就活ルールの現状は?25卒の状況やこれまでとの変更点について解説

このページのまとめ

  • 就活ルールとは、政府や経団連が定める新卒採用の指針
  • 25卒の就活ルールでは、内定に対するインターンシップの影響力が増す
  • 就活ルールは変更される場合もあるので、毎年確認が必要

就活ルールの現状は?25卒の状況やこれまでとの変更点について解説のイメージ

「就活ルールって何を指すの?」と気になる就活生も多いでしょう。就活ルールは新卒採用におけるルールで、採用開始のタイミングなどを決めた指針のことです。

この記事では、就活ルールの内容や、これまでとの変更点について解説します。現状のルールを知り、就活対策に活かしましょう。就活ルールの変更点は難しい内容もあるので、就活のプロに相談することも候補に入れておいてください。

就活のルールについて相談したい

   
目 次

就活ルールとは経団連が定める新卒採用の指針

就活ルールとは、日本経済団体連合会(経団連)が定めている新卒採用の指針のことです。就職活動が学業の邪魔にならないように、企業に対してルールを決めて採用活動を行うように周知しています。

たとえば、「就活解禁日は大学生3年生の3月1日」「選考開始は大学4年生の6月1日から」などのルールが就活ルールに該当します。ただし、経団連主導の就活ルールは2018年に廃止され、政府主導で就活ルールが提示されるようになりました。現状、ルール自体に大きな変更はありませんが、主導が変わっている点は覚えておくとよいでしょう。

参照元
一般社団法人 日本経済団体連合会
2024(令和6)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について

就活のルールについて相談したい

 

25卒からは就活ルールが一部変更される

25卒の就活からは、就活ルールが一部変わることを頭に入れておきましょう。ここでは、変更点について解説します。

内定に対するインターンシップの影響力が増す

25卒からは、内定に対するインターンシップの影響力が増します。従来とは異なり、企業はインターンシップで得た情報を選考に活かせるようになりました。従来のインターンシップの場合、どの時期に行われるインターンシップであっても、学生の情報は広報活動や採用活動に利用できませんでした。

しかし、内閣官房の「産学協働による自律的なキャリア形成の推進」によると、「25卒の就活からは「汎用型能力・専門活用型インターンシップ」で得た学生の情報を採用活動に利用できる」と変更されています。

学生は、インターンシップでの評価が本選考に影響することを理解し、参加しなければなりません。また、インターンシップに参加した学生と参加していない学生では、評価が変わる可能性も考えておきましょう。

短期のインターンシップは、インターンシップとは呼ばれなくなったのも変更した点です。5日以上続くものをインターンシップと呼ぶようになり、以前まで「1dayインターン」と呼ばれていたものは、「オープンカンパニー」と名前が変更されました。

参照元
文部科学省
インターンシップの推進に当たっての基本的考え方
内閣官房
産学協働による自律的なキャリア形成の推進

就活スケジュールは変わらない

就活スケジュールについては、24卒と変更はありません。広報活動や選考開始の時期は、次のように示されています。

・広報活動開始:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
・採用選考活動開始:卒業・修了年度の6月1日以降
・正式な内定日 :卒業・修了年度の10月1日以降

大学生3年生の3月になると、就活サイトで一斉にエントリーが解禁されます。なお、選考は6月スタート、内定は10月です。25卒の就活スケジュールについては、「就活準備はいつから?2025卒や状況別のスケジュールとやることを解説」の記事で詳しく紹介しています。スケジュールを知り、いつまでに自己分析や企業研究などを行うなど大体の計画を立てておくと、今後どのように動けばよいかイメージしやすくなるのでおすすめです。

参照元
内閣官房
2024 年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方

就活のルールについて相談したい

 

就活ルールの歴史

就活ルールは1953年の就職協定から始まり、複数回の変更を経て今に至ります。ここでは、就活ルールがどのような歴史を辿ってきたかをまとめました。

1953年に「就職協定」が始まる

就活ルールの始まりは、1953年と就職協定とされています。就職協定ができる前は就活ルールが決まっておらず、学業よりも就活に取り組む学生も多い状況でした。

そのため、1953年の就職協定から、「採用選考の開始は卒業年度の10月以降」に決められた形となっています。しかし、企業側が選考を前倒しして採用するケースも多く、学業に対する影響は変わらない問題点がありました。

