【IT業界徹底解説Part3】IT業界の変遷と今後の動向

このコラムでは、IT業界への就職を目指す方に向けた知識を全4回にわたってお伝えします。IT業界の構造や将来的な動き、活躍している職種など、IT業界のこれからとご自身のキャリアを考えるのに役立つ情報が満載です!


Part3ではIT業界と産業革命の関わりや変遷、そして雇用の変化についてお話していきます。これまでどのような技術の変化があり、また産業革命によって雇用はどのように変わっていくのでしょうか? I今後企業に求められる人材についても解説します。

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 IT業界の変遷と今後

IT業界の変遷とこれから予想される業界の変化を確認していきましょう。まず、IT業界の将来を考えるには、「第4次産業革命」を押さえることが必須です。

そもそも産業革命とは何か

「産業革命」とは、技術の革新が産業だけではなく社会の構造や人々の生活に変化をもたらす現象のことです。18世紀後半~現在まで図のように産業革命が起こっています。
 

第1次産業革命は蒸気機関、第2次産業革命は電気が中心となりましたが、これに続いて1970年代に起こった第3次産業革命は、コンピューターが主役。以降、AppleやGoogleといったIT企業が急成長を遂げ、ITは製造業をはじめとするさまざまな産業に導入されて、世界中の人々の生活に欠かせない存在になっていきます。

そして今起こっている第4次産業革命では、第3次産業革命で進んだインターネット技術を下敷きとして、「データ」が注目されています。第4次産業革命では実社会のあらゆるデータがネットワーク上で自由にやり取りされることにより、生産のさらなる自動化・効率化が進んでいくと予想されます。

第4次産業革命がもたらす変化

では、第4次産業革命の技術革新によって、企業や私たちの生活にはどのような変化がもたらされるのでしょうか?
その具体例を挙げてみました。
 

・AI、ロボットが労働力となり生産の効率が飛躍的に上がる
・AI、ロボットの多方面での活用 例)AIによる自動運転、ロボットによる介護補助
・個人のニーズに合った生産やサービス提供が行われる 例)カスタマイズ服、オーダーメイド治療
・インターネットでのサービス提供者と利用者のマッチング 例)民泊、空き時間の駐車場利用、空き時間に個人が持つ専門的な技術を提供する
・フィンテック(ITを活用した新しい金融サービス)の実現 例)クレジットカードの利用履歴をスマートフォンで確認できる、AIを使った資産運用


第4次産業革命に対する各国の取り組み

情報通信白書(平成29年)のアンケートの回答によると、日本国内の第4次産業革命に対する期待感は、個人・企業ともに他国と比べると低いものでした。
 

一方でイギリスやドイツなどの欧米では、企業を中心としてポジティブな認識が目立ち、企業が第4次産業革命を主導・先導していることがわかります。
実際にアメリカではスタートアップ企業によるフィンテックへの参入が相次ぎ、今後IoTを導入したいと考える企業の数も増えているようです。

日本は欧米に比べて第4次産業革命に乗り遅れている感がありますが、ご説明したように、第4次産業革命がもたらす経済効果は非常に大きなものと予想されます。

国はこの度の産業革命に乗り遅れないよう企業に呼びかけており、今後はIoTやビックデータ、AIを活用する企業が増えていくのではないでしょうか。

第4次産業革命によって雇用に変化が

AIが高度な判断を行い、複雑な作業に関しても自動化が進む今、労働者を取り巻く状況も変化しつつあります。簡単に言えば、今後は人間が行うよりAIが行うことでコストががかからないような仕事は徐々になくなり、AIができない仕事は残ることが予想されます。

近い将来、経理や総務といったバックオフィス的な仕事はAIやロボットが行うようになり、求人は大きく減少するかもしれません。

そんな状況を「仕事がなくなる」と悲観的に捉える人も多いですが、なくならない仕事もあれば、AIやロボットの普及で新しく増える仕事があるのも事実です。例えば、高級レストランの接客やきめ細やかな介護のように、人が直接行うことによって価値が上がるサービスや、個人に合わせた高額な保険商品の営業、ロボットを使った新ビジネスの企画立案などがその一例です。
 

今後は多くの企業で、ITを使って新しい価値を生み出せる人材、変化する社会に対応してスキルをアップデートし続けられる人材が求められるようになるでしょう。

IT業界の市場状況

IT業界はリーマンショックや東日本大震災で一時低迷したものの、2010年頃から市場は再び成長をはじめ、以後好調な推移を見せています。
近年市場が好調である背景には、アベノミクスによる景気回復やマイナンバー制度の導入があるでしょう。

また、クラウドやビッグデータを活用する企業が増えたのも、IT業界が好調である要因。今後AIやIoTが社会に浸透していけば、IT市場はさらに成長していくと考えられます。

 IT業界の今後の動向と課題

IT技術はすでにビジネスに欠かせないものとなっており、今後もさまざまな産業に活用されることが予想されます。例えば医療業界であれば、AIを使って病気の診断が行われるようになるかもしれません。

AIやIoT、ビックデータといった最新技術に関する研究は今後ますます進展し、それに伴いITの需要はさらに拡大していくでしょう。
そこで課題となってくるのがIT人材の不足であり、今後は少子化の影響もあってさらなる人手不足の深刻化が心配されています。

国は現在大幅に不足しているIT人材の確保を急務として、基礎的なIT知識を持った企業人、およびミドル層のIT人材、そしてトップレベルのITテクノロジストを育てる仕組みを整備しています。

また、企業は即戦力となるエンジニアやプログラマーを確保するため、待遇改善や多様な人材の活躍支援といった取り組みを求められるでしょう。

IT人材の確保を強化する動き

最近では人材不足を背景として、破格の条件で新卒を募集する企業が出てきています。極端な例では、入社1年目で「年収1000万円」を提示する求人もあり、企業は優秀なITエンジニアの確保に積極的です。

こういった条件を出すのはIT業界内の企業とは限らず、IoTを導入する自動車業界やフィンテックのサービスを取り扱う金融業界でも、優秀なエンジニアの確保が課題となっています。

好条件求人の対象となるのは、長期インターンで高度な技術を身につけた学生が中心のようですが、実務経験がなくても、AIに関する研究成果を挙げている学生や、ビッグデータ解析に役立つ統計学を学んだ学生が採用される例もあるようです。このように技術の進歩により自動化が進むことで雇用にも大きな変化が生まれていることがわかります。
 

さて、次回はIT業界に関わる職種について解説していきます。実際にどんな働き方をしているのか、そしてどのようにキャリアアップをしていくのか、IT業界を目指している就活生は参考にしてみてください。

 

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