【企業比較】IRから読み解く「電通」と「博報堂」

就活を進めるうえで、企業研究は避けて通れません。でも、「イチから始めるとなると時間がかかってめんどくさい…」そう思ったことはありませんか?

そこで、この企画ではそんな就活生のために、企業のIR情報(※)や決算説明資料を比較し、知っておいてほしい情報だけをピックアップしてお届けします。

今回取り上げるのは「電通」と「博報堂」。広告業界を目指す就活生はぜひチェックしてみてください!
※IR(Investor Relations)情報とは、企業が株主や投資家向けに経営や財務状況など投資の判断に必要な情報をまとめたものです。

 

目 次
  • 1. 「電通」と「博報堂」ってどんな会社?
  • 電通の事業について
  • 博報堂の事業について
  • 2. 電通と博報堂の動向
  • 電通の動向について
  • 博報堂の動向について
  • 3. 電通と博報堂の今後の見通し
  • 電通の今後
  • 博報堂の今後
  • 4. 広告業界で求められる人物とは?
 

「電通」と「博報堂」ってどんな会社?


今回はIR・決算説明資料から見る業界研究という内容で解説していきます。今回のテーマは広告業界である、「電通」と「博報堂」を比較していきます。

まず会社概要から見ていきます。どちらも広告を主軸としてさまざまな事業を抱える大きなグループ会社です。また、グループ会社の広いネットワークを活用し、国内にとどまらず海外へも大きな影響力を持っています。

まずは「電通」からみていきましょう。

電通の事業について

「Good Innovation」を理念とし、人へ、社会へ、新しい価値をもたらす幅広い変革を目指しています。事業は大きく分けて国内事業と海外事業があり、国内事業では主に7グループに分かれています。
 

①電通

コミュニケーション関連の統合的ソリューションの提供、経営・事業コンサルティングなどを行う企業。

②電通国際情報サービス

電通とGE(General Electric Company)のジョイントベンチャーとして設立された総合情報通信サービス会社。

③電通デジタル

デジタルマーケティングの全ての領域に対する、コンサルティング、開発・実装、運用・実行支援機能を持つ専門会社。

④地域電通

各地域のジャパンネットワーク各社。具体的には電通東日本、電通西日本、電通九州、電通北海道、電通沖縄。

⑤CARTA HOLDINGS

VOYAGE GROUPとサイバー・コミュニケーションズが経営統合し、両社の純粋持株会社として発足。3つの事業、広告枠の販売及びソリューションを提供する「パートナーセールス事業」、広告配信プラットフォームを運営する「アドプラットフォーム事業」、自社メディアの企画・運営やHR領域・EC領域での新規事業を手がける「コンシューマー事業」を展開している。

⑥電通テック

デジタルを起点としたプロモーション領域全般の企画・制作・実施運用まで課題解決を担うプロフェッショナル集団。

⑦電通ライブ

リアルな体験価値を創造するイベント&スペース開発の企画・デザイン、演出・制作・運営、プロデュースを行う「ライブマーケティング」企業。


電通グループは、価値創造力を高め、進化していくことをビジョンとして掲げています。そのためにグループ内外のリソースの多様化を図り、今まで以上に高度に統合していくこと、そして電通に関わる多くの人々をつなぎ、新しい価値を生み出していくことを目指しています。

 

電通は145以上の国と地域に1000社を超える企業集団を展開し、6万6千人の社員を有するグローバルグループ企業です。今後は一層グループ内外のリソースを活用し、融合を図り、事業やサービスの垣根を超えた幅広いソリューションの提供を行っていきます。「多様化」や「グローバルネットワーク」は重要なキーワードとして覚えておきましょう。
 

博報堂の事業について

博報堂DYグループは「生活者発想」と「パートナー主義」の2つをポリシーとして掲げており、グループのなかでも大きな存在感を放つ博報堂は、大きく3つの事業、主に7つの異なる企業で構成されています。

・博報堂の主な事業

各事業内でもさまざまな企業が存在し、国内・国外に拠点を持っているため、非常に大きな組織であることがわかります。グループ規模としては日本で2位、世界でも11位に位置し、子会社や関連会社は386社あります。