早期選考を行いたい企業側と、早期選考を阻止したい経団連側の影響で協定の改定が繰り返されますが、状況は変わらず。1997年の採用を最後に、就職協定は廃止されました。

1997年に就職協定の廃止と倫理憲章が定められる

1997年に就職協定が廃止されたのち、倫理憲章が定められます。倫理憲章とは、「正式内定日は卒業年度10月以降とする」というルールです。

企業と大学の間で決められたルールでしたが、効果は薄く、採用活動の早期化が止まりません。その結果、2003年に「卒業年度の4月よりも前に採用選考を行ってはならない」とのルールが追加されました。

2011年に倫理憲章が改定される

2011年には、倫理憲章が改訂されます。ルールを定めたものの、前倒しで広報活動や採用活動を行う企業が多かったためです。2013年卒からは、採用や広報の活動は12月1日以降、採用選考活動開始は4月1日以降と定められました。

参照元
日本経済団体連合会
採用選考に関する企業の倫理憲章

2013年に「採用選考に関する指針」が発表される

2013年には、経団連から「採用選考に関する指針」が発表されます。この指針により、広報活動は「卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降」、選考活動は「卒業・修了年度の8月1日以降」と変更されました。

参照元
一般社団法人 日本経済団体連合会
採用選考に関する指針

2018年からは政府主導でルールが策定される

2018年からは、経団連主導ではなく、政府主導でルールが決められるようになりました。採用活動の早期化により、就活ルールが機能していなかったことが理由といわれています。25卒の就活ルールは、次のような状況です。

・広報活動開始:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
・採用選考活動開始:卒業・修了年度の6月1日以降
・正式な内定日 :卒業・修了年度の10月1日以降

今後、就活ルールはさらに変わっていく可能性もあるので、自分の卒業年度はどのようなルールで行われるのか事前に確認しておきましょう。

参照元
内閣官房
就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議

就活のルールについて相談したい

 

就活ルールがなくなることで想像される就活の変化

経団連の就活ルールがなくなることで、どのような変更点が想定されるかを解説します。

通年採用が一般的になる

もし、就活ルールがなくなった場合は通年採用が一般的になります。採用活動や広報活動の時期に指定がなく、企業は自由に採用できるためです。

企業からすると、優秀な学生であれば大学1年生の時点からでも内定を出そうと考えます。時期に関係なく、よい人材が見つかった時点で採用しようと思うでしょう。

そもそも日本では、新卒一括採用の制度を導入していますが、世界的に見るととても珍しいシステムといえます。実際、新卒一括採用を疑問視している人も少なくありません。

現在は通年採用を設けている企業も増えてきています。通年採用なら、同じ企業に再度応募できたり、内定を早くもらえたりするなどのメリットがあります。

しかし、企業側は採用工程を数回にわたって踏まなければならず、採用担当である人事の負担が大きくなるというデメリットもあります。また、広告費用などのコストがかかる点もデメリットとして挙げられるでしょう。

学生側にとっての通年採用のメリットは、「就活生が通年採用を受けるメリットは?通年採用を導入する企業の特徴も解説」で詳しく紹介しています。すぐに導入されるわけではありませんが、どのようなメリットがあるか知っておくとよいでしょう。

インターンシップを通した採用が増える

インターンシップを通した採用も増加する可能性があります。インターンシップであれば、業務への適性やスキル、企業に合いそうかなどを見極められるからです。

現状の就活ルールでは、インターンシップの情報を採用活動に反映することが認められていません。25卒より、一部のインターンシップは採用活動に利用できるようになりますが、厳しい条件があります。

就活ルールがなくなれば自由にアプローチができるようになり、インターンシップの意義も増します。業務で活躍できそうかを見てから、採用を決める企業が増えていくでしょう。

就活のルールについて相談したい

 

就活ルールの変更点に関するキャリアアドバイザーのアドバイス

25卒からは、インターンでの評価が採用に直結しうるようになります。
面接の場だけではなく、一緒に働いてみてわかる人柄や仕事への姿勢、適性などを総合的かつ長期的に見て採用されることに。スキル的な面はある程度後からついてくるので、取り組み方や業務外での準備などの姿勢、挨拶など最低限の礼儀やコミュニケーションなどに抜けがないようにしておきましょう。

