【企業研究】5分でわかる!IRから読み解く第一生命

就活で「どのように企業研究を進めれば良いかわからない」「効率の良い企業研究の方法が知りたい」と考えたことはありませんか? そんなときは、企業の「IR情報」をチェックしてみましょう。IR(Investor Relations)情報とは、企業が株主や投資家向けに経営や財務状況など投資の判断に必要な情報をまとめたものです。本企画では、就活生向けにIR情報を抜粋し、わかりやすく解説します。

今回取り上げるのは、第一生命株式会社。これを読んで、ぜひ企業研究に役立ててみてください!

目 次
  • 1.第一生命ってどんな会社?
  • 第一生命の「強み」と「弱み」
  • 売上高・営業利益推移
  • 社員の平均年齢・男女比
  • 2.第一生命の動向と今後
  • 3.第一生命が求める人物
 

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第一生命ってどんな会社?


「第一生命」は生命保険を扱う企業として市場では2位の業績があり、「第一フロンティア生命」「ネオファースト生命」などのブランドが有名です。国内だけでなく海外でも保険事業も展開しており、海外における企業利益が全体の約26%を占めるなど海外保険が強みの企業です。
 
 創業  1902年
 設立  1902年(明治35年)9月15日
 代表者  代表取締役社長 稲垣 精二
 拠点数  支社92、営業オフィス等1,260
 従業員数  56,151名
 (内勤職11,177名、営業職44,974名)

第一生命は主に「国内生命保険事業」「海外生命保険事業」「資産運用・アセットマネジメント事業」を3つの成長エンジンとして掲げ、「安心の最高峰を、地域へ、世界へ」をモットーにさまざまな保険を扱って事業展開をしています。
 

国内生命事業では、窓販(※)事業に特化した「第一フロンティア生命」や、低額で簡単に三大疫病に備えることのできる「ネオファースト生命」などがあります。
※窓販……銀行や信用金庫など、生命保険会社以外の窓口で生命保険を販売すること。

海外生命保険事業では、アメリカの「プロアクティブ」とオーストラリアの「TAL」、近年はカンボジア・ベトナムでの「アジアパシフィック事業」など、世界の様々な地域で事業を拡大しているのが特徴です。

資産運用・アセットマネジメント事業は、生命保険契約の持つ負債特性を考慮し、主に国内外の株式・債券・貸付金・不動産などの資産で構成されています。これにより、市場環境に応じて機動的な資産配分ができる強みがあります。
 

第一生命の「強み」と「弱み」

第一生命の強みは、海外生命保険事業です。平成22年に「相互会社」から「株式会社」に転換してから海外事業を積極的に強化できるようになり、オーストラリアやインドネシアの生命保険会社を買収しています。

さらに、国内保険会社によるM&A(企業の買収・合併)に過去最高額となる5,822億円を投じ、米中堅生保のプロテクティブ生命保険も買収しました。

一方で弱みは、他社と比べ、少子高齢化などの社会情勢に合わせた商品展開ができていないことが挙げられます。少子高齢化によって将来的に国内需要は飽和状態になることが予想され、新規契約社の獲得や売上において業界内の競争の激化は避けられません。

そのため、今後は社会ニーズに合わせた商品展開が必須に、例えば、人々の暮らしの多様化に合わせて、通信販売や来店型ショップ、ライフプランナーなど、販売チャネルの開拓が求められるでしょう。

売上高・営業利益推移

コロナの影響を受け、新契約価値は大幅に下がっており、グループ全体としても、国内・海外ともに利益減少が見受けられます。
 

・国内生命保険事業

第一生命やフロンティア生命では、投資による値動きで生まれた利益や、債券売却益(※)の増加などがあったものの、運用期間満了を迎えた変額年金の責任準備金戻入(※)や保険金の支払いなどから、利益は減少となっています。
 
