ボーナスの計算方法とは?パターン別手取り額のシミュレーションも紹介

このページのまとめ

  • 将来設計を組み立てるうえでボーナス計算は重要な意味を持つ
  • ボーナスの平均支給額は基本給の約1〜2ヶ月分が相場
  • 手取り額の計算式は「ボーナスの額面-(社会保険料+所得税)」

ボーナスの計算方法とは?パターン別手取り額のシミュレーションも紹介のイメージ

新卒の就活において、入社する企業の待遇面にこだわりたい学生へ。ボーナス支給額の計算は、今後の人生設計を決めるうえで重要な要素です。

しかし、実際どのような方法でボーナス支給額を算出できるのかわからない学生も多いのではないでしょうか。

この記事では、ボーナスの概要や種類、計算方法を解説します。パターン別手取り額の計算シミュレーションも紹介するので、企業の待遇を正確に把握したい学生は参考にしてください。

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目 次

ボーナスの金額は計算しておくべき?重要性を解説

新卒の就活において、入社する企業の待遇面にこだわりたい学生は、あらかじめボーナスの金額を計算しておくべきです。

社会人の年収において、ボーナスは大きな割合を占めます。実際、住宅や車などの高額な買い物をする場合、ボーナスが入る前提で返済計画を立てるケースも多く、今後の人生設計に大きく影響する収入です。

もちろん、ボーナスなどの給与面が充実しているからといって、最良の就職先と断定するべきではありませんが、企業選びの重要な指針の一つになるのは間違いないでしょう。

なお、ボーナスなど収入に関する疑問を解消したい人は「収入に関する疑問を解決!年収にはボーナスが含まれる?」もあわせてご確認ください。

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ボーナス(賞与)の定義

一般的に労働者には1ヶ月に1度、基本給と住宅手当・扶養手当などの諸手当を足した給与が支払われます。この給与とは別に、臨時に支給される金銭がボーナス(賞与)です。

まずは、ボーナスの支給時期や回数など、基本的な概要を理解しましょう。

なお、ボーナスの概要や支給時期に関しては「ボーナスはいつもらえる?概要や支給時期を解説」もあわせてご確認ください。

ボーナスは必ず支給されるものではない

ボーナスは必ずしも支給されるものではなく、原則として企業に支給義務はありません。

実際、不景気や業績低迷のためボーナスが支払われないケースは多々あります。前提として、ボーナスの支給がない場合でも、基本的には企業側に非があるわけではないと覚えておきましょう。