また、就活時期が自由になることで、今まで以上の早期化の可能性があります。
今でも「4年生になったら始めればいい」という考えでは遅いですが、さらに早くから動き出す学生が増えるため計画的に情報収集することが重要になります
大学1年生の時点で内定獲得する可能性も出てきますが、1年生と4年生では経験したことも価値観も変わってくる可能性が高いため、意思決定のタイミングには注意しましょう。

就活のルールについて相談したい

 

就活ルール廃止で起こるメリット

もし、就活ルールが廃止された場合、学生には「多くの企業と会いやすくなる」「就活時期が自由になる」などのメリットがあります。ここでは、就活ルールの廃止によって起こるメリットを4つ解説します。

より多くの業界や企業に触れやすくなる

就活ルールが廃止されれば就活時期が延びるため、より多くの企業に触れやすくなります。大学1年生のときから就活を実施し、企業に訪問したり、インターンシップに参加したりといった行動がしやすくなるからです。

現状では、就活解禁は大学3年生の3月です。それ以前にも企業情報は集められますが、就活ルールを守る企業は積極的な情報解禁を行っていません。

ルールがなくなれば企業も通年採用に動きやすく、情報も積極的に公開されます。学生にとって、企業情報を得る機会が増加するでしょう。

内定獲得のチャンスが増える

時期に関係なく選考にチャレンジできるため、現状と比べて内定獲得のチャンスも増えやすくなります。

企業が通年採用を行えば、就活生は好きな日程で選考に参加することが可能です。大学4年生だけで選考に参加するのと、大学1年生から選考に参加するのでは、チャンスに大きく差があるでしょう。

早い段階から選考に参加できれば、面接での場数も踏めるため、自分を魅力的にアピールできる力も養えるはずです。

就活の時期が自由にできる

就活時期が自分で選べる点も、就活ルールが廃止されるメリットです。

大学1年生から就活を始める人もいれば、学業が落ち着き始める大学3年生から就活を始める人もいるでしょう。また、学生によっては大学1年生で内定を獲得し、卒業までは自由に過ごす人も出てくる可能性があります。就活の日程を自分で決められる点はメリットといえるでしょう。

就職留年者が減る

就職を早期に行えるようになると、就職留年者も減ると考えられます。就活の日程に余裕ができ、時間をかけて就活と向き合えるためです。

現状の日程では、長くても就活期間は約1年です。多くの業界や起業を見たいのに、時間が足りないと感じる就活生もいるでしょう。

就活ルールがなくなれば、大学4年間を就活に使えます。自分のペースで就活を進められるので焦りが減り、無事内定を獲得できるケースも増えるでしょう。

「就職留年ってどういう状況?」と気になる就活生には、「留年が就職に与える影響と厳しい・不利といわれる理由!内定後の対応も解説」の記事がおすすめです。就職状況に納得がいかず、就職留年を選ぶ学生もいるので覚えておくとよいでしょう。

就活のルールについて相談したい

 

就活ルールの廃止で起こるデメリット

就活ルールが廃止されると、日程が自由になることで学生側に問題が起きる可能性もあります。ここでは、就活ルールの廃止によって考えられるデメリットを解説します。

学業に支障をきたす場合がある

就活が自由に行えるようになると、学業に支障をきたす可能性があります。就活を優先してしまい、単位取得をおろそかにする学生も出てくるからです。

現状の就活日程では、早くても大学3年生になってから就活準備を始める傾向にあります。大学3年生の夏に行われるインターンシップに参加したい場合でも、大学3年生の4月から準備を始めれば十分に間に合うからです。

大学1年生や2年生で単位を十分に取っておけば、大学3年生で必要な単位はそう多くありません。しかし、大学1年生から単位が取れていないと、内定はあっても卒業できない学生も出てくるでしょう。

卒業できないと内定がどうなるかについては、「卒業できない学生は内定取り消しになる?留年した場合の対応を解説」の記事で紹介しています。学生の本分は学業であることを忘れてはいけません。

