場合は、時間の使い方が大切です。以下では、公務員と民間企業を並行して目指す場合のコツを解説します。

それぞれの就活スケジュールを把握する

公務員試験と民間企業を併願する際は、まずは両方の選考スケジュールを調べ、どのように動くかを考えておきましょう。スケジュールを把握しておかないと、試験日と選考が重なったり、準備の時間が足りなかったりする恐れがあります。

公務員試験のスケジュールは志望する自治体によって異なるので、事前の確認が欠かせません。民間企業の就活スケジュールについては、3月にエントリーが解禁され、6月に選考が解禁されるのが一般的です。しかし、なかには早期選考を実施している企業もあります。

企業の早期選考と本選考、公務員試験の日程を確認し、スケジュールが被らないように調整を行いましょう。民間企業の就活スケジュールについては、「就活はいつから?28卒におすすめの時期や分岐点も解説!」の記事で解説しているので、参考にしてみてください。

スキマ時間を活用する

公務員試験と民間企業を併願するなら、スキマ時間を活用することも重要です。講義やアルバイトの休憩時間、移動中などのスキマ時間を逃さないようにしましょう。30分あれば、公務員試験の勉強や、民間企業の選考に向けた自己PRや志望動機を考える時間に使えます。

民間企業もSPIなどの適性検査がありますが、公務員試験と比べると短期間で対策が可能です。そのため、公務員試験の勉強時間を優先的に確保しておき、空いた時間で民間企業の試験対策を行うと良いでしょう。

就職エージェントに相談する

公務員試験で民間企業の対策に時間がとれない場合は、就職エージェントに相談するのがおすすめです。就活のプロに相談すれば、書類作成や面接対策に必要なサポートを受けられます。就活のプロの視点から客観的なアドバイスを受けられるため、入社後のミスマッチを防ぎやすくなるでしょう。

就職エージェントは、限られた時間のなかで効率的に内定を獲得するための強力なパートナーとなります。多くのサポートを受けられるため、精神的なゆとりにもつながるでしょう。まずは一度面談に足を運び、公務員と併願している旨を伝えたうえで、自分に最適な就活プランを提案してもらうのがおすすめです。

また、民間企業の選考を勝ち抜くためには、徹底した企業研究が欠かせません。限られた時間で効率よく企業への理解を深めたい方は、「企業研究とは?目的や手順を解説!ポイントを押さえて就活成功を目指そう」の記事もあわせて参考にしてみてください。

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地方上級公務員と民間企業でお悩みのあなたへ

「地方上級公務員として地域に貢献したい」という思いがある一方で、「試験対策が間に合うか不安」「民間企業も魅力的で迷う」と、進路決定に悩んでいる方もいるでしょう。

実際、地方上級公務員試験に合格するためには、多くの勉強時間を確保する必要があります。民間企業と併願すると、公務員試験対策の時間と選考対策の両方を行わなければならなくなり、負担も大きくなりやすいでしょう。

「公務員試験の勉強に専念すべきか、民間企業の選考も受けるべきか」という進路選択で迷っているなら、一人で抱え込まずにキャリアチケット就職エージェントへご相談ください。

キャリアチケット就職エージェントは、就活にお悩みを抱える学生の支援に特化した、新卒向けのサービスです。多くの就活生をサポートしてきた経験豊富なキャリアアドバイザーが、あなたの希望と適性にピッタリの企業を厳選してご紹介します。

企業研究や書類作成、面接対策、スケジュール管理など、就活を一貫してサポートするので、公務員試験に集中したい方も安心できるでしょう。就活に関するどのようなお悩みにも対応しているので、内定獲得後の進路についてもご相談いただけます。

すべてのサービスが無料なので、まずはお気軽にキャリアチケット就職エージェントへお問い合わせください。

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地方上級公務員に関するよくある質問

ここでは、地方上級公務員に関するよくある質問をご紹介します。

地方上級公務員の試験は難し過ぎるって本当?

地方上級公務員の試験の難易度は大卒程度です。公務員試験のなかでも上位に位置しますが、決して手が届かないものではありません。独学での合格も十分に可能でしょう。倍率は自治体により異なりますが、おおむね6〜7倍程度が一般的です。

試験範囲は広いものの、頻出分野に絞って効率的に対策すれば、十分に合格を狙えます。また、近年の受験者数は減少傾向にあるため、以前よりも合格のチャンスは広がっているでしょう。

地方上級公務員の勉強時間はどのくらい?

合格に必要な勉強時間の目安は、一般的に1000時間程度といわれています。これは、1日3時間の勉強を約1年間継続する計算です。試験科目は教養科目と専門科目を合わせて30科目近くに及ぶため、計画的な学習が欠かせません。

しかし、教養試験のみで受験できる自治体や特定の科目の配点が高い自治体など、志望先を絞って対策を最適化することで、より短期間で合格を目指せるでしょう。

地方上級公務員を目指すのに大学のレベルは関係ある?

試験の合否に大学のレベルや学歴が直接影響することはありません。公務員試験は点数と人物評価による公平な選考が行われるため、どの大学出身であっても同じ条件で評価されます。

大卒程度の学力が求められますが、これは試験問題の難易度を指すものであり、出身大学を指定するものでありません。筆記試験に向けた地道な準備と面接対策を行えば、十分に合格を目指せるでしょう。

地方上級公務員は転勤はある?

転勤はありますが、引越しを伴うケースは自治体によって異なります。都道府県庁の場合、管轄エリアが広いため、遠方の出先機関への異動により転居が必要になることも少なくありません。

一方で、政令指定都市や東京特別区であれば、勤務地が市役所や区役所、あるいは市内の各庁舎に限られるケースが一般的です。生活拠点を固定して働きたい場合は、受験を検討している自治体の広さを確認しておきましょう。

地方上級とほかの公務員試験は併願できる?

試験日程が重ならなければ、複数の公務員試験を自由に併願できます。地方上級の試験日は例年6月中旬の日曜日に統一されているため、都道府県庁と政令指定都市を同時に受けることは原則としてできません。

しかし、日程の異なる国家公務員一般職や、秋に試験が行われる一般の市役所などとは問題なく掛け持ちが可能です。出題科目が共通している試験も多く、効率的に併願先を増やせます。

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