事業エリアは世界21以上の国と地域への展開に留まっていますが、国内広告市場のシェアは、2014年で19.0%だったのに対し、2020年では22.3%に伸びています。国内広告市場の約4分の1を占めるほどに成長しており、博報堂は海外よりも国内市場が強いことがわかります。

 

 

電通と博報堂の動向


売上としては前年比でマイナスになっている部分が多いようです。ただし、このような状況だからこそ削減できるところは削減するといった動きをみせ、電通、博報堂ともにコスト削減を成功させ、利益率は前年比プラスになっています。

では、それぞれの動向を見ていきましょう。

電通の動向

電通の「2020年度第3四半期連決算概況」の資料によると、次の3つのことがわかります。
 

①オペレーションマージンはプラスに。年間コスト削減目標は順調に推移

全体の売上高としては前年比-14.2%となっていますが、第3四半期累計のオペレーティングマージンはプラスになっており、コスト削減の年間目標への進捗としては順調なようです。
つまり、利益率は高く、収益性が高いということがわかります。
※オペレーションマージン…調整後営業利益÷売上総利益。つまり売上営業利益率のこと。
 
 2020年1~9月  2019年1~9月  前年同期比(%)
 売上高  3,146,255  3,665,096  (14.2)
 収益  676,362  746,610  (9.4)
 売上純利益  601,927  674,205  (10.7)
 調整後営業利益  75,823  76,543  (0.8)
 オペレーション・マージン  12.6%  11.4%  +1.2
 調整後当期利益  39,369  40,075  (1.8)
 営業利益  18,503  38,015  (51.3)
(単位:百万円)

②電通インターナショナル(海外事業) 売上総利益の減少と利益率の増加

海外へ大きなリソースを抱える電通ですが、海外事業についてはいずれの地域も売上総利益は減少、全体としては前年比約10ポイントほどマイナスになっています。
 
 2020年1~9月  2019年1~9月  前年同期比
 EMEA(欧州・中東・アフリカ)  127,196  146,444  (13.1)
 Americas(米州)  159,603  174,337  (8.5)
 APAC(アジア太平洋)  60,342  77,352  (22.0)
 売上総利益 合計  347,144  398,141  (12.8)
 デジタル領域構成比  67.1%  61.1%  +6.0
 調整後営業利益  35,886  25,079  +43.1
 オペレーション・マージン  10.3%  6.3%  +4.0
(単位:百万円)
 

③電通ジャパンネットワーク(国内事業)デジタル領域の売上増加と収益性の落ち込み

国内事業については電通国際情報サービス(ISID)、電通デジタル、電通ライブにおいて前年比プラスとなっています。
ただし、国内事業全体の調整後の営業利益としては約20ポイントほどマイナスになっているため、収益性はやや落ち込んだようです。
 
 2020年1~9月  2019年1~9月  前年同期比
 (株)電通  139,530  160,991  (13.3)
 電通国際情報サービス  27,630  24,146  +14.4
 電通デジタル  16,937  14,898  +13.7
 地域電通  12,812  16,212  (21.0)
 CARTA HOLDINGS  14,627  14,521  +0.7
 電通テック  9,561  10,826  (11.7)
 電通ライブ  8,692  7,387  +17.7
 その他・内部取引等  25,311  27,463  (7.8)
 売上総利益(IFRS)合計  255,100  276,444  (7.7)
 デジタル領域構成比(%)  33.8%  28.6%  +4.6
 調整後売上利益(IFRS)  43,763  56,118  (22.0)
 オペレーション・マージン  17.2%  20.3%  (3.1)
(単位:百万円)
※「2020年度第3四半期連結決算概況」を元に作成

博報堂の動向

続いて博報堂です。決算説明会資料(2020年3月期第2四半期)を見ると3つのことが分かります。
 

①コロナ渦の影響により、前年同期比21.8%の減収

なお、営業利益としては前年同期比91.1%の減益となっていますが、18億円の黒字は確保しているようです。

実績 対前年同期比
 売上高 534,065 -148,761 -21.8%
 営業利益 1,800 -18,441 -91.1%
 経常利益 3,712 -17,895 -82.8%
 親会社株主に帰属する四半期純利益 -3,433 -23,196 -117.4%
(単位:百万円)