自由になる分慎重な判断が求められる

就活が自由にできる反面、選択肢が増え過ぎるのは問題です。自由に動けるからこそ慎重に決定し、後悔しないようにする必要があります。

就活ルールが廃止されると日程に縛りがなくなるので、早期内定を獲得する学生も増えるでしょう。しかし、内定を獲得して数年経ってから、「本当にこの会社でよいのかな」と迷う可能性も出てきます。

「早く内定が欲しい」「就活を終えて楽をしたい」などと考えて企業探しを行うと、後悔につながりやすいです。自由に就活を行えるからこそ、自分の選択や判断を慎重に行う必要があるでしょう。

就活が長期化する

就活が長期化し、疲れてしまう可能性も考えられます。2年や3年かけても、内定を獲得できない学生も出てくるかもしれません。

就活が長引いてしまうと、学業がおろそかになったり、サークルやアルバイトなどの経験ができなくなったりする場合もあります。せっかくの大学生活が就活に奪われてしまうのはデメリットです。

ダラダラと就活を続けてしまう

就活ルールが廃止されるということは、始める時期は人それぞれということです。いつからいつまでと明確な時期がないため、自分なりにスケジュール管理を行い、内定獲得に向けて積極的に取り組まなければ、最後の最後に内定がまだないと焦ってしまうことになりかねません。

自由に就活ができるようになれば、それだけ自分で計画的に進めていかなければならないということです。選択肢が増えると逆に困ってしまうことはよくあることです。自分で就活をする時期はいつからいつまでと決めておき、その時期に集中して取り組むなど、自分なりに進めやすい方法を見つけましょう。

就活のルールについて相談したい

 

就活ルールが廃止された場合にすべきこと

ここでは、新卒採用の就活ルールが廃止された場合にすべきことを解説します。もしものときに備えて、どのような動きが必要か知っておきましょう。

情報収集を積極的に行う

就活ルールが廃止されたら、情報収集に力を入れましょう。情報が一斉解禁される今とは違い就活情報があふれ、探しにくくなる恐れがあるからです。

知りたい情報は、自分で探さなければ見つからない場合もあります。「合同説明会に参加すればよい」「就活サイトですべて分かる」のような状況ではなくなっているでしょう。自分の行きたい業界や就きたい職種を明確にし、必要な情報を自分から探す姿勢が大事です。

インターンシップに参加する

インターンシップが新卒採用に与える影響も増すため、積極的に参加しましょう。インターンシップ参加者が、そのまま内定を獲得するケースが増えることも予想されます。

インターンシップに参加していないだけで、選考で不利になるかもしれません。興味のある企業や志望企業のインターンシップには、なるべく参加しましょう。

学業との両立を忘れない

就活だけではなく、学業も忘れてはいけません。内定があっても、卒業できなければ就職できないからです。

また、就活が自由になったからこそ、新卒採用で学業への取り組みを重視する企業が出てくる可能性もあります。就活だけに取り組むのではなく、学生らしく学業にも集中しましょう。

大学4年生になると、卒論を書かなければならない人が多いはずです。卒論は、文献を調べるところから、教授との面談など完成させるまでに多くの時間と労力が必要になるでしょう。そこに、就活も同時並行で進めていくのは、簡単ではありません。卒論と就活を上手にこなしていくためのポイントは「就活と卒論は両立できる?スケジュール管理の4つのコツや面接対策も解説」の記事を参考にしてください。

就活のルールについて相談したい

 

ルールが変わっていく就活でも成功を目指したいあなたへ

就活を成功させるためには、変わっていくルールを理解し、対応していく必要があります。しかし、「どのような変更があったのか」「どうやって対応すればよいのか」を自力で考えるのは大変ですよね。

ルールに対応した就活を行うためには、プロに相談するのが得策です。就活エージェントのような、就活について熟知しているプロにアドバイスをもらいましょう。

キャリアチケットは、新卒に特化した就職支援を行う就活エージェントです。就活知識を豊富に持つキャリアアドバイザーが、プロの目線からあなたの就活をサポートします。

また、あなたの適性や価値観に合う企業のご紹介もいたします。自分に合う企業が分からない就活生も安心です。変わっていく就活ルールや体制に不安を感じる場合は、ぜひキャリアチケットに相談してください。

就活のルールについて相談したい

   

本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

キャリアチケットについて

キャリアチケットは、就活生の最高のキャリアスタートを支援するサービスです。