ボーナスの支給時期

一般的にボーナスは、夏と冬、6月末頃と12月末頃に支給されるケースが多いようです。ほかにも、年末などに臨時のボーナスを支給する企業もあります。

ボーナスの支給回数

ボーナスは基本的に、1年間で2〜4回ほど支給されます。

ただし、支給回数は企業の規定によって変わります。また、計算方法や査定の基準も企業によって異なるので、志望企業のボーナスの取り扱いをしっかり確認しておきましょう。

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民間企業で支給される3種類のボーナスと計算方法

民間企業で支給されるボーナスの種類について解説します。

代表的な3種類のボーナスの概要と計算方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

なお、新卒入社のボーナスに関しては「新卒入社!ボーナスを貰える時期はいつ?」で解説しています。

基本給連動型賞与

基本給連動型賞与は、毎月の基本給を基に金額を算出する賞与です。「基本給×給与△ヶ月分」と表記されている場合は、基本給連動型賞与に該当します。

日本国内において主流の支給形態であり、多くの企業が基本給連動型賞与を取り入れています。なお、ボーナスの支給時期・回数に関しては、夏季と冬季の年2回が一般的です。

業績連動型賞与

業績連動型賞与は、会社の業績を基に金額を算出する賞与です。社員に支給されるボーナスの金額は、部署やチーム、個人の成果によって変動するのが一般的です。

業績連動型賞与では、在籍年数は査定に含まれないケースが多いため、若手社員のモチベーションアップにもつながります。

なお、業績連動型賞与は、おもに海外の企業で採用されていますが、日本国内でも取り入れる企業が増えているようです。

決算賞与

決算賞与とは、決算月の前後に支給される賞与です。原則として、会社の業績を基に支給額を算出するため、利益が出ていない場合、減額や賞与カットになる可能性もあります。

また、決算賞与には以下のようなメリットもあります。

・臨時収入が入るため、モチベーションが上がる
・企業にとっては節税対策にもなる

なお、決算賞与は年1回、事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に支給しなければならないと法律で定められています。

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ボーナスの金額は給与の何ヶ月分?平均支給額を解説

厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等(13p)」によると、毎月決まって支給する給与が「267,564円」なのに対し、令和4年の夏季賞与(令和4年6月~8月に支給された賞与)の平均支給額は「389,331円」でした。

また、同調査の「令和5年2月分結果速報等(13p)」によると、毎月決まって支給する給与が「267,061円」なのに対し、令和4年の年末賞与(令和4年11月~令和5年1月に支給された賞与)の平均支給額は「392,975円」でした。

上記の結果から、ボーナスの平均支給額は基本給の約1〜2ヶ月分が相場であることがわかります。

なお、ここからは業種別・新入社員の場合にわけて、ボーナスの平均支給額の詳細を解説します。

志望候補企業における賞与面の待遇を客観的に評価するためにも、条件別の平均的なボーナス支給額を把握しておきましょう。

ボーナスの平均額について、詳しく知りたい人は「ボーナスの平均額はいくら?伸び率まで業界別・企業別・年齢別に解説!」もあわせてご確認ください。

参照元
厚生労働省
毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等(13p)
毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等(13p)

業界別ボーナスの平均支給額

厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等(13p)」内に掲載されている業種別の夏季賞与(令和4年6月~8月に支給された賞与)の支給状況は、以下の通りです。

引用元:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等(13p)

また、同調査の「令和5年2月分結果速報等(13p)」内に掲載されている業種別の年末賞与(令和4年11月~令和5年1月に支給された賞与)の支給状況は、以下の通りです。

表2 令和4年年末賞与の支給状況のイメージ

引用元:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等(13p)

夏季・年末ともに「電気・ガス業」の平均賞与額が最も高く、次点で「情報通信業」「学術研究等」「金融・保険業」と続いています。

一方、サービス業全般の平均賞与額は、調査内で紹介されている産業のなかでも比較的低水準であることがわかります。

参照元
厚生労働省
毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果速報等(13p)
毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果速報等(13p)

新入社員の夏季賞与は「寸志」になる可能性が高い

4月に入社した新入社員の場合、算定期間が短い初年度の夏季賞与は「寸志」になる可能性が高いようです。寸志とは、少しばかりの気持ちを表した少額の賞与を意味します。

産労総合研究所が発表した「2023年度 決定初任給調査」によると、86.1%の企業が「何らかの夏季賞与を支給する」と回答していますが、その内64.5%が「一定額(寸志等)を支給」しているようです。

新卒入社者の夏季賞与・一時金の支給状況のイメージ

引用元:産労総合研究所「2023年度 決定初任給調査

なお、同調査によると、大学卒を対象とした夏季賞与の平均支給額は「96,732円」でした。この結果から、新入社員における夏季賞与の支給額は、一般的な水準を大きく下回っていることがわかります。

夏季賞与・一時金の支給金額(何らかの夏季賞与・一時金を支給する企業)のイメージ

引用元:産労総合研究所「2023年度 決定初任給調査

なかには、日割で金額を算出した賞与を支給する企業もありますが、原則として初年度からボーナスを満額貰えるわけではないと考えるのが無難です。

参照元
産労総合研究所
2023年度 決定初任給調査

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ボーナスを計算するうえでの「額面」と「手取り」

ボーナスを計算する際は「基本給×△ヶ月分」という考え方が一般的です。例えば、基本給20万円で基本給2ヶ月分の支給という場合は、20万円×2ヶ月=40万円となります。

