OB訪問が就活セクハラの温床に? 就活女子が気をつけたいこと

「OB訪問アプリが危ないって本当ですか?」…そんなふうに学生から聞かれたことがある。知らない人間に会うのだから危ないこともあると言えばあるが、かといってアプリ自体が危ないというわけでもなく…非常に回答のしづらい質問だった。

しかし、先日「OB訪問アプリは危ない」と思わせる事件が実際に起きてしまった。

大手ゼネコンの大林組の会社員が、ボランティアユーザー(※)としてOB・OG訪問アプリに登録し、そこで出会った女子就活生にわいせつな行為をしたという事件が起きたのだ。

表沙汰になったのがその事例だっただけで、実際にはもっと多くの被害が出ているだろう。今回はそういった事例に関して、女性の就活生はどう予防し対処するのが良いか考えてみたい。

※事件の発端となったOB・OG訪問アプリのサービスには、ボランティアユーザー(個人アカウント)と企業公認ユーザー(企業による法人アカウント)の2種類が存在。現在はボランティアユーザーの新規登録は中止されている。

本記事の執筆者
酒井 一樹(さかい・かずき)

慶應義塾大学在学中、世界初の就活SNS「Dachinco!」の代表に就任。国内最大の就活SNSへと成長させた後に大学を卒業し、エグゼクティブサーチを行う人材ベンチャーに入社。役員・事業責任者などの幹部人材の採用支援に携わる。2009年に株式会社エイリストを設立し「自分の頭で考え、行動する人材を増やすこと」を命題として、就職情報サイト「就活SWOT( https://swot.jp )」を開設。
 

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リスクを理由にOB訪問を諦めるのはもったいない

OB訪問自体は就活を有利に進めるうえで必要不可欠であり、OB訪問を活用できている学生と活用できていない学生とでは、大きなハンデが存在することになる。これについては以前書いた記事(企業訪問と並行してOB・OG訪問を)も参照していただきたい。

今回「就活セクハラ」がテーマなのでどうしてもネガティブな話になってしまうのだが、決してOB訪問を控えるべきだということではない。まず「就活セクハラ」と大きくカテゴライズされてはいるものの、その内容は千差万別だ。
加害者となる社会人が個人であるケースも、企業に所属する人間というケースもある。

もちろん、「面識のない人に会う」ことには多かれ少なかれリスクが伴う。そもそも面識がある人間だからリスクがないというわけでもない。

これは別に就活に限ったことではなく、社会に出てからも同様だ。危険だからと言って行動しないでいてはチャンスも広がらない。だが、「就活特有」のセクハラがあることも事実である。

 

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選考を有利にする…と匂わせるセクハラ

前述のOB・OG訪問アプリの事案では、「選考が有利になる」と社会人側がチラつかせたという話も出ている。

それを見返りとして匂わせながら、性的な行為を要求されたり、合コンを依頼されるという相談事例がある。ある程度の権限がある(ように見える)社会人が相手のときに起こりうるのがこのパターンだ。

まず、そういった社会人と接点を持ったことを「チャンス」と認識するのはやめよう。

もちろん、会ってみて異性として気になったのなら第三者がとやかく言うものではないのかもしれない。だがそうでないならば、自分を曲げてまで「チャンス(のように見えるもの)」にすがる必要はない。自分の成長や気付きにつながるようなチャンスと、チャンスに見せかけた「悪意」を混同してはいけない。断るべるときは断る、という意識をまず持っておきたい。

就活セクハラについて相談する窓口としては、キャリアセンターやハローワーク、法務省が運営する「女性の人権ホットライン」などがあるので、対処に困ったら相談しよう。とはいえ学生は就活自体が忙しい時期なので、「無視」で話が終わるならそれでもかまわない。関わり合いにならなくて済むのであれば、下手に荒立てるよりも賢明かもしれない。

誘いに乗るかどうか迷うような素振りを見せていると「押せばいける」と思ってしまう人間もいるだろう。大事なのは「自分にはそのような誘いに乗る可能性はない」とハッキリした態度で対応することだ。

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OB・OG訪問アプリは「最後の手段」として使う


OB訪問アプリは便利であり、コネクションのない学生にとっては救いになることもあるだろう。しかし便利だからといって真っ先にそれに頼るのがベストだとは言えない。

まず、可能であれば知人経由でOBを紹介してもらうのが良いだろう。知人からの紹介でもトラブルが起きないという保証はないが、共通の知人が全くいないケースに比べれば相対的に下手なことはしづらいだろう。

OB・OG訪問アプリの中にはメールアドレスのドメイン名で企業の在籍を確認しようという試みもあるが、「自己申告」を信じるしかないサービスも多い。滅多にない話ではあるが、在籍する企業を偽ってわいせつな行為をしようとした事例もある。OB・OG訪問アプリは便利である一方で「危険だ」とも噂されてきた経緯もあり、今回の事件を機に対策を講じるサービスも出ている。

制限しすぎると機会まで奪われてしまうのだが、安全にOB訪問をするならそのOBに対して誰かが責任を持たなければいけない。企業が指定したOBであれば企業が責任を持つことになるが、ボランティアユーザーとして登録した社会人はそうはいかない。アプリ側で会う場所や時間などを制限していかなければ、仕組みを悪用する人間を野放しにしてしまうことになる。

OB・OG訪問マッチングサービスがそのような仕組みを整えるまでは、自衛するしかないのだ。

 

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就活イベントを活用して、相談できる社会人を見つけよう

1つオススメしておきたいのは、就活支援イベントを活用して「所属のハッキリした社会人」に相談できる状態を作っておくということだ。主に人材関連の会社が多いのだが、自己分析や面接、エントリーシート対策などさまざまな内容で就活のアドバイスや指導を行ってくれるイベントがある。

これらのイベントは、多くの場合は企業が主催している。そして多くの場合、企業紹介など何らかのサービスにつながっている。つまりボランティアではなく営利なのだが、だからこそ「下手なこと」はしない。

就活で何かトラブルがあったときに気軽に相談できる社会人がいれば1人で抱え込まずに「セカンドオピニオン」を求めることができる。

志望企業のOBから得られる情報ももちろん貴重なのだが、「そのOBの言っていることはおかしい」と利害関係なく言える立場のアドバイザーがいたら、何かあったときに心強いとは思えないだろうか。

企業紹介などのサービスを利用するかどうかは別として、大体は無料になっているので一度参加してみることをオススメしたい。もちろん担当者次第でアタリ・ハズレは大いにあるので、いくつか参加したうえで「頼れそうだ」と思える社会人を見つけてほしい。
 

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