②4大マスメディア 24.9%の減収

種目別に見ると、4大マスメディアと呼ばれる「新聞・雑誌・テレビ・ラジオ」では平均で約25%ほど前年から減収しています。
4大マスメディアは全体の構成比の約40%を占めているため、売上に大きく響いていることがわかります。
 
実績 対前年同期比 構成比
 新聞 14,617 -6,403 -30.5% 3.2%
 雑誌 4,613 -3,676 -44.3% 1.0%
 ラジオ 5,595 -1,835 -24.7% 1.2%
 テレビ 159,440 -49,076 -23.5% 35.0%
 4マス合計 184,266 -60,992 -24.9% 40.4%
 国内売上高 469,095 -144,570 -23.6% 100.0%
(単位:百万円)


③海外は損益取り込みが3ヶ月遅れているため、第2四半期よりコロナ影響が顕在化

第2四半期の売上総利益は18.2%減少しています。コロナの影響はありますが、販売管理費(※)を大幅削減したことによって、第2四半期も黒字を確保しています。
※販売管理費...商品の製造・販売にかかった費用のうち、販売活動に必要な費用や企業全体の管理活動にかかる費用

※「2021年3月期第2四半期連結決算概要」を元に作成
 

電通と博報堂の今後の見通し


電通と博報堂、どちらも共通する部分として、大きなグループ企業という強みを活かし、日本のみならず、世界というより広い範囲での貢献を目指しています。

電通の今後

電通グループの統合レポート「ONE dentsu」によると、グループとしてこれまでよりもさらに大きく、そしてスピーディーに成長、そして事業を変革させていく姿勢を示しています。

また、「Open Teaming」という考え方のもと、クリエイティビティ、イノベーション、コラボレーションをボーダーレスに発展させるオープンな組織の実現を目指しているようです。

電通は次の3つを戦略として掲げています。
 

電通はグループ各社の機能をより強化し、連携を深める取り組みにより、グループをより大きく成長していく戦略を立てています。

博報堂の今後

博報堂は、総合報告書「Integrated Report 2020」によると、きたるオールデジタル化に伴い、

「企業のマーケティングの進化と、イノベーション創出をリードし、生活者、社会全体に新たな価値とインパクトを与え続ける存在になる。」という戦略を掲げているようです。

具体的には次の3つを挙げています。
 

以上のことから、博報堂DYグループとして、より外部企業との関わりをもち、その中でポジションを確立していく計画があることがわかります。
 

広告業界で求められる人物とは?


広告業界の仕事は広範囲に影響する仕事になるため、広告を通して何ができるかをつねに模索する力のある方や、考えたことを実行に移す行動力のある方が求められます。

ただ、入社後すぐに重要な業務を任されるケースはそう多くないため、新卒社員は「目の前の業務に真剣に取り組めるか」「失敗しても諦めずに、並大抵でない努力やトライ・アンド・エラーができるか」といった部分が重要視されるでしょう。

また、電通や博報堂のようにグローバルな企業の場合、語学力を求められる可能性もあります。そのため、英語にかぎらずさまざまな言語を勉強してみるのも良いでしょう。


今回は電通と博報堂のIR情報や企業ホームページをから、企業研究に役立つ情報を抜粋してまとめました。ここで紹介した内容はほんの一部です。広告業界について「もっと詳しく知りたい!」という人や自分の志望する企業がある人は、ぜひ各社の企業ホームページをチェックしてみてください。
   

この記事を書いたキャリアアドバイザー

平林 亜美(ひらばやし・あみ)

学生時代は体育会チアリーディング部に所属し、全国11位を獲得。学部間留学としてマレーシアに留学し、国際関係学を学ぶ。若手にも裁量がある企業で、多くの人々と関わり合いながら自分自身を成長させたいと考え、「どこでも、誰とでも働ける人材となる」を軸に就活し、レバレジーズに入社を決める。現在は、新卒人材紹介サービス「キャリアチケット」でのキャリアコンサルタントとして学生の支援を行う。

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