なお、基本的にボーナスには「額面」と「手取り」があり、双方の金額は異なります。手取りの金額を出すには、額面から所得税や社会保険料を控除する必要があるため、控除額の計算が必要です。

推定のボーナス支給額を正確に算出するためにも、額面と手取りの違いや控除される所得税・社会保険料について理解を深めましょう。

なお、給与の額面や手取り、基本給の違いを知りたい人は「基本給と初任給って何が違うの?」もあわせてご確認ください。

ボーナスの額面

ボーナスの額面とは、企業が定めた規定に基づいて算出された金額です。例えば、給与規定に「ボーナスは基本給の△ヶ月分支給する」と明記されている場合、「基本給×△ヶ月分」の計算式によって、算出された金額が額面となります。

ボーナスの手取り金額

ボーナスの手取りとは、額面から所得税、社会保険料を控除した金額です。会社によっては、所得税と社会保険料以外の控除項目が含まれるケースもあります。

なお、手取りは控除項目を差し引いたあとの金額なので、額面より少なくなるのが基本です。ボーナスの支給日に振り込まれるのは、額面ではなく手取り金額となることを覚えておきましょう。

ボーナスからは所得税と社会保険料が控除される

ボーナスの額面から控除される項目には、大きく分けて「所得税」と「社会保険料」の2つがあります。

所得税

所得税は国税の一つにあたり、毎月支払われる給与やボーナスなど、個人の所得に対してかかる税金です。所得税額の計算方法は、1年間のすべての所得から所得控除を引いた課税所得に所得税率をかけて算出します。

社会保険料

社会保険とは、私たちの生活を保障するための制度で、「疾病」「ケガ」「失業」「老齢」などの生活で起こり得るリスクに備えるための公的保険です。社会保険の各保険には、企業や労働者、または国が負担するべき費用が定められています。

なお、ボーナスから控除される社会保険料としては、以下の4種類が挙げられます。

控除される社会保険料の種類 概要
健康保険料 ・疾病やケガの治療費のうち、一部を自己負担し医療サービスを受ける医療保険制度
・日本では、原則としてすべての国民に対し医療保険の加入義務がある(国民皆保険)
厚生年金保険料 ・国が管理し、運営する年金制度
・働き方により加入する公的年金は変わってくるが、原則として日本国内に居住地があるすべての国民に加入義務がある
・保険料は、事業主と労働者が折半で負担
雇用保険料 ・労働者の雇用安定・促進を目的とした保険制度
・「失業保険」「教育訓練給付」「育児休業給付」などの種類がある
介護保険料 ・おもに高齢者などに介護サービスを提供するために実施されている社会保険制度
・財源の半分は、国と地方公共団体が負担する
・被保険者は、市区町村の住民かつ65歳以上の「第1号被保険者」と40歳以上65歳未満かつ医療保険に加入している「第2号被保険者」
 

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ボーナスから控除される社会保険料の計算方法

志望企業の正確な賞与支給額を算出するために、ボーナスから控除される社会保険料の計算方法を解説します。

健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、介護保険料の4種類の社会保険料について、控除額を算出する方法や計算式を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

なお、社会保険を控除したボーナスの手取り金額については「夏のボーナス、支給の時期や金額を徹底調査」でも解説しています。

健康保険料の計算方法

ボーナスから控除される健康保険料を算出する場合、以下の計算式が適用されます。

・ボーナスから控除される健康保険料=標準賞与額×保険料率÷2

健康保険料は、標準賞与額(ボーナス総支給額の1,000円未満を切り捨てた金額)に健康保険料率をかけて算出します。健康保険料率は、企業の所在地や加入している保険の種類によって異なります。

例えば、東京都に事業所がある企業に勤めている30歳の会社員の場合、健康保険料率は10%です。

健康保険料の保険料額や都道府県ごとの保険料率については「全国健康保険協会 令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)」に記載されています。