(億円)  20/3期 
 2Q累計 
 21/3期 
 2Q累計
 前年同期比  (%)
 修正利益  454  222  △231  △51%

※債券売却益……債券を途中で売却したときに得られる利益のこと
※責任準備金戻入……保険会社が将来の保険金給付や解約返戻金支払いなどに充てるために保険料や運用収益を財源として積み立てておく必要がある準備金のこと。責任準備金の積み立ては日常的には計算されず、決算処理において、決算日時点での適切な必要積立額が計算される(生命保険会社の会計において、責任準備金の処理が大きなウェイトを占めていることは大きな特徴のひとつ)。この金額が前年度末の責任準備金の額より多ければ、その額を「経常費用」の「責任準備金繰入額」に計上し、逆に必要な額が前年度末より少なければ、「経常収益」の「責任準備金戻入額」に計上する

 

・海外生命保険事業

オーストラリアのTALやベトナムのDLVNでは増益となったものの、アメリカのプロテクティブの減益や、設立間もないカンボジアやミャンマーの費用負担などもあり、全体を見ると前年同期比では46%減少の185億円となっています。 
 
(億円)  20/3期
 2Q累計
 21/3期
 2Q累計
 増減(%)
 PLC  265  97  △63%
 TAL  36  51  +41%
 DLVN  27  31  +15%
 他子関連  12  6  △52%
 342  185  △46%


社員の平均年齢や男女比

第一生命の社員平均年齢は、生涯設計デザイナーの場合は47歳で、男女比は1:9と女性が多数を占めています。また、内勤職の場合は平均年齢43歳で、男女比は7:3です。生涯設計デザイナーと比較すると、圧倒的に男性の比率が高いのが特徴です。

 

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第一生命の動向と今後


第一生命グループでは、「国内生命保険事業」「海外生命保険事業」「資産運用・アセットマネジメント事業」の3つの成長エンジンを、「確立した事業基盤を活かした収益力の一層の強化」に取り組むフェーズへと移行するとして、「CONNECT 2020」という戦略を掲げています。
 

・国内生命保険事業

InsTech(※)を活用した疾病予防・重症化予防などの支援サービスを提供し、新たなアイデアをもとにサービスの多様化を図っています。また、代理店チャネルを積極的に拡大しマルチチャネル化を進めることで、より多くの顧客との接触機会を増やすことに注力しています。

※InsTech……Insurance(保険)とTechnology(情報技術)を組み合わせた造語で、FinTechの保険版。保険分野にビッグデータやAI、IoTなどの先端技術を活用することを指す。

 

・海外生命保険事業

米国や豪州などの安定市場は持続的に成長しており、グループへの利益貢献を拡大しています。また、成長市場ではベトナムを筆頭に売上高を上げており、市場シェアの拡大に力を入れています。

 

・アセットマネジメント事業

高い利益が見込めるアジアなどの市場において、各社の経営統合により、事業利益の拡大を測る予定です。また、ジャナス・ヘンダーソンと第一生命の共同商品開発など、グループシナジー創出をすることで新たな価値を生み出していきます。

 

 

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企業が求める人物とは?

 

第一生命の求める人材としてキーとなるのは、「プロフェッショナル&チームワーク」です。

「プロフェッショナル」とは、自立心と向上力を持ち、積極的に挑戦・変革し、継続的に価値創造し続けることができる人を指します。

また、「チームワーク」とは、多様な個性を互いに受容・共感し、周囲を巻き込み、共に成長できる人材です。第一生命に入りたいと考えている就活生の皆さんは、ぜひこの2つを意識して選考に臨んでみてください。

さて、今回は第一生命のIR情報や企業ホームページをから、企業研究に役立つ情報を抜粋してまとめました。ここで紹介した情報はほんの一部なので、「もっと詳しく知りたい!」という人はぜひ企業ホームページからチェックしてみてください。
 

この記事を書いたキャリアアドバイザー

開 菜々子(ひらき・ななこ)

大学時代はダンスサークルに所属しながら、商品開発の学生団体や広告代理店の長期インターンを経験。卒業後はレバレジーズ株式会社へ入社し、現在はキャリアチケットのアドバイザーとして学生のキャリア支援をしている。

 

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