フィットネス業界の現状・今後の動向について

このページのまとめ

  • フィットネスの市場規模は上がり続けている
  • 拡大する市場に人材供給が追いついていない
  • ただし、日本のフィットネスクラブの利用率は欧米に比べて低い

本記事の執筆者

渡辺 純(わたなべ じゅん)

株式会社PUREROAD代表取締役社長。プライベートトレーニングスペース「PUREFITT」メインパーソナルトレーナー。健康運動指導士。“思いどおりに動ける身体づくり”をテーマに、毎日を快適に過ごすためのトレーニング&コンディショニングを指導。トレーナー養成スクール講師、健康運動に関する執筆なども手掛ける。

 

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フィットネス業界とは

スポーツクラブをはじめとするフィットネス業界は、全国に400万人以上の会員をかかえます。日本においては、東京オリンピック直後のスイミングクラブ創設から始まり、現在4,000軒を超える施設があります。ユーザーのニーズに合わせたプログラムや業態の多様化が進んでいます。

フィットネス市場は4年連続で売上・利用者数増

健康ブームと言われる昨今、フィットネス市場は2015年から4年連続で売上・利用者数共に過去最高を更新しています。

出所:経済産業省

 

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フィットネス業界の業態と収益源は?

フィットネス業界の業態は大きく次の3つに分けられます。いずれも、売上は主に会員
の会費、利用料、有料プログラムへの参加料、物販などから得ています。

大手の総合型フィットネスクラブ

ジム、スタジオ、プール、サウナなどを有する、総合型のフィットネスクラブです。
コナミスポーツクラブ、セントラルスポーツ、ルネサンス、ティップネスなどが挙げられます。

小中規模のスタジオやマイクロジム

特定の専門分野に特化したプログラム内容や、エンターテインメント性の高さを売りにした中小規模のフィットネスクラブです。トレーナーによるパーソナルトレーニングやヨガ、ピラティスなど専門性に特化したスタジオ、女性専門のサーキット型トレーニング施設、ダイエット専門ジム、その他ストレッチ専門店、暗闇で実施するエクササイズ・インドアサイクルなど、バリエーションは多岐に渡ります。

24時間営業のセルフジム

ジムスタッフが常駐しないトレーニングジムです。エニタイムフィットネス、ジョイフィットなどが挙げられます。他の業態と比較すると利用料が安く、入会のハードルが低いことも特徴です。

フィットネス業界の課題は人材不足

フィットネス業界では、依然として人材不足が深刻な課題となっています。市場が急速に成長する中で、この問題が一層浮き彫りになっています。

特定サービス産業統計調査(経済産業省)のデータによると、2001年から2015年にかけては、フィットネスクラブの会員数と指導員数の伸び率が共にプラスで推移し、業界全体が拡大していました。しかし、2015年を境に、会員数の伸びが鈍化し始め、指導員数も伸び悩む傾向が見られるようになりました。特に2017年から2019年にかけては、会員数の伸び率がほぼ横ばい、もしくはマイナス成長となる状況が続いていました。

2020年度には会員数の伸び率が約20pt減少し、指導員数の伸び率も大幅に減少しています。この急激な低下は、新型コロナウイルスの流行などの外部要因による影響が大きいと考えられます。その後、2021年度以降は徐々に回復しつつありますが、会員数の伸び率に指導員数の伸び率が追いついておらず、人材不足の問題は依然として解消されていません。

会員数・指導員数の伸び率の画像

出所:経済産業省

さらに、インストラクターやトレーナーを育成する教育機関が少ないことも影響しており、店舗を急増させているマイクロジムでは、スタッフの質の低下が懸念されています。
会員数の急激な変動に対して、指導員の確保が追いつかない現状が、業界の持続的な成長を妨げていると言えるでしょう。

 

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欧米諸国と比べるとまだまだ低いフィットネスクラブ利用率

近年利用者が増えつつあるものの、フィットネスクラブの利用率が低いことも課題のひとつです。

フィットネスクラブの会員数は日本の総人口の約3%程度。この数字はフィットネスクラブの会員率が約18%もあるアメリカなど欧米諸国に比べて低く、しかもこの状況は長く続いています。

入会者の数を増やすだけでなく、継続的にフィットネスクラブを利用する人を増やしていく工夫が必要でしょう。

 

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フィットネス業界の今後はどうなる?

人が生きている限り健康への関心はなくなりません。今後もフィットネス業界はカタチを変えながら成長していくと思われます。

 

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ダイエット・トレーニング以外のフィットネス需要

最近は競技力向上のトレーニングや美容目的のフィットネスのみならず、より幅広い視点からフィットネスに対して関心が寄せられています。

・運動器疾患や超高齢化社会対策としての医療や介護施設とフィットネス業界の連携
・企業向けの社員健康増進を目的としたフィットネスクラスの実施、生活習慣病予防改プログラム、メンタルヘルスへの応用
・子ども向けスポーツ教室や障害者向けエクササイズなど

このようなさまざまな需要にも応えていくことで、フィットネス業界の可能性は広がり続けていくでしょう。

 

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利用者一人ひとりのヘルスリテラシーの向上がフィットネス業界を活性化する

さまざまな健康に関する情報が溢れるなか、時には誤った情報もあります。
そのため、今後長い目で見て重要になってくるのは、人々の健康情報についての正しい知識「ヘルスリテラシー」の向上です。

そのためにもフィットネス業界は、健康や運動に関する正しい知識を発信し、世の中に広めていく必要があります。具体的にはオンラインで運動方法をレクチャーするなど施設に限らず生活の中で健康のサポートを行うなどの取り組みがあります。

利用者のヘルスリテラシーを高めることができれば、利用者は一時的なブームに流されることなく、自分自身が必要とする運動に気付けるようになっていきます。

フィットネス業界は、そのような利用者が求めるさまざまなニーズに、細やかに対応できるエクササイズプログラムを提供することが重要です。

エクササイズの仕事については「ヨガクリエイターayaの仕事哲学 〜人に話すことが、自分の才能を高める〜」も参考にしてください。

 

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本記事の監修者

淺田真奈(あさだまな)

大学時代は接客のアルバイトを3つかけもちし、接客コンテストで全店1位になった経験をもつ。新卒では地方創生系の会社に入社をし、スイーツ専門店の立ち上げからマネジメントを経験。その後、レバレジーズへ中途入社。現在はキャリアチケットのアドバイザーとして、学生のキャリア支援で学生満足度年間1位と事業部のベストセールスを受賞し、リーダーとしてメンバーのマネジメントを行っている。

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