なお、健康保険料は事業主と労働者が折半で負担します。したがって、標準賞与額に健康保険料率をかけた値を2で割った金額が、ボーナスから控除される健康保険料の自己負担額です。

参照元
全国健康保険協会
令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)

厚生年金保険料の計算方法

ボーナスから控除される厚生年金保険料を算出する場合、以下の計算式が適用されます。

・ボーナスから控除される厚生年金保険料=標準賞与額×18.3%÷2

厚生年金保険料は、標準賞与額に厚生年金保険の保険料率「18.3%」をかけて算出します。

なお、厚生年金保険料に関しても事業主と労働者が折半で負担するため、標準賞与額に保険料率をかけた値を2で割った金額が、ボーナスから控除される自己負担額です。

参照元
日本年金機構
厚生年金保険の保険料

雇用保険料の計算方法

ボーナスから控除される雇用保険料を算出する場合、以下の計算式が適用されます。

・ボーナスから控除される厚生年金保険料=支給額×雇用保険料率

雇用保険料は、標準賞与額ではなく支給額に雇用保険料率をかけて算出します。

雇用保険料率は業種によって異なります。厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」によると、一般の事業に勤める会社員の場合、雇用保険料率は「6/1,000」です。

また、雇用保険料は労働者と事業者でそれぞれ負担し、雇用保険料率も異なります。

令和5年度の雇用保険料率の画像

引用元:厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内

したがって、賞与の支給額に業種ごとの雇用保険料率をかけた値が、ボーナスから控除される雇用保険料の自己負担額となります。

参照元
厚生労働省
令和5年度雇用保険料率のご案内

介護保険料の計算方法

ボーナスから控除される介護保険料を算出する場合、以下の計算式が適用されます。

・ボーナスから控除される介護保険料=標準賞与額×保険料率÷2

介護保険料は、標準賞与額に介護保険料率をかけて算出します。健康保険料と同様に、介護保険料率は企業の所在地や加入している保険の種類によって異なります。

例えば、東京都に事業所がある企業に勤めている45歳の会社員の場合、介護保険料率は1.82%です。

介護保険料の保険料額や都道府県ごとの保険料率については「全国健康保険協会 令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)」に記載されています。

なお、介護保険料も事業主と労働者が折半で負担します。したがって、標準賞与額に介護保険料率をかけた値を2で割った金額が、ボーナスから控除される介護保険料の自己負担額です。

ただし、介護保険料は40歳以上65歳未満が被保険者なので新卒者の場合、当面はボーナスから控除されることはありません。将来の想定ボーナス支給額を計算したい人は覚えておくとよいでしょう。

参照元
全国健康保険協会
令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)

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ボーナスから控除される所得税の計算方法

ボーナスから控除される所得税額は、以下の3ステップで算出できます。

1.ボーナスの支給額から「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」「健康保険料」の社会保険料を差し引き、課税対象額を算出する

2.国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を参照し、ボーナス支給月の前月の給与(社会保険料を控除した金額)と扶養親族の数から所得税率(源泉徴収率)を確認する

3.課税対象額に所得税率をかけて、所得税の金額を算出する

上記のステップを踏まえると、ボーナスから控除される所得税額は以下の計算式で表せます。

・ボーナスから控除される所得税額=(ボーナスの支給額-社会保険料の合計金額)×所得税率

なお、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」は国税庁によって毎年改訂されるため、実際の支給額とは異なる可能性があります。算出した所得税額は、あくまで推定値として考えましょう。

新卒のボーナスにおける支給時期や平均金額について知りたい人は「新卒はボーナスを貰えるの?気になる支給時期や平均額を紹介!」もあわせてご確認ください。

参照元
国税庁
所得税のしくみ
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表

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ボーナスにおける手取り額の計算シミュレーション

社会保険料と所得税の算出方法を把握できたら、実際にボーナスの手取り額を計算してみましょう。

「給与25万円(25歳、独身)」と「給与50万円(40歳、扶養家族2人)」の2パターンにわけて、ボーナス手取り額をシミュレーションするので、入社後の将来設計を考える際の参考にしてください。

