パチンコ・パチスロ業界の現況・今後の動向について

このページのまとめ

  • パチンコ、パチスロ業界は余暇市場の約3割を占めている
  • 社会貢献の金額換算実績は14億円だが、ほとんど世の中に伝わっていない
  • パチンコ業界の市場規模は緩やかに縮小傾向にあり、M&Aによる業界再編が進んでいる

本記事の執筆者

田中 剛(たなか・つよし)

株式会社アミューズメントプレスジャパン執行役員、出版事業部統括部長。明治学院大学法学部卒。広告会社、マーケティングリサーチファームを経て遊技業界の経営専門誌『月刊アミューズメントジャパン』を編集・発行するアミューズメントプレスジャパン入社。2014年12月より現職。

 

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パチンコ・パチスロ業界とは?

パチンコ・パチスロ業界は遊技業界とも呼ばれます。「遊技」は法律で定められた言葉で、景品などがかかった遊び(ゲーム)や勝負事を指します。

パチンコ・パチスロ業界は以下の3つに大別できます。

・パチンコホール
・パチンコ遊技機・周辺機器メーカー
・販売会社

パチンコホール

パチンコホールは、「パチンコ店」「パチンコ・パーラー」という呼ばれ方をします。パチスロ遊技機だけを設置しているホールの場合は「パチスロ店」と呼ばれます。2018年12月末時点で、全国に約9300店舗があり、パチンコ機が約242万台、パチスロ機が約154万台設置されています。

パチンコホールを開業するには、行政による営業許可が必要であり、営業時間や設置できる遊技機などは法律によって定められています。

パチンコ遊技機・周辺機器メーカー

メーカーは、遊技機(パチンコ遊技機、パチスロ遊技機)を製造するメーカーと、周辺機器を製造するメーカーに大別できます。

パチンコホールに設置できる遊技機は、国家公安委員会によって厳格に基準が決められており、そのルールの範囲でメーカーは面白い遊技機の開発にしのぎを削っています。

パチンコホールには遊技機だけでなく、さまざまな周辺機器があります。パチスロ遊技機を設置する「島」と呼ばれる構造物、その内部で玉やメダルを循環させる装置、遊技機の稼働状況を情報として集約し分析するためのコンピュータ、お客様に提供する賞品の在庫状況を管理するためのコンピュータなど、これらを作っているメーカーを総称して「周辺機器メーカー」と呼びます。

販売会社

販売会社は、遊技機メーカーの作ったパチンコ機、パチスロ機をパチンコホールに販売する会社を指します。全国規模の販売拠点を持つ販売会社もありますが、多くは営業地域を限定した小規模の会社です。遊技機メーカーに代わって新機種の情報・仕様などをホールに案内し、発売前から販売活動を始めます。

 

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パチンコ・パチスロ業界の収益の仕組み

パチンコホールは、パチンコの場合は「玉」、パチスロの場合は「メダル」をそれぞれ遊技をするお客様に貸し出します。

一般的には、1玉の料金は4円、メダル1枚の料金は20円で、これを遊技料金と言います。

料金といえど貸し出しているものなので、お客様は玉やメダルをお店の外に持ち出すことはできません。遊技が終わったときに、玉やメダルが残っていた場合、玉の個数・メダルの枚数に応じて賞品と交換することができます。

仮にお客様が1000円分の玉(もしくはメダル)を借りたとしたら、その時点で1000円の売上となります。その玉を使い切ってしまえば、お店の粗利は1000円。もし300円分の玉が残り、それを300円分の賞品と交換したら、お店の粗利は700円。同じ1000円の売上でも、お客様の遊技の結果によって粗利はまったく異なるビジネスです。

メーカーや販売会社は企業間で取り引きするBtoBビジネスのため、収益の生まれ方は他の産業と大差ありません。

 

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パチンコ・パチスロ業界の現状

日本生産性本部が毎年発表している『レジャー白書2018』によると、パチンコ・パチスロ業界の市場規模は全国のパチンコホールの遊技料金の総計の推計値で約19兆5千億円です。2017年の余暇市場全体が69兆円ですので、パチンコ・パチスロ業界は余暇市場の約3割を占めていることになります。

遊技業界の専門誌『月刊アミューズメントジャパン』が2017年1月に実施した調査(全国の18歳~79歳の男女約4800人を性・年代・地域ごとにサンプル割り付けし、実際の人口動態に比例するようウエイトバック集計)によると、直近1年間に1回以上パチンコもしくはパチスロを遊技した人の割合(参加者率)は12.4%で、推計1,200万人でした。プレイヤーは男性が多く、男女比は3対1です。

メーカーの市場規模は8,574億円(矢野経済研究所の試算による)。同調査によると、2017年度のパチンコ機は5,157億円、パチスロ機は2,434億円、周辺設備機器は982億円です。

出所:矢野経済研究所

 

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パチンコ・パチスロ業界の課題とその対策

パチンコ・パチスロ業界の課題は、社会貢献活動の実績があるにも関わらずネガティブなイメージがつきまとっていることです。

ネガティブな業界イメージとプレイヤー減少が課題

全日本社会貢献団体機構の集計によると、ホール企業および各地の組合による2017年度の社会貢献の金額換算実績は14億円。内容では「社会福祉関係」が最も多く4憶5,322万円と、自然災害の被災地復刻支援も多く行われています。長年継続しているこれらの活動が、ほとんど世の中に伝わっていないのです。

参照:平成29年の全国ホールの社会貢献実績は14億1,200万円 | パチンコ・パチスロ、業界ニュースを配信 遊技通信web

レジャーの多様化や少子高齢化(生産年齢人口の減少)により、パチンコ・パチスロプレイヤー(参加者)が過去20年間、減少傾向にあることも課題です。

快適な環境提供と少額で楽しめる機械の開発でプレイヤー増加をねらう

ホール企業においても、15年ほど前から大学新規学卒者の採用が広まり、人材育成に力を入れてきました。その成果が表れ、店内の接客レベル向上、店内の遊技環境の向上(おしゃれでストレスがない店内空間)、経営の効率化を進めています。

プレイヤーの減少を食い止めるため、遊技機メーカーは、あまりお金を使わなくても楽しめる遊技機の開発を続けています。

同時に、お客様がパチンコ・パチスロに過度にのめり込むことを防止するために、各店舗が「適度に楽しむ遊び」であることを啓発しています。日本に「カジノを含む統合型リゾート」を導入するという国の政策(統合型リゾート実施法)によって、ギャンブル依存問題がクローズアップされていており、パチンコ・パチスロは法律上ギャンブルではないが、過度ののめり込みを抑制する対策が求められています。

パチンコ・パチスロ業界の今後

パチンコ業界(ホール、メーカー、販売会社を含め)は前述の理由で緩やかに縮小傾向にあり、M&Aによる業界再編が進んでいます。

内需産業ゆえ拡大に転じるとは考えにくい一方で、急速に市場が縮小する可能性も低いでしょう。パチンコホールは2018年の1年間に444店(店舗数の4.6%)減少しましたが、遊技機台数は2.5%の減少にとどまっています。

店舗数減少はスクラップ&ビルドによる経営効率化の側面もあり、1店舗当たりの規模は大型化しています。今後、地方の中堅のパチンコホール経営企業が買収によって勢力を拡大していくと見られます。

 

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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