なお、大卒初任給のシミュレーションを確認したい人は「大卒初任給の手取りは?地域・学歴・職種・規模別の平均や計算方法も解説」もあわせてご確認ください。

計算例1:給与25万円(25歳、独身)の場合

給与25万円(25歳、独身)、基本給2ヶ月分の賞与が支給される東京都の一般業種企業に勤める会社員の場合、ボーナスの手取り額は「408,842円」です。

〈社会保険料の計算方法〉
・健康保険料=標準賞与額×保険料率÷2=50万円×10%÷2=「25,000円」
・厚生年金保険料=標準賞与額×18.3%÷2=50万円×18.3%÷2=「45,750円」
・雇用保険料=支給額×雇用保険料率=50万円×6/1,000=「3,000円」
・介護保険料=40歳未満のため「0円」

・ボーナスから控除される社会保険料の合計金額=25,000+45,750+3,000
                      =73,750円

〈所得税の計算方法〉
・所得税額(源泉徴収税額)=(ボーナスの支給額-社会保険料の合計金額)×所得税率
             =(50万円-73,750円)×4.084 %※
             =17,408円(小数点以下切り捨て)

※先月の給与から社会保険料を控除した金額(211,710円)を基に、国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から算出

〈ボーナス手取り額の計算方法〉
・ボーナス手取り額=50万円-(73,750円+17,408円)=408,842円

計算例2:給与50万円(40歳、扶養家族2人)の場合

給与50万円(40歳、扶養家族2人)、基本給2ヶ月分の賞与が支給される東京都の一般業種企業に勤める会社員の場合、ボーナスの手取り額は「740,067円」です。

〈社会保険料の計算方法〉
・健康保険料=標準賞与額×保険料率÷2=100万円×10%÷2=「50,000円」
・厚生年金保険料=標準賞与額×18.3%÷2=100万円×18.3%÷2=「91,500円」
・雇用保険料=支給額×雇用保険料率=100万円×6/1,000=「6,000円」
・介護保険料=標準賞与額×保険料率÷2=100万円×1.82%÷2=「9,100円」

・ボーナスから控除される社会保険料の合計金額=50,000+91,500+6,000+9,100
                      =156,600円

〈所得税の計算方法〉
・所得税額(源泉徴収税額)=(ボーナスの支給額-社会保険料の合計金額)×所得税率
             =(100万円-156,600円)×12.252 %※
             =103,333円(小数点以下切り捨て)

※先月の給与から社会保険料を控除した金額(421,700円)を基に、国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から算出

〈ボーナス手取り額の計算方法〉
・ボーナス手取り額=100万円-(156,600円+103,333円)=740,067円

参照元
国税庁
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表

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評価係数によるボーナス計算方法

企業によっては、基本給△ヶ月分と一律に支払うことはせず、評価係数を用いてボーナスの金額を決めているところもあります。

これは、上司の評価に応じてボーナスが増減する仕組みで、評価はS評価=1.5倍、A評価=1.2倍などの金額が支払われる点が特徴です。具体的なボーナス支給額の計算例は以下の通りです。

〈評価係数の一例〉
・S:1.5倍
・A:1.2倍
・B:1.0倍
・C:0.9倍
・D:0.8倍

〈ボーナス支給額の計算方法〉
・基本給25万円×2ヶ月分=50万円
・S:50万円×1.5=75万円
・D:50万円×0.8=40万円

上記の例から、評価が最高のSと最低のDとでは、ボーナスの金額が35万円も差がつくことがわかります。評価係数を踏まえたボーナス手取り額のシミュレーションを紹介するので、あわせてご確認ください。

なお、ボーナスの仕組みについては「初めてのボーナスはいくらもらえる?相場と支給日を解説」でも解説しています。

計算例1:給与25万円(25歳、独身、C評価)の場合

給与25万円(25歳、独身、C評価:0.9倍)、基本給2ヶ月分の賞与が支給される東京都の一般業種企業に勤める会社員の場合、ボーナスの手取り額は「367,958円」です。

〈ボーナス支給額の計算方法〉
・基本給25万円×2ヶ月分=50万円
・C評価:50万円×0.9倍=45万円

〈社会保険料の計算方法〉
・健康保険料=標準賞与額×保険料率÷2=45万円×10%÷2=「22,500円」
・厚生年金保険料=標準賞与額×18.3%÷2=45万円×18.3%÷2=「41,175円」
・雇用保険料=支給額×雇用保険料率=45万円×6/1,000=「2,700円」
・介護保険料=40歳未満のため「0円」

・ボーナスから控除される社会保険料の合計金額=22,500+41,175+2,700
                      =66,375円

〈所得税の計算方法〉
・所得税額(源泉徴収税額)=(ボーナスの支給額-社会保険料の合計金額)×所得税率
             =(45万円-66,375円)×4.084 %※
             =15,667円(小数点以下切り捨て)

※先月の給与から社会保険料を控除した金額(211,710円)を基に、国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から算出

〈ボーナス手取り額の計算方法〉
・ボーナス手取り額=45万円-(66,375円+15,667円)=367,958円

計算例2:給与50万円(40歳、扶養家族2人、S評価)の場合

給与50万円(40歳、扶養家族2人、S評価:1.5倍)、基本給2ヶ月分の賞与が支給される東京都の一般業種企業に勤める会社員の場合、ボーナスの手取り額は「1,110,100円」です。

〈ボーナス支給額の計算方法〉
・基本給50万円×2ヶ月分=100万円
・S評価:100万円×1.5倍=150万円

〈社会保険料の計算方法〉
・健康保険料=標準賞与額×保険料率÷2=150万円×10%÷2=「75,000円」
・厚生年金保険料=標準賞与額×18.3%÷2=150万円×18.3%÷2=「137,250円」
・雇用保険料=支給額×雇用保険料率=150万円×6/1,000=「9,000円」
・介護保険料=標準賞与額×保険料率÷2=150万円×1.82%÷2=「13,650円」

・ボーナスから控除される社会保険料の合計金額=75,000+137,250+9,000+13,650
                      =234,900円

〈所得税の計算方法〉
・所得税額(源泉徴収税額)=(ボーナスの支給額-社会保険料の合計金額)×所得税率
             =(150万円-234,900円)×12.252 %※
             =155,000円(小数点以下切り捨て)

※先月の給与から社会保険料を控除した金額(421,700円)を基に、国税庁「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から算出

〈ボーナス手取り額の計算方法〉
・ボーナス手取り額=150万円-(234,900円+155,000円)=1,110,100円

参照元
国税庁
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表

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ボーナスの計算が難しい場合はツールの使用もおすすめ

給与だけでなく、賞与額も考慮したうえで、理想的な待遇の企業を選びたい場合、事前にボーナス支給額を計算する必要があります。

しかし、雇用保険や所得税のように業種や給与の支給額次第で、倍率が変動するケースもあるため、計算を複雑に感じる人も多いのではないでしょうか。

ボーナスの計算が難しい場合は、ツールやアプリを使用するのがおすすめです。

計算ツールを使えば、賞与額や前月の給与、年齢、扶養親族の人数など基本的な項目を入力するだけで、ボーナスの手取り額を簡単に算出できます。

また、健康保険料や雇用保険料、所得税額(源泉徴収額)など、金額の明細を提示してくれるサービスもあるため、各社会保険料における控除額の詳細を知りたい人にもおすすめです。

なお、新入社員のボーナスの金額と使い道については「新入社員のボーナスはいつ?いくら?業界別ボーナス額と使い道を紹介」でも解説しています。

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公務員のボーナスはここが違う!計算方法を解説

これまで説明してきた民間のボーナス支給は、景気や業績によって変動があります。しかし、公務員のボーナスは支払われるのが前提です。

そのほかにも、民間と公務員のボーナスにはいくつかの違いがあります。両者の特徴や公務員のボーナスの計算方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。

支払われることが前提

民間企業の場合、ボーナスの支給状況は景気や業績に左右されますが、公務員はボーナスが支払われることが前提です。

中小企業では、ボーナスが支給されないケースもある一方、公務員は必ず支給されることから、世間的に「公務員は安定している」「就職先として安心」といったイメージが浸透しています。

公務員の平均ボーナス額

公務員の平均ボーナス額を、「国家公務員」「地方公務員」に分けて確認していきましょう。

国家公務員の場合

令和5年6月30日に内閣官房内閣人事局が公表した「報道資料」によると、一般職国家公務員(管理職を除く行政職職員)の夏のボーナス(令和5年6月期の期末・勤勉手当)平均支給額は約637,000円でした。

なお、国家公務員のボーナスは、以下の計算式によって算出できます。

・平均支給額=支給月数×平均給与額

同資料内で公表されている支給月数と平均給与額を上記の計算式に当てはめると、以下のような結果になります。

・約637,000円(平均支給額)=2.16月(支給月数)×約295,100円(平均給与額)

国家公務員のボーナスについてさらに詳しく知りたい人は「国家公務員のボーナスの目安は?民間企業と差はあるのか」もあわせてご確認ください。

参照元
内閣官房
報道資料(令和5年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給)

地方公務員の場合

地方公務員の場合は、国家公務員の支給額を参考に、個々の自治体のボーナス支給月数を決めます。
国家公務員にならって金額などが設定されることがほとんどです。

しかし、所属する都道府県や市区町村などによって、ボーナスの時期や算定方法が異なる場合もあります。支給額について各自治体のWebサイトで公開されているため、地方公務員志望の学生は事前にリサーチしておくとよいでしょう。

なお、地方公務員のボーナス事情について詳しく知りたい人は「地方公務員のボーナス事情」もあわせてご確認ください。

公務員のボーナス支給額の決め方

国家公務員のボーナス金額は、民間企業(企業規模50人以上など条件あり)の支給実績を基に算出します。そのうえで、民間の基準に合わせて国家公務員給与の水準を改定し、俸給制度や諸手当制度の見直しを行っています。

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新卒学生必見!ボーナスのトラブルと対処法2選

ボーナスに関わるトラブルを避けるには、企業側に説明を求めたり、労働基準監督署や弁護士に相談したりするなど、しかるべき対処が必要です。

ボーナスのトラブルに対してどのように対処するべきかを解説するので、万が一の備えとして把握しておきましょう。

自分だけボーナスがもらえない場合

「ほかの社員はボーナスの支給があるのに自分にはボーナスの支給がなかった…」という場合、企業側を訴えることが可能です。

賞与が出ない理由の説明を求め、納得できるような答えが得られない場合は、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。

ボーナスの内容が求人票と異なる場合

トラブルを避けるには、入職前に求人票をしっかりと確認しておくことが大切です。

具体的には、以下のような賞与の表記に関する詳細を念入りに確認しておきましょう。

・賞与の表記における「実績△ヶ月」は1回の賞与なのか、1年を通した賞与なのか
・年度ごとに賞与の金額は大幅に増減するのか など

企業側には社員が入職する際、賞与や給与などの主要な労働条件について書面を交付する義務があります。トラブルを防止するためにも、書面で労働条件を明示しておくことが重要です。

なお、安心して働けるホワイト企業の特徴を知りたい人は「ホワイト企業の特徴14選!ホワイト業界や国の認定制度を紹介」もあわせてご確認ください。

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高額ボーナスを期待できる企業への内定を目指したい